ドン「(何かに気付いたように。)・・・ん・・・?」
デン「ど・・・どうしたんだい、兄貴・・・」
ドン「(恐々とゆっくりラララたちの方へ。3人をマジマジ見て。)」
デン「あ・・・兄貴!!」
ドン「な・・・なぁんだ・・・増えた幽霊は1人だけだ!こっちの2人
は生きた子どもだぜ。」
デン「子ども・・・?」
ドン「驚かすなよ!全く・・・」
デン「で・・・でも、一人は増えたんだろ・・・?2人でも3人でも・・・
幽霊がいて怖いのは同じじゃないか・・・」
ドン「大丈夫さ!ほら見てみろ!(ルルルとラララを交互に見て。
)同じだ!」
デン「同じ・・・?」
ドン「増えたように見えるだけで、こっちの幽霊さんが鏡に映っ
てるだけだ。」
デン「鏡に映って・・・?」
ドン「ああ!」
デン「な・・・なぁんだ・・・。けど・・・あ・・・兄貴・・・最近の鏡って・・・
3D映像みたいになってるんだね・・・」
ドン「え?」
デン「だ・・・だって両方共・・・えらく立体的・・・」
ドン「なんだよ、人が折角・・・(ルルルとラララを交互に見て。)・・・
ホントだ・・・。あ・・・そうか!分かったぞ!!」
デン「え・・・?」
ドン「きっと、分身の術だ!!」
デン「ぶ・・・分身の・・・?」
ドン「ああ!!全く、驚かしやがって・・・(笑う。)幽霊なんだもん
な!何か俺たち人間が知らない術を使えたって、不思議は
ないさ!」
デン「な・・・なぁんだ・・・」
ドン「(グン、ポーに。)おい、そこの餓鬼2人!」
グン「(恐る恐る顔を上げ。)・・・え・・・?」
ドン「おまえら、なんでこの屋敷にいるんだ?」
グン「おじさん・・・誰・・・?」
ドン「俺・・・?俺かぁ・・・俺様は天下のおおど・・・っと・・・か・・・
会社員様だ!!」
グン「会社員・・・?働いている人・・・?」
ドン「お・・・おう、そうさ!」
グン「じゃあ・・・生きてるの・・・?」
ドン「当たり前だ!」
ポー「幽霊じゃない・・・?」
ドン「この手足を見てみろ!!(自分の手足を叩く。)これのどこ
が幽霊だ、馬鹿!」
グン「おじさんたち・・・本当に生きてる人間なんだ・・・」
ポー「よかったー・・・」
ドン「それより、おまえたちみたいな餓鬼が、なんでこの屋敷の
中にいるんだ?」
デン「こ・・・ここはお化け屋敷なんだぜ・・・」
グン「や・・・やっぱり・・・」
ポー「だ・・・だから2人もお化けがいるんだ・・・」
ドン「(ルルルとラララを見て。)ああ、こいつは本当は一人なん
だが、分身の術で・・・」
グン「分身・・・?そんな訳ないじゃない!(ラララを指差して。)
こっちの幽霊さんは、僕たちとずっと一緒だったんだよ!」
デン「え・・・?」
ドン「けど、同じ顔・・・(ルルルとラララを交互に見る。)」
グン「(ルルルとラララを交互に見る。)あ・・・ホントだ・・・」
ポー「ね・・・ねぇ、グン・・・ど・・・どうして同じ顔のゆ・・・幽霊さん
が2人も・・・いるの・・・?」
デン「あ・・・兄貴・・・」
ドン「こ・・・こいつは・・・」
ルルル「私たちの・・・」
ラララ「お屋敷にようこそ・・・」
ドン、デン、グン、ポー「わあ―――っ!!お化けが増えたーっ
!!(4人、手を取り合って震える。)」
ルルル「人間ってホントに面白いわねぇ・・・」
ラララ「あら、あなただってずーっと昔は、人間だったじゃない・・・
(笑う。)」
ルルル「・・・そうだったわね・・・(笑う。)」
ラララ「ところで、どうしてあなたはこんな人間と一緒にいるの?
