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りとるぱいんわーるど

ミュージカル人形劇団“リトルパイン”の脚本の数々です。

“アトラス” ―全8場―

2012年11月05日 13時01分18秒 | 未発表脚本


    〈 主な登場人物 〉

   
    アトラス  ・・・  本編の主人公。

    スプリーム  ・・・  アトラスの父。

    ハーティ  ・・・  アトラスの母。

    デビル  ・・・  魔国の王。

    クルーエル  ・・・  アトラスの仲間。

    
    その他



 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪


         開演アナウンスが流れる。

         微かに嵐のよう。

  声(エコー)「約束を忘れるな・・・将来、おまえに男の子どもが出
         来た時・・・おまえの命を助けた代価として、その子ど
         もは私が頂く・・・。我が魔族の跡継ぎとして、その生
         貰い受けよう・・・。(笑う。)」

         笑い声、段々遠ざかる。
         と、入れ代わるように、豪華な音楽、段々と
         大きくなる。

    ――――― 第 1 場 ―――――

         舞台、明るくなる。(城内の様子。)
         ポーズを取った人々、楽し気に歌い踊る。

         “王子が生まれたぞ!
         待ちに待った期待の時
         王子が生まれたぞ!
         待ち望んだこの国の宝
         青い海に囲まれた
         澄んだ青空広がる我が国
         楽園
         誰もが優しく温かな
         平和な我が国 パラダイス
         そこに生まれた平和の象徴
         王子が生まれたぞ!
         待ちに待った期待の時
         王子が生まれたぞ!
         待ち望んだ至福の瞬間!”

         人々、中央奥、設えられた段上を差し示し
         ポーズを取る。
         下手奥より、一組の男女(スプリーム、ハーティ)
         嬉しそうに、寄り添いあい登場。
         段上、中央へ。

  人々口々に「王様!王妃様!おめでとうございます!!」
          「王子ご誕生、おめでとうございます!!」

  スプリーム「ありがとう。」

         曲調変わり、スプリーム、ハーティ、
         静かに歌いながら、ゆっくり前方へ。
         同時に上手より乳母(バドル夫人)、
         ベビーベッドを押しながら舞台中央へ。

         “王子が生まれたありがとう
         皆に祝福され
         地上に舞い降りた
         平和の誓い”

         全員で歌う。

         “幸せの国に相応しく
         陽の光浴び
         天から使わされた
         未来ある者よ
         我が国を平和へと導く為に
         生まれし天の子”

         人々、ベッドの周りを取り囲み、覗くように。
         口々に歓待の声を上げる。

  人1「まぁ・・・なんて可愛らしい。」
  人2「安らかな寝顔だこと・・・」
  人3「左手にはまさに王家の紋章が・・・」
  バドル夫人「王子様はむずがることもせず、目を覚ましている
         時にはニコニコと・・・私の手を煩わせることをなさら
         ず・・・とてもいいお子ですわ。」
  人1「・・・まぁ・・・」
  スプリーム「早く大きくなって、強く立派な・・・この国の王となる
         のだぞ。」
  ハーティ「あなた・・・それはあまりにも気が早いですわ・・・。だっ
        てアトラスはまだ生まれたばかり・・・」
  バドル夫人「王様、お后様、また今日も各国からお祝いの品の
         数々が、山のように届いております。」
  スプリーム「そうか・・・。」
  バドル夫人「もうお部屋が一杯で、それ用に一部屋用意して頂
         かないと・・・」
  スプリーム「そうするとしよう・・・。」

         その時、突然辺りが薄暗くなり、俄かに
         風が強くなる。(嵐の前触れのよう。)
         人々、不安気に周りを見回す。

  ハーティ「あなた・・・どうしたのでしょう、突然・・・」
  スプリーム「・・・ああ・・・。バドル夫人、アトラスを部屋へ・・・」
  バドル夫人「はい。」

         バドル夫人、ベビーベッドを押しながら、
         上手方へ行きかけると、上手、下手より
         各一人、不適な笑いを浮かべた黒尽くめの
         男、登場し、人々の行く先を塞ぐように。

  バドル夫人「誰です!そこをどきなさい!」
  スプリーム「何者だ!?(剣に手をかける。)」
  ハーティ「あなた・・・!」

         その時、カミナリの轟き音が響き渡り、
         後方段上中央に、マントを付けた黒尽くめの
         男(デビル)登場。

  デビル「・・・久しぶりだったな・・・」

         皆、一斉に段上注目。

  スプリーム「誰だ!!」
  デビル「・・・忘れた・・・とでも言うのか・・・?私のことを・・・」
  スプリーム「おまえなど、知る訳がないだろう!!」
  デビル「おやおや・・・冷たいな・・・」
  スプリーム「一体何の用があって、王子誕生の祝典の最中、突
         然に・・・!!無礼であろう!!」
  デビル「・・・約束を果たして貰う為に、やって来たのだ・・・」
  スプリーム「約束・・・?」
  デビル「そう、約束だ・・・」
  スプリーム「約束とは一体、何の話しだ!!先に言った通り、私
         はおまえなど知らないし、そんな約束などした覚えも
         ない!!」
  デビル「人間と言う奴は・・・何でもかんでも忘れるのがお得意
       のようだ・・・。忘れたのはおまえの勝手・・・私と一度交
       わした約束は、何があろうと必ず守ってもらう。」
  ハーティ「・・・あなた!」
  スプリーム「・・・おまえと交わした・・・?一体、私とおまえの間に
         どんな約束があったと言うのだ・・・!!」
  デビル「・・・思い出したいか・・・?(ニヤリと微笑む。)」

