――――― 第 6 場 ――――― A
音楽流れ、舞台明るくなる。と、海の中。
(ドーンの住む洞窟。)
ドーン、手に持った大きな団扇で、客席方を
扇ぐ。(団扇の動きに合わせ、強風の音。)
コーラス“やれ風起こせ!
やれ強風だ!
嵐を起こせ風を呼べ!”
中央椅子にドーン腰を下ろし、手に持った
団扇を見ている。
ドーン「ええい・・・矢張り後1枚足りないか・・・。この未完成の状
態の団扇で、風を起こしたところで・・・イマイチ嵐と呼ぶ
には迫力に欠けるようだ・・・。だが、中々魚客は来ないし
・・・折角イルカが人間の島の結界の鎖を、上手いこと切
り離したようだと言うのに・・・。後1枚・・・早く海の王や人
間達が、嘆き苦しむ顔が見たいもんだ・・・(笑う。)」
そこへ召使クラゲ、上手より登場。
召使クラゲ「ドーン様・・・」
ドーン「ん?」
召使クラゲ「お客様です。」
ドーン「何?客だって?魚か?」
召使クラゲ「あの・・・それが・・・」
その時上手よりキューイ(イルカの姿。)、
登場。
キューイ「・・・こんにちは・・・」
ドーン「おまえは・・・何だ、まだ私に何か用か?人間になる薬は
、おまえに渡した分で終わりだぞ。」
キューイ「違うんだ・・・僕・・・また、ドーン婆さんにお願いがあっ
て・・・」
ドーン「願い・・・?今度はそのヒレを頂くことになるぞ・・・?それ
でもいいのか?」
キューイ「(片ヒレを見て。)・・・うん・・・」
ドーン「ほう・・・(小声で。)それはそれは・・・願ってもないわ・・・。
何が望みだ。言うてみるがいい・・・。」
キューイ「あの・・・僕・・・今度はカニになりたいんだ・・・。だから
お婆さん、お願いします!!僕のヒレと交換で、小さな
カニになる薬を作って下さい!!」
ドーン「カニ・・・?人間の次はカニか・・・エラく珍しいものになり
たがるイルカだねぇ・・・。まぁ、いい・・・そんなことはお安
い御用だ。少しだけ待っておれ・・・」
ドーン、後方に置いてあった釜の方へ行き、
何やら怪しげな呪文を唱え始める。
(“あぶらかたぶら・・・”)と、爆発音(“ボンッ”)
と共に、白煙が上がる。
ドーン「さぁ出来た・・・。この薬も人間になる薬同様、一気に飲
んでしまうと・・・イルカには戻れなくなるぞ・・・(笑う。手に
持った薬瓶を、キューイの方へ差し出す。)」
キューイ「(薬瓶を受け取り。)・・・うん・・・」
ドーン「それでは約束通り、おまえのその片ヒレを・・・貰い受け
るとするかな・・・(笑う。)」
キューイ「・・・はい・・・どうぞ・・・」
ドーン「あぶらかたぶら・・・このイルカの持つ胸ヒレを1枚・・・我
に寄こしたまえ・・・あぶらかたぶら・・・」
“ボンッ”の爆発音と共に、白煙が上がり
キューイの片ヒレが消える。
キューイ「あ・・・」
ドーン「(笑う。)これでようやく私の団扇が完成するよ!!(笑う
。)」
キューイ「・・・僕の・・・」
ドーン「さぁ、早速このヒレを・・・」
そこへ上手より、召使クラゲ登場。
召使クラゲ「ドーン様・・・」
ドーン「何だ!?今、私は忙しいんだ!ようやく念願の残り1枚
のヒレが手に入り、団扇を完成させるところだと言うのに
・・・!!」
召使クラゲ「それが・・・」
ドーン「どうした!?」
召使クラゲ「海の国の王様が・・・」
ドーン「何!?海の国の王だと!?何て気色の悪い名前を出す
んだ!!全く・・・!!まぁ、いい!!で、その・・・王がどう
したのだ!!」
召使クラゲ「・・・あの・・・」
そこへ上手より王、登場。
王「久しぶりだな、ドーン。」
ドーン「げっ!!海の国の王!!(手に持っていたヒレと団扇を
背後へ隠すように。)」な・・・何しにこんなところへやって
来たのだ!!ここはおまえの来るような場所では・・・」
キューイ「キューイ・・・」
王「(キューイを認め。)おお、キューイではないか・・・」
ドーン「あ・・・」
王「珍しいところで会うな。どうした?こんなところへ何しにやっ
て来たのだ。」
キューイ「あの・・・」
ドーン「お・・・おい、そこのイルカ!!支払いは済んだのだから
、黙ってサッサと帰るがいい!!」
キューイ「え・・・でも・・・」
ドーン「い・・・いいから早く行け!!」
キューイ「う・・・うん・・・。じゃあ・・・王様・・・キューイ・・・」
王「ああ・・・」
キューイ、王の方を気にしながら、上手へ
去る。
ドーン「(小声で。)キーッ!!後、もう少しで団扇を完成させるこ
とが出来ると言うのに・・・いいところで余計な邪魔者が・・・
!!」
王「ところでドーン・・・今の支払い・・・とは何の話しだ?」
ドーン「へっ・・・?あ・・・い・・・いや・・・何・・・」
王「真逆、まだおまえは懲りずに悪いことを繰り返しておる訳じ
ゃあないだろうな?」
ドーン「ま・・・真逆、滅相もない・・・私ゃ、ちゃあんとあんたの言
いつけを守って、ここでこうして大人しく・・・」
王「大人しく・・・?」
ドーン「ええ!一歩たりとも外へ出たこともなけりゃあ、可愛らし
い魚達の面倒を見ながら、細々と占いで生計を立てて暮
らしているんですよ・・・」
王「ほう・・・。それはそうとドーン・・・」
ドーン「へ・・・?」
王「最近、我々海の国で、矢鱈とヒレの傷付いた魚が目に付く
のだが・・・」
ドーン「・・・ヒ・・・レ・・・?」
王「その魚達に訳を訪ねても、一様に口を噤むので、本当の理
由は分からないのだが・・・。何やら噂では、海流の先へ出掛
けた魚が戻った時には・・・そのような姿になっておるとかお
らんとか・・・」
ドーン「か・・・海流の先・・・とは・・・?」
王「そう、海流の先・・・即ちこのおまえの洞穴だ、馬鹿者が!!
