たくまし可愛いい、ロボの戦い

乳がんと戦う、ロボの戦闘日記。
戦闘を離れた日常もつづってます。
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運転手さんの話は

2006-09-14 | カテゴリなし
家に着くと、母は台所でテレビを見ながらビールを飲んでいました。

昔はビールといえばキリンだったのに、今日はサッポロでした。
いつからか変えたのか、どうでも良くなったのか、値段のせいなのか。
そういえばもう野球は見てなさそうだし、トシちゃんにも騒がない。
そもそもトシちゃんをテレビで見かける事も少ない。
いつの間にか色々な事が少しずつ変わり
元気な母も病気になった。


母の説明も、おかしい所はありました。
先生の説明が難しいのか、正しく理解できていないのです。
「良性だけど、やっぱり癌はあるらしいのよ」
だから違うってば!!

しかしハッキリした事もありました。
やはり入院は手術当日。
ふつう手術前夜は飲食禁止だし下剤も飲まなければいけないのだけど

病院に勤めている人間だから、わざわざ入院するまでもないでしょ!

って事みたいです。

確かに、母にはその方がいいのかもしれません。

それからお金はかからないのではなく、後日全額帰ってくるようです。
母は病院の職員だから。
なるほど!
仕事によっては何かが安く手に入ったり、貰えたり
何かしら恩恵を受けられる事はあるけど
入院&手術代が無料っていいね!
まぁ、それも職員であるうちは、の話しだろうから
仕事に戻れるような病気だけという事になるだろうけど。

私の仕事にはどんな恩恵があるだろう?

っと、見当たりません。



医者が患者に、大きな病気や手術の内容を説明するときに
そんな病状やらを紙に書いてくれる事があるのですが
母はその紙を病院に忘れて来た(仕事中に先生に呼び出され、検査結果を聞いたため
そのまま仕事着のポケットに)らしいので
二人でタクシーに乗り、取りに行きました。

タクシーに乗るなり母が運転手さんに向かって

「あら、前にもお会いしたことがありますね」

‥調子良い事言って!良すぎだって!!
私は完全に嘘だと思っていました。
しかし母が一度タクシーを降り、独りでメモを取りに行っている間
運転手さんが私に「いや~そういえば前にも乗せたことがある‥」
なんて事を話し掛けてきたので
それさえもタクシードライバー’S 営業トークだと思い込んだ私は
「すいません、母ったら酔って調子のいい事言って‥」と濁したら
「いやいや、本当にお会いした事がありますよ
以前は街道から曲がった、踏み切りの脇から乗られてね。」

そこは母のよく行く店です。

「相変わらず元気なお母さんだ」


でも、実はもうすぐ入院するんです。

この病院でね、手術するんです。


この病院に、勤めているんです。



夜のタクシーといえば、実は私の相談所。
世間をよく知ってらして、これきり会わない相手との一線を引いた密室。
母のプライバシーを侵害してはいけないと思いながらも漏らしてしまいました。



なにか知ってらっしゃるなら、話を聞かせてもらえませんか
悲しいこと、嬉しいこと。

そんな気持ちでした。


「私の叔母もね、ここに入院していたんです。
もうながい事‥
私もよく見舞いに来ましたよ。もう昔ですけどね。」

母も長く勤めているので、その
時にもお会いしているかもしれませんね!
あっ、長くいらっしゃったなら覚えているかも‥

私は自分の零した言葉に、少し緊張していたのかもしれません。
でも

「いやいや、本当に昔なんです」

本当に、昔なのかもしれません。
でもなんだかもう聞いてはいけないというか、聞けなくなり、
とにかく話を変えました。

その後、母が戻ってきてくだらない話をしながら
母が入院することへの緊張が少し膨らんだ気がしました。




ちなみに、先生が書いてくださった病状は
全く読めませんでした。

医者は寺が汚い


私の持論です。