世間知らず

毎日のやられっぷりを書いていこうかなと・・・

ミートホープについて社説を読んでみた

2007-06-28 | 社説
今回のニュースは、『またか…』なこちらです。
また偽装、またどこかで聞いたような言い訳、また撤去作業。
そして、残念なことにまた北海道。

ミートホープ 肉に着色、水で増量か 偽装の実態が日報から次々 - 北海道新聞
 【苫小牧】偽装「牛ミンチ」を出荷していた苫小牧市の食肉加工製造卸会社「ミートホープ」(田中稔社長)が、昨年七月に製造した製品で、通常は製造過程で減少するはずの製造量が、逆に十キロも水増しされていたことが二十三日、同社の内部資料「投入原料日報」でわかった。製品に水を加えて増量していた疑惑がある上、「牛ひき肉」の材料の半分近くに豚の心臓を使い、血液で着色するなどの偽装疑惑も浮上している。

品質管理にうるさい生協さんのチェックをくぐり抜けたのは、それが牛肉ではないかもしれないという前提のチェックではないから。
これは、こないだのスパの爆発事故で『温泉法は環境保護が目的であって、掘る段階や成分表示等の規制はあっても、天然ガスの事故防止は視野に入れていない』というのに似ている気がします。
ひとつの法律、ひとつの条件設定でカバーできる範囲の狭さを感じる事件が増えてきたように思います。

産経さんは『詐欺』だと言ってます。そりゃそうです。消費者をだまそうとしたことは明らかです。本当に悪質です。

産経さん25日『【主張】ミンチ偽装 消費者無視の会社犯罪だ』
 会社の利潤だけを目的に、消費者をだました手口は悪質極まりなく、詐欺行為に等しい。警察の捜査着手は当然で、食の信用・信頼を失墜させた今回の事件の徹底解明を求める。
(略)
 食品を製造、販売する会社は、消費者に品質の良い、安全な「食」を提供することが絶対条件である。しかし、最近は賞味期限切れの製品を偽装して販売するなど、食品会社の企業モラルが問われる事件が後を絶たない。
 今回のミート社の事件は、これまでの事案のなかでも悪質性が際立っている。北海道警は詐欺罪の適用も視野に入れ、厳しく追及してもらいたい。このような会社には、食品を製造、販売する資格などない。


朝日さんは自分たちの報道がきっかけだと自画自賛。そして、対応の遅れた農水省を批判しています。不正の告発があったのに、それが何も意味を成さなかったことについては、役所は全く言い訳の余地はありません。
お金を預ければ管理もできず、情報を与えてもそれを生かせない。お役所をきちんと動かすために、国民は何をすればいいのやら。

朝日さん25日『ミンチ偽装―業者も役所もひどすぎる』
 なんとも理解しがたいのは、行政のお粗末な対応だ。
 ミート社のやり方を見かねた元役員らが昨年2月、農林水産省の北海道農政事務所に会社の不正を告発し、偽の牛ミンチを証拠として持ち込んだ。ところが、まともに調査しないまま、事実上、放置していた。
 農水省が立ち入り検査をしたのは、朝日新聞が同じような情報を手に入れ、ミンチを調べて不正を報道してからだ。
 農水省は「食品表示110番」を設けるなどして、偽装の疑いのある食品を通報するよう市民に呼びかけている。しかし、いくら通報しても、たなざらしにするようでは何の意味もない。
 北海道庁との関係もちぐはぐだ。今回寄せられた告発の情報について、農水省は道庁に伝えたと言い、道庁は否定するなど説明は食い違ったままだ。貴重な情報をどのように扱ったのか。放置した責任はだれにあるのか。きちんと調べて、明らかにしなければならない。


読売さんは、ワンマン経営の弊害を指摘。不二家もそうだっただけに、このへんは突っ込みどころなのかもしれません。個人的には、安さを求めているのは消費者ではなく、安売りしたがるスーパーとかで、その『期待』にこたえないと取引してもらえないという脅迫に負けてしまう経営者を探しているのではないかと思ったり思わなかったり…。

何についても『責任を感じる』って大変なことです。読売さんの記者さんたちは、自分たちの書くその記事について本当に『責任』感じていますか???