」
カミナリの轟音が響き渡る。
ドーン「(両耳を押さえる。)ひーっ!!わ・・・私ゃ何もしてません
!!ホ・・・本当です、王様!!」
王「嘘を申すとただでは済まんぞ!!(カミナリ音。)」
ドーン「ひーっ!!う・・・嘘なんて・・・そんな・・・私ゃ・・・嘘なん
てこのかた一度も・・・」
王「本当か・・・?」
ドーン「はい!!はい!!勿論でございます、王様!!」
王「まぁ・・・そんなに申すなら・・・信じてやらんでもないが・・・。
そうだ、今日はおまえに土産を持って来たのだ。」
ドーン「・・・み・・・土産・・・?」
王「おまえも自分で申した通り、こんな洞穴でひっそりと暮らして
おるのだろう・・・?ほら・・・これだ・・・(袖の下から1本の酒
瓶を取り出し、テーブルの上へ置く。)」
ドーン「・・・こ・・・これは・・・?」
王「我が海の城で、古くから作られておる貝の酒だ。」
ドーン「貝の・・・酒・・・?」
王「長いこと酒も口にしておらんのじゃないか?」
ドーン「は・・・はぁ・・・それはもう・・・」
王「ではこれで久しぶりに、喉を潤すが良い。」
ドーン「ははぁ!!ありがたき幸せ!!」
王「それでは私はこれで帰るとする。おまえはゆっくり、その酒
を飲んで1人楽しむが良いぞ。」
ドーン「ははぁ!(頭を下げる。)」
海の王、上手へ去る。
ドーン「(王が去るのを見計らって。)糞忌々しい!!私が王が
持って来たものになど、手を付ける訳がなかろう!!何
が貝の酒だ!!こんな酒、何が入っておるか分かったも
んじゃないわ!!この海の端の、こんな場所で暮らして
いても、酒くらいいくらでもあるんだ!!魚を漬け込んで
作った魚ワインがな!!(笑う。)おい、クラゲ!!」
下手より召使クラゲ登場。
召使クラゲ「はい、ドーン様・・・只今・・・」
ドーン「私に酒を持って来い!!いつも飲んでおる、あの高級な
魚酒だ!!」
召使クラゲ「はい。(下手へ去る。)」
ドーン「それにしても危なかったわ・・・。あんな簡単に王の奴を
誤魔化せるとは・・・。ヒレの団扇のことがバレるんではな
いかとヒヤヒヤしたが、私の演技も捨てたもんではないな
。(笑う。)」
そこへ下手より、盆に酒瓶とグラスを乗せ、
召使クラゲ運んで来る。
召使クラゲ「・・・お持ちしました、ドーン様・・・(盆をテーブルの上
へ置く。)」
ドーン「おお、これだこれだ・・・私の愛飲、魚ワインだ。(瓶の酒
をグラスに注ぐ。)」
召使クラゲ「・・・(ドーンの様子をジッと見詰めている。)」
ドーン「(召使クラゲに気付き。)何を見ている!!サッサと下が
って、王が通った洞穴の入口に塩でもまいて来い!!」
召使クラゲ「は・・・はい・・・(ドーンの様子を気にしながら、下手
へ去る。)」
ドーン「(グラスを鼻の側へ。)うーん・・・何ていい香りだ・・・ん・・・
?気のせいか・・・何だかいつもと香りが違っているような
・・・(首をひねって。)風邪でもひいたかな・・・?まぁ、いい
わ。嫌な訪問客の後の口直しだ。(グラスの酒を一気に
飲み干す。)う・・・な・・・何だ・・・このワインは・・・いや・・・
ワインではない・・・ぞ・・・ク・・・クラゲ・・・何を・・・私に・・・
飲ませ・・・(胸を押さえ、苦しそうに身を屈める。)」
その時、“ボンッ”の爆発音と共に煙が
上がり、ドーンの姿が小さなカニに変わる。
ドーン「えーっ!!な・・・何だ、この姿は!!何で私がこんなカ
ニの姿に!!」
そこへ上手より、キューイ、王、登場。
キューイ「やった!!王様!!キューイ!!」
王「(笑う。)愚か者めが!!」
ドーン「おまえ達!!どうして・・・」
キューイ「そのお酒の中に、僕がお婆さんに作ってもらった、カニ
になる薬を入れておいたんだ!!キューイ!!」
ドーン「何だと!?」
王「おまえの悪事、この王が気付かぬとでも思ったか、馬鹿者!
!」
ドーン「畜生・・・!!何て奴らなんだ!!全く!!・・・あ・・・!!
真逆、カニになる薬をひと瓶全部、私に飲ませたんじゃあ
ないだろうな!?」
キューイ「大丈夫!お婆さんの薬は強力なんでしょ?キューイ
・・・。一口だけ・・・瓶の中に残しておいたからさ!キュ
ーイ!」
ドーン「え・・・えーっ!?では私はその薬を、殆ど飲み干したと
言うことではないか!!」
キューイ「けど、全部じゃあないんだから、いつかは元に戻れる
んでしょ?キューイ・・・」
ドーン「馬鹿野郎!!強力な薬を殆ど飲んでしまって一体、元
の姿に戻るのに何れ程の年月がかかると思っておるんだ
!!キーッ!!畜生!!」
キューイ「ハハハ・・・!!(笑う。)」
そこへ一匹の魚、下手より登場。
魚「ドーン様・・・」
ドーン「(魚を認め。)だ・・・誰だ、おまえは・・・」
魚「私、漸くあなたの薬の威力が消え去り、元の姿へと戻ること
が出来ました。」
ドーン「・・・ク・・・クラゲ・・・!?」
魚「はい。騙されクラゲの姿へと変えられ、今まで召使として扱
き使われ続けて参りましたが、あなたと最初に交わしたお約
束で、魚の姿へ戻れた暁には、自由にしてやると言われた
お言葉通り・・・これにてお役御免とさせて頂きます。」 ※
王「おまえはいたいけな魚に、そんな無慈悲なことをしておった
のか!!」
ドーン「い・・・いや・・・私は・・・」
王「おまえはカニに姿を変えられたくらいでは、反省が足りんよ
うだな!!」
ドーン「い・・・いえ、滅相もない!!もう十分に反省しております
とも、王様!!本当ですよ!!」
王「言葉だけなら、なんとでも言えるであろう!」
ドーン「そんな・・・」
王「ならば、これから先、我が城へと一緒に戻り、その姿が戻る
まで城の召使として暮らすがよい!!」
ドーン「えーっ!!そんなことはお許し下さい、王様ー!!」
ドーン、叫び声を上げながら、慌てて上手へ
走り去る。
キューイ「あ、王様・・・ドーンが逃げてしまいますよ、キューイ・・・
」
王「(笑う。)構わん。あの姿では悪いことをしようにも、何も出来
まい。」
魚「王様、ありがとうございました。(頭を下げる。)」
王「おまえも、もう自由にしていいんだぞ。大変だったな。」
魚「いえ・・・。それでは私は・・・」
魚、上手へ去る。
キューイ「王様・・・よかったですね、キューイ・・・」
王「うむ・・・。それよりも傷付いたそのヒレを、治してやろう。」
キューイ「え・・・?」
――――― “イルカのキューイ”4へつづく ―――――
※ この“クラゲ魚”さんの台詞を書いている時・・・私の頭の
