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りとるぱいんわーるど

ミュージカル人形劇団“リトルパイン”の脚本の数々です。

“ドンのハッピーサンタクロース” ―全8場― 3

2012年12月26日 19時26分24秒 | 未発表脚本


    ――――― 第 4 場 ―――――

         カーテン前。音楽流れる。
         下手よりドン、急いで登場。続いてデン、
         ドンを追い掛けるように登場。

  ドン「急げ!!デン!!時間がないんだ!!」
  デン「待ってよーっ!!兄貴ー!!そんなに急いで・・・時間が
     ないって、何の時間だよ・・・!!(息を切らせて。)兄貴っ
     てば・・・一体どうして急に行方不明の子どもを捜すだなん
     て・・・こんな広い街の中から、どうやって捜すんだよ・・・」
  ドン「煩い!グズグズ言ってないで、兎に角捜せばいいんだよ
     !!」

         ドン、デン、歌う。

      ドン“助けを求められたのは
         この俺だ
         サンタクロースだと信じて
         疑うこともしなかった”

      デン“兄貴の話しはよく分からない
         突然沢山の
         ジンジャーキャンディと共に
         戻ったかと思えば
         街中子どもを捜し回る”

      ドン“希望を叶えて夢を与える
         それがサンタの努め!”

  デン「兄貴・・・いつから本物のサンタクロースに目覚めたの・・・
     ?一人で入ったあの家の中で何があったんだよ。しかも何
     故か・・・(恐々、下手方を見て、コソッと。)喋るトナカイも一
     緒だなんて・・・」
  ドン「さぁ!捜すぞ!!」
  デン「・・・うん・・・」

         ドン、デン、通りすがりの街の人達に、
         何かを聞いて回るように。
         その時、上手方の人達の間に、マックス
         の顔を見つけたドン、慌ててその方へ
         走り寄る。

  ドン「あ!!おい!!待ってくれ!!どこにいるんだ、少年!?
     おい!!おまえは一体どこにいるんだ!!」

         その時、上手より走り登場した、一人の
         子ども(ラリー)が、ドンにぶつかる。

  ラリー「あっ!!(尻餅をついて泣く。)えーん・・・!!」
  ドン「あ・・・悪い!!怪我しなかったか?(泣いているラリーを立
     たせ、服を払う。)ほら、こいつをやるからもう泣くな・・・(ポ
     ケットからジンジャーキャンディを一つ取り出し、ラリーへ差
     し出す。)」
  ラリー「(泣き止み、ドンを見る。)」
  ドン「ほら・・・」
  ラリー「(キャンディを受け取り、微笑む。)ありがとう、サンタさん
      !!」