         舞台、暗転。
         客席下手より一人の執事(レイク)、上手
         より一人のメイド(バドル)、走りながら登場。

  レイク「大変だ!!大変だ!!王子様が行方不明だなんて・・・
      !!」
  バドル「大変だわ・・・大変だわ・・・一体どこへ行かれたのかし
      ら・・・!!」
  レイク「(バドルを認め。)あ・・・!!バドル!!スプリーム王子
      様は見つかったか!?」
  バドル「あっ!!レイクさん!!それがどこにもいらっしゃらない
      んです・・・!!ちょっと目を離した隙に・・・王子様はどこ
      に・・・」
  レイク「王様とお后様のお留守の間に、王子様にもしものことが
      あったら・・・」
  バドル「そんな!!」
  レイク「いいか!!総動員でもう一度よく捜すんだ!!城中、く
      まなく・・・!!」
  バドル「はい!!」

         レイク、下手方へ、バドル上手方へ行きかける。

  バドル「・・・レイクさん!!スプリーム王子様・・・裏の雪山に入
      られたんじゃないでしょうね・・・?」
  レイク「・・・まさか・・・雪山になど・・・一歩でも足を踏み入れたな
      ら、二度と生きて戻っては来れなくなるんだぞ!!いつも
      王様から、絶対に行ってはならないと、きつく止められて
      いるんだ。」
  バドル「・・・でも、最近のスプリーム王子様は好奇心旺盛で・・・」
  レイク「・・・大丈夫に決まっているよ、バドル・・・。兎に角、もう一
      度よく捜そう・・・」
  バドル「はい・・・」

         其々、上手下手へ去る。
         舞台中央スポットに、寒そうに震えながら
         膝を抱え座り込んだ一人の少年(スプリーム)
         浮かび上がる。
         激しい風雪が吹き荒ぶ、雪山のよう。

  スプリーム「・・・すごく・・・寒い筈なのに・・・感覚がないや・・・も
         う・・・駄目だよ・・・一歩も歩けない・・・こんなところで
         僕・・・死んでしまうのかな・・・父様・・・母様・・・ごめ
         んなさい・・・言い付けを守らなくて・・・雪山を冒険し
         ようだなんて思い付いた僕を許してね・・・(倒れ込む
         。)・・・眠いよ・・・」

         一時置いて、デビル、スポット上に登場。
         倒れているスプリームを、見下ろす。

  デビル「・・・おい・・・」
  スプリーム「・・・う・・・ん・・・」
  デビル「・・・死ぬつもりか・・・?」
  スプリーム「(ゆっくりデビルを見上げる。)」
  デビル「尤も、この吹雪の中じゃ死ぬつもりも何も・・・放って置
       いたって、死んでしまうだろうがな。(笑う。)ところで・・・
       死ぬつもりはさて置き・・・」
  スプリーム「・・・死にたいだなんて・・・」
  デビル「そのつもりで今ここに横たわっているんじゃないのか?
       」
  スプリーム「・・・死にたくないよ・・・」
  デビル「ほう・・・。人間ってのは、変わった生き物だ・・・。つまり
      おまえは死にたくないのに、今まさに死の淵にいる・・・そ
      うだろ?・・・生きたいか・・・?」
  スプリーム「・・・勿論・・・」
  デビル「・・・助けてやろうか・・・?」
  スプリーム「・・・え・・・?」
  デビル「おまえの命・・・この私が助けてやってもいい。」
  スプリーム「・・・本当に・・・?」
  デビル「その代わり・・・その代価はちゃんと払ってもらう・・・。」
  スプリーム「・・・代価・・・?」
  デビル「ああ・・・なぁに、たいしたことじゃない・・・。それよりおま
      えは、もっと生きたいのだろう?もっと生きて、まだまだや
      りたいことが山のようにある・・・」
  スプリーム「・・・うん・・・僕はまだ死にたくない・・・分かったよ・・・
         僕を助けてくれるなら・・・僕に出来ることは何だって
         する・・・約束するよ・・・だからお願い・・・僕を助けて
         ・・・」

         その時、カミナリ音が轟き渡る。

  デビル「分かった・・・おまえの望みを叶えてやろう・・・」
  スプリーム「・・・ありがとう・・・。・・・あなたは・・・誰・・・?」
  デビル「・・・私は・・・デビル・・・魔国の王だ・・・」
  スプリーム「・・・デビル・・・悪魔・・・?(意識がなくなる。)」

         フェード・アウト。
         舞台薄明るくなる。と、1場の様子。
         (デビル、片手に赤ん坊を抱かえている。)

  スプリーム「・・・おまえはあの時の・・・」
  デビル「・・・思い出したかな?」
  ハーティ「あなた・・・約束って一体・・・」
  スプリーム「・・・あの時の・・・あれは・・・」
  デビル「約束通り、この子は私が頂いていくことにする。」
  ハーティ「アトラス!!あなた!!アトラスが・・・!!」
  スプリーム「まっ・・・待ってくれ・・・!!頼む・・・他に望むものは
         何でも用意させる!!だから、その子だけは・・・!!
         金でも宝石でも・・・何でも・・・」
  デビル「・・・私を、金や宝石を欲しがる低俗な人間と一緒にして
       もらっては困るよ・・・。私が欲しいのは、私の跡継ぎだ。
       王家の血筋を持つ跡取りだ。この印を持つ者・・・(赤ん
       坊の手を見る。)」

         デビル、上手方へ去る。その後を追おう
         とするスプリームの前に、黒尽くめの男たち
         が立ち塞がる。

  スプリーム「・・・待て!!待ってくれ!!どけ!!どかないと・・・
         (剣を抜き、男たちの方へ差し向ける。)おまえたちを
         殺してでも・・・!!」

         男たち、顔を見合わせ不適に微笑むと、
         スプリームの前でマントを翻し、其々
         上手下手へ走り去る。
         スプリーム、その翻したマントに煽られる
         ように、手にしていた剣を思わず落とし、
         膝をつく。

  ハーティ「あなた!!(駆け寄る。)」
  スプリーム「糞う・・・!!アトラス・・・アトラス!!」

         暗転。

    ――――― 第 2 場 ―――――

         音楽流れる。
         下手客席より、穏やかな顔付きの一人の
         少年(アトラス)、歌いながら登場。上手方へ。
         途中、咲いている一輪の花に気付き、そっと
         手に触れ、愛でるように。

         “美しい花を見た時
         美しいと思うことはいけないことなの?
         可愛い生き物に触れる時
         優しい気持ちになるのは悪いこと?
         冷たく冷酷に・・・
         飽くまで冷淡に・・・
         僕には分からないその意味が・・・
         美しい花を見た時
         踏み付けて通り過ぎる無関心・・・
         可愛い生き物に触れた時
         その命の芽を摘む平常心・・・
         それが大切なことだと言うけど
         僕には分からない
         その意味が・・・”

         上手客席より、黒尽くめの男、登場。
         アトラスを認め、近付く。

  男「アトラス様・・・こんなところにお出ででしたか・・・。デビル様
    が、お捜しになっておられます。お城へお戻り下さい。」
  アトラス「・・・うん・・・分かった・・・」

         アトラス、男、上手客席へ去る。
         入れ代わるように、上手舞台より成長し、
         幾分険しい顔付きの青年になったアトラス、
         歌いながら登場。下手方へ。

         “暗いこの世に必要なのは
         暗い心と憎しみ溢れる冷たい眼差し
         暗いこの世に相応しいには
         ただ心もなく見詰める冷静な眼差し
         降り注ぐ陽の光を遮る厚い雲が
         辺りを包む・・・
         暗黒の世界が訪れ
         この世は我々のもの”

         アトラス、足元に咲いていた一輪の花に
         気付き、踏み付けようと足を上げるが、
         躊躇し足を下ろす。












      ――――― “アトラス”2へつづく ―――――













 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪


           (おまけフォト^^;)

           

      我が家に4代目ロボちゃんがやって来ました(^^)


       ただ今、ロボちゃんハウスの準備を虫カゴの
      仮のお家で待っているところです^^;
    
      淋しかったロボちゃんハウスがまた、賑やかハウス
      になりました~(^^)v










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“アトラス” ―全8場― 2

2012年11月05日 13時00分42秒 | 未発表脚本


         その時、上手よりクルーエル登場。

  クルーエル「アトラス!」
  アトラス「クルーエル・・・」
  クルーエル「こんなところで、何してるんだ!」
  アトラス「いや・・・別に・・・。何か用か・・・?」
  クルーエル「昨日までの続きをやろうと思ってな。(腰に差して
         いた剣に手をかけ、ニヤリと笑う。)」
  アトラス「まだやろうって言うのか?おまえのその腕の傷・・・次
       はそんなどころの騒ぎで済まないぜ?」
  クルーエル「百も承知だ!どちらかの命が尽きるまで、この勝負
         は続くんだ。」
  アトラス「・・・それがこの国のルール・・・」
  クルーエル「たとえ相手が誰であろうと、一度剣を交えた者は、
         必ずどちらかが死ぬ!(下手方に咲いていた花に気
         付き。)目障りな花だ!(花の方へ寄って行き、踏み
         付ける。)」
  アトラス「クルーエル!何も態々そんな隅っこで咲いている花を
       、踏み付けに行くことはないだろう?」
  クルーエル「アトラス・・・?おまえのものの考え方は、俺には理
         解し難いね・・・。どうもおまえはこの国の者としては、
         少々冷淡さに欠けるところがある。仮にもデビル様の
         跡取りとして、この世に生を受けた者らしからぬ発言
         だな。おまえの重臣として、忠告してやろう。もう一度
         、1から教育を受け直し、その考え方を改めた方が、
         これからのおまえの為だ。」
  アトラス「・・・余計なお世話だ・・・」
  クルーエル「この国は闇の国・・・暗黒の大地に誇らし気に咲く
         花など、無用の長物。踏み付けるは当たり前!!」
  アトラス「クルーエル・・・」
  クルーエル「心も同じ・・・。哀れみや同情、優しさなど我々には
         持ち合わせない感情の筈・・・。それなのにおまえは
         昔からどうも、ものごとをそう言った傾向に走らせ、考
         えるところがある・・・。丸でこの国の者ではないかの
         ようにな・・・。そんな調子では、たとえ親と子であっ
         ても、デビル様が放っておく筈がないと、俺は思うが
         ね・・・。自分以外の全てのものに浴びせる罵声はあ
         っても、かける情けは微塵もない。それが我々の根
         底にあるものだ。さぁ、剣を抜け!!今日こそは決着
         をつけるんだ!!そして・・・おまえを倒してこの俺が
         この国の王座につく!!」
  アトラス「・・・欲しいなら、いくらでもくれてやる、こんな身分・・・。
       」
  クルーエル「(アトラスを見る。)」
  アトラス「王座につきたいのなら、何も態々生死を賭けて戦うこ
       ともない・・・。おまえが望むなら俺は喜んでおまえにこ
       の地位、譲り渡そう。」
  クルーエル「はい、どうぞと差し出されて、この俺が喜ぶとでも
         思っているのか。俺だけでない、この国の者は誰で
         あっても、力を持って奪った勝利品に喜びを感じる
         のであって、たとえ金銀財宝、巨万の富であっても
         、楽して手にしたものになど、興味を持つ訳がない。
         全く、おまえのように甘い奴は、この国の落第者だ
         な。さぁ、やるのかやらないのか!?俺はこれから
         5人との決闘が待っているんだ!」
  アトラス「今日はやめておく・・・」
  クルーエル「(溜め息を吐く。)なんだ。それなら後、2、3人予約
         しておくんだったな。おっと・・・遅刻しちゃまずい。お
         まえは頭ばっかり使ってないで、もっと行動しろ!!」

         クルーエル、上手へ去る。
         アトラス、クルーエルが去った方を見詰める。

  アトラス「クルーエルの言うように・・・この国において・・・俺は甘
       過ぎるのか・・・」

         下手より、デビル登場。

  デビル「いつもながらあいつは、血気盛んな奴だな。」
  アトラス「(振り返り、デビルを認める。)父上・・・」
  デビル「全く、頼もしいばかりだ。それに比べておまえは、この国
      の者らしからぬ心持ち・・・。屹度、教えを説いて来た者た
      ちが、育て方を間違えたのだな。おまえを今まで教育して
      来た教育係りは、全て今日限りで首にし、即刻死刑に処
      す。」
  アトラス「父上!!・・・そんな・・・死刑だなど・・・」
  デビル「死刑が不満なのか?」
  アトラス「私の教育係りたちに、何の落ち度もありません。もし今
       の私が、父上の望むような者に成り切れていなかった
       とすれば、彼らの教えに集中出来なかった私自信の責
       任です!!だから死刑など・・・」
  デビル「死刑だ!!」
  アトラス「父上・・・!?」
  デビル「今のおまえのその言葉は、彼らに死を持って償わせる
      だけの意味が十分にある!!それが分からないようでは
      これからの・・・(ハッとしたように。)おまえに・・・
      王座につくに相応しい者かどうか、1つの課題を与えよう
      。その課題を見事クリア出来た時こそ、おまえは我が魔族
      の王となるに相応しい者であることを認め、この印の剣を
      おまえに授けよう。(腰に差していた剣を、高く差し出す
      。)」
  アトラス「・・・課題・・・?」
  デビル「そう・・・課題だ・・・。たった今から地上へと降り立ち
      、その目前に広がる世界を、その手に治めるのだ。」
  アトラス「治める・・・?」
  デビル「そして国々の者たちを見事に服従させてくるのだ。」
  アトラス「服従させるって・・・」
  デビル「その時、初めておまえにこの魔国を任せることとしよう
      ・・・。だが失敗した時には、もう二度とここへは戻って
      来るな。」
  アトラス「父上・・・」
  デビル「分かったな!?」
  アトラス「・・・(ゆっくり頷く。)」
  デビル「クルーエルを一緒に連れて行くがいい。」

         デビル、上手へ去る。

  アトラス「俺に・・・国を支配しろと・・・?そんなことが、この
       俺に本当に出来るのか・・・。だが、この国の者として
       生を受けた以上、この国の者として生きるべきなのだ
       ・・・。それがたとえ自分に納得のいかない生き方だと
       しても・・・」

         音楽流れ、アトラス歌う。

        “闇の国に必要なのは
         闇の国に相応しい
         闇の心・・・
         下手な優しさ思い遣り
         そんなものは必要ない
         いつも自分のことだけ
         考えていればいい・・・
         いつも自分さえよければ
         それでいい・・・
         その考え方が
         この国の正しい生き方・・・
         それを確かめる為
         俺は旅立つ・・・”

         暗転。  

    ――――― 第 3 場 ―――――

         緊迫した音楽流れる。
         カミナリの轟き音が響き渡り、風の音が
         強くなる。
         (舞台薄暗くなる。)
         下手より、下手方を気にするように走り
         ながら、人々登場。
         脅えるように歌う。

         “魔物よ!!助けて!!殺される!!
         心のない魔物よ!!殺しに来たわ!!
         冷淡な笑みを浮かべ追い詰める
         奴らは殺しを何とも思わない
         ただ自分たちの望みを叶える為に
         いつも誰かに犠牲を強いる
         魔物よ!!助けて!!殺される!!
         魔物よ!!助けて!!殺される!!”