中は時代劇調に変わっておりました(^^;
― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪
(どら余談^^;)
今日は、違う区で初めて呼んで頂いたサークルさんでの
人形劇公演でした♥
↑の写真は、その時に向こうの方が撮って下さった写真を、
直ぐに1枚の新聞のように作って下さり、頂いて帰って来た
ものです(^-^)
(残念ながら下半分は、皆で記念撮影したような写真なの
で、お見せ出来ませんが・・・)
今日もとても楽しく、子ども達のキラキラした瞳に心癒され
た素敵な1日となりました(^O^)
・・・とっても疲れたので、今まで爆睡してしまいましたが・・・
(^^;
http://milky.geocities.jp/little_pine2012/index.html
http://ritorupain.blogspot.com/
http://blogs.yahoo.co.jp/dorapontaaponta
〈 主な登場人物 〉
キューイ ・・・ 海の国に住むイルカ。アリアの友達。
アリア ・・・ 海の国のお姫様。
ルディ ・・・ 人間の島に住む少年。アリアの友達。
村長 ・・・ 人間の島の村長。
海の国の王様。
ウオレット ・・・ アリアの爺や。
ドーン ・・・ 海の国に住む魔法使いの老婆。
島の婆さん ・・・ 島に住む老婆。
ラダン ・・・ 島の住人。
その他。
― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪
音楽流れ、幕が開く。
――――― 第 1 場 ―――――
舞台は海の中。
海の国のお姫様(アリア)髪をとかして
出掛ける準備をしている。
アリア、歌う。
“さぁ 髪をとかしましょ
さぁ 何着ましょ
今日も行くわ海の外
これまで遠慮がちに
コソッと覗いた世界だけれど
今は違うわ友達がいる
お父様の許可もおりた
温かく迎え入れてくれるわ
今まで知り得なかった場所”
アリア「さぁ、仕度が出来た!早くルディのところへ行きましょう
!今日は年に一度の収穫祭だって言ってたわ。楽しみね
ぇ・・・人間の人達のお祭りって、どんなのかしら!初めて
よ、私!」
そこへ上手よりイルカのキューイ、登場。
キューイ「アリア!キューイ・・・」
アリア「キューイ!私どう?」
キューイ「え・・・?」
アリア「可愛く見える?」
キューイ「うん・・・どうして?キューイ・・・」
アリア「私、今日初めて人間のお祭りに行くの!」
キューイ「人間の・・・?キューイ・・・」
アリア「そうよ!ルディが誘ってくれたの!」
キューイ「・・・ルディが・・・?」
アリア「ああ、楽しみだわ!そうだキューイ、私に何か用事?」
キューイ「え・・・?あ・・・ううん・・・別に・・・キューイ・・・」
アリア「そう?じゃあ私、行くわね!!」
アリア、上手へ走り去る。
キューイ「アリア・・・!僕・・・アリアと遊ぼうと・・・キューイ・・・」
キューイ、歌う。
“僕は海に住むもの・・・
陸には上がれない・・・キューイ・・・
青い空 心地良い風
温かい砂地の感触
そんなものとは無縁の生き物・・・
僕はずっとこの場所で
友達が帰るのをただ待つよ・・・
僕には海から出る術がない
だから君の背中を見送り続けるよ・・・
僕のところへ戻るまで・・・キューイ・・・”
その時、ウオレットの声が聞こえる。
ウオレットの声「姫様ー!!姫様ー!!」
そこへ下手より、ウオレット登場。
ウオレット「姫様ー!!(キューイを認める。)あ、キューイ!姫
様を見なかったか?」
キューイ「ウオレットさん・・・アリアなら、今ルディのところへ行っ
たよ・・・キューイ・・・」
ウオレット「何?また姫様は人間の島へ遊びに行かれたのか?
」
キューイ「うん・・・キューイ・・・」
ウオレット「全く・・・最近の姫様ときたら、いくら王様が人間と付
き合うことを許されたからと言って、毎日毎日、朝から
晩まで・・・」
ウオレット、歌う。
“生まれてから今日まで
ずっとお側に仕えてきたが・・・”
魚達(コーラス)“いたずら姫様
おてんば姫様”
“だが近頃 目に余る
その行動の数々・・・”
魚達(コーラス)“いたずら姫様
おてんば姫様”
“はてさて困った
その内エライことにならぬがいいが・・・”
ウオレット「はぁ・・・」
ウオレット、下手方へ行きかける。
キューイ「ウオレットさん!!キューイ・・・」
ウオレット「どうした、キューイ?」
キューイ「あの・・・ずっと前・・・海流の先の洞窟に・・・魔法使い
のお婆さん魚が住んでるって、言ってなかった・・・?
キューイ・・・」
ウオレット「魔法使い・・・おお・・・ドーン婆さんのことか・・・?」
キューイ「・・・ドーン婆さん・・・?」
ウオレット「今はその洞窟で、占いをして暮らしておるようじゃが
・・・」
キューイ「占い・・・」
ウオレット「そうじゃ。だが、あの婆さんには近寄らん方がいいぞ
。」
キューイ「・・・何故・・・?キューイ・・・」
ウオレット「あの婆さんは昔、ゴーザと共に悪いことをして、王様
にこの海の城を追い出された、年寄り魚じゃ・・・。その
占いにしても、あまりいい評判は聞かんからな・・・。な
んでも願いを叶えてやるとかなんとか言って、海の魚
を集めては何やら良からぬことを、企んでおるようじゃ
・・・」
キューイ「そうなんだ・・・ありがとう、ウオレットさん!!キューイ
!!」
キューイ、上手へ去る。
ウオレット「あ・・・これ、キューイ!!急にどうしたんじゃ・・・ドー
ンのことを聞いてくるなんて・・・。」
紗幕、閉まる。
――――― 第 2 場 ――――― A
紗幕前。
音楽流れ、上手より島に住む人間の
少年(ルディ)、下手よりアリア登場。
アリア「ルディー!!」
ルディ「あ、アリア!!早く!!早く!!祭が始まっちゃうよ!!
」
アリア「ええ!!」
アリア、ルディ歌う。
“今日は年に一度のお祭りだ
誰もが楽しみ待ちに待った日だ
さぁ出かけよう皆で手をつなぎ
足踏み鳴らして踊り明かそう
祭の日は長いんだ
だから存分に楽しむんだ
今日だけは!!”
ルディ「さぁ、行こう!!」
アリア「うん!!」
ルディ、アリア、手をつないで上手へ
走り去る。
――――― 第 2 場 ――――― B
紗幕開く。と、島の祭会場。
村人達、楽し気に歌い踊る。
村人達“祭だ祭だ楽しもう!!
誰でもおいで今日だけは!!
仕事も休みだ楽しもう!!
年に一度の楽しい日!!”
