ヒロヒコの "My Treasure Box"

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「サムライ・オブ・プログ SAMURAI OF PROG」は実にプログレだ!

2019年06月13日 | プログレ
 昨年知ったFROST*以来、久しぶりに好みのプログレらしいバンドに出会った。「サムライ・オブ・プログ(SAMURAI OF PROG)」である。バンド名からしてプログレということがわかるが、そのサウンドもまさにそのものであった。
 リッケンバッカー・ベースを弾くフィンランド在住のイタリア人Marco Bernardを中心に、フィンランド人ドラマーKimmo Porsti、アメリカ人ギター・ヴァイオリン・フルート・ヴォーカルのSteve Unruhによるトリオ・バンド。特にSteve Unruhという人が美しく叙情的で時にはクラシカルなヴァイオリンやフルートを奏で、そして劇的なギターとヴォーカルを聞かせるというマルチ・プレイヤーぶりを発揮。フルートとヴァイオリンといえば、PFMのマウロ・パガーニを思い出すが、ここでのヴァイオリンは時にはチェンバー的、時には王道のプログレ的と、実に素晴らしい。全体的に壮大な曲が多く、メロトロン・サウンドも聞かれプログレッシヴ・ロックとしての完成された構築美が感じられる。
    
 OMUNIBUSというタイトルのボックスセットには初期3作+アルファを収録。Roine StoltやJon Davisonなど多彩なゲストを迎え、プログレの有名曲が多数カバーされている。例えば、THE LAMIA/DANCING WITH THE MOONLIT KNIGHT(GENESIS) STARSHIP TROOPER/TIME AND A WORD(YES) JERUSALEM/ KARN EVIL 9 2nd IMPRESSION (EL&P) DOGS(PINK FLOYD) JACOB’S LADDER(RUSH)など。実に選曲が素晴らしいではないか!演奏もオリジナルに忠実なものもあれば、独自にアレンジされたものもあり聴き応え充分である。また、3作目のオリジナル作品の方も、スリリングで起伏に富んだシンフォ・ロックから叙情的な美しい曲まで様々な展開があり思わず魅了される。
    
 そして、19年作Toki No Kazeは宮崎駿・ジブリ作品へのオマージュとのこと。ピアノ、フルート、ヴァイオリンによるクラシカルでオーケストラ的なアプローチがあるかと思えば、エレキギターが絡むプログレ調まで実に多彩。ここでもゲスト・ミュージシャンが参加し、日本のシンガー富山優子が日本語の歌詞でヴォーカルを披露している。(M6 REALITY。この曲の仕上がりはボックスセットで聴かれた楽曲とは全く異なる雰囲気である!)加えてインストゥルメンタル部分では時々CAMELやHAPPY THE MANの演奏を思い出させて、総じて「静」と「動」が混在した名作アルバムだと思う。
 彼らの作品は各CDとも74分の収録であるため、時間的にもしばらくは充分に楽しめそうである。そして、今月は久しぶりにプログレCDをたくさん買い込んだ。今後順に紹介しようと思う。