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日本 vs スイス(後半) 【欧州遠征07】

2007年09月14日 | 日本代表 (オシムJAPAN)
■ 親善試合
   スイス(3-4)日本
    ・前半11分 マニャン(スイス)
    ・前半13分 エンクフォー(スイス)【PK】
    ・後半 7分 中村俊輔(日本) 【PK】
    ・後半22分 巻誠一郎(日本)
    ・後半33分 中村俊輔(日本) 【PK】
    ・後半35分 ジュールー(スイス)
    ・後半47分 矢野貴章(日本) 【ロスタイム】


この試合の詳細は、ブログランキングにてサポーターの方のエントリーをご覧下さい。


■ 何も失うものはない

◆ オシムの顔色をうかがうのは、もうやめよう
日本vsスイス(前半)からの続きです。オーストリア戦後の松井のコメントが印象的でした。
みんな1対1で行こうとしていなかったので、自分は行きたいと思った。1人、2人と抜ければよかったが、抜けなくて、もうちょっと。チームとしてパスは回るので、あとは最後の仕掛け。ポゼッションでもいい時間帯はあるし、タイミングや状況によるけれど、そこを選手が分かればいい。

(途中出場するまでベンチで)見ていて歯がゆかった。もっとガンガン行っても、失うものは何もない。自分はそういうことをやったつもり。
引用元:スポナビ -
オーストリア戦後 選手コメント

松井自身、自分に求められているものが何なのかある程度理解していると思います。それ以上に「もっとガンガン行っても、失うものは何もない。」こういう気概が今のチームには足りないような気がします。

オシム監督就任後、たびたび言われる「監督の顔色をうかがってプレーしている」そんな雰囲気は、TV画面で見る我々にも伝わり感じていた方も多かったと思うのです。例えば、アジアカップでのサウジアラビア戦後の記事で「ポゼッション志向に選手が支配されていた」と書きました。チームの戦術は組織で戦うスポーツにとっては、非常に重要なことです。一人の選手がワンマンプレーをしたことにより敗れることもあります。しかし、戦術はあくまでもチームとしての戦い方の方針のようなもので、サッカーにおいて相手選手、ボールなど予想・計算通り動くとは限りません。戦術という大きな枠組みの中でいかにして個性を出すか?「個と組織」のバランスというのは、そういう部分にあると思うのです。

◆ 松井のワンプレー
この試合、後半、怒涛のゴールラッシュでした。単純に試合を見ていて面白いと感じた方もいたと思います。前半、鈴木啓太のフィードからスイスのDFラインの裏へ飛び出して、ディフェンダーを切り返してシュートを打った松井のプレーがこの試合の一つの分岐点となったと思います。

◆ 阿部になく闘莉王が持っているもの
もう一つ分岐点となるプレーが闘莉王の積極的な攻撃参加です。
「FWか!?」と思うようなポジションまで上がって来てプレーをし、さらに、ロングフィードを前線にガンガンと通すことにより、チームに対して“前へ行く意識”つまり、攻撃するんだ!という意識をチームに伝えた・・・表現を変えれば「尻を叩いた」と思うのです。

仮に、阿部がCBに入っていたらこのようなプレーが出来たでしょうか?!選手としてトータルのバランスが良い阿部、まだまだ荒削りなプレーもあるけども気持ちを前面に出してチームを鼓舞する闘莉王。どちらがチームにとって必要なのか?この決定権は監督にあります。ただ、少なくともサポーターやファンの気持ちを掴むのは、後者ではないかと思う次第です。

2-0とスイスにリードを許した日本。その後、同点、逆転、また同点にされ、最後に再び突き放したこの試合、オシム監督の顔色をうかがい戦術に支配されていた選手達がピッチ上で自分達で考え、そして感じて掴んだ勝利だと思うのです。

「何も失うものはない」それは、選手としてなのか?それともドイツW杯で惨敗した日の丸を背負った日本代表という一つのチームのことなのか?そこを履き違えたままでは、強くならないと思うのです。皮肉なことにそれを感じ取ったのが、ドイツW杯最終メンバーに入ることの出来なかった松井だったということです。

■ 個の能力

ちょっと嫌な言い方になりますが、後半日本が挙げた4得点中3得点は、スイスの右SBベーラミの守備に問題があったことにより得れた感じも多少します(苦笑)でも、自虐的になる必要は一切なく、各得点に日本の選手の「個の能力」を感じ取れたと思うのです。

◆ 1点目に見る、日本サッカーの一つの課題
松井がスイスの右サイドで1対1の状況でドリブルでの仕掛けPKを得る。
結局、仕掛けなければ何も始まらないわけで、仕掛けたからこそPKを得たと思うのです。あそこで、バックパスをしていれば相手DFとしては全然怖くないと思うのです。松井のあのような形でのプレーは、他の選手も見習うべきだと思うのです。テクニックで抜けなければスピードで抜く。抜けなくても揺さぶりを掛けてファウルを奪うとか・・・
個人的には、サイドの高い位置で1対1の状況になった場合は、基本的には仕掛けて欲しいですね。SBとかが後ろから追い越したりってプレーを日本代表でもJリーグでもするんですけど、その局面は、数的優位を作れますけど、本来は、ゴールを奪う事が目的なので、追い越すのではなく央へ進入してゴール前に飛び出して欲しいものです。

しかし、一方で失敗した場合は、カウンターで逆襲を喰らうリスクもあるわけで・・・ただ、この辺の「チャレンジ&リスク」というのは、表裏一体でして難しいものでもあります。(コロンビア戦参照