そこへ上手よりルディ、アリア、嬉しそうに
走り登場。
アリア「わぁーっ!!皆、楽しそう!!」
ルディ「うん!!」
2人、手拍子して皆の様子を楽しそうに
見ている。
その時、踊りの輪から外れたルディの姉
(ラナ)、村長、2人の側へ。
ラナ「ルディ!」
ルディ「姉さん!」
アリア「こんにちは!」
ラナ「アリア!いらっしゃい!」
村長「おお、アリア。よく来たな。」
アリア「村長さん!」
村長「さぁ、今日は年に一度の祭だ。こうやって皆、一日中浮か
れ、騒いで過ごすんじゃよ。アリアもたっぷり楽しんでおい
で。」
アリア「ありがとうございます、村長さん!」
ラナ「ルディ!今日はちゃんと水筒を持って来たでしょうね?」
ルディ「姉さん、勿論だよ!」
ラナ「前のように、アリアの体に蓄えてある水が、なくなると大変
よ。」
ルディ「分かってるさ!」
アリア「ルディ・・・」
ルディ「さぁ、アリア!!踊ろう!!」
アリア「ええ!!」
ルディ、アリアの手を取り、踊りの輪に
加わる。
その時、上手より村人(ラダン)、慌てた
様子で走り登場。
ラダン「村長ー!!村長ー!!あ・・・村長!!」
村長「ラダン、どうした?」
ラダン「大変なんだ・・・!!」
村長「大変・・・?」
ラナ「ラダン、どうしたの?そんなに慌てて・・・」
ラダン「あ・・・ラナ・・・いや・・・何・・・皆には関係ないことなんだ
。すまない、驚かせて・・・」
ラナ「そう・・・」
ラダン「ああ・・・(作り笑いする。村長をチラッと見て。)村長・・・」
村長「さぁ、ラナも楽しんで来なさい。」
ラナ「はい、村長さん!」
ラナ、踊りの輪に入る。
ラダン、一寸下手端に寄る。村長、ラダンに
続いて端へ寄る。
(踊りの音楽小さくなる。人々、変わらず
楽しそうに踊っている。)
村長「どうしたんだ・・・ラダン・・・?」
ラダン「村長・・・それが海が荒れて・・・嵐が来そうなんだ・・・」
村長「嵐・・・?島の婆さんの話しじゃ、ここ暫くは天気の崩れは
なく、穏やかな日々が続くと言っていたが・・・?」
ラダン「そうなんだが・・・実は・・・」
村長「どうした・・・?」
ラダン「南の丘の祠の鎖が・・・」
村長「鎖がどうしたんだ・・・!?」
ラダン「・・・誰かに切られた・・・」
村長「何だと!?あの海からの悪者を寄せ付けない為に、島の
婆さんが島に張った結界の鎖がか・・・!?」
ラダン「(頷く。)」
村長「何てことだ・・・。まぁ・・・今は海の国の者と我々人間は、
また昔のように仲良く共存するようになったのだから・・・海
からの悪者と言っても、そんな者はおらんとは思うが・・・」
ラダン「けど・・・ゴーザのこともあったし・・・」
村長「そうだな・・・まぁ少しの間、用心して海に見張りの者を立
ててくれ。(舞台の方を見て。)今日のところは年に一度の
祭で、島民達も浮かれておる・・・。そっとして、存分に楽し
ませてやることにしよう。」
ラダン「はい・・・」
村長、ラダン、下手へ去る。
入れ代わるように一人の少年(キューイ)、
楽しそうな人々の様子を見ながら、ゆっくり
登場。
アリア残して、いつの間にか踊っていた
人々、上手下手へ其々去る。
キューイ、アリアを見詰める。
アリア、自分を見詰めるキューイに気付き、
近寄る。
アリア「こんにちは・・・私はアリア!あなた・・・誰?この島の人
・・・?どこかで・・・会った?」
キューイ「う・・・うん・・・ね・・・ねぇ、アリア・・・!僕・・・キ・・・」
アリア「・・・何?」
その時、下手よりルディの声が聞こえる。
ルディの声「アリアー!!」
アリア「ルディ・・・?」
そこへ下手よりルディ、走り登場。
(ルディの登場と共に、キューイ消える
ように去る。)
ルディ「アリアー!どうしたんだい?」
アリア「あ、ルディ!この子、島の・・・(振り返る。)」
ルディ「この子・・・?」
アリア「・・・あら・・・今、ここに男の子が・・・変ね・・・」
ルディ「男の子って・・・」
アリア「今までここにいたのよ!この島で見かけたことがない子
だったわ・・・」
ルディ「ふうん・・・誰だろう・・・。それよりアリア!向こうで食事が
始まるよ!」
アリア「本当?」
ルディ「うん!」
アリア「私、人間の食べ物って、どんなのか凄く興味があったの
!(笑う。)」
ルディ「早く行こう!」
アリア「ええ!」
アリア、ルディ下手へ走り去る。
入れ代わるように上手よりキューイ、
下手方を見詰めながら、ゆっくり登場。
キューイ「アリア・・・」
音楽流れ、キューイ歌う。(紗幕閉まる。)
“僕は・・・海に住む者・・・
陸には上がれない・・・
だけど・・・どうしても僕は・・・
君の側へ来たかったんだ・・・
だから・・・”
キューイ「アリア・・・キューイ・・・」
暗転。
――――― 第 3 場 ―――――
紗幕開く。と、海の中。
(魔法使い“ドーン”の住む洞窟。)
音楽流れ、ドーン歌う。
“ああ何故こんな場所にいる
ああ何故私は動けない
誰も悪くはない筈さ
本能のまま行動しただけ
誰も私を責められはしない
なのにあいつは偉そうに
私の自由を奪いやがった
そんな馬鹿な話しはないさ
いつか必ず仕返ししてやる
この手でおまえの
息の根止めてやる!!”
ドーン「ああ、本当に忌々しい・・・!!海の王め・・・ゴーザと一
緒に私まで海の城を追放するなんて!!おまけにこんな
洞穴から出るなだなんて!!一体私が何をしたって言う
んだ!!本当に・・・」
そこへ一匹の召使クラゲ、上手より
登場。
クラゲ「ドーン様・・・」
ドーン「なんだ?」
クラゲ「お客様です。」
ドーン「客?魚か?」
クラゲ「いえ・・・イルカです。」
ドーン「イルカ・・・?イルカとはまた珍しい・・・。まぁいい、呼んで
来い・・・。」
クラゲ「はい。」
召使クラゲ、一旦上手へ去る。
ドーン「(大きな団扇を取り出し。)いよいよ、この魚のヒレをもぎ
取って作ったヒレ団扇も、今来たイルカの一ヒレを貼り付
ければ、いよいよ完成だ。(笑う。)このヒレ団扇が出来上
がれば、大風を起こし海を嵐とし、海の世界を海の城共
々目茶苦茶に壊してやる!!(笑う。)」
――――― “イルカのキューイ”2へつづく ―――――
そこへキューイ、幾分不安気に、回りを
見回しながらゆっくり登場。
(ドーン、中央テーブルにつく。)
ドーン「・・・何か用か・・・?」
キューイ「あの・・・ドーン婆さんですか・・・?」
ドーン「いかにも・・・私はドーンだが・・・」
キューイ「僕はイルカのキューイ・・・あの・・・ドーン婆さんは、僕
達、海の国の者の願いを何でも叶えてくれる、魔法使い
なんでしょ・・・?キューイ・・・」
ドーン「確かに・・・それが私の生業ではあるが・・・それが何か
・・・?」
キューイ「僕・・・お婆さんにお願いがあって・・・!!キューイ・・・
」
ドーン「願い・・・?タダでは聞かんぞ。それでもよければ、おまえ
は私の客だ。何でも願いを言うてみるがいい。」
キューイ「あの・・・僕・・・お金は持ってなくて・・・キューイ・・・」
ドーン「金などいらんわ。」
キューイ「え・・・?」
ドーン「金などいらんと言っておるんじゃ。」
キューイ「じゃあ何を・・・キューイ・・・」
ドーン「・・・ヒレじゃ・・・」
キューイ「・・・ヒレ・・・?」
ドーン「そうヒレじゃ・・・」
キューイ「ヒレって・・・キューイ・・・」
ドーン「おまえのその両胸についておるヒレ・・・そのヒレを、願い
を叶える為のお代として、私が貰い受ける。」
キューイ「ヒレを・・・(胸ビレを見る。)このヒレがなくなったら僕
・・・キューイ・・・」
ドーン「なぁに、ヒレと言っても片方だけだ。片方のヒレがなくな
ったとしても、おまえにはもう片方のヒレが残っておるでは
ないか・・・。なら、海の国で生活するのに、何の不自由も
ないのじゃあないか・・・?」
キューイ「・・・でも・・・キューイ・・・」
ドーン「先ずは“願い”とやらを、試しに言ってみるがいい・・・」
キューイ「僕・・・僕・・・人間の島へ行きたいんだ・・・キューイ・・・
」
ドーン「人間の島・・・?」
キューイ「うん・・・僕・・・どうしても人間になりたいんだ・・・キュー
イ・・・人間になって・・・人間の島へ行きたいんだ・・・!!
キューイ・・・」
ドーン「ほう・・・おまえの願いは珍しい願いだな・・・。おまえはそ
の姿が気に入らんのか?」
キューイ「違うんだ、キューイ!僕はイルカの姿が嫌なんじゃな
いんだ・・・僕は・・・僕は陸へ上がりたいだけなんだ・・・!
キューイ・・・」
ドーン「(ニヤリと微笑む。)ならば・・・おまえの願い、叶えてやろ
う・・・」
キューイ「・・・え・・・?」
ドーン、後方棚より一つの小瓶を取り出し、
キューイの前へ差し出す。
キューイ「これは・・・キューイ・・・」
ドーン「この中の薬を飲めば、おまえの望む人間に忽ちなれる
・・・。」
キューイ「人間に・・・」
ドーン「ああ・・・。呉呉も言っといてやる・・・一口だけ飲むんだぞ
・・・。いっぺんに全部飲み干すと、二度とイルカの姿には
戻れなくなる・・・。私の作る薬は、どれもこれも強力だか
らな・・・。(笑う。)」
キューイ「・・・そうなんだ・・・」
ドーン「だが・・・一口だけ飲めば、好きな時にだけ人間の姿にな
れるのだ・・・。」
キューイ「・・・けど・・・この薬を貰えば・・・僕のヒレ・・・なくなるん
だよね・・・キューイ・・・」
ドーン「本来ならば、どんな願いも片ヒレと交換なんだが・・・特
別におまえだけ・・・違うものを代金としてやってもいいぞ
・・・」
キューイ「違うもの・・・?」
ドーン「ああ・・・。」
キューイ「本当に・・・?」
ドーン「(頷く。)」
キューイ「それは何・・・?僕が用意出来るものなの・・・?キュー
イ・・・」
ドーン「ものではない・・・」
キューイ「・・・え・・・」
ドーン「なぁに、難しいことではない・・・。人間となり、島へ上がっ
た時に・・・ちょっとしたことをしてくれればいいんだ・・・」
キューイ「ちょっとしたことって・・・キューイ・・・」
ドーン「ああ・・・ちょっとしたことだ・・・」
キューイ「・・・それは・・・どんなこと・・・?」
ドーン「島の南方の丘の上に・・・小さな祠がある・・・」
キューイ「祠・・・?」
ドーン「そうだ・・・。その祠に巻いてある鎖を、この・・・(後方棚
からハサミを取り、キューイの方へ差し出す。)ハサミを使
って切ってくるのだ・・・」
キューイ「・・・(ハサミを受け取る。)このハサミで・・・キューイ・・・
」
ドーン「ああ・・・。そうすれば、おまえはこの薬を使って、いくらで
も好きな時に人間の姿となり、島へ上がることができるぞ
。」
キューイ「・・・分かった・・・分かったよ、キューイ!!僕、お婆さ
んの言う通りにする・・・!!」
ドーン「それでは直ぐにこの薬を一口飲み、人間の島へ行け・・・
。丁度今日は年に一度の島の祭の日だ。島民達は騒ぎ
浮かれて、容易に祠に近寄ることが出来るであろう・・・。」
キューイ「うん・・・」
ドーン「それと・・・よいか?このことは誰にも・・・決して誰にも言
うではないぞ。特に・・・海の王にはな・・・」
キューイ「・・・どうして・・・?」
ドーン「おまえの望みが叶ったのだから、それでいいではないか
!!誰に言い触らすことがあろう!!」
キューイ「・・・お婆さん・・・う・・・うん・・・」
フェード・アウト。
ドーンの声「(笑う。)結界さえとければ・・・海の国だけでなく、人
間の島諸共この手で始末してやる!!(笑う。)」
――――― 第 4 場 ―――――
カーテン前。
下手よりウオレット、上手より王、登場。
王「ウオレット!アリアは帰って来たか?」
ウオレット「王様・・・それがまだ・・・」
王「いくら人間と共存することになったからと言って、アリアはこ
のところ海の上へ行き過ぎる感があるようだ。飽く迄アリアに
は海の国の者だと言う自覚を持たせないと駄目だぞ、ウオレ
ット。」
ウオレット「はぁ・・・」
音楽流れ、王、ウオレット歌う。
ウオレット“少し前までこのじいを
甘え頼りにして来たのに
いつの間にやら海の外
興味が尽きぬお姫様”
王“甘やかさずにきた筈だ
夢中になると見境なく
走り出す呆れた娘
程々に・・・
いつも言い続けて来たことだ”
王「しかし・・・今回は・・・」
王“我々は海の者
陸で暮らす術はない
油断をすれば飲まれるぞ
水がなければ命はない”
ウオレット「命が・・・」
その時、下手より家臣魚、登場。
家臣魚「王様!」
王「どうした?」
家臣魚「何やら海が荒れてきたようです!」
王「・・・何?」
頭を下げ、家臣魚下手へ去る。
ウオレット「王様・・・海が荒れてきたとは・・・嵐でも来るんでしょ
うか・・・」
王「・・・うむ・・・今朝は嵐など来る気配もない、穏やかな空模様
であったが・・・。まぁ、だが用心に越したことはないな・・・。ウ
オレット、人間の島へアリアを迎えに行ってくれ。海が荒れる
前に・・・」
ウオレット「分かりました。」
ウオレット、下手へ去る。
王「しかしこの時期、急に嵐の様相だなどと・・・何か嫌な予感が
するのは・・・取り越し苦労であってくれれば良いのだが・・・。
」
王、考えているように上手へ去る。
――――― 第 5 場 ―――――
カーテン開く。と、人間の島。
俄かに風の音が強く、辺りは薄暗く嵐の前
のよう。
(南の丘に立つ、祠の前。)
村長とラダン、切れた鎖を手に話している。
村長「なんてことだ・・・こんなに太く頑丈な鎖が・・・いとも簡単に
切断されただなどと・・・。一体誰が・・・」
ラダン「(鎖を見て。)これはちょっとやそっとじゃ切れない鎖なん
ですよね・・・村長・・・」
村長「ああ・・・。結界の祈りが入る、神の鎖だからな・・・。普通
の斧や鎌では、こんなにスッパリとは切れまい・・・」
ラダン「一体何で切り離したんでしょう・・・」
村長「この鎖がこんな風に切り口の綺麗な切れ方をすると言う
のは・・・あまり考えたくはないが・・・何か人間の力以外の
・・・良からぬ魔力か何かがかかったものを、使って切った
としか思えない・・・」
ラダン「魔力のかかったもの・・・って一体・・・」
村長「それはわしにも分からないが・・・」
カミナリの音が聞こえてくる。(段々大きく。)
村長「(空を見上げて。)何やらこの空の様子も気になるところだ
からな・・・」
その時、下手より杖をついた老婆(島の
婆さん。)ゆっくり登場。
老婆「村長・・・」
村長「(老婆を認める。)おお、婆さんじゃあないか・・・」
老婆「(ラダンが持っている鎖に気付き。)矢張り・・・」
村長「え・・・?」
老婆「矢張り・・・鎖が切れておったか・・・」
ラダン「どうして分かったんだ?」
老婆「この空と海の様子を見れば一目瞭然じゃ・・・。こんな様子
はただ事ではないじゃろう・・・」
ラダン「お婆さん!!この鎖、何とかならないんですか?」
老婆「(鎖を手に取り。)こんな風に魔力で切られた鎖はもう、元
には戻らん・・・。新しい結界の鎖とて、そう直ぐには用意は
出来ん・・・」
村長「どれくらいで新しい鎖は用意出来るんだ、婆さん・・・」
老婆「魔力を封じ込める程の力を秘めた、結界の鎖を作るには
・・・少なくとも一ヶ月はかかるじゃろう・・・」
ラダン「一ヶ月・・・」
老婆「一ヶ月も待てんのじゃないか・・・?」
村長「確かに・・・だが今は、海の国の者達と我々人間は仲良く