         そこへ上手より、慌てた様子のシスター
         登場。

  シスター「ラリー!!(ラリーを認め。)ラリー!!」
  ラリー「(振り返り、シスターを認める。)あ!先生!」
  シスター「(ラリーに走り寄り。)急に走り出すから驚いたわ・・・(
        ドンを認め。)あ・・・ラリーが何かしたんじゃありません
        か?」
  ドン「いや、別に・・・。じゃあな、坊主・・・(ラリーの頭に手を置き
     、他の人の方へ行く。)」
  ラリー「キャンディをありがとう、サンタさん!!(手を振る。)」
  シスター「どうしたの、ラリー。血相を変えて走って行ったけれど
        ・・・」
  ラリー「だって先生!沢山の人の中に、マックス兄ちゃんがいた
      んだ!!」
  シスター「え・・・?」
  ラリー「あれは確かにマックス兄ちゃんだったよ!!本当さ!!
      」
  シスター「でもマックスがこんな街の中にいる筈は・・・」
  ラリー「だって・・・!!」
  シスター「・・・マックスは森へ入って行って、行方不明になった
        のよ・・・」
  ドン「(耳に入ったその言葉に顔色を変え、シスターを見る。)今
     なんて・・・!?」
  シスター「え・・・?」
  ドン「今、何て言ったんだ、シスター!!」
  シスター「あの・・・」
  ドン「森で行方不明とか何とか・・・!!」
  シスター「・・・ええ・・・」
  ドン「教えてくれ、シスター!!その話しを詳しく!!」
  シスター「(頷く。)・・・1週間程前・・・となり村のセント・ジョセフ
        孤児院で暮らすマックスが、森で行方不明になったの
        です・・・」
  ドン「本当に!?」
  シスター「はい・・・」
  ラリー「マックス兄ちゃんは、クリスマスツリーが欲しいって言う
      皆の為に、モミの木の変わりになる木を探して来るって言
      って、森に入ったんだ・・・」
  シスター「始めは村の人達が捜しに、森へ行ってくれたんですけ
        れど・・・ここ数日の冬の訪れと共に・・・これ以上は危
        険だからと、捜査を打ち切ってしまわれて・・・」
  ラリー「もしかしたら、どこかで見かけた人がいるかも知れない
      からって、こうやってホームの皆で兄ちゃんの似顔絵を書
      いて、街の掲示板に貼ってもらいに来たんだ!!(似顔
      絵の書いた紙を、ドンの方へ差し出す。)」
  ドン「(ラリーから紙を受け取り、食い入るように見詰める。)」
  シスター「この寒さです・・・もうきっとマックスは・・・」
  ドン「・・・生きてる・・・」
  シスター「え・・・?」
  ドン「マックスは生きてる!!」
  ラリー「・・・本当に!?」
  ドン「ああ!!」
  ラリー「先生!!サンタさんは嘘を吐かないよ!!やっぱりマッ
      クス兄ちゃんは、どこかで助けを待っているんだ!!」  
  シスター「マックスが生きてるって・・・(涙声で。)」
  ドン「ああ、間違いない!!マックスが俺に助けを求めてるんだ
     !!マックスが行方不明になった、その森へ案内してくれ
     !!この俺がマックスを助けに行く!!」
  ラリー「サンタさん・・・!!」
  デン「兄貴・・・」

         音楽流れ、ドン、スポットに浮かび上がり
         歌う。

         “待ってろ今直ぐ
         駆け付けるそれまで
         消すな命の灯
         どこかで待ってる
         誰にも気付かれず
         ただ一人サンタが来るのを
         そんな奴がいることを
         知らずにいた俺
         曲がりなりにもサンタの真似を
         してきたこの俺!”

  ドン「さあ、急がねぇと、隣り村まで歩いて行くとなれば・・・こりゃ
     あ時間がかかるぞ・・・!!でも・・・そんなこと言ってる場合
     じゃねぇな!!」

         ドン、下手方へ行こうとする。
         その時、下手スポットにトナ、登場。

  トナ「偽サンタさん!」
  ドン「誰が偽だ!!・・・あ・・・おまえは・・・」
  トナ「僕のソリに乗って行きなよ!」
  ドン「え・・・?(下手奥を見て。)」
  トナ「サンタクロースはトナカイの引くソリに乗って、子ども達の
     元へ駆け付けるんだぜ!」
  ドン「おまえ・・・」
  トナ「このトナカイのトナ様が、隣り村まで連れてってあげるよ!
     !」
  ドン「・・・いいのか・・・?」
  トナ「さぁ、早く!あなたのことを信じて待っている子がいるんだ
    。」
  ドン「ああ・・!!ありがとう・・・トナ!!」

         暗転。

    ――――― 第 5 場 ―――――

         カーテン開く。と舞台は森の様子。
         (中央に2本の分かれ道がある。)
         音楽流れ、中央奥よりマックス登場。
         歌う。

         “僕はここだよ・・・
         ここにいる・・・
         ずっと待っているんだ
         サンタさん・・・
         時間がないんだ
         もう僕には・・・
         サンタさんが来るまで
         待てないよ・・・僕・・・”