」
ルルル「あら、あなただってそんな子どもたちと一緒に・・・一体
どこへ行くつもり?」
ラララ「私はあなたの為に、この子どもたちに付き合ってるの。」
ルルル「私の為・・・?」
ラララ「私は何百年もこんな屋敷に縛られてないで、さっさとあな
たの探し物を見つけて、早く向こうの世界へ行きたいのよ
。」
ルルル「それで?」
ラララ「この子どもたちが、あなたの丸い水晶玉を探しにここへ
来たって言うから、私はそれについて行って、取り返して
あげようとしてただけ。」
ルルル「(恐ろし気な声で。)その子どもたちが、私の水晶玉を
盗みに来たですって!?」
グン「わあーっ!!ぼ・・・僕たち幽霊さんの水晶玉なんて盗み
に来てないよ!!」
ポー「僕たちはただ、グンのボールを・・・!!」
ルルル「じゃあやっぱり、こっちの2人組が私の水晶玉を盗みに
来てたのかしら!?」
ドン「えーっ!!」
ルルル「あなたたちの言ってたお宝って、私の大切な水晶玉の
ことだったの!?」
ドン「お・・・俺たち、そんなものを盗む為にここに入ったんじゃあ
・・・!!」
デン「う・・・うん・・・!!オイラたちは単純に金になるお宝を・・・
!!」
ドン「しっ!!馬鹿!!」
デン「あ・・・」
ルルル「ふうん・・・。じゃあ、水晶玉のことは知らないと言うのね
・・・。」
ドン「あ・・・ああ!!勿論さ!!な・・・なあ・・・デン・・・」
デン「(何かに気付いたように。)・・・あ・・・そう言えば・・・」
ドン「え・・・?(小声で。)何だよデン・・・!!」
デン「(小声で。)兄貴がさっき、オイラにくれたあれ・・・確か・・・」
ドン「(何か思い出したように。)あ・・・」
ルルル「何!?」
ドン「あ・・・えっと・・・いや・・・」
ラララ「隠すと為にならなくてよ。」
ドン「あ・・・いや・・・違うんだ・・・(小声で。)おい、デン!あの水
晶玉どこにやったんだよ・・・!」
デン「(小声で。)オ・・・オイラのポケット・・・」
ドン「(小声で。)えーっ・・・!!マジかよ・・・!」
ルルル「なんなの!?さっきからコソコソ。」
ラララ「ルルル・・・なんだか怪しいわね、この2人・・・」
ドン「い・・・いや・・・怪しいことなんて何も・・・なぁ、デン・・・!」
デン「う・・・うん!!」
ドン「(小声で。)おい・・・!そんなの持ってるのがバレたら俺た
ちも、この幽霊さんと一緒にあっちの世界へ行くことになるぞ
!!」
デン「(小声で。)えーっ・・・!!そんなぁ・・・!!」
ドン「(小声で。)・・・早くどっかへやれよ!!」
デン「そんなこと・・・急に言われても・・・」
ドン、ルルルとラララに一寸近寄り、
2人の気を引くように話し掛ける。
(その間にデン、ポケットを押さえ、
後ろを向いてオロオロする。)
ドン「(ルルルとラララに。)な・・・なあ、おまえたち・・・なんで、そ
んなにその水晶玉を一生懸命何百年もの間、探し回ってん
だ?余っ程、大切なものなんだな・・・。」
ルルル「だからさっきから言ってるでしょ!!私の大切な思い出
が沢山詰まった水晶玉だって!!」
ドン「あ・・・悪い・・・そうでした・・・か・・・」
ルルル「あの水晶玉は、私たちが小さい頃に亡くなった、お父様
お母様と過ごした、楽しかった時をもう一度見ることが出
来る魔法の水晶玉・・・」
ドン「・・・え・・・?小さい頃に亡くなった・・・?」
ルルル「ええ・・・」
ドン「じゃあ、おまえたちを育てたのは・・・?」
ラララ「マーサよ!」
ドン「マーサ・・・?」