         一時置いて、人々を追い詰めるように
         アトラス登場。
         上手方へ逃げようとした人々の、行く手
         を阻むように上手よりクルーエル、
         楽しそうに登場。

  アトラス「抵抗せずに大人しくこの国を明け渡せば、我々も手荒
       なことはしない。」
  村人1「助けて下さい・・・!私たちは何も抵抗など致しません。」
  村人2「この国が欲しいと言うなら差し上げます・・・!!」
  村人3「だから皆の命だけは・・・(手に持っていた短剣を、下へ
       置き手を上げる。)」
  クルーエル「なんだ、面白くない・・・。もっと抵抗してくれないと
         ・・・なぁ、アトラス!!」
  アトラス「いいだろう・・・」
  クルーエル「(怪訝な面持ちでアトラスを見る。)」
  アトラス「こちらも無血開国は望んでもないこと・・・」
  クルーエル「・・・アトラス・・・?」
  アトラス「無抵抗の者に、剣を向けるようなことはしない。」

         人々、幾分安心したように其々顔を見合す。

  村人1「魔国の方が、そのようなことを仰るとは、思ってもみま
      せんでした・・・。(他の人に。)なぁ・・・」
  村人2「(頷いて。)ああ・・・てっきり有無を言わさず切られるも
      のと・・・。今までの噂と随分違うな・・・。」
  村人3「よかった・・・」

         その時クルーエル、掛け声と共に、
         振り上げた剣を、一人の村人(オーファ)
         の背後から振り下ろす。
         オーファ、倒れる。他の人々、一瞬何が
         起こったか分からず、呆然と佇む。

  アトラス「クルーエル!!」
  村人1「・・・オーファ・・・」
  村人2「オーファ!!」

         人々、口々にオーファの名を呼び、
         駆け寄る。

  アトラス「クルーエル!!何てことをするんだ!!(クルーエル
       に駆け寄り、襟首を掴む。)」

         アトラス、クルーエル残して、カーテン
         閉まる。

  クルーエル「だったら、おまえは平気なのか!?あんな風に魔
         国の者たるに相応しくないと言われ、人々に安堵の
         笑みを浮かべられても!!俺は嫌だね!!おまえ
         はよくても、俺には許せない!!」
  アトラス「・・・分かった・・・クルーエル・・・」
  クルーエル「何が分かったんだ!!おまえはちっとも分かってな
         い!!おまえは魔国の者としては失格者だ!!デビ
         ル様が、そのおまえに下さった、最後のチャンスもも
         のにしないで、これからの人生を下界の卑しい人間
         共と一緒に生きていくと言うのか!!」

         その時、下手より一人の少年、怒りに
         肩を震わせ、走りながら登場。

  少年「人殺し!!」

         アトラス、クルーエル、少年の方を見る。

  少年「人殺し!!何故父さんを殺したの!!人殺し!!一体
     父さんが何したって言うんだ!!」
  アトラス「・・・おまえは・・・さっきの男の・・・?」
  クルーエル「なんだ小僧!!おまえも殺られたいのか!?」
  少年「・・・(一瞬たじろぐ。)人殺し!!人殺し!!」
  クルーエル「煩い!!(剣を振り上げる。)」
  アトラス「(クルーエルの振り上げた手を掴む。)もういい!!」
  クルーエル「アトラス!!」
  アトラス「・・・我々が憎いか?」
  少年「当たり前だい!!僕の・・・僕の大好きな、たった一人の
     父さんを・・・!!何で殺したんだよ・・・(泣く。)悪魔・・・!!
     悪魔!!」

         アトラス、スポットに浮かび上がる。

  アトラス「・・・悪魔・・・そう・・・我々は魔国に住む者・・・。悪魔と
       罵られようが、それは当たり前のこと・・・いつものことだ
       ・・・。なのに何故・・・ほんの少しだけ、その当たり前が
       疑問に思える・・・。確かに俺は・・・魔国の者・・・確かに
       ・・・。本当に父の子なのだろうか・・・。何故、俺はこんな
       に自分の心に不安を感じる・・・?この旅を終え、魔国へ
       戻った時には、父やクルーエルのように俺も・・・あんな
       風に冷淡な心を持つ・・・魔国の者然となるのだろうか
       ・・・。父の跡を継ぐに相応しい、氷の心を持つ魔国の王
       として・・・生まれ変われるのか・・・。」

         暗転。

    ――――― 第 4 場 ―――――

         上手客席より、腕組しながら考え事を
         するようにクルーエル登場。

  クルーエル「一体、あいつは本当に我々と同国の者なのか・・・。
         俺には全くあいつの考えていることが分からない・・・
         。俺たちは人の命に構っている時を待つ時間など、
         持ち合わせてはいない・・・。殺した人間に同情し、流
         す涙など一滴もある筈がない・・・。なのにあいつは
         ・・・」

         音楽流れ、クルーエル歌う。
         ゆっくり下手方へ。
      
         “変わってる・・・
         今まで魔国では
         お目にかかったことのない奴アトラス
         全く変だ・・・
         今まで見たことない
         いやに平和な目をした奴アトラス”

