りとるぱいんわーるど

ミュージカル人形劇団“リトルパイン”の脚本の数々です。

“花の妖精ティンクルの小さな冒険” ―全3場―

2011年08月14日 23時15分49秒 | 脚本


     
           ティンクルちゃんとピコ。 ※


    〈主な登場人物〉

    ティンクル ・・・ 花の妖精。

    ピコ ・・・ 人間の少年。

    少年 ・・・ 村外れの洋館に住む。

    大王様 ・・・ 妖精の国の王様。


  ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪


  ――――― 第 1 場 ――――― A

       音楽流れ、幕が開く。
       紗幕前、大王、杖をついて歩いている。
       (腰を叩いて、足取りも重そうな様子。)

  
                大王様。 ※2



  ティンクルの声「大王様ー!!大王様ー!!」

  大王「ティンクル?一体そんな大きな声で何ごとだ?」

  ティンクルの声「大王様!ちょっと地上へ遊びに行って来まーす
            !!」 

  大王「地上!?ティンクル!!ちょっと待ちなさい!!地上など、
      我々妖精が、そんな簡単に行き来するような所ではない
      わ!!もし妖精の杖をなくしでもしたら、二度と妖精の国
      へは、戻って来れなくなるんだぞ!!これティンクル・・・
      ティンクルー!!」 

  ――――― 第 1 場 ――――― B

       音楽変わり、紗幕開く。
       と、中央にティンクル。

  ティンクル「もう、大王様ったら本当に口煩いんだから・・・。地上
         に来るくらい何よ。ずっと雲の上の妖精の国にいたら、
         息が詰まっちゃうわ。(笑う。)そうだわ!」

       ティンクル歌う。(杖を振ると、花が咲く。)


  
                                  ※3



       “私は花の妖精
        みんなが憧れる
        綺麗な花を咲かせるの

        素敵な花の妖精
        誰もが驚くの
        魔法の杖を一振りよ”

       その時、下手より1人の少年(ピコ)、何かを探して
       いるように、キョロキョロ下を見ながら登場。

  ピコ「さっきまで野原だったのに、急にどうしたんだよ。こんな
     花畑に変わってしまって・・・。薬草が花に埋もれて、どこ
     にあるか分からないじゃないか・・・。」
  ティンクル「(ピコを認め、近寄る。)こんにちは!私は花の妖精
         ティンクル!どう?お花畑、綺麗でしょう!(笑う。)」
  ピコ「君が、ここら辺を花だらけにしたの?」
  ティンクル「そうよ!」
  ピコ「僕は、花なんかどうでもいいんだ!!」
  ティンクル「まぁ・・・」
  ピコ「僕は、病気の母さんの為に、この本に載っている薬草を
     探してるんだから!」
  ティンクル「病気のお母さん・・・?」
  ピコ「・・・うん。熱が高くて、すごく苦しそうなんだ。お金がなくて
     、高い薬も買えなくて・・・。だから薬草を探そうと思ったん
     だ!」
  ティンクル「そうなの・・・。私も一緒に探してあげるわ!」
  ピコ「・・・え?」
  ティンクル「どんな草?」
  ピコ「あ・・・うん。(手に持っていた本を見せる。)」


  
                     ※4



  ティンクル「どこにあるのかしら・・・」
  ピコ「ティンクル・・・ありがとう!」
  ティンクル「どういたしまして!」
  ピコ「僕はピコ!」
  ティンクル「よろしくピコ!さ、早く探しましょう!」
  ピコ「うん!」