ラララ「ええ!私たちが生まれた時から、私たちの面倒を見てく
れてる私たちの乳母よ!」
ドン「・・・へぇ・・・」
ルルル「マーサは私たちが死ぬまで・・・」
ラララ「あら、違うわ!死んでからもよ!」
グン「・・・え・・・?」
ポー「あは・・・ははは・・・グ・・・グン・・・僕・・・なんかいやな気が
してきた・・・」
グン「う・・・うん・・・僕も・・・」
ルルル「ずっと私たちの側で私たちの面倒を見てくれてる人・・・
」
ドン「そのマーサ・・・ってのは、おまえさんの大切な水晶玉のこ
とは知らないのかよ・・・?」
ルルル「マーサは・・・」
ラララ「マーサは水晶玉なんて、最初からなかったんだって言っ
てるわ。現に私だって、そんな水晶玉は見たことないし・・・
」
デン「あれ?可笑しいじゃない・・・。君はその水晶玉を取り返す
為に、この子たちに付いて来たって・・・」
ラララ「あー・・・もう面倒臭いわねぇ・・・ルルルは水晶玉でなくて
も、丸いものなら何でもいいの!!だから、その子たちが
丸いものを探してるって言うから・・・それを拝借しようと考
えたのよ。」
ドン「丸いものならなんでもいいのか・・・?」
ルルル「違うわ!!」
ラララ「マーサは、ルルルは丸いものを集めたがる、精神の病な
んだって言ってるわ。私も最初は可笑しいと思ってたけど
、これだけこのお屋敷の中を何百年も探し回って、見つか
るのはボールやゴムまりみたいなものばかり・・・。今じゃ
マーサの言うことが正しいんだと思ってる・・・。」
ルルル「ラララ・・・!!」
デン「ふうん・・・」
ドン「マーサは・・・水晶玉なんて、最初からないんだって言い切
ってたってのか・・・」
ラララ「そうよ。」
ルルル「でも・・・私、マーサにだけ見せたことが・・・」
ラララ「大体、魔法使いのお婆さんが、誰にも見せるなって言っ
てたものを、マーサにだけ見せたなんて可笑しな話し・・・
その魔法使いだって、ルルルの単なる思い過ごしなのよ
、きっと・・・。あんな汚らしいカエルが、魔法使いのお婆さ
んだったなんて・・・信じられる筈ないもの。」
ドン「あんな汚らしいカエル・・・?」
ラララ「え・・・?ええ・・・」
ドン「君もそのカエルは見たんだな・・・?」
ラララ「ルルルったら、平気で手の平に乗せて・・・。私、恐ろしく
って、飛んでマーサに言いつけに行ったわ!」
ドン「ほう・・・。カエルに変えられた魔法使いの婆さんが・・・誰
にも見せるな・・・か・・・。これは何だかきな臭い・・・」
デン「何臭いって・・・?兄貴・・・」
音楽流れ、ドン歌う。
“何だかこいつはきな臭い
怪しい香りが立ちこめる”
ドン「えー・・・では、そこの証人前へ・・・(デンを見る。)」
デン「(回りを見回し、自分を指差す。)お・・・オイラ・・・?」
ドン「あなたは、つい今しがた、この屋敷で何かを見つけません
でしたか?」
デン「え・・・あ・・・あの・・・丸いものを沢山・・・」
ドン「そう!!丸いものだ!!確かにこの屋敷は丸いものだら
けだ・・・。では一体、その丸いものはどこからやって来たの
だろうか・・・?」
ドン、歌う。
“丸いものを集めたくなる
不知の病のお嬢様”
ドン「さて・・・果たしてこの世に、そんな変わった病が本当に存
在するものなのかどうなのか・・・」
ルルル「私はそんな病気ではないわ!!私は大切な水晶玉を
・・・!!」
ドン「水晶玉・・・?」
ルルル「え・・・?ええ!!」
ドン「その水晶玉に、なぜあなたはそんなに執着するのか・・・?
