■ ASIA CUP 2007 準決勝 |
日本(2-3)サウジアラビア ・前半35分 ヤセル(サウジ) ・前半37分 中澤 (日本) 【CK】 ・後半 2分 マレク(サウジ) ・後半 8分 阿部 (日本) ・後半12分 マレク(サウジ) |
■ 1000本の美しいパスより1本の泥臭いゴール |
◆ 変わらぬ日本人選手のメンタリティ
しかし、内容の良くない試合でした。何よりもシュートを打たない・・・前半。今回ばかりは、松木、セルジオ両解説者の指摘通り。
オシム監督が「日本のサッカーを日本化」すると言った言葉。
オシム監督の言葉もちょっと角度を変えて見れば、危険な雰囲気もあるかもしれません。まず、この「日本化」という部分を考慮すれば、日本人選手の特性として「俊敏性」、「スキル(パス)」、「組織(規律)」等ありますが、つまりこの部分を生かすサッカー。日本人選手の特性を発揮したサッカーがベースになるということだと思うのです。しかし、サッカーで一番重要なのは、勝利の為に必要なのは何でしょうか?!
これだけは世界のサッカーにおいて共通なことです。そう、ゴールです。つまり、得点です。
「1000本の美しいパスより1本の泥臭いゴール」の方が価値があるということです。
そして、この日本人のメンタリティ(シュートへの意識の低さ)これは、昨日今日始まった話ではありません。そこで、オシム監督の「日本化」という言葉は、日本人の特性を生かしてという概念がベースであるとしたら、現状では、期待は出来ないのかな?なんて思います。なぜならば、日本人の特徴に「積極的にシュートに行く」というものはないからです。
誤解のないように書いておきますが、サウジアラビアに敗れたからオシム肯定派から否定派になったのではなく、あくまでも一つの考え・発想としてです。これまでのオシムJAPANの試合でこの部分(シュートへの意識の低さ)を証明する結果と内容が顕著に現れたことはなかったので、その記録です。
今後オシムJAPANがどうなるかという部分では楽しみでもあります。
ただ、約1年間だけでは、(当たり前かもしれないけど)日本人のメンタリティを変えてシュートを打つという方向性をチーム内に浸透させ構築することは出来なかった。そもそもオシム監督がどうこうする問題ではないのかもしれませんけど(苦笑) でも、少なくとも日本代表の監督をするのであれば、この日本人選手のメンタリティの解決方法をもっていなければ、代表監督としては大変苦労することだと思います。
“現状のまま”では、日本人選手のメンタリティは変わらない。そして日本代表というチームの最終型は変わらない。何よりも大事なのは、ゴール付近で、シュートという選択肢を常に考えてプレーすることであり、これは代表に限らず、Jリーグにおいてもです。
■ ポゼッション・サッカーに支配された選手達 |
◆ ポゼッション率を高める=勝利ではない
この試合の「敗因」として、シュートへの意識の低さ、シュートを打たない事という見かたをしている方が多い印象ですが、サッカーはゴール(得点)により勝敗を決める競技である限り的を得ているように思えますが、先に書いたようにそれは昨日今日に始まった話ではないので、ちょっと視点を変えて・・・なぜシュートを打たなかったのか?打てなかったのか?