・・・」
老婆「馬鹿者!この鎖を魔力のかかったハサミで切断したのは
、友好的な海の者ではないに決まっておろう!!第一、こ
の鎖は悪の心を持つ海の者を、島の中へ入れない為のも
の・・・。最初から友好的な海の者には、何の効き目もない
わ・・・。あのゴーザとて、洞穴から島の方へは出て来れん
かったろう・・・?」
ラダン「なる程・・・」
村長「・・・では・・・一体誰が・・・」
老婆「ゴーザ・・・」
ラダン「え!?カニの姿に代えられた筈の島の主だったゴーザ
が、また復活したのかい?」
老婆「違う!人の話しを最後まで聞かんか!ゴーザではない・・・
!ゴーザと共に、海の王に海の国を追放された、もう一人
の海の海獣・・・ドーンじゃ・・・。」
村長「・・・ドーン・・・?」
老婆「その昔・・・2人は同じようにいつも一緒に悪いことばかり
しておった為に、海の王の怒りをかい、2人共、海の国を追
放されたんじゃ・・・。そうしてその一人・・・ゴーザは人間の
島へとやって来て、我々を長年苦しめた島の主となり、今
まで島に君臨しておったのじゃ。そしてもう一人・・・同じよう
に追放されたドーンは・・・」
ラダン「ドーンは・・・?」
村長「どうしたのだ・・・?」
老婆「海の外れ・・・どんな魚達も恐ろしくて寄り付かないような
海の外れの・・・洞窟の中でひっそりと・・・暮らしておったよ
うじゃ・・・。」
ラダン「海の外れ・・・」
村長「でもそのドーンが何故・・・?」
老婆「さぁ・・・わしにもそこまではよく分からんが・・・何やら怪し
げな魔術を会得し、魚達の願いを叶える魔法使いとして・・・
暮らしておったようじゃが・・・あのドーンのことじゃ・・・ただ
で魚達の願いを叶えてやっておったとも考えられん・・・。何
か良からぬことを企んで・・・そして今こうしてこの島の結界
の鎖を切るような真似をしでかしたんじゃろう・・・。」
村長「良からぬこと・・・?」
老婆「そう・・・良からぬことじゃ・・・。但し今はまだドーン自身が
自ら動いておる訳じゃあなさそうじゃぞ・・・」
村長「え・・・?」
老婆「のぉ・・・そこにおる少年・・・」 ※
ラダン「少年・・・?」
その時、祠の後ろからハサミを手に持った
キューイ、登場。
キューイ「ごめんなさい!!僕・・・まさかこの鎖がそんな風にこ
の島を守ってる鎖だなんて知らなくて・・・キューイ!!
」
老婆「そなたは・・・」
キューイ「僕は海の国に住むイルカのキューイ・・・」
村長「イルカ・・・?」
ラダン「どう見たってイルカには見えないけど・・・」
老婆「ドーンの薬で、人間の姿にしてもらったか・・・?」
キューイ「うん・・・その代金の代わりに・・・この祠の鎖を切って
こいって・・・だから僕・・・」
老婆「代金・・・?では他の魚達からは、金を取るのか?」
キューイ「(首を振る。)ううん・・・他の魚達からは片ヒレを・・・願
いを叶える代金として、自分が貰い受けるんだって・・・
そう言ってた・・・。」
ラダン「片ヒレ・・・?」
老婆「・・・なる程・・・分かったぞ・・・」
村長「婆さん・・・?」
老婆「ドーンは魚達からもぎ取ったヒレを集め、団扇を作ってお
るんじゃ・・・。」
キューイ「・・・団扇・・・」
老婆「そうしてその団扇を使って大風をおこし、結界のなくなっ
たこの島諸共、海を目茶苦茶にするつもりじゃ。」
村長「何だって・・・!?」
老婆「昔から、魚達のヒレには摩訶不思議な力が宿っていると
言われておったんじゃ・・・。そのヒレの力は強大で、数が集
まればどんなことでも出来る、計り知れない力を蓄えた・・・
何かが出来ると・・・」
キューイ「そうなの・・・?」
老婆「この空の様子だと・・・その団扇はまだ未完成の筈じゃ・・・
。先ずはこのキューイに鎖を切らせ、それから・・・。団扇が
完成すれば手に負えん!!何とかしてその団扇をドーンの
手から取り上げねばならんぞ!!」
村長「だがどうやって・・・」
老婆「一先ず、海の王と話しをせねば!!我々人間が、ドーン
のいる海の中へ入ることは出来んのじゃから・・・。」
キューイ「僕が・・・!!僕にもお手伝いさせて下さい!!だって
・・・僕がこの鎖を・・・だから!!」
老婆「キューイ・・・うむ・・・これからしようとすることは海の中で
のこと。そなたの力が必要不可欠じゃ。頼んだぞ。」
キューイ「はい!!」
音楽流れキューイ、スポットに浮かび上がり
歌う。
“僕が・・・責任を取らなくちゃ
いくら・・・知らなかったことだとしても
僕は・・・僕がしたことを
少しだけ・・・怖いけど
勇気を出すんだ
僕は海の国に住む・・・
イルカのキューイなんだ・・・”
キューイ「アリア・・・」
フェード・アウト。
――――― “イルカのキューイ”3へつづく ―――――
※ この台詞、どこかで聞き覚えがありませんか~・・・?
― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪
(どら余談^^;)
書き終わったので、全7場となりました~(^-^)
暫くの間、第7回公演作品書きに入りたいと思います♪
そちらが仕上がれば、またブログ用作品と、今度は
少し短編の小さい作品の手持ちを何本か増やしたいので、
その作品書きも並行して出来れば・・・と、考えています♥
その合間に編集・・・人形作りと・・・
何だか文字にして書いてみると・・・忙しそうですね・・・
へへへ・・・(^^;
その時、扉をノックする音。
リリ、立ち上がる。
リリ「・・・はい・・・」
アル、入って来る。
アル「リリ・・・」
リリ「アル・・・(慌てて涙を拭うように。)」
アル「ミシェルの奴に・・・何か聞いたのかい?」
リリ「(微笑む。)もう・・・帰ってしまうんですってね!」
アル「長いこと留守にしてたから・・・仕事が立て込んでてね。」
リリ「私、今まで・・・考えれば当たり前のことなのに・・・アルに
も自分の生活があるなんて・・・思ってもみなかった・・・馬鹿
よね・・・いつまでも一緒にいれる筈ないのに・・・私・・・」
アル「リリ、違うんだ!」
リリ「・・・え・・・?」
アル「一緒について来て欲しい・・・」
リリ「アル・・・」
アル「俺と一緒に行こう・・・」
リリ「(嬉しそうに微笑む。が、直ぐに悲しそうな眼差しになり、
ゆっくり首を振る。)」
アル「どうして!?」
リリ「・・・私とあなたは・・・住む世界が違い過ぎるわ・・・。私を
連れて帰っても・・・あなたが困るだけ・・・」
アル「そんなことある訳ないだろ!!俺は君を愛しているんだ
!!ずっと一緒にいたい・・・!!」
リリ「・・・もう・・・決めたの・・・ロバンさん達と行くって・・・」
アル「リリ!!(腕を掴む。)」
リリ「離して・・・(涙声で。)・・・あなたとは行けない・・・」
リリ、走り去る。
アル「・・・どうして・・・リリ・・・」