読売さん26日『牛肉偽装 また食品への信頼が裏切られた』
 コスト削減を優先した社長が自ら指示し、従業員は拒めなかった。ワンマン経営の企業にありがちな体質だ。「業界全体の問題。喜んで買う消費者にも問題がある」と、社長は責任転嫁とも取れる発言を繰り返した。
 直接口に入る食品を製造・販売していることへの責任を、社長はほとんど感じていなかったのではないか。道警は徹底した捜査で、全容を解明してほしい。


毎日さんはちょっと反語的なタイトルです。
『なぜ』って、食品業界も、行政も、まだ『何も学んでいない』から、こうなったのです。今までの失敗、その後の取り組み、全て空回りしているんです。

毎日さん26日『ミンチ肉偽装 こんな無法がなぜ通ったのか』
 しかし、私たちが今目撃している「ミートホープ」の世界は、別世界だ。利益至上主義の下で無法がまかり通っている。この世界では、消費者の信頼を得なければ企業の存続はないという、多くの失敗から学んだ食品業界の鉄則が通用しない。
 食品業界という、まさに食の安全と安心を担う業界に、現在に至ってもなお、こうした企業が存続していたことに、深く失望せざるを得ない。
 行政もまた、多くの失敗を通じて、業者寄りではなく消費者側に立った行政を行わなくては、国民の信頼は得られないということを学んだはずだった。にもかかわらず、今回の農水省の対応はどうだったろう。


日経さんと道新さんは、従業員のことについて書いてます。こういう事件の場合、会社の誰まで、どこまでが『犯人』なのか、難しいところです。いじめの場合と同じで、黙っていることは加担しているのと変わりません。たとえ、社長がどれだけワンマンだったとしても、です。
もちろん、生活保障があってしかるべきとは思いますけど…。

日経さん26日
 農林水産省が日本農林規格(JAS)法違反で立ち入り検査したのに続き、北海道警は不正競争防止法違反の疑いで本社工場や社長宅などを捜索。さらに厳しい詐欺容疑での立件も検討しているという。なぜこうした偽装が次々と行われたのか、徹底的に解明してもらいたい。
 偽装が始まったのは20年ほど前からとされる。それほど長く悪質な偽装を放置した責任は行政にもある。なぜ、もっと早く不正を察知できなかったのか。昨年2月に不正を告発する情報が寄せられたというが、農政事務所と北海道庁の連携がきちんと取れていなかった。迅速な対応がなければ、法令違反をやめさせるために導入された公益通報者(内部告発者)の保護制度も生きない。
 偽装ひき肉は大手食品会社でコロッケなどに加工され、多くの消費者の口に入った。大手企業は納入業者のチェックをきちんとすべきだ。ミートホープ社は全従業員約60人に解雇を事実上通告した。不正行為が働く人も不幸にすることを忘れてはならない。


道新さん『ミート社捜索*また揺らいだ食の安全』
 ミート社は、約六十人の従業員に対し「会社の存続は難しい」として解雇する方針を伝えた。ワンマン社長の命令で不正行為を手伝わされた揚げ句に解雇とは、従業員にとってあまりに理不尽だ。経営者として、従業員の生活保障は最優先すべきだ。
(略)
 加工食品は原材料の調達、加工、流通と複雑な経路をたどって消費者の口に入る。一円でもコストを安くということに目が向きがちな土壌が食品業界にあるとすれば、偽装はほかの企業でも十分に起こり得る問題だ。
 それにしては監視体制はお寒い限りだ。農水省北海道農政事務所と道は、内部告発の処理をめぐって責任のなすり合いをしているが、両機関とも緊張感を欠いていたことは明らかだ。
 農水省は都道府県との連携強化など改善策を決めたが、裏を返せばこれまでの取り組みがおざなりだったということではないか。
 食の安全・安心は単なるお題目ではない。再発防止に向け、現在の組織や対策の見直しは急務だ。


きっとこれから偽装に関する小さなニュースがどんどん出てくるのでしょう。今が公表に一番いい時期です。これを逃せば、それもまた批判の対象になります。

正直で誠実であっても受け入れてもらえないからといって、不誠実でうそつきだったら受け入れてもらえるわけではありません。

「そのことはできる、それをやる、と決断せよ。それからその方法を見つけるのだ。」第16代米大統領アブラハム・リンカーン

社説、年金のもコムスンのもNOVAのも北朝鮮のもシエスパのも読みました。が、書くタイミングを逃しがち。 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする