近藤史恵 『サクリファイス』 『エデン』 『サヴァイヴ』
ロードレース連作(小説) 、他にも『キアズマ』あり。
本に呼ばれることってないですか?
なんの気なしに、たまたま手に取った一冊。『サクリファイス』
インパクトのある装丁と謎めいた扉の文章、
期待をこめてページをめくると、そこに自転車ロードレースの世界が広がっていました。
エースのために自分の力をすべて捧げるアシストの存在。
サクリファイス=犠牲、という言葉の意味を読んでいくうちに知ることになる。
読中は心の靄が晴れないでいる主人公と共に、こちらにも疑問の数々がなげかけられ、
後半は 謎解きが進むにつれ、主人公も自分の進む道を見いだしてゆく。
人間の内面を描いて読者をぐっと牽きつける世界観と、鮮やかなレースシーンの描写に想像が広がり、
いつのまにか主人公に同化していました。
読後はふうーっとため息。 しばし呆然。
すごい世界を見てしまった・・・
その後、TVでロードレースを見るようになり、生のレースを観戦するようになり、
気がついたら、自分もロードレーサーに跨っていて。
現実はもっと、ドロ臭くて、過酷で、簡単ではないのかもしれない、それでももっとこの世界に浸っていたい。
小説の醍醐味を感じさせてくれる作品です
他の2作品は主人公を同じくした続編と短編集です。 4作目『キアズマ』は大学の自転車部を舞台にしたお話。続編を乞う。
2014.3.31 追記:
上で紹介した『サヴァイブ』についての書評を、敬愛する栗村修氏がブログに書いておられたので
ぜひお読みになってください⇒栗村修TAブログ(2014.3.30)