フェード・アウト。
――――― 第 15 場 ―――――
カーテン前。マハル出る。
続いてリリ出る。
マハル「あんた、本当にアルについて行かないの?」
リリ「(頷く。)」
マハル「彼について行かないでどうするの!?あんた、一生
こんな芝居一座で過ごすつもり?」
リリ「・・・私・・・」
マハル「アルは真剣に、あんたのことを愛してるのよ!!あん
ただって分かってんでしょ!?」
リリ「・・・私なんかが一緒に行ったら・・・迷惑なだけですから
・・・」
マハル「あんた、どうして自分にもっと自信を持たないの?アル
は初めてあんたを認めてくれた人だって言ってたじゃな
い!!」
リリ「・・・マハル・・・」
マハル「第一、この一座のスターは2人もいらないのよ!!こ
の一座のスターは私!!あんたがいつまでもいたら
迷惑なのよ!!愚図愚図言っててないで、さっさとアル
と行っちゃいなよ!!・・・悔しいけど・・・アルにもあん
たにも・・・お互いが必要なのよ・・・。あんたが行かない
んなら、私が行っちゃうよ!!」
リリ「(思わずマハルに抱き付き、涙声で。)マハル!!ありがと
う・・・ありがとう・・・」
マハル「分かったら、さっさと行きなよ!!後は私が上手く皆に
話しとくからさ・・・。ティボーもちゃんと連れてくんだよ。」
リリ「(頷く。)・・・あなたのことは一生忘れない・・・」
リリ、走り去る。
マハル「幸せにならなかったら許さないからねー!!(叫ぶ。)
」
マハルの叫び声で、フェード・アウト。
――――― 第 16 場 ―――――
カーテン開く。と、ステーションの雑踏の中、
汽笛の音が響く。
人混みの中からダンドラ、ミシェル現れる。
アル、ゆっくり2人に続く。
ダンドラ「元気だせよ!彼女が行かないと言ったんだろ?仕方
ないじゃないか。戻ったら女なんか選り取りみどりだ。」
アル「軽々しく言うな!!彼女程の素晴らしい女性がそう簡単
に見つかるものか!!」
ダンドラ「(呆れたように。)相変わらず短気だな。」
アル「俺は諦めるものか!!いつか必ずもう一度彼女を捜し出
してみせる!!」
ダンドラ「それにしても全く驚いたな。朝になってみると、もう出
発した後だったなんて。リリをおまえに拐われそうで、
焦ったんじゃないか、あの親方。(笑う。)」
アル「畜生!!売れっ子になった途端、手の平返しやがって
、あの野郎!!」
ダンドラ「やれやれ・・・ミシェル、チケットを買いに行こう。こい
つは手に負えないぜ・・・」
ダンドラ、ミシェル出て行く。
アル、トランクケースに腰を下ろし、
物思いに耽る。
その時、雑踏に紛れて微かにアルの名
を呼ぶ声が聞こえる。
アル、驚いて立ち上がり、辺りを見回す。
アル「リリ・・・?そんな訳ないか・・・」
雑踏の中から現れたリリ、アルから
少し離れて立つ。
リリ「(嬉しそうに。)アル!!」
アル「(驚いて。)リリ!?どうして・・・」
リリ「私も・・・一緒に行っていい・・・?(微笑む。)」
アル、リリの後ろに立つティボーに気付く。
ティボー、嬉しそうに頷く。
アル「(リリに駆け寄り抱き締める。)勿論さ!!」
(音楽流れる。)
ダンドラ、ミシェル入って来る。
アルとリリに気付き、2人嬉しそうに
顔を見合わせる。
アル、ダンドラに気付き2人、頷き合う。
ダンドラ、ミシェル、ティボー去る。
アル、リリの手を取り歌う。
“いつからだろう・・・
この手を離したくないと
心から感じたのは・・・
今まで一度も触れたことのない
胸に染み渡るこの温かさに・・・
いつも側にいて欲しい・・・
そう感じたのは・・・
もう離さない決して・・・
やっと掴んだこの温もりは
永遠の先へと続いて行く
終わりのない幸せだから・・・”
アル「愛しているよ・・・」
リリ「(嬉しそうに微笑む。)」
嬉しそうに手を取り合い、微笑み
彼方を見遣る2人。
――――― 幕 ―――――
デビル「幼い頃のおまえには、死への興味があった・・・。だから
普通の人間には見えない、俺の姿が見えたんだ。そして
再び俺と再会した・・・それは今、おまえが死んでもいいと
心に感じているからだ!!」
デビル歌う。
“さぁ行くぞ
何もかも分かる時が来た
死の国へ・・・
誰もが恐怖に包まれ
足を踏み入れるのを拒む場所
扉を開ける時がきた
おまえが望んだその先に
待つのは絶望か快楽か・・・”
デビル、エドワードの手を引き後方へ
行こうとする。
エドワード「待ってくれ・・・」
デビル「(ゆっくりエドワードを見る。手を離す。)何だ・・・怖気づ
いたのか・・・?」
エドワード「違うんだ・・・俺がおまえと行けば・・・本当にローラは
・・・ローラは元の優しく清らかな心を持つ人として・・・
ずっと生きることが出来るんだな・・・?」
デビル「(ニヤリと微笑む。)ああ・・・そうさ・・・」
エドワード「(安心したように。)・・・よかった・・・」
デビル、段上へ。
2人、其々歌う。
エドワード デビル
“大切なことに気付いた・・・ “大切なことなど
やっと・・・ ありはしない・・・
誰かへの想いは 自分だけが正しくて
自分への想いと同じこと・・・ 他人を思い遣る暇などない
誰かの為になることは 自分の心に忠実に
自分の心を満たすこと・・・ 興味があれば覗けばいい
たとえ共に同じ世界に たとえそこが闇に
生きることは出来なくても・・・ 支配された暗黒の国でも・・・
心が繋がっていれば おまえ一人で見つけた
それでいい
世界なんて関係ないんだ・・・ 誰も知らないその場所へ
相手を思えば自ずと分かる さぁ来るんだ今!!”
自分のいるべき場所が
どこか・・・”
その時、ローラの声が聞こえる。
ローラの声「待って!!」
エドワード「・・・ローラ・・・?」
そこへ下手よりローラ、花の咲いた
鉢植えを手に、走り登場。
ローラ「エドを連れて行かないで!!」
デビル「誰だ?(ローラを認める。)何だ、花で生き返った娘か・・・
」
エドワード「ローラ・・・どうしてここへ・・・」
ローラ「エド・・・ありがとう・・・私の為に・・・でももういいの・・・」
エドワード「・・・え・・・?」
ローラ「もう・・・あなたのその想いだけで十分よ・・・(手に持って
いた鉢植えを、下に投げ付ける。)」
鉢植えが壊れる音。(“ガシャーン”)
エドワード「ローラ!!」
デビル「何!?」
エドワード「君は何てことを!!折角得た命の花を・・・」
ローラ「こんな花で生き返ったって・・・私は幸せではないのよ、
エド・・・。況して・・・愛するあなたが私の身代わりとなって
私の前からいなくなるなんて・・・私には耐えられない・・・
」
エドワード「ローラ・・・」
デビル「なんて愚かな人間だ・・・!!その花がないとおまえは、
5分と生きてはいられないんだぞ!!」
ローラ「いいわ!!(デビルの前へ進み出る。)さぁ、死の国の使
いの者よ!!私をあなたの国へ連れて行くがいいわ!!