         マックス、再び森の奥へ去る。
         一時置いて、下手よりドン、手に持った
         紙を見ながら登場。

  ドン「シスターに聞いた話しだと・・・そろそろ分かれ道が・・・(顔
     を上げ2本道を認める。)あった!!ここだここ・・・よーし、
     後はマックス坊やが右へ行ったか左へ行ったか・・・(左右
     の道を交互に見て。)ん・・・ん・・・んーっ・・・?全く、分かん
     ねぇ!!一体どっちへ行きゃあいいんだよ!!畜生・・・トナ
     の野郎も“僕はここで待ってるからね”なーんて言いやがっ
     て、温々、孤児院で子ども達と遊んでいるなんて・・・!“あ
     りがとう”の言い損じゃねぇか、全く!!トナカイはサンタク
     ロースを乗せて、子どもの待つ場所まで行くのが役目なん
     じゃねぇのかよー!!(中央にあった立て看板に気付く。)
     ん・・・?何々・・・(下手を見て。)こっちは恐ろしい道・・・(上
     手を見て。)こっちは楽しい道・・・なぁんだ、ちゃーんと書い
     てるじゃねぇか!左は恐ろしい道なんだろ?そんな道に行
     くわきゃねぇよな!きっと、マックスは右の楽しい道っての
     に行ったんだ!!(勢いで立て看板を叩く。と、看板倒れる
     。)あ・・・れ・・・?(立て看板を拾って。)えっ・・・えーっ!?
     何だよ、この看板!根元が腐って折れてたんじゃねぇか!
     !それを誰かが適当に突っ込んでたんだな!!なんでぇ
     !これじゃあ、役に立たないぜ、こんな看板!・・・って・・・
     待てよ・・・と、言うことは・・・本当はどっち向いて立ってたか
     分からないってことじゃねぇか!!(看板を裏表、逆にした
     り戻したりして立てて見る。)えーっ・・・どっちが正解なんだ
     よーっ!!あっ、そうか・・・(下手方を指差して。)こっちか
     ら来たんだから、こっち側から見えるように・・・(看板を表向
     きで立てる。)こうか!!よしっ!!俺って頭いい!!」

         その時、上手方から声が聞こえる。

  声「じゃあ、こっち側から来た人はどうなるの・・・?」

  ドン「あ・・・そうか・・・(上手方を指差して。)こっちから来た奴ら
     には看板は・・・こうでなくちゃ・・・(看板を裏向きに立てて
     みる。)よし!これで見やすくなった・・・って違うだろ!!こ
     れじゃあ、あっちから来た奴とこっちから来た奴・・・来る方
     向が違えば、恐ろしい道と楽しい道も逆になるってことじゃ
     ねぇか!!頭悪いぜ、全く!!」

  声「あはははは・・・」

  ドン「何、笑ってんだ、馬鹿!!・・・ん・・・?(回りを見回す。)え
     ・・・?だ・・・誰だ・・・?」

         その時、上手方から雪の精、登場。

  雪の精「こんにちは。」
  ドン「あ・・・ああ・・・」
  雪の精「あなた、さっきから面白いわね。(笑う。)」
  ドン「う・・・うるせぇ・・・だ・・・誰だよ、おまえ・・・」 
  雪の精「私は雪の精!!」
  ドン「雪の精・・・?」
  雪の精「ええ。今、順番に村や街を回って雪を降らせ、ホワイト
       クリスマスを迎える準備をしているの。」
  ドン「・・・ホワイトクリスマスだと・・・?」
  雪の精「ええ!雪を沢山降らせて、辺り一面の銀世界・・・なん
       て素敵なクリスマスなの・・・!あなたもそう思うでしょ?
       」
  ドン「ま・・・待ってくれ!!」
  雪の精「・・・え・・・?」
  ドン「もう一日!!いや・・・もう半日でいい!!俺がマックスを
     見つけ出すまで、雪を降らせないでくれ・・・!!」
  雪の精「マックス・・・?」
  ドン「でないとあいつ・・・こんな山ン中で雪に埋もれて、それで
     なくても今にも命の灯が消えそうな時に、雪なんて降って
     きやがったら、あいつ、真っ先に死んじまうだろ!?頼む・・・
     頼むよ!!」
  雪の精「駄目よ。こんな場所で道草を食ってる時間はないのよ
       。早く雪を降らせて回らなきゃ、全部の街がホワイトクリ
       スマスにならないわ。皆が楽しみに待っているって言う
       のに。」
  ドン「分かる!!分かるぜ、その気持ち!!だけどこちとら、一
     人の少年の命がかかってるんだ!!だから頼む!!お願
     いだ!!(土下座する。)」