       2人、少しの間、薬草を探しているように。

  ピコ「どこにあるんだろう・・・。」
  ティンクル「えっと・・・」
  
       2人、同じ方向を指差して。

  2人「あ!!あった!!」

       その時、1人の少年、2人が見つけた薬草を、
       2人より先に摘む。

  ピコ「あっ!!」
  ティンクル「何するの!?」
  少年「なんだ、ただの草か・・・。」
  ティンクル「それは薬草なのよ!返しなさいよ!!」
  少年「これは俺様が先に見つけたんだ!だから俺様のものだ
      !!」
  ピコ「僕・・・どうしても、その薬草がいるんだ!!」
  ティンクル「ちょっと、あなた!!いくら先に見つけたからって、
         ピコは病気のお母さんの為に、その薬草が欲しい
         って言ってるのよ!!少しくらい分けてあげなさい
         よ!!」
  少年「誰だ、おまえ・・・。」
  ティンクル「私は花の妖精ティンクル!」
  少年「妖精?」
  ティンクル「そう!・・・だからお願い!その薬草を私たちに・・・!」
  少年「い・や・だ。」
  ピコ「僕、今これだけしか持ってないんだ・・・お金・・・。これじゃ
     駄目かな?売ってもらえるなら僕・・・」
  少年「金なんかいらないね。」
  ピコ「じゃあどうすれば・・・」
  少年「そうだなぁ・・・(ティンクルの手に持っている杖に気付く。)
      おまえの、その手に持ってる杖・・・。それが噂の妖精の
      杖だろ?それを少し見せてくれよ・・・。」
  ピコ「え・・・?」
  ティンクル「でも・・・これは・・・」
  少年「いいだろ?少し見たら、すぐに返すからさ!」
  ピコ「ティンクル!駄目だよ!妖精は杖がなければ、妖精の国
     へ帰れなくなるんじゃないの!?」
  少年「煩いな!おまえは黙ってろよ!!すぐに返すって言って
      るんだ。なぁ、いいだろ?」
  
  

   


  ティンクル「(少し考えて。)・・・いいわ・・・。はい。(杖を差し出
         す。)」
  ピコ「ティンクル・・・!」
  少年「(杖を受け取って。)へぇ・・・これが噂の妖精の杖かぁ・・・。」
  ティンクル「早く薬草を・・・」
  少年「こんな草なんかいるもんか!(捨てる。)こっちの杖の方が
      いいや!!」
  ティンクル「え・・・?」
  少年「これはいただいていくぜ!!」
  ティンクル「駄目よ!!」
  ピコ「見るだけって言っただろ!!」
  少年「そんなの知らないね!」
  ティンクル「返して!!」
  少年「もし返して欲しいなら、村外れの洋館まで来るんだな!!
      (笑う。)もっとも・・・怖くておまえらには、来れないだろうけ
      どな。じゃあな!」

       少年、下手へ笑いながら走り去る。      

  ティンクル「待って・・・!!返して・・・返してよーっ!!」
  ピコ「くそう・・・」
  ティンクル「・・・怖くて行けないって・・・?」
  ピコ「村外れの洋館って・・・みんながお化け屋敷って呼んで、
     近寄らない所なんだ・・・。」
  ティンクル「・・・お化け屋敷・・・?(自分に言い聞かせるように。)
         大丈夫よ・・・!!ピコは早く、お母さんにこの薬草を
         (下に落ちた薬草を拾って、ピコに差し出す。)持って
         行ってあげて!!私は杖を取り返しに行って来るわ
         ・・・」
  ピコ「でも・・・」
  ティンクル「早く!!(ピコの背中を押す。)」
  ピコ「・・・うん・・・」

       ピコ、上手へティンクルを気にしながら、走り去る。

  ティンクル「(元気よく。)さよならー!!(手を振る。)」

       音楽流れ、紗幕閉まる。

  ――――― 第 1 場 ――――― C


  


  ティンクル「(心細げに。)どうしよう・・・。お化け屋敷だなんて・・・。
         独りぼっちで・・・誰も知らない場所で・・・すごく心細い
         わ・・・。でも・・・ううん!!(首を振る。)」

       ティンクル歌う。

       “大丈夫 1人で
        私は花の妖精
        勇気を出して 立ち向かう今・・・”

  ティンクル「・・・1人でも大丈夫よ・・・!きっと・・・!平気よ・・・!
         多分・・・。大王様には、報告しとかなくちゃ・・・。
         大王様ー・・・大王様ー・・・(恐る恐る呼ぶ。)」

  大王の声「何だティンクル・・・。一体いつまで地上で遊び回って
         いるつもりだ。」

  ティンクル「あの・・・それが・・・妖精の杖をなくしちゃって・・・(笑
         う。)」

  大王の声「何ー!!なくしただとー!?馬鹿もーん!!(カミナリ
         の音が轟く。)おまえは妖精にとって、あの杖がどれ
         程大切なものか、分かっておらんのかーっ!!」

