（これってトラ？赤いトラは見たことがない・・・）
台湾では旧暦のお正月を祝う。今年の旧正月は新暦では2月14日の日曜日だ。あと三週間に迫り、台湾各地では年末商戦のムードが高まってきた。お正月だから当然、年越し用品が欠かせない。日本のお飾りや鏡餅、門松みたいなもの。台湾ではお正月で一家団欒したり親戚が来たりしたときに食べるお菓子類、子供や年長者に配るお年玉の袋「紅包袋」、幸福を迎えるために扉に貼る、おめでたい字が書かれた紙「春聯」などが代表的なもの。面白いのはこれらのものがほとんど全て、赤いか金色をしていることだ。
（雑貨屋では年越しグッズを店の一番目立つところに並べている。当然のようにまっかっかだ）
（めでたい文句や絵などのタペストリー）
（総統府が今年配るとしているお年玉袋と「春聯」。赤がベース。「福虎生風」とは、「虎虎生風」（力強く気合に満ちているさま）をもじったもの。いわば「幸せの虎が力強くやってくる」と言った意味。「萬事亨通」は「万事順調」の意味。馬英九・総統が書いたのだそうだ。写真：中央通信社提供）
中華民族にとって赤はおめでたい色。披露宴でも新婦の伝統的な装いは赤だ。金色は黄金に通じるのでやはりおめでたい。だから一番上の写真のトラも「赤い」。他の動物ならともかく、トラは黄色と黒、おなかは白と決まっているので仰天したのだが納得した。（阪神タイガースのファンが受け入れるかどうかは不明）
だが、ふと気が付いた。赤いのではなく、「紅い」のだということに。中国語では「赤」と「紅」は発音も意味も異なる。「赤」は日本語でも「赤裸々」と言うように、「むきだしの」という意味がある。だから中国語では裸足のことを「赤脚」という。「赤字」は中国語にもある。損をしているのでありおよそ「めでたさ」にはほど遠い。
それに対して「紅」は、「あかい」という意味が「めでたさ」に転じた他、「人気がある」、「分け前や賞与」といった意味もある。日本語にして「あかい」と言ってしまえば同じかもしれないが、旧正月のグッズはあくまで「紅い」というべき。このトラも「紅い」のだ。
（それにしても・・・体に縞模様が無く、お尻に「福」の刺繍があるのみ。そして、額の「王」の形のデザインだけでトラであることを主張している。アンディー・ウォーホルもぶっ飛ぶポップでシュールな感覚だ。ちなみに商品名は、「避邪虎＝魔除けトラ」）
（こっちは紅の地に金色の縞模様と言う、「めでたい」の二乗バージョン。手に持っているのは金色の袋。財を象徴する）
（「春聯」には堅苦しくないものもある。記者コレクションから、携帯電話「OKWAP」がかつて配ったアイドルユニットS.H.Eを起用したもの。企業はカレンダーを作るように「春聯」や「紅包袋」を作る）
（お年玉は「紅包」。お年玉袋は「紅包袋」。やはり紅色に金色といったデザインが多い）
年越しには新しい服を買うのも台湾の人の習慣。この季節、下着まで紅くなる。下着のお店には紅色の商品が並ぶ。また、大手コンビニエンスストアでも幸運を呼ぶ紅色パンツを毎年販売する。男女どちらもあるが、女性のは今年豹柄になっている。寅年だからカミナリさまのような縞模様ならわかるのだが、台湾の人にとって豹とトラは感覚的に近いのだろうか？でも、「豹紅内褲」という商品名を見て思わずニヤリ。
「豹」を中国語で同じ発音の「爆」に変えてみると「爆紅」、つまり「人気大ブレイク」といった意味になり、さしずめ「超おめでたい！」パンツ（内褲はパンツ）なのだ！
干支のトラに近く（？）セクシーな豹柄を使って、仕上げはダジャレで縁起の良さをアピールするというウルトラC。大手コンビニが取り扱うだけのことはあると恐れ入った。
今年のバレンタインデーに台湾の人に出会ったならば、「今日は旧正月ですね！新年好（シンニェンハオ！＝あけましておめでとうございます）」と言えば喜ばれるだろう。でも、下着のことをたずねてセクハラと叱られても知りませんよ！（U）
（商店に並ぶ紅色下着。2003年の写真だが今もこの時期にはおおむねこんな感じ。これを撮らせてもらうには気を使う・・・笑）→2003年にRTIのHPで紹介したページはこちら。
http://japanese.rti.org.tw/Japanese/activities/2003/030120a.htm
（これは華人社会で財を象徴する「金元宝」。古代のお金の形で旧正月にはこの形の容器や置物を使うことも）
（でも、これ実はチョコレート。今年の旧正月はバレンタインデーと重なるので、縁起のいい「金元宝チョコ」で告白してみたら成功する！・・・かもしれない）
なかなかいいです。