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出会い

2014-02-23 | CYCLE

近藤史恵 『サクリファイス』 『エデン』 『サヴァイヴ』

                ロードレース連作(小説) 、他にも『キアズマ』あり。

 

本に呼ばれることってないですか?

なんの気なしに、たまたま手に取った一冊。『サクリファイス』

 

インパクトのある装丁と謎めいた扉の文章、

期待をこめてページをめくると、そこに自転車ロードレースの世界が広がっていました。 

 

エースのために自分の力をすべて捧げるアシストの存在。

サクリファイス=犠牲、という言葉の意味を読んでいくうちに知ることになる。

読中は心の靄が晴れないでいる主人公と共に、こちらにも疑問の数々がなげかけられ、

後半は 謎解きが進むにつれ、主人公も自分の進む道を見いだしてゆく。

 

人間の内面を描いて読者をぐっと牽きつける世界観と、鮮やかなレースシーンの描写に想像が広がり、

いつのまにか主人公に同化していました。 

読後はふうーっとため息。 しばし呆然。

すごい世界を見てしまった・・・

 

その後、TVでロードレースを見るようになり、生のレースを観戦するようになり、

気がついたら、自分もロードレーサーに跨っていて。

 

現実はもっと、ドロ臭くて、過酷で、簡単ではないのかもしれない、それでももっとこの世界に浸っていたい。

小説の醍醐味を感じさせてくれる作品です 

 

他の2作品は主人公を同じくした続編と短編集です。 4作目『キアズマ』は大学の自転車部を舞台にしたお話。続編を乞う。

 

 

2014.3.31 追記:

上で紹介した『サヴァイブ』についての書評を、敬愛する栗村修氏がブログに書いておられたので

ぜひお読みになってください⇒栗村修TAブログ(2014.3.30)

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