  ティンクル「ごめんなさーい!!すぐに探して来ます!!」

  大王の声「すぐに見つけて、さっさと帰って来るのじゃー!!
         来るのじゃー・・・(繰り返す。)」

  ティンクル「はーい・・・!!(溜め息を吐く。)仕方ない・・・!
         ちょっと心細いけど・・・私・・・お化け屋敷に行くわ!!」








          

             妖精の杖を取られてしまったティンクル・・・
             大切なその杖を取り返すことができるので
             しょうか・・・?
             それでは“2”へ続きます・・・。

     














  ※ティンクルちゃんとピコ、大王様は、“音の妖精・・・”と、同じ
   メンバーです(^^♪
   例のクローゼットから取り出して、ポーズさせてみました♥
   この2人と、少年のブルー色の3色コラボ、目に残りやすくする
   為に、敢えてオーソドックスな配色にしてみました^^;
   2人で並べてみると、可愛くないですか~・・・?(^^)

  ※2、この大王様は“使い回し”・・・と言うか、“音の妖精・・・”と
   同一人物です(^^)v“杖”は持たせていません。・・・なぜ“杖”
   をやめたのか・・・忘れてしまいました~^^;今回は、短いお
   話しの為、何度も背景を代えると、目が忙しいと考え、背景は
   1枚で通すことにしました。

  ※3、この作品の時には、“オアシス”ではなく、100均一で見つ
   けた、発泡スチロールのブロックに穴を開け、そこにティンクル
   ちゃんの杖の動きに合わせて、お花を挿していく・・・と言う方法
   をとりました。下にいる、お花を挿すメンバーと、右左を合わす
   のが、意外と大変な場面でした~(^_^;)

  ※4、この“本”にも、ポン吉同様、持ち手が付いていない為、手
   で持っています^^;なぜ持ち手を付けなかったのか・・・?
   よく覚えていないのですが、“本”が重くて、持ち手を付けると
   不安定になる為・・・もしくは重くて、持ち手が耐えれなかった為
   ・・・ではなかったでしょうか・・・(~_~メ)
   右の方に長い“草”のようなものが見えていると思いますが、
   それがピコの探している“薬草”です(^^)

   そこに見えているのに見えないふり・・・は、チュンコちゃんも
   そうでしたが、結構大変な演技・・・^^;が、要求されます。
   “お人形”故に・・・(~_~;)


 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪


   (どら余談(^^♪)

   このお話しは、コンクール用に書いた作品の為、制限時間が
   あり、その為、他の作品に比べると、短く、登場人物も少なめ
   になっています。初めての経験のコンクール・・・右も左も
   分からずに、ドキドキの内に終わってしまった・・・と言った感じ
   ではあったのですが、ホント沢山の方たちに協力して頂き、
   人と人とのつながり・・・と言ったことについて、とても一杯
   勉強できた・・・貴重な体験をさせて頂きました。残念ながら、
   1回限りの出場でコンクール自体が終了してしまい、改めて
   挑戦するチャンスが断たれてしまいましたが、また、いつか
   こんなチャンスがあるのなら、是非挑戦したい・・・と心に決め
   ている次第です。
   


         おまけフォト(^^)v
        
                 少年くん。 

   この作品の中の“少年”くんは、時間に制限があったので、
   お話しの中で、いい子に戻してあげることが出来ません
   でした(;_;)お顔も“意地悪”に見えるように作ってあるので、
   お話しの中では“いけない子”でも、ちょっと可哀相な“少年”
   くん、みなさんの心の中で、いい子に生まれ変わらせてあげ
   てくださいね<(_ _)>
   よ~く読んで頂くと、“何故・・・?”と言うような境遇の“少年”
   くんなのです(;_;)名前もなく、ただの“少年”・・・ですし・・・。 

   この“少年”くんのお話しなんかも、面白いかも知れないです
   ね♥今、フッと思いつきました(^^)v


   正直なところ・・・この時間に制限がある・・・と言うことは、
   書きたい物語が制限されるようで、本当はもう少し2人に
   会話させたいのに・・・と思いながら、意外とあっさり進めなけ
   ればいけない流れが、自分自身・・・物足りない感一杯の、
   出来上がりではあるのです。
   
   

                                 どら。












       http://www.geocities.jp/littlepine2005/

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        http://blog.goo.ne.jp/axizgoo7227