         音楽流れ、ドン、正座したまま歌う。

         “お願いだ・・・
         今まで人に頼みごと
         したことなんて一度もねぇ・・・
         そんな俺が一生に
         一度きりのお願いを
         頭を下げて頼むんだ・・・”

  ドン「なぁ!!皆が幸せになるクリスマスなんじゃねぇのか!?
    そんなクリスマスに一人の少年の命が消えていい訳ねぇだ
    ろ!?」
  雪の精「・・・そうねぇ・・・分かったわ。あなたの必死さに免じて
       ・・・じゃあ後、3時間だけ待ってあげてもいいわ。」
  ドン「3時間・・・あ・・・ああ、それでも構わねぇ!!恩に着るぜ
     !!3時間待ってくれて、ありがとうよ!!(行きかけて左
     右に迷う。左右を見比べて。)えっと・・・」
  雪の精「どっちへ行くのかしら・・・?そのマックスを捜しに・・・。」
  ドン「あ・・・えっと・・・そうだな・・・こっちだ!!(左方を指差す。)
     」
  雪の精「本当に・・・?」
  ドン「迷ってる暇はねぇ!!(行きかける。)」
  雪の精「でも間違った道に行ってしまったら、3時間では戻って
       これないわね。」
  ドン「そんなこと言ったって・・・じゃあ、どうすれば・・・!!」
  雪の精「右の道と左の道・・・少し進めば大人のあなたなら、簡
       単に分かると思うけれど・・・明らかにどちらが正しい道
       なのか・・・。」
  ドン「あ・・・そうか!(左右の道、少しずつ進んでみる。)お!!
     ホントだ!!左っ側はあの角を曲がると、明らかに道が険
     しくなってるみてぇだ!!それに比べて右っ側は・・・よーし
     !!分かったぞ!!危うく間違った方へ行くところだったぜ
     !!マックス少年は右の楽しい道へ行ったんだ!!な!?
     そうだろ?」
  雪の精「・・・馬鹿ねぇ・・・」
  ドン「ば・・・馬鹿だと!?何で俺が馬鹿なんだよ!!ちゃんと、
     立て看板の向きを当てたんだぞ!!」
  雪の精「もう・・・世話が焼けるわねぇ・・・。いいことを教えてあげ
       ましょうか・・・?」
  ドン「いいこと・・・?あ・・・ああ、教えてくれ、いいことなら何だっ
     て!!」
     
     

        






   ――――― “ドンのハッピーサンタクロース”
                         4へつづく ―――――













 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪


     (どら余談^^;)

     この“ドン”さん、書き進める度、魅力が増し、素敵な
     サンタさんへと成長中です♥








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“アンドレ” ―全10場― 完結編

2012年12月24日 20時41分33秒 | 未発表脚本



    ――――― 第 10 場 ――――― A

         フェード・インする。と、ミリオッタの部屋。
         中央ベッドにミリオッタ、起きて座り、
         何か考えるように窓の外に、目をやって
         いる。
         (側に、ジャクリーヌ、アーサー、其々の
         場所に位置する。)