◆ 3点目に繋がった巻の2点目プレー
巻がサイドからのFKのボールを巻がスイスのベーラミのマークを外してゴール。これが3点目の布石となったと思うのです。ベーラミにすれば、松井にファウルを与えさらに2点目も自分のマーカーに決められてと・・・おもいっきり柔道みたいに巻を掴んで投げる勢いでした。「ヤバイ・・・また来た」とか思っていたでしょうね(苦笑)
アジアカップの時、巻のプレーをコンスタントに見る機会がありましたが、ゴールのニアサイドよりファーサイドへ流れてプレーすることが多いのはチームの約束事なのか?プレースタイルなのか?ただ、この試合のようにゴールに絡むプレーをもっと増やしてくれれば、国内組のFWとして軸になり得るでしょうね。また、ポストプレーもまずまずでしたが、歴代のFWに比べると物足りないかなと思う部分もあったりします。

◆ 4点目じゃなく、3失点目
途中交代で入った、矢野、山岸、中村憲剛が絡んだゴールは単純に良かったと思います。
しかし、中村憲剛が入った途端にパスミス、カウンターを喰らう。
次に、山岸は、GK川口へのヘディングでのバックパスがミスってしまい3失点目に繋がるスイスのCKを与えてしまいました。その後、矢野がマーカーを外して3失点目。
この辺は、今後の日本代表が上を目指し世界と戦ううえでは、与えてはいけない失点だったと思うのです。(後述)

■ 中堅国と戦い勝つ力

◆ W杯ベスト16進出に向けて
 ドイツ
 アルゼンチン
 イタリア
 イングランド
 ポルトガル
 オランダ
 ブラジル
 スペイン
 フランス
 スウェーデン
 メキシコ
 オーストラリア
 スイス
 ウクライナ
 エクアドル
 ガーナ

 (その他、敗れた16チーム)
日本代表、観る側の指針についてで書いた内容とリンクしますが、もう一度オーストリア戦後に感じたことについて書いておきます。

2-3となった時点でスイスは意地でも同点にしようとしてくる。
実は、日本の4点目なかったら、3-3で引き分けててもおかしくない試合だったと思うのです。むしろその確率の方が一般的なサッカーの試合的には高い。だからこそ、あの時間帯での軽率なプレーでのミスは危険だと思うのです。そこをマスコミも含め指摘しないとダメでしょうし、選手も強く意識しないとダメだと思うのです。

今の日本サッカーのいるポジションは、イングランドが憎きドイツを倒すってレベルとは違い、W杯であたるであろう各大陸の中堅国に勝利することだと思うのです。
つまり、W杯グループリーグ2位通過を見据えた戦いって言ってもいいような気がします。

実は、一番現実的ですが、一番厄介な課題だと思うのです。なにせそのレベルのチームが一番多いと思うからです。例えば、ドイツW杯ベスト16を独断と偏見で2つに分けると次のようになります。つまり、黄色側のチームのレベルに日本が入れるようにすることとそのチームに勝つことです。

日本サッカー協会が2015年の約束として、「日本代表チームは世界でトップ10のチームとなる」と言っていますが、あと8年です・・・つまり、少なくとも緑側の入れるようにならなければならないということです。また、黄色側のスウェーデンやメキシコにも確実に勝てる力が必要ってわけです。

この試合、第2期オシムJAPANにとって分岐点となり得るでしょうか?「あの時のスイス戦から少しずつ変わったよな・・・」って言われる時が来ることを祈るばかりです。

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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (yohan)
2007-09-14 20:23:14
小倉「オランダ人はでかいだけで足元が下手」

大久保「スペイン人は汚いだけで遅い。森本君や玉田さんならスペインでやれるんじゃないですか?」

家長や水野なら通用するんじゃね?

ヨーロッパ相手ならちょっと速い奴なら日本人でも十分抜けますよ。

返信する
Unknown (るいがる)
2007-09-15 00:51:18
いつも楽しく拝見しています。

>しかし、中村憲剛が入った途端にパスミス、カウンターを喰らう。
>次に、山岸は、GK川口へのヘディングでのバックパスがミスってしまい3失点目に繋がるスイスのCKを与えてしまいました。

これは時系列が違いますね。
憲剛が投入されたのは、3失点目後、ロスタイムです。投入直後にパスミス。その後、憲剛の山岸へ開いたパスからクロスを胸トラップでシュート。投入後わずか3タッチ目がシュートでした。

いつもあら探しですみません。分析には正しい時系列も必要だと思うので、指摘させていただきました。
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コメントのお返事 (コージ)
2007-09-15 01:30:01
yohanさん

こんばんは。
日本人でも抜けるは抜けると思いますけど、それ以外でどうなのか?(苦笑)
若い内なら経験積めば、運とかあるでしょうけど、頑張れば欧州でもやれる選手もいるでしょうね。
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コメントのお返事 (コージ)
2007-09-15 01:31:20
るいがるさん

こんばんは、お久し振りです。
ご指摘どうもです。あまり、そこは時系列意識していませんでした(苦笑)

他に何かありませんか?w
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Unknown (るいがる)
2007-09-15 03:41:38
別にありませんよw

管理人さんの論評はうなづくことばかりで、むしろ厳しい意見に関しては「もっとガンガン言っちゃって」という気持ちですw
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コメントのお返事 (コージ)
2007-09-16 14:44:52
るいがるさん

こんにちは。
>厳しい意見に関しては「もっとガンガン言っちゃって」

う~ん・・・考えてみます(笑)
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