世間知らず

毎日のやられっぷりを書いていこうかなと・・・

特殊法案について社説を読んでみた

2007-06-01 | 社説
社説、けっこう読んでいるんです。
でも、毎日毎日いろいろなことが起こるので、すぐに『遅い話題』になってしまいます。
最近そんな当たり前のことに気がつきました。

今回のニュースはこちら。
時効年金、25万件950億円 衆院委、特例法案を強行採決(産経新聞) - goo ニュース
 国民、厚生両年金の受給漏れが判明しながら年金請求権の時効(5年)が消滅したために「泣き寝入り」となっていた受給者が少なくとも25万人、総額950億円に上ることが30日、社会保険庁の推計で分かった。与党提出の年金時効撤廃特例法案が成立すれば、本来より少ない年金額しか受け取っていない受給者が、時効以前にさかのぼって差額分を受け取ることも可能だ。
 同日の衆院厚生労働委員会で、柳沢伯夫厚生労働相が明らかにした。柳沢厚労相は答弁で、950億円の内訳を記録漏れなど加入期間の訂正によるものが534億円、受給権の発生年月日の変更によるものが393億円-などと説明した。


基本的に、どうしてこんなことが起こるのかがわかりません。
払ってない人が受け取れるのも理不尽、払った人が受け取れないのはもっと理不尽。
日本はやっぱり正直では生きていけないのかも。

他人のお金(利益)には無頓着、とってもお役所的でわかりやすさは満点です。

読売さん31日『党首討論「年金記録漏れ」は大事な問題だが」
 参院選を間近に控えた党首討論は、年金記録漏れ問題一点に絞られた。
 この問題が広がりをみせてから内閣支持率は急落している。安倍首相としては、なんとしても参院選での争点化を避けたい。小沢民主党代表は、争点にあぶり出したい。
 そんな政治的思惑が先行した攻防戦だった。討論が年金不安の解消につながったとは言い難い。
(略)
 年金記録漏れは、国民にとって切実な問題だ。だが、選挙の争点になじむだろうか。国民が抱いている年金不安を和らげていくため、自民、民主の両党が一致して問題解決に取り組むことが、政治の責任であろう。
 党首討論は本来、国家の基本問題を論じる場だ。
 与野党とも政治決戦と位置づける参院選が迫っている。両党首は、年金問題だけでなく、憲法や安全保障政策などをめぐって堂々と所信を述べ、政策の違いを明確にしていくべきだ。


読売さんはこんな感じのタイトルの社説が多いですよね。『だが』のあとに隠れている言葉がどれなのか。読むほうの読解力が問われる気分です。
年金問題は、確かに選挙の争点にはしたくありません。こっちが勝てばちゃんともらえて、あっちが勝てばもらえない、なんていうのは本来の年金の姿じゃありません。
年金問題で討論すべきは解決方法であり、それは『政権』『首相』が代わったらちゃらになる、というのなら、不信は募る一方です。

日経さん31日『年金対応策さらに丁寧な説明を尽くせ』
 安倍晋三首相と小沢一郎民主党代表の党首討論で年金の記録漏れ問題が取り上げられた。有権者の関心が高く、7月の参院選の争点に浮上してきた問題であり、久しぶりに熱のこもった党首討論になった。有権者に不安を与えぬようにするためには、政府が対応策を丁寧に説明し、迅速に対応することが大事である。
(略)
 対応にあたって公正さをどう確保するかは今後の重要なポイントである。この日の党首討論で年金記録漏れ問題の主要な論点がほぼ浮かび上がってきた。参院選挙をにらんで安倍首相と小沢代表の真剣勝負は聞き応えがあった。やはり党首同士の討論には通常の委員会審議にはない迫力がある。松岡利勝前農相の衝撃的な自殺につながった「政治とカネ」の問題や憲法改正問題でも熱い党首討論を期待したい。


討論は白熱した、と評価しています。その結果、問題点は見えてきたわけだから、そこから先の政策を説明、対応しろと、そういうことです。
ま、それがもう少し前にできてたら、今、こんな討論しなくてすんだかもしれませんが。

毎日さん31日『党首討論 年金不信に答えぬ安倍首相』
 5000万件を超える年金記録漏れが発覚し、光熱水費問題などで疑惑の渦中にあった松岡利勝農相が自殺した。政治不信が募り、安倍政権は発足以来最大の危機的な状況を迎えている。
 この状況に与野党はどう対処するのか。この日の討論は絶好のタイミングであり、多くの国民が両党首の率直な言葉を聞きたかったに違いない。
 討論は年金記録漏れの問題に集中した。しかし両氏のやりとりでは国民の年金問題への不信が解消されたとは言えなかった。
(略)
 折しも、支給記録漏れ対策として与党が提出した「年金時効停止特別措置法案」が30日、衆院厚生労働委員会で1日足らずの審議で可決された。与党は31日の本会議で社保庁改革関連法案とセットで衆院を通過させる構えだ。
 国会は結論を急がず、不安を募らせる国民への十分な説明責任を果たすべきだ。
(略)
 30日の党首討論では「政治とカネ」問題には触れられなかった。松岡氏の死によって光熱水費問題は終わったわけではない。
 小沢氏は資金管理団体による不動産取得問題も抱えるが、自らに火の粉がかかるのを恐れて「政治とカネ」から逃げるべきではない。その意味からも、今後も党首討論は何度でも開催すべきである。


