夢への道筋

青臭いけど、人が夢の実現のために発揮できる力って無限。夢を実現するための方法論について徒然なるままに。

僕のベンチャービジネスあるべき論

2006-02-20 23:59:26 | ちょっといいはなし
今週末、この本を読んだ。



検索エンジンの歴史について書かれていた。

アルタビスタ、Yahoo、Google、オーバーチュアなど検索エンジンビジネスの変遷が書かれていた。

本を読んで思ったこと。
なぜ日本にJerry Yang & David FiloやLarry Page&Sergey Brinが登場しなかったのか?

彼らの意義を整理すると1)自らの大学時代の研究活動をベースに、2)インターネットの技術を駆使し、3)卓越したビジョンを形成し、4)世界に冠たる企業の創業を行い、5)今も創業した会社で指導的立場を担っている、ことだと思う。

日本でも同じような方向性で起業を試みた若者たちは星の数ほどいたはずであるが、上記の5条件を満たしている人物を見たことはない。

何が駄目だったのか?
実際にJerry Yang & David FiloやLarry Page&Sergey Brinと同じ場所で同じ時間を過ごしたことはないので、今はまだ推測だが、僕なりにこの10年の活動を経て、仮説を持つに至った。それを総括することは、僕のこの10年の時間の総括になり長くなり過ぎるので、また別の機会にしたい。

まず最初に断っておくが、日本でも大成功をしているベンチャー起業家・経営者はたくさんいる。これは、まず誇るべきことで、日本が駄目である根拠にはならない。というか、東証マザーズ・NASDAQ Japanの創設やゼロ金利だった時代背景がかなりプラスに働いたのだと思う。ライブドアショックでその弊害も顕在化した。これはこれで修正すればいいだけのことだと思う。

しかし、それででも、僕が上記に指摘した5条件を満たした人物や会社は日本発ではまだ登場していない(僕が知らない・気付いてないだけかもしれないが)。

僕の仮説の一部を紹介したい。

何が違うのか?

1)学生起業家の意識&役割
 日本では、オーナーであること(資本を提供する役割)、経営者であること(株主・従業員・顧客などステークホルダーの利害を最適化する役割)、事業構想力があること(事業企画・ビジョン形成をする役割)、の3つが求められる。そして、起業家もこの3つの役割を果たすことが基本的な使命だと疑わない。
 しかし、僕に言わせると、3つの役割はそれぞれ別の能力や経験が必要で、3つを兼任することはかなりの経験を積んでも困難を極める。
 しかも、小さなビジネスを大きなビジネスに育てあげるリーダーが3つとも兼任するのは事実上、ミッションインポッシブルに近く、それが出来る人は天才である。


 3つを兼任しなければ自分の想いを潰されてしまう恐怖感もあるだろうし、3つを兼任した方が自分のペースで出来るという考えがあるのは非常に良く分かるが、ビジネスのステージが上がれば上がるほど、企業の社会性が増すが故に結局自分ひとりで判断することは非常に難しくなる。一人で判断するにしろ、非常に高い見識がないと、最後には追い出されてしまうだろう。

 僕はどれが偉いとか得だとかではなく、分業をして、新しい時代を切り拓いたり、今の社会の問題点を解決することに自分が出来る全力を尽くすことが大事だと思う。


 僕の個人的な考えだが、若き起業家こそ、高級外車に乗ることやいいマンションに住むことやプライベートジェットを持つことをモチベーションとするのではなく、どれだけ自分の能力を社会の進歩や幸せに貢献できたかを誇りにすべきである。


2)大学
 我が母校も日本の中では非常に優れた環境を提供していたと思う。しかし、Jerry Yang & David FiloやLarry Page&Sergey Brinの母校には適わない。
環境もそうだが、学生の質でも負けていたんではないかと思う(言いすぎ?)。

 HPにはじまり、Sun Micro/CISCOなど数えるときりがないが、ベンチャービジネスにおいて、大学の果たす役割は非常に重要であるが、日本では果たしてそうなのだろうか?

 日本では、大学ではなく、社会人経験者で比較的大きい企業のスピンアウト組の成果がめざましい。日本のベンチャーはビジネスモデル企画能力よりもビジネスモデルを完成度高く実行する経営能力で勝利している企業が大きいような気がする。

 大学のせいだけにするのではなく、僕たち卒業生のアウトプットも大事だろう。

3)ベンチャーキャピタル(&金融機関)

 マネーゲームをしているだけのベンチャーキャピタル、旧来の銀行と同じようにお堅い手続きだけ踏んで低リスクに利ざやを稼ごうとするベンチャーキャピタル、リスクはベンチャー起業家に最大限押し付けるベンチャーキャピタル。

 志の低いベンチャーキャピタルからは、志の低いベンチャービジネスしか生まれない。

新しい時代を切り拓くための志を持って、かつ、しっかりとしたベンチャーキャピタルとしての専門能力を活かして、立ち振る舞うプロのベンチャーキャピタルが必要だと思った。

僕は、経営者や従業員からは、冷酷かつ厳しく見えてもいいと思う。
アマチュアではなくプロとして真剣に仕事をするベンチャーキャピタルであれば。

4)経営者
 20代でまともに経営者はそれほどいないし、出来ていたとしても、まあ脇は甘い。人間としては元気が良くても、経営者としてはまだまだ隙がある連中がほとんどだと思う。

 さきほども述べたが、起業家と経営者に求められるものは違うのである。
日本では、オーナー兼CEO兼ビジョナリーという三位一体の人物が会社のリーダー像としては基本形だという受け止められ方をしているような気がする。したがって、会社が倒産したり、会社を売却しない限り、中核の経営者はなかなか会社を離れない。

そういった背景から、転職がこれほど一般化しているにもかかわらず、流動している質の高い優秀な経営者はまだまだ少ないような気がする。

もっともっと流動する経営者が増えるべきで、プロの経営者が増えることが確実に産業を活性化すると思う。

 また、若き起業家と遭遇したときは、後輩を指導しながら経営者として起業をサポートしてあげるぐらいの挑戦心に長けた大人がたくさん登場するべきだろう。



あと、製造業は輸出産業として世界での厳しい競争で戦ってる割に、日本のベンチャーはどうだろう?

大きい課題だと思う。

まず日本を制覇してからでなく、アジアで世界で、最初から勝てる設計をすべきだろう。



ふー、一気に書いてしまった。

これらはまだ僕の仮説だし、まだ仮説の一部。
もっとたくさんの経験やもっとたくさんの世界の事例を見ながら、仮説の検証をしていきたい。そして、今の僕にもっと社会に貢献するために何が出来るのか、イメージを広げていきたい。