  クルーエル「ずっとあいつの側にいて、光と影のようにあいつに
         使えて来た・・・同じように教育も受けた・・・」

         “だが辿り着いた俺は魔国の者
         しかし奴は魔国の者になり切れない・・・
         何故なんだ・・・
         俺には奴の考えが分からない
         どうするつもりなんだ・・・
         いくら俺が手を出したところで
         奴にその気がなけりゃ
         所詮奴は・・・
         半魔国の者・・・”

  クルーエル「アトラス・・・おまえは一体、何がしたいんだ・・・。(
         首を振る。)駄目だ駄目だ・・・!!何故俺まで他の
         者のことを気にかけるんだ・・・。いくらあいつの家臣
         だからと言って、魔国の者に他の奴のことなど考え
         る心は持ち合わせてはいないのに・・・あいつのせい
         で・・・俺まで少し頭が変だ・・・。」

         クルーエル、下手へ去る。



     
                           
                        
                           



         ――――― “アトラス”3へつづく ―――――









 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪


    (どら余談^^;)

    今日は練習日でした(^。^)
    段々と協力してくれる仲間が増え・・・心強いばかりか、
    揃った新旧メンバーの誰もがとてもリトルパインには必要
    な実力者で、自分の成長と合わせ、これからのリトルパイン
    発展に、すごく期待を抱かせてくれる展開に、とても嬉しい
    な~・・・と・・・感じ入った本日の練習日でした(^_^)
    
    先ずは控えている公演、頑張ります^_^;




    10月18日(木)  報告♪

    今朝、連絡があったのですが、今年の区役所お祭りが中止
    になったそうです(>_<)
    少し前から、会場のダブルブッキング問題があったとかで、
    開催が危ぶまれていたような状況だったらしく、昨夜、正式
    決定されたようです(~_~)

    リトルパイン的には、丁度自分達の大切な公演数日前であ
    り、前日にはハロウィン公演を済ませた、真ん中の大変な
    日程であったので、ここはいいように捉え・・・^^;余裕が
    出来て良かったな・・・と・・・(^。^)(・・・などと言うと、団員
    達からまたまた怒られそうですけど・・・^_^;)
    でも、折角、ジュリーちゃん作品を30分に編集し直し・・・
    皆様にも、春公演で撮り損なったビデオをご覧頂くチャンス
    だと考えていたので、少し残念ですけど・・・(-_-;)
    ジュリーちゃんはそのうち、リベンジしたいと思っているので、
    その時までお待ち下さい

    が、しかし、公演が控えている今の状況には変わりがない
    ので・・・頑張ります(^^)v







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“アトラス” ―全8場― 3

2012年11月05日 12時59分38秒 | 未発表脚本


    ――――― 第 5 場 ―――――

         舞台明るくなると、緑溢れる色取り取りの
         花々咲き乱れる、温かな森の風景。(花の国。)
         花の国の少女たち、戯れている。
         一時後、舞台薄暗くなり、俄かに嵐の前触れの
         よう。少女たち、周りを見回す。

  少女1「どうしたのかしら・・・?」
  チェリトリー「急に嵐でもくるみたい・・・」
  少女2「早く帰りましょう!!」
  少女1「そうね!!」
  少女2「(立ち止まって周りを見ているチェリトリーに気付き。)
      チェリトリー!早く、行くわよ!!」
  チェリトリー「あ・・・うん!」

         2人の少女、上手へ去る。
         入れ代わるように下手より、アトラス登場。
         続いてクルーエル登場。
         上手方へ行こうとして2人に気付いたチェリトリー、
         立ち止まる。

  クルーエル「目障りなものが沢山ある国だな・・・(花の側へ行き
         踏み付ける。)」
  チェリトリー「やめて!!(2人の側へ駆け寄る。)」
  クルーエル「なんだ、この餓鬼・・・」
  チェリトリー「どうして折角美しく咲いている花々を、そんな風に
         踏み付けてしまうの!?可哀相でしょ!?」
  クルーエル「・・・可哀相・・・?生憎だな、我々にはそう言った感
         情は持ち合わせてはいない・・・。」
  チェリトリー「・・・あなたたちは誰・・・?」
  アトラス「我々は魔の国の者・・・この国を我々の配下へ置く為  
       にここへ来た・・・。」
  チェリトリー「魔の国・・・?どこの国の人でもいいわ!でも、お願
         いだから、この国に咲く花々をそんな風に荒らしたり
         しないで!!」
  クルーエル「そんな風に言われると余計・・・(再び花を足で踏み
         付ける。)」
  チェリトリー「やめて!!(泣き声で。)」
  アトラス「クルーエル!!」

         その時、上手より一人の老人、杖をつき
         ゆっくり登場。

  老人「・・・そんな小さな子を苛めて、楽しいか?」

         皆、上手方を見る。

  クルーエル「誰だ!?」
  チェリトリー「お爺さん!!(老人の側へ駆け寄る。)お花たちが
         ・・・」
  老人「大丈夫・・・後でわしがちゃんと生き返らせてやるから、心
     配せんでもいい。さぁ、家で母さんが待っとるじゃろ?早く帰
     りなさい。」
  チェリトリー「(頷く。)」