今回のアジアカップ2007における日本代表の一つの方向性として掲げる「ポゼッションサッカー」がありました。少ないタッチ数でパスを繋いで相手を疲れされてサイドへ展開して・・・という形です。ボールポゼッションが高いということは「攻撃は最大の防御なり」ということで、ボールさえ奪われなければ相手に攻め込まれないというトータルフットボールの概念がそこには存在しています。
これまで4試合グループリーグ、オーストラリア戦では、ある程度手ごたえと自信はあったと思います。そして、一応、結果も伴っていた。
しかし、このサウジアラビア戦では、選手がこのポゼッション志向に支配されていたのかな?とも思います。このボールポゼッションを高めて戦うのことは、あくまでも、試合の方向性のようなものです。つまり、どんなにボールポゼション率が高かろうと前述の通りシュートを打たなければゴールも生まれず、ゴールを決めなければ、勝利もありません。
具体的なこの試合の攻撃面での問題は大きく分けて3つ。
・攻撃のリズムが常に同じで、速攻・遅攻の使い分けが乏しい。
・攻撃の展開もアウトサイドとインサイドの使い分けが乏しい。
・横パスが多く縦へのバイタルエリアでの勝負を仕掛けるパスが乏しい。
極端な言い方をすれば、速攻とインサイドを捨てて、「サイドからの遅攻」に偏重し過ぎたと言ってもいいと思います。なんか悪い時のバルセロナみたいなサッカーに似てなくもありませんでした。
客観的にサウジアラビアのDF陣は、それほど強固なものでもなく、はっきり言って初戦のカタールとさほど変わらないレベルだと思います。また、ゴール前に常にベタ引きしていた訳でもありませんでした。
そういう意味でも、速攻と遅攻の使い分け、アウトサイドとインサイドの展開の使い分けをすれば、さほど難しい相手ではなかったと思うのです。しかし、ポゼッションサッカーで勝ち続けて来たこのチームは、いつの間にか、「ポゼッション率を高める=勝利」という形に知らぬ間に支配されていたように感じました。
■ その他 |
◆ 疲労面はエクスキューズにすぎない
オシム監督は試合後の会見で選手を擁護するように「疲労面」について発言していましたが、ここもちょっとひっかかる部分があり、サウジアラビアの方が移動があったり、試合の日程の関係で日本より不利だったと思うのです。
――日本は、スローなビルドアップだったのはなぜか? スローなプレーにはそれなりの理由がある。最初の理由は疲労だ。もう一つの理由は、速いプレーを許されなかったこと。(サッカーは)相手なしで自由にできる競技ではない。確かにプレー全体がスローだった。中心選手が疲れからアイデアを欠いていた。つまり疲れていると、アイデアがわくのもスローになる。 引用元:スポナビ - サウジアラビア戦後 オシム監督会見 |
ところが、サウジアラビアの監督の会見で興味深い発言がありました。
(選手が疲れていると言っていたが)協会が素晴らしいフィジオセラピスト(理学療法士)をブラジルから用意してくれた。彼はグレミオのスタッフで、困難なジャカルタからの旅において、いい対応をしてくれた。 引用元:スポナビ - 試合後 サウジアラビア代表ドス・アンゴス監督会見 |
ライターの宇都宮氏のコラムでも同じ部分を指摘していました。
そういえば日本には、選手のフィジカルを管理する専門家がいなかった。そのことについては、以前にも当連載で指摘していたことだが、それがこのような形で現れるとは……。オシムも今ごろは、ほぞをかんでいるのかもしれない。 (中略) いずれにせよ、専門のフィジカルコーチの登用については、協会の技術委員会とオシムとの間で議論すべき問題である。 引用元:日々是亜洲杯2007(7月25日@ハノイ、晴れ) - ちぎれたクサリ(2/2) |
宇都宮氏の指摘の通り、フィジカルを管理する専門家を各年代の代表チームに入れるべきだと思います。この辺は、方針さえ決まれば、特に大きな問題もなく出来ると思うのです。ドイツW杯の時にはフィジカルコーチはいましたが、ご存知の通り上手く機能しなかった。現時点でオシム監督がこの辺のフィジカルの管理をどう考えているのか?分かりませんが、少なくともこれくらいの大会に臨むであれば、その前の合宿時くらいから選手のフィジカル面を専門家に管理させるべきではないでしょう。この辺は、まおうの勘違い評論さんでも書かれていますので、私はこれくらいで。