  ミリオッタ「お姉さん・・・私・・・アンドレに会いたいわ・・・。何故、
        来てくれないのかしら・・・」
  ジャクリーヌ「え・・・?(ミリオッタを見る。)」
  ミリオッタ「私、意識のない間、ずっと夢を見ていたの・・・何か優
        しい・・・温かい思いが私を包み込んで、片時も離れず
        側にいてくれた・・・アンドレでしょう?ずっと手を握って
        ・・・不思議だけれど、私には分かるの・・・。アンドレの
        お陰で私は戻って来れたんだもの。」
  ジャクリーヌ「ミリオッタ・・・」
  ミリオッタ「ね、お姉さん、私、アンドレにお礼を言いたいの。会っ
        て“ありがとう”って・・・。“あなたは命の恩人よ”って、
        言いたいの・・・。(微笑む。)アンドレはどこにいるの?
        呼んで来てくれないかしら。そしたら・・・」
  アーサー「ジャクリーヌ、本当のことを言った方がいいよ・・・。」
  ジャクリーヌ「でも・・・」
  ミリオッタ「・・・どうしたの?本当のことって・・・?ね・・・お姉さん
        ・・・?アーサー・・・?」
  アーサー「ミリオッタ・・・アンドレは今日、この村を出て行くんだ
        ・・・」
  ミリオッタ「え・・・」
  アーサー「エリザベスが亡くなって・・・今度こそ一人きりで旅立っ
        て行く・・・」
  ミリオッタ「・・・嘘・・・エリザベスが亡くなったなんて・・・アンドレ
        が出て行くなんて嘘よ!!」
  アーサー「彼は自分の人生が辛いんだろう・・・。大切な者が皆
        いなくなって・・・」
  ミリオッタ「違うわ!!アンドレのせいなんかじゃない!!彼は
        いつも一生懸命だったわ!!そりゃ、辛い人生だった
        かも知れないけど、彼のせいなんかじゃない、決して
        ・・・。アーサー!!お姉さん!!アンドレを独りぼっち
        で行かせないで・・・!!お願い!!私はアンドレがい
        てくれたから助かったの・・・!!」
  アーサー「ミリオッタ・・・」
  ミリオッタ「・・・お願い・・・アンドレのところへ連れて行って・・・」
  ジャクリーヌ「無理よ・・・」
  ミリオッタ「彼を愛しているの・・・」
  ジャクリーヌ「ミリオッタ・・・」

         フェード・アウト。

    ――――― 第 10 場 ――――― B

         上手客席後方より、グレミン牧師、続いて
         アンドレ、話しながら登場。舞台上へ。
         舞台上はいつしか村の風景。

  グレミン「・・・出て行くのかい・・・?」
  アンドレ「はい・・・」
  グレミン「ミリオッタには・・・?」
  アンドレ「・・・(ゆっくり首を振る。)いいえ・・・私は彼女の命が助
       かった・・・ただそれだけで満足です・・・。またここで私が
       彼女に会うことは、今度こそ彼女の身に何が起こるか
       分からない・・・。」
  グレミン「君は本当に自分を、そんな運命の持つ者だと信じてい
       るのかね・・・?」
  アンドレ「信じるも何も・・・」
  グレミン「アンドレ・・・神様は全ての人間を平等にお創りになら
       れたのだよ。何も君だけを、呪われた運命を持つ者とし
       て、この世に遣わされた訳ではないのだ・・・。人間は皆
       、大なり小なり生きて行く上で、試練を与えられるものな
       のだよ・・・。それは君にとっては少し過酷な試練であっ
       ただろう・・・。神は君に、立ち向かう勇気を・・・乗り越え
       られる強さを求めておられるのだ・・・。もうそろそろ逃げ
       ることばかりを考えるのではなく・・・自分自身の幸せを
       考えてみないかね?君が3日3晩、寝ずに側に付いて
       いたミリオッタは、奇跡的に助かったではないか・・・。」
  アンドレ「(悲しそうに微笑む。)彼女が助かって、本当によかっ
       た・・・。もう私は何も思い残すことなく・・・また今までの
       ように旅立って行けます・・・。グレミン牧師・・・ミリオッタ
       に会ったら伝えて下さい・・・どこにいても君の幸せを祈
       っていると・・・」