         チェリトリー、後ろを気にしながら上手へ去る。

  老人「ここは見ての通り、美しい花々が咲き乱れる花の国じゃ
     ・・・。ここに住む者たちは皆、花々を心から愛しておる・・・。
     それをそのように、無碍に踏み荒らすような真似をされる
     となぁ・・・」
  クルーエル「されるとどうなんだ。我々に立ち向かおうって言う
         のか!?面白いじゃないか。」
  老人「立ち向かう?滅相もない。我々は争いを好む人種ではな
     いわ・・・。おまえさんたちが何の為にこの国にやって来た
     のか・・・耳にしたとこ自分たちの領土を広げようとしている
     からだとか・・・」
  クルーエル「その通り!!我々は力を持って、この国を我々の
         ものとする!!」
  老人「何もそんな風に息巻かんでも、それ程までにこの国を自
     分たちのものにしたいと言うなら、好きにするがいい・・・。
     我々はいつでも抵抗はしないからの・・・。おまえさんたち
     は、心のない国から来たのじゃろ?昔から魔国の人間は
     冷静沈着、且つ冷淡な者たちの集まりと決まっておる。」
  クルーエル「よく知っているじゃないか。」
  老人「・・・じゃが・・・(チラッとアトラスを見る。)最近は系統が少
     し変わったかの?」
  クルーエル「・・・何!?」
  老人「(クルーエルに。)おまえさんは見るからに・・・正しく魔国
     の者・・・。じゃが、そっちの青年は・・・どうも魔国の者と言
     うより・・・」
  クルーエル「アトラスは魔王デビル様のただ一人の跡取りだぞ
         !!」
  老人「ほう・・・時期魔王にしちゃあ、なんとも弱っちい感じじゃの
     う・・・(笑う。)」
  クルーエル「この爺!!さっきから黙って言わせておけば!!
         (老人の襟首を掴む。)」
  アトラス「クルーエル!!(クルーエルを制止する。)」
  老人「なあに、止めることはない。殺りたければ殺ればいい・・・。
     こんな年寄り、放っといたところで、明日はどうなるやら分
     からん命じゃ。(笑う。)」
  クルーエル「黙れ!!(手を振り上げる。)」
  アトラス「止めろ!!(クルーエルの手を掴む。)」
  老人「・・・なんじゃ・・・殴る勇気もないのか?」
  クルーエル「アトラス!!何故止める!?こんな奴に侮辱され
         て、おまえは構わないって言うのか!!」
  老人「弱っちい感じだけでなく、本当に弱いのか?」
  クルーエル「なんだと!!」
  老人「おまえさんの方は、ちと頭に血が上り過ぎじゃの・・・。そ
     んな風だと、わしのように長生きできんぞ。(笑う。)」
  クルーエル「いちいち頭にくる爺だ!!(再び老人の服を掴む。
         )」
  アトラス「クルーエル!!いい加減にしろ!!おまえは暫く向こ
       うへ行ってろ。」
  クルーエル「アトラス!!」
  アトラス「席を外せ!!俺の言うことが聞けないのか!!」

         クルーエル、怒ったように上手へ去る。

  アトラス「(クルーエルが去るのを見計らって。)・・・何が強いか
       弱いかなど・・・ものに対する捕らえ方の違いだ・・・。た
       だ力が強い・・・それでいいのなら、この世の中、強い奴
       など五万といる・・・。」
  老人「・・・ほう・・・ではおまえさんは一体、何で強いと言うのだ
     ?」
  アトラス「・・・強いものなど・・・」
  老人「何か迷っているのか・・・?」
  アトラス「・・・別に・・・」
  老人「なぁに、心配せんでもわしは誰に何を言ったりもせんよ。
     何を迷っておるのか、話してみんか?」
  アトラス「・・・迷ってなど・・・ただ・・・」
  老人「ただ・・・?」
  アトラス「あなたも言った通り・・・私は魔国の者としては不完全
       なのです・・・」
  老人「不完全・・・?」
  アトラス「我々の国の者が普通、持たないような心を、私はいく
       つも感じる・・・。我々の国の者が考えもしないようなこと
       を、平気で口にしたりする・・・。魔国の王には必要ない
       思いで心が溢れ返りそうで・・・持ってはいけない感情と
       言われると余計に・・・罪悪感に苛まれる・・・」
  老人「持ってはいけない感情など、ないんじゃよ・・・。何故なら
     たとえそれが悪い考えでも、自分でそのことを知り、それを
     認めることが大切なことなんじゃ・・・。持ってはいけない感
     情と、自分の心を否定する前に、持ってはいるが、本当に
     それは悪いことなのか・・・生きていくうえで、本当は必要の
     あるものではないかと・・・善悪の判断をつけ認める心こそ、
     一番大切なことなんじゃ・・・と、わしは思うがの・・・」
  アトラス「・・・判断をつけ・・・認める心・・・」
  老人「おまえさんがどんな心に迷っているのか・・・大体の見当
     はつくが、その心は少なくとも、この地上では誰もが持つ、
     ごく当たり前の感情じゃ・・・。人を傷付けることを考える前
     に、助けることを考える方が当たり前のことなんじゃ・・・。
     おまえさんは何も間違ってはおらんよ・・・。おまえさんは正
     しい心を持ったんじゃ・・・。」
  アトラス「正しい心・・・」
  老人「お陰でわしは、まだ当分あの世に行けそうにないがの。
     (笑う。)昔は喧嘩で慣らしたわしももうこの年じゃ・・・あの
     時は本当に殴られるかと、内心冷や冷やしたぞ・・・。ありが
     とうよ・・・」