『やりとり』という言葉を選んだあたりに、今回の党首討論にがっかりした感じがうかがえます。与野党どっちからでも、国民が満足、納得できる政策が示されませんでしたから。
結論は『払った人には支給する』ことなんですけどね…。

小沢さんに限らず、この問題に集中している間はちょっと安心な政治家もいそうです。『政治とカネ』にたどり着くまでにはまだまだ時間がかかりそうです。

道新さん31日『年金特例法案*急場しのぎで解決せぬ』
 政府・与党はこれまで、年金の支給漏れへの対応に及び腰だった。
 ところが、ここに来て突然、救済策を持ち出し、安倍晋三首相が自ら法案提出を指示した。複数の世論調査で内閣の支持率が急落したため、慌てて手を打ったと見られても仕方がない。
 手法が急場しのぎのうえ、特例法案の中身も不完全だ。
 年金受給権の五年間の時効を撤廃するのはいい。だが、社保庁のずさんな記録管理が原因なのに、保険料を納付したことを本人が証明しなければならないのでは不安は払拭(ふっしょく)されない。
(略)
 政府は五千万件の年金記録と現在の受給者の照合作業を一年程度で終えるとしている。本当に可能なのか。
 できないことを「やる」と言い張れば、のちに混乱を増すだけだろう。
(略)
 民主党は独自の救済法案を今国会に提出し、社保庁を解体する前に年金記録をすべて調査したうえで「被害者」を救済するよう求めている。
 一人でも多くの年金受給者と加入者を救済するよう、政府・与党は野党の意見にも耳を傾け、ともに知恵を絞ってほしい。
 このままだと、年金に対する国民の不信感は募るばかりだ。


民主党の意見を取り入れたらなんとかなるかも?と思ってみたりしているようです。だいたい、お金の記録(しかも入金!)が残ってない組織なんて、もともと存在する意味があったのか?と思ったりするのは、年金制度を斜に見過ぎですね、ゴメンナサイ。
ずさんな記録管理してた組織を、またずさんに衣替えするなんてもってのほか。そのまえにすることがたくさんあるだろうと。この点はおっしゃるとおりです。

救済という言葉は読売さんと道新さん、朝日さんが使っています。
誰が誰を救済するのか???
むしろ、国民が信頼回復のチャンスをやるぞ、と、『政治』への救済かと思ったりします。

朝日さん30日『年金救済策-宙に浮かせた責任も』
 宙に浮いた記録は5000万件もある。しかも、長年にわたる記録が積み重なっている。調査には手間がかかるだろうが、もとはといえば社保庁の責任だ。作業を急がなければならない。
 この問題を掘り起こした民主党も、独自の救済策をまとめている。年金漏れをなくすには政府の対応策で十分なのか。それぞれの救済策をいつまでに終えるのか。論議すべきことは多い。
 与党は1日で審議を打ち切って採決し、社保庁改革法案と一緒に参院に送るというが、とんでもない話だ。
 それだけではない。大事な年金記録がなぜこんなにずさんに扱われたのか。なぜこれまで今回のような対策をとろうとしなかったのか。政府はその原因と責任を明らかにしなければいけない。
 こうした厳しい総括をしないまま、社保庁を新しい公法人に移しても、同じ間違いを繰り返しかねない。
 首相も「歴代社保庁長官の責任を明らかにする必要がある」と指示したという。その言葉を忘れないでもらいたい。


今回の対策を評価しているわけじゃないけど、今まではゼロというかマイナスなわけだから、確かに、考えてみましょうという部分だけでも進歩かとは思います。これがどれだけ情けない話しなのか、社保庁にも政府与党にもわからないとは思いますが。

支払うべき年金をきちんと支払うこと。そんな当然のことができていなかった責任を追及するべき。
確かにそうなんですが…結局その『費用』『ツケ』は国民が払います。そのあたりはどうなんでしょうか?年金はもらえそうにない、でも支払ってる額は少なくない世代はなんだか二重三重に負担を強いられているような気がするのですが…。

産経さんはそそられる社説はありませんでした。今日のだったら後で追加するかも?


コメント
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