         その時、ミリオッタの声が聞こえる。

  ミリオッタの声「祈るだけじゃ嫌・・・」

  アンドレ「(振り返り。)・・・ミリオッタ・・・?」

         ミリオッタ、アーサーに支えられるように
         下手より出る。ジャクリーヌ続く。

  アンドレ「(驚いたように。)ミリオッタ!!そんな体で外に出るな
       んて無茶だ!!」
  ミリオッタ「(微笑んで。)私はもう大丈夫・・・あなたに命を貰った
        から・・・。あなたのお陰で私は助かったのよ・・・。あり
        がとうが言いたくて・・・それなのに私に黙って出て行
        こうとするなんて・・・(涙声で。)」
  アンドレ「ミリオッタ・・・すまない・・・」
  ミリオッタ「行かないで・・・(アーサーの手を離し、ゆっくりアンド
        レの方へ。)」
  アンドレ「・・・え?」
  ミリオッタ「この村にいて・・・これからもずっと私の側にいて・・・」
  アンドレ「・・・だが・・・」
  ミリオッタ「私はあなたが、あなたの言うような人間だなんて・・・
        これっぽっちも信じてないわ。けど、もし仮にそうであっ
        たとしても・・・私は命尽きるその時まで、あなたが側
        にいてくれたことの方を神様に感謝し、幸せな人生だ
        ったと言い切れるわ!!あなたを愛しているの!!私
        を愛して欲しいなんて言わない!!ただもう逃げない
        で・・・」
  アンドレ「ミリオッタ・・・」
  
         優しい音楽流れ、アンドレ歌う。
         (グレミン、上手方へ、ジャクリーヌ、アーサー、
         下手方へ、其々嬉しそうに去る。)
      
         “・・・時が過ぎ・・・
         忘れ去りたい過去が思い出に・・・
         変わろうと・・・
         今・・・感じる・・・
         ・・・それは全て・・・
         君が私の側にいてくれたお陰・・・
         今まで目を背け
         ただの一度も心を開かなかった・・・
         忘れ去りたい過去が思い出に・・・
         今変わり行く・・・
         時が至福に満ち
         それは全て・・・
         愛する者が側にいてくれたお陰・・・”

  アンドレ「ミリオッタ・・・愛している・・・」
  ミリオッタ「アンドレ・・・」
  アンドレ「私の側に・・・いてくれるかい・・・?」
  ミリオッタ「(溢れる涙を堪え、大きく頷く。)」
  アンドレ「(微笑んで。)永遠に・・・」
  ミリオッタ「・・・勿論よ・・・!!アンドレ!!」
  
         アンドレの広げた両腕の中に、ミリオッタ
         飛び込む。
         音楽盛り上がり、固く抱き合う2人で。






          ――――― 幕 ―――――  








    それでは次回掲載作品の紹介をしておきたいと思い
   ます(^_^)
   次回は、書いたのはいつ頃でしょうか・・・多分どちらか
   と言えば古い部類の作品だと思うのですが、読み直した
   感じが、そんな古くも感じない、最近の私作品に少し似た
   作風のお話しで、主人公の職業が教師・・・「アレックス」
   ご覧頂こうと思います♪
   
   お楽しみに~(^-^)V





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“アンドレ” ―全10場― 4

2012年12月21日 22時26分38秒 | 未発表脚本


    ――――― 第 8 場 ―――――

         フェード・インする。(カーテン開く。)
         と、のどかな村の風景。
         グレミン牧師とエドワード、ゆっくり
         話しながら上手奥より出る。

  エドワード「いやはや、今日はまたいい陽気ですな、全く・・・」
  グレミン「本当ですね。」
  エドワード「あの大嵐以来、どうもパッとしない日が多いと思って
         いたが・・・こんな日にする仕事もなく、ま、急患でも運
         び込まれない限り・・・のんびりと過ごせると言うのは、
         今まで仕事人間として生きてきた私としては、何とも
         いいもんですな。(笑う。)」
  グレミン「先生は、この村の開業医としてだけでなく、隣町や・・・
       はたまたその隣町にまで往診に出掛けたり・・・今までが
       忙し過ぎたのでしょう。それに明後日には、道路が開通
       するそうですね・・・。そうなればまた・・・」
  エドワード「いやあ・・・これでやっと仕事に戻れると言うものです
         よ。随分長いこと、ゆっくりさせてもらいましたなぁ・・・
         。またこれから、以前以上に張切れそうですよ。(笑う
         。)」
  グレミン「そうですね。それにいい具合に開通して、明後日の村
       の収穫祭は、これで賑やかになりそうじゃないですか。」
  エドワード「そうそう、年に一度の祭りが、閉じ込められた村の中
         でしか出来ないとなると、いやが上にも盛り上がりに
         は欠けると言うものですからな。私も収穫祭が済むま
         では、のんびりと過ごすつもりですよ。」
  グレミン「それがいいでしょう。」