◆ サウジアラビアのアタッカー陣
しかし、サウジの2トップは、久し振りにアジアでも強烈な選手だと思いました。
ヤセル(20番)とマレク(9番)。サウジのFWは昔も良い選手がいましたが、これほどではなかったと思います。わりとドリブルが得意でスピードはあったのは変わらないのですが、どこが柔らかさみたいな部分があり、悪く言えば、軽いという印象がありました。ところが、マレクはブラックアフリカンのようなフィジカルを持ちスピードだけでなく強さも持ち得ていました。ちょっと、今回この2トップには衝撃を感じましたね。
◆ 日本の守備
サウジアラビアに3失点を喫した日本代表ですが。結局、今大会で完封したした試合は一つもありませんでした。さすがに、こうなってくると守備面での問題もいくつかのケースに分けられると思います。さらに、この試合では後半15分以内で2失点ですし、約30分以上あっても得点を挙げて同点に出来なかった・・・
チームとしての問題、戦術的な問題、個々の選手の能力の問題など、現時点で幾つか判明していることがありますので、この辺については、大会終了後にアジアカップの総括にて書こうと思っています。また、今回のサウジアラビア戦の詳細分析については、ちょっと時間の都合などを考慮して現在検討中です。
◆ 3位決定戦
今回のアジアカップでの優勝はなくなってしまいましたが、大会前「優勝して欲しい」と思っていたわりには、私の中では思ったほど悔しい感じはありません。理由は前半に「負けるかも・・・」という予兆をを感じていたからです。変な話、負けたこと以上にコンフェデレーションズカップに出れなくなったことの方が残念です。
基本的に、W杯などにおける3位決定戦への意義は感じていない私ですが、とりあえず3位決定戦で、久し振りに対戦する韓国との試合で勝利をして、次回のアジアカップの予選免除という特典を得られたらそれはそれで良いかな?と思っています。でも、コンフェデ出れないのはなぁ・・・
オーストラリア戦後に感じたのは「この辺のレベルから色々と問題が発生する」ということです。つまり、アジアであれば、決勝Tに勝ち上がるレベルのチームでなければ、(親善試合・公式試合に限らず)さほど大きなものを得られることはないと感じました。ただ、親善試合をたくさんやるよりアジアカップのような公式試合の方が価値があるというのは改めて実感しましたね。
とりあえず、韓国との試合。オーストラリア、サウジアラビアとは、別なスタイルのチームですので、現時点でのオシムJAPANの問題点などを洗い出すには良い機会だと思います。ただ、今回の韓国はあまり調子が良くないみたいなのですし、両チームともスタメンクラスのメンバーで臨むのかどうかは分かりませんが、久し振りの日韓戦、内容のある試合を期待したいものです。
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・第1回 アンケート結果 / アジアカップの結果による オシム監督の去就を考える 【アジアカップのテーマ】 ・第1回 考えて走るサッカー ・第2回 ポリバレントとスペシャリスト ・第3回 欧州組と古井戸組 ・第4回 オシムの采配 ・オシムJAPANの「最終目標」は? |
良い意味で言えば、選手らにオシムの戦術が着実に浸透してきていますね。
悪い意味で言えば、戦術の中の個+考える力がまだまだ幼稚レベルですね。
課題であるシュートの意識もこれに含まれていると思います。
でもまぁ発足してからまだ一年程度なので、結果と内容全部を求めるのは酷かと(;^_^)
今は選手達の成長を生暖かく見守る時期かもしれませんね。
シュートに関しては、少年時代からパス練習ばっかさせられてました。ミニゲームでもドリブル禁止令なんてありましたし。気がついたらいつのまにかシュートよりもパスをすることに意識が集中しちゃいましたね。 下部組織の指導者にも問題ありますよ~。
ちなみに僕は駒野選手と同世代です。
大会通しての悪い点が修正されておらず残念でした。
サウジのアフリカ系帰化選手は強烈ですね~ヤセルの方はそこそこ知名度あってGLから活躍してましたが、今大会はマレクも大当たり。
この選手達の独断なのか、ブラジル人監督の影響なのか、最近はパスで繋ぐ印象の強かったサウジがドルブル多用は少し新鮮でした。