」
ルルル「その水晶玉には、懐かしい思い出が映し出されるの!
!」
ドン「ほう・・・それは珍しい水晶玉だ・・・。」
ルルル「だって魔法使いのお婆さんが、ピンチから救ったお礼
に私の願いを何でも一つだけ、叶えてくれると言ったわ
。だから私、お父様とお母様と私たち姉妹が仲良く暮ら
してた頃の思い出を、もう一度見せてと頼んだのよ!」
ドン「では、その水晶玉は過去を見せる魔法の水晶玉だと?」
ルルル「そうよ!!」
コーラス“だけどみんなが口揃え
そんなものは初めから
この世に存在しないもの
そんな風に言い続け
いつしか誰もがそう信じ
疑う者などいなくなった・・・”
ドン「次の証人、前へ・・・(ラララを見る。)」
ラララ「(回りを見回して、自分を指差す。)わ・・・私・・・?」
ドン「あなたはカエルを見ましたか・・・?」
ラララ「ええ、見たわ!汚らしいひき蛙をね!」
ドン「そのカエルが魔法使いだったとは・・・?」
ラララ「そんなの知らないわよ!誰が考えたって、カエルが魔法
使いのお婆さんだなんて、可笑しいじゃない!」
ドン、歌う。
“カエルは確かにそこにいた
存在したのは事実のようだ
だけどカエルが魔法使いだなんて
それを見たのはただ一人
お礼をもらった娘だけ・・・”
ルルル「だって・・・だって本当のことよ!!私は嘘は吐かない
わ!!」
ドン「しっ!!誰も君が嘘吐きだなんて言ってやしない。」
ルルル「でも・・・!!」
ドン「さて、そこの子ども2人・・・おまえたちはなぜ、この屋敷に
?」
ポー「ぼ・・・僕たち、グンの大切なボールが、このお屋敷の中に
飛び込んだんじゃないかって・・・だから・・・」
ドン「忍び込んだ・・・?」
ポー「ごめんなさい!!人のお屋敷に黙って入るなんて、悪い
ことだと思ったけど・・・」
グン「あのボールはパパに買ってもらった、僕の宝物なんだ!!
それで・・・」
ドン「それで・・・?屋敷の中でボールは見つかったかな?」
グン「(首を振る。)」
ドン「確かにこの屋敷の中に、丸いものは沢山あった・・・」
グン「その中に僕のボールもあったの!?」
ドン「まあ、待て。おまえの探してるボールが、どんなボールか
知らないが、その中の一つかも知れない・・・」
ラララ「マーサは丸いものを沢山集めて、ルルルが満足したら、
向こうの世界へ行けると言っていたわ。だから私たちは丸
いものを見つけると、それが何だか分からなくても持って
行って、丸いものばかり集めているタンスの中へ仕舞うの
。」
デン「・・・あ・・・あのタンスだ・・・」
ドン「そこでだ・・・最初の話しに戻るが・・・あんたが丸いものを
集めたがる精神の病だと言ったのは・・・」
ルルル「マーサ・・・」
ドン「だから丸いものを沢山集めようと言ったのは・・・」
ラララ「マーサ・・・」
ドン「(ルルルに。)おまえが見せてはいけないと婆さんに言わ
れたのに、その水晶玉を見せた・・・と言うのは・・・」
ルルル「マーサ・・・」
ドン「ずっと、ずっとずーっと2人の側にいたのは・・・」
ルルル、ラララ「マーサ・・・」
ドン「うん・・・キーワードはマーサだな!!」
ドン以外の全員「マーサ!?」
――――― “古びた洋館の隠れた住人・・・”
5へつづく ―――――
― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪
(どら余談^^;)
書き終わったので、全6場となりました(^O^)v
http://milky.geocities.jp/little_pine2012/index.html
http://ritorupain.blogspot.com/
http://blogs.yahoo.co.jp/dorapontaaponta
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