         老人、下手へ去る。
       
    ――――― 第 6 場 ―――――

         入れ代わるように、上手よりクルーエル登場。

  クルーエル「アトラス!!」
  アトラス「(振り返り、クルーエルを認める。)クルーエル・・・」
  クルーエル「アトラス!!決闘の続きだ!!今日こそ決着をつ
         けるぞ!!」
  アトラス「・・・今・・・こんなところで・・・?」
  クルーエル「ああ!!今、こんなところでだからだ!!」
  アトラス「何をそんなにむきになっているんだ・・・。」
  クルーエル「俺はいい加減、おまえの重臣として、おまえについ
         て行く自信がなくなった。それならばいっそ、どちらか
         がいなくなればスッキリする。さぁ、早く剣を抜け!!
         今日こそどちらが魔国の王に相応しい者か、分から
         せてやる。愚図愚図していると、こっちから行くぞ!!
         」

         剣を振り上げ、アトラスにかかる。アトラス、
         思わず剣を抜き、クルーエルの剣を受ける。
         2人、一時、真剣に剣を交える。

  アトラス「(剣を交えたまま。)何故・・・おまえはそんなにも魔国
       の王に拘る・・・」
  クルーエル「では何故・・・おまえは魔国の王にもっと執着しない
         ・・・!!何故、デビル様のただ一人の血を引く者と
         して・・・もっと王たるに相応しい度量を身につけよう
         としないのだ・・・!!」
  アトラス「・・・クルーエル・・・」
  クルーエル「俺はおまえが歯痒い・・・!!そんなおまえを見て
         ると・・・とてつもなく・・・自分の生まれが口惜しい!!
         (剣を弾いて、アトラスを突き放す。)」

         クルーエル、遣り切れない思いを
         振り絞るように歌う。

         “何故おまえはそんな風なんだ・・・
         何故こんなにも長い時を
         共に過ごした・・・この俺を・・・
         おまえは何故にガッカリさせる・・・
         魔国の王になる為に・・・
         この世に生を受けておきながら・・・
         何故そんなに・・・
         いともあっさり否定する・・・”        ※
         
         その時、クルーエルの振り下ろした剣を
         避けようとして、振り上げたアトラスの剣
         が、クルーエルの腕を掠める。
         クルーエル、剣を落とす。

  クルーエル「うっ・・・!!(腕を押さえる。)」
  アトラス「クルーエル!!大丈夫か!!(クルーエルに駆け寄
       る。)」
  クルーエル「ばっ・・・馬鹿野郎・・・もうこれでは剣は持てない・・・
         。俺の・・・負けだ・・・。さぁ、殺せ・・・!!こんな不名
         誉な傷をつけられたまま・・・おめおめと生き長らえる
         など、魔国の者として・・・生き恥をさらしているも同じ
         こと!!」
  アトラス「腕を貸せ・・・(クルーエルの腕を掴む。)」
  クルーエル「何をする!!」
  アトラス「(クルーエルの腕の傷を見、ハンカチを取り出し、その
       腕に巻く。)・・・これで大丈夫だ。」
  クルーエル「アトラス・・・何故俺を殺さない!!俺がおまえに命
         を助けられて、喜ぶとでも思っているのか!!剣を
         交えた相手に、情けをかける・・・これでハッキリ分か
         った。おまえは魔国の王として落第者だ!!デビル
         様が認めても、この俺はおまえを王とは認めない!
         !」
  アトラス「・・・分かっている・・・」

         アトラス、黙って下手へ去る。

  クルーエル「何故、おまえは俺を助けるんだ・・・!!何故、そん
         な心を持つんだ・・・!!何故・・・俺はあいつに命を
         助けられなきゃならないんだ・・・!!何故俺は・・・負
         けてまで生き長らえる・・・!!何故・・・!!」

         暗転。
      
         
      







        ――――― “アトラス”4へつづく ―――――




 







    ※ この6場辺りから以降・・・昨日探してみたのですが、
      実は続きのつながりがよく分からないのです・・・^^;
      なので、書き綴っている部分の台本から、繋がるように
      台詞を増やしてみました^_^;
      この先も追加しなければいけないようなので、時々
      立ち止まるかもしれませんが、お許し下さい

      どの辺りが追加した部分か・・・お分かりですか?^^;
      多分、昔作品と今作品の違いをご理解頂いていれば、
      なんとな~く・・・追加した部分の言い回しなどに・・・
      とって付けた感が見え隠れしているのではないかと・・・
      (>_<)
      読み難くなっていたら、すみませ~ん




 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪


     
    (どら余談^^;)

    明日は、英語教室のハロウィンパーティでの人形劇公演
    です(^_^)
    久しぶりにティンクルちゃんを持って、行ってまいります♪
    またまた子どもたちの笑顔に出会えるのが、とっても
    楽しみです(^^)v










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