         そこへ下手より、話しながらジャクリーヌ、
         アンドレ、ゆっくり登場。

  ジャクリーヌ「(エドワード達を認め。)こんにちは、先生。グレミン
          牧師。」
  エドワード「やあ、ジャクリーヌ。」
  グレミン「こんにちは。」

         アンドレ、頭を下げる。エドワード、グレミン、
         それに応えるように軽く頷く。

  エドワード「どうだね、新婚生活は?上手くやっているかね?」
  ジャクリーヌ「まぁ、先生ったら・・・」
  エドワード「(笑って。)君達に“上手くやっているか”とは、愚問
         だな。」
  グレミン「(アンドレに向かって。)どうですか?この村の住みご
       こちは・・・。大分慣れたでしょう。」
  アンドレ「はい。家の人達の親切に、心から感謝しています・・・
       。」
  エドワード「3日後の祭りの日には、やっと道路が通れるように
         なるそうだが、どうするつもりだね?」
  アンドレ「・・・3日後・・・」
  ジャクリーヌ「まぁ・・・そうですの・・・」
  エドワード「ま、落ち着くも良し、去るも良し・・・全ては気の向くま
         ま・・・と言うことだよ。じゃ、我々はこの辺で・・・。牧
         師・・・」
  グレミン「じゃあ・・・」
  ジャクリーヌ「さようなら・・・」

         エドワード、グレミン、下手へ去る。
         アンドレ、頭を下げる。

  ジャクリーヌ「・・・開通すれば・・・もうこの村から自由に出られる
          んですものね・・・あなた達がいてくれたから、ミリオ
          ッタも私がいなくなって、淋しくなかったでしょうね。
          あ・・・早く出発したかった、あなた達にしてみれば、
          とんだ災難だったでしょうけど・・・。よかったわね・・・
          。」
  アンドレ「初めは・・・おっしゃる通り、何故こんなところで足止め
       を食うのかと、あの嵐を恨んだものです・・・。だが・・・今
       は・・・」
  ジャクリーヌ「・・・え?」
  アンドレ「ミリオッタに感謝をしています・・・。彼女のお陰で、この
       先の人生の正しい歩き方を、知ることが出来たのです
       から・・・。」
  ジャクリーヌ「あの子・・・何かしたのかしら・・・?」
  アンドレ「いいえ・・・彼女の真っ直ぐ前を向いた生き方が、自分
       が間違った道を歩んでいたと、分からせてくれたのです
       ・・・。」
  ジャクリーヌ「父や母のこと・・・お聞きになったのね・・・?」
  アンドレ「聞いた時は何故、そんな風に平然と自分の罪を話せ
       るのか呆れました・・・。だが彼女も自分の中で戦い、自
       分の正しい道を模索し、やっと探り当てたのだと知った
       時、彼女の勇気と力強さと・・・そして優しさが・・・私の
       頑ななまでに固く凝り固まった心を、少しずつ溶かして
       いったのです・・・。死神と呼ばれ・・・誰からも疎まれ・・・
       私の側へ近寄ろうとする者などいない・・・いつも一人だ
       った・・・。妹だけは、そんな私に付き合って、一緒にいて
       くれましたが・・・この村に来るまで、心はいつも孤独に
       苛まれ、自分の運命を呪ったものです・・・。だが、彼女
       に教えられた・・・本当に沢山のことを・・・」
  ジャクリーヌ「ミリオッタのことが・・・好き・・・?」
  アンドレ「・・・好き・・・?」
  ジャクリーヌ「あの子はあなたのことをとても好いているわ・・・。
          私には分かるの・・・。あの子は昔からただ一途で、
          心に思ったことを直ぐ行動に移せる・・・。自分の殻
          に閉じこもり気味の私にしてみれば、あの子のそん
          な性格がとても羨ましかった・・・。もし、あなた達が
          もうこの村から出て行くと知ったら、きっと悲しむで
          しょうね・・・」
  アンドレ「私は・・・(言いかけて止め、上手奥を注視する。)」
  ジャクリーヌ「アンドレ・・・?(アンドレの視線を追って、上手方を
          見る。)」