」
デビル「そこまで言うならいいだろう・・・!!おまえの命、ここま
でだ!!」
エドワード「ローラ!!」
デビル、ローラの手を掴む。
と、ローラは表情がなくなり、人形のよう
になる。
エドワード「ローラ!!ローラ!!行くな・・・!!」
デビル、ローラの手を引き、後方へ
行こうとする。
その時、声が聞こえる。
声「お待ちなさい!!」
デビル「(回りを見回す。)・・・え・・・?」
エドワード「(回りを見回す。)」
そこへ上手よりエンゼル、ゆっくり登場。
エンゼル「待ちなさい、デビル・・・」
デビル「エンゼル・・・!!」
エドワード「・・・エンゼル・・・?」
エンゼル「あなたの役目は、良い人間を黄泉の国へ連れ帰るこ
とではないでしょう・・・?」
デビル「・・・しまった・・・(小声で。)」
エンゼル「正しい生き方をして、一生を終えた人間を、天の国へ
導くのは私の仕事・・・あなたの仕事は良くない行いを
して死んだ人間を、黄泉の国の魔王の裁判を受けさせ
る為に連れ帰ること・・・の筈よ。」
デビル「い・・・いかにも・・・そうだが・・・」
エンゼル「さぁ、ここからは私が引き継ぐから、あなたはあなたの
仕事にお戻りなさい・・・。今度また同じような悪いこと
をしようとしたなら、私から魔王に頼んであなたが裁判
裁かれることになるわね・・・。」
デビル「わ・・・分かったよ・・・!畜生・・・どうも俺様はこのエンゼ
ルとは馬が合わないんだ・・・。(エドワードに向かい。)お
い、おまえ・・・また死後の世界を覗き損ねたな・・・(笑う。
)」
エンゼル「(咳払いをする。)」
デビル「(笑うのを止めて。)あ・・・いや・・・(溜め息を吐く。)まぁ
いい・・・もう俺様の出番はなさそうだ・・・。じゃあな!!」
デビル、消えるように去る。
エンゼル「本当に困った人・・・。時々あのデビルは、人間を困ら
せるようなことをして、皆に迷惑をかけるの・・・。今回
の花のようにね・・・。」
エドワード「あなたは・・・」
エンゼル「私は天の国の使いの者、エンゼル・・・」
エドワード「天の国・・・」
エンゼル「ええ・・・」
エドワード「院長先生の言ったことは・・・本当だったんだ・・・」
エンゼル「あなたのお父様、お母様も私のところへやって来たの
よ・・・小さなウサギさんもね・・・」
エドワード「・・・え・・・?」
エンゼル「(微笑み頷く。)さぁ、ローラ・・・あなたは私と一緒に行
きましょう・・・」
ローラ「・・・はい・・・」
エドワード「ま・・・待って下さい!!」
エンゼル「何かしら・・・?」
エドワード「少しだけ・・・少しだけ彼女に最後の別れを言う時間
を僕に・・・!!」
エンゼル「・・・いいわ・・・でも急いで・・・。花が傷付いて・・・もう
彼女の時間が残り少ないから・・・。」
エドワード「はい・・・ありがとうございます!」
エンゼル、上手へ去る。
――――― 第 12 場 ―――――
背景変わる。(陽の差す、美しい場所に
なる。)
エドワード、ローラの側へ歩み寄る。
エドワード「(ローラの手を取る。)・・・ローラ・・・」
ローラ「・・・(気が付いたように。)エド・・・?私・・・一体・・・」
エドワード「ローラ・・・大丈夫かい・・・?」
ローラ「・・・ええ・・・でも・・・」
エドワード「ローラ・・・ありがとう・・・僕を助けに来てくれた・・・」
ローラ「・・・エド・・・私・・・(何かを悟ったように。)・・・もう・・・お
別れなのね・・・」
エドワード「・・・ごめん・・・僕が・・・君を守りきれなかったんだ・・・
」
ローラ「ううん・・・あなたが私を救ってくれたのよ・・・もう一度・・・
あなたとこうして話すことが出来てよかった・・・。私の方
こそ・・・ありがとう・・・」
エドワード「君と出会ってから今日まで・・・側にいるのが当たり
前だと思っていた・・・いつも・・・鉄砲玉のような俺が
・・・仕事でミスをしても・・・君は必ず笑ってくれた・・・
そんな君が・・・(思わず言葉に詰まる。)」
ローラ「エド・・・悲しまないで・・・。分かったでしょう・・・?住む世
界がたとえ違っても・・・お互いが相手を思い遣る心を持
てば・・・それで幸せなのよ・・・。あなたが自分を犠牲にし
てまで、私の命を救おうとしてくれたこと・・・私は忘れない
・・・」
エドワード「ローラ・・・」
音楽流れ、ローラ歌う。
“ありがとう・・・
いつでも私に幸せをくれた・・・
ただ側にいて
私に笑顔を与えてくれた・・・”
エドワード歌う。
“ありがとう・・・
知らずに大切だと思う
心が芽生えた・・・
側にいる当たり前が
ただ心地よくて・・・
永遠に続くと信じて疑わなかった・・・”
ローラ、嬉しそうに微笑み、ゆっくりと
後方へ後退りするように。
ローラ「エド・・・ありがとう・・・ありがとう・・・(木霊する。)」
エドワード残して、ローラ消えるように
去る。
エドワード「ローラ・・・!!(絞り出すように。)」
エドワード歌う。
“ほんの少しの確実な時間・・・
2人は確かにここにいた・・・
同じ世界の住人として
風を共有し生きた証・・・
この手の温もりが覚えている
たとえどんなに離れても
会えないことを悲しんだりはしない・・・
直ぐには会えなくとも必ず・・・
いつかまた会える・・・だから・・・
その時まで・・・
ありがとう・・・”
ローラの声(エコー)「エド・・・あなたを愛しているわ・・・」
エドワード「ローラ・・・君を愛しているよ・・・」
――――― 幕 ―――――
どこから今の私言葉か・・・は、7場のラストのローラの歌~
が正解でした(^O^)
さて、では次回からの掲載作品ですが・・・
今現在、書き進めているアリアちゃん作品に登場する、
イルカのキューイくんのお話し・・・か、今回作品同様、
昔に途中まで書き進め、放っておいた作品のどちらか・・・
と考えています(^^;
一先ず、明日までお待ち下さい(^_^;)
お楽しみに~♪
余談ですが・・・
イルカのキューイくんを書き終えたら、夏の第7回人形劇
公演の2作品目を書いて行きたいと思っています♥
最近、優先順位を決めないと、やることが多くなってきて
いるので、ボ~ッとしている間にどんどん時間が過ぎて
いってしまって、とっても焦ってしまうのです・・・(´・_・`)
― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪
(どら余談^^;)
只今、この間録音してきたばかりの新作の、編集作業
に没頭しています(^_^;)
中々新しいお話しが書けずにいますが、お許し下さい
m(_ _)m
2月28日(木)
明日は人形練習日ですが、13日の小学校で公演する
“ジュリーちゃん”を練習しようと思います♪
最初、何を公演するかで“クリフくん”と迷ったのですが、
色んな意味でリベンジとなるジュリーちゃんを、少し短
めの30分バージョンに作り直し、公演しようと思ってい
ます(^_^)
春公演では撮り損ねたビデオも、今回は上手く撮れれば
いいな・・・と思ってるんですけどね・・・(^_^;)
その前に、6日は毎年呼んで頂いている小学校で、
こちらは“アリアちゃん”の15分バージョンを公演予定
であります♥
23日が、今年度ラストになる公演がありますが、こちらは
“ももちゃん”と“クマさん”の2本立てになる予定です♥
中々、年2作品の新作発表では、どうしても使い回しが
多くなり、そろそろ手持ちも増やしていきたいな・・・と
思うんですけど・・・(^^;
一先ず・・・
3月、少しバタバタしますが・・・頑張ります(*^^)v