ウズベキ戦の2点目は良い時のバルサみたいな感じのゴールで、前線はかなり強力ですね。
オージー戦後にオシム監督にもっとミドル打てと言われた憲剛はちょいちょい打ってましたが、遠藤、俊輔のシュートが全然なくて残念です。
松木氏じゃないですけど、横パスとられてカウンターを何度もされてたのですから、カウンターを潰す意味でもこの試合はシュートで終わってほしかったです。
それがCKにでも繋がれば日本にとっては大チャンスだったと思いますし。
その辺を、選手達がもっと早く自主的に判断して動けるようになるのが理想なんでしょうけど…
全体的に中東勢が(帰化選手の積極受け入れもあって)伸びてきてますね、イラクも内容の割にトーナメント勝ち上がる勝負強さはさすがアテネ五輪4位。
ウズベキスタンも前線の質を見ればDF陣に粘りとか勝負強さがあれば…サウジ戦はゴール取り消しなければ延長まで競ってた可能性もありましたし。
個人的に、オシム監督は3位決定戦ではフレッシュな選手を使うといいましたが、ここで太田使われなかったら悲しすぎます…
2.プレーが切れないから疲労が蓄積(特に中盤4枚)
3.中盤でプレスがかからず、相手が自由に
4.DFが常に同数勝負、そのうちミスが出る
5.サウジは実質2枚で崩せるから、残り8人で固められる
こんな感じだったと思います。局面で個々のミスもあるけれど、そこに至る前ににチームとしてもまずい部分が蓄積したと思います。
優勝はどうかなとは思ってましたが、やっぱ負けると悔しいものです。1年経っての現在位置がここだということ。
あと1試合頑張ってほしいです。
個人的には何よりやる気があるのかと思うほど消極的だった選手たちが見ていて非常に悲しかったです。オシムがカタール戦後お前らアマチュアかと言ったのも――さらに言うなら一年とちょっと前、ジーコがプロ意識が足りないと言ったのがよくわかるな~って。
羽生がミドル打ってからようやく他の選手が打ち始めるとか見てて寂しい・・・
サウジアラビアの攻撃陣特に2トップは威力抜群で、本当に久しぶりにアジアを超えた選手ですね。
今後、中東がオイルマネーを使って、南米やアフリカの選手をガンガン帰化させていくような事があれば、本当に日本には脅威になるでしょうね。
ただ、それでアジア全体のレベルが上がるのであれば、それはそれで嬉しい事ですけどね。
必ず日本相手にはモチベーションの高い韓国なだけに、3位決定戦は、今大会一番良いパフォーマンスを韓国は見せてくるかもしれませんね。
あとはリスクを犯して攻めるサッカーなのに自分のところでリスクを起こさせたくない、あくまで我慢して慎重に。というのが凄く見えた試合内容だった気がします。
しかし、結果事態にはそこまで悲観していません。これからだと思いますし、昨日のサウジアラビアが本当の彼らの本当の姿ならばサウジアラビアは現時点において間違いなくアジアチャンピオンでしょう
日本、韓国、イラン、オージー、サウジアラビア。アジアの5強、この中で2番につけていれば現時点では及第点ではないかと。それを証明するためにも韓国戦は勝ってもらいたい
「このサウジアラビア戦では、選手がこのポゼッション志向に支配されていた」というお考えに、私も強く賛同します。「具体的な攻撃の問題点」もまさにその通りだと思います。
オシム監督になってから、速攻というのが非常に少ないですよね。それは「奪ったらとにかくボールを落ち着かせるために繋ぐ(=ポゼッションサッカーをする)」という姿勢が選手に強すぎるからだと思います。
「考えるサッカー」というコンセプトならば「ここは速攻」と考えることも重要なことだと思います。速攻というのはゴールに向かって(できるだけ)最短距離で攻めていくことなので、速攻が増えることで自然とインサイドへの縦パスが増えますし、「具体的な攻撃の問題点」の3点の解消の糸口となるのではないでしょうか。
ただ、今大会のように、基本的に相手に引かれてしまっている状況ではやや難しいのかもしれませんが。
こんばんは、はじめまして。
ロボット的というのは多分戦術に縛られているんでしょうね。でも、おっしゃる通り現時点ではしょうがないでしょうし、これからでしょうね。
こんばんは。両SBは非常に頑張っていたと思いますね。
若年層の育成は大事ですね。徐々に変わって欲しいものです。