         上手奥よりジョセフ、ぐったりしたミリオッタを
         抱きかかえ出る。
         ジャクリーヌ、驚いて駆け寄る。
         呆然とゆっくり近付くアンドレ。
         下手にエリザベス登場。その様子を認め、
         驚いて佇む。

  ジャクリーヌ「ミリオッタ!?ミリオッタ!!」
  アンドレ「・・・ミリオッタ・・・」
  ジャクリーヌ「どうしたの、ジョセフ!?」
  ジョセフ「(下手方へ歩きながら。)一本杉へ行こうとして、崖か
       ら落ちたんだ・・・。」
  ジャクリーヌ「一本杉・・・?何故そんな危険なところへ・・・!?」
  ジョセフ「それより早く、エドワード先生に・・・!!」
  ジャクリーヌ「え・・・ええ・・・!!」

         ジャクリーヌ、下手へ走り去る。
         ジョセフ、ミリオッタを抱いたまま
         その後へ続く。
         アンドレ、茫然自失でミリオッタの
         方へ。
  
  アンドレ「ミリオッタ・・・(ミリオッタに触れようとする。)」
  ジョセフ「(アンドレを見据える。)触るな!!おまえのせいだ・・・
       おまえがこの村に来たから・・・!!もしこいつがこのま
       ま目を覚まさなければ、俺はおまえを生かしておかない
       からな!!」

         ジョセフ、怒りに肩を震わせながら、
         下手へ去る。
         アンドレ、遣りきれない思いが溢れる
         ように、呆然と佇み、握り拳を握って、
         上手へ走り去る。
         エリザベス残してカーテン閉まる。

  エリザベス「・・・まさか・・・本当に怪我するなんて・・・私のせい
         だわ・・・私が嘘を言ったばかりに・・・。ミリオッタにも
         しものことがあったらどうしよう・・・。」

         エリザベス、スポットに浮かび上がり、
         不安気に歌う。

         “大切な者を失うのが怖かっただけ・・・
         今まで感じたことのなかった思いで・・・
         胸が張り裂けそうな程
         ただとても不安だっただけ・・・
         私の知らないところでどんどん
         何かが変わっていくようで・・・
         何かが遠くへ行くようで・・・
         あなたが私のものでなくなる・・・
         そんな思いが段々膨らんで
         ただ怖くて見ていられなかっただけ・・・”

         フェード・アウト。

    ――――― 第 9 場 ――――― A

         静かな音楽でフェード・インする。
         (カーテン開く。)
         と、ミリオッタの部屋。
         中央、設えられたベッドの上にミリオッタ
         横になっている。
         エドワード、横の椅子に腰を下ろし、
         ミリオッタの腕を取り、脈を見ている。
         反対側にジャクリーヌ立ち、心配そうに
         ミリオッタを見詰めている。

  ジャクリーヌ「先生・・・ミリオッタは・・・」
  エドワード「うむ・・・(ミリオッタの頭を見る。)別段、傷も見当た
         らんし・・・どこか打ちどころでも悪かったのか・・・。ま
         ぁ、もう暫く様子を見るとしよう。」
  ジャクリーヌ「はい・・・。先生、隣の部屋で少し休んで下さい・・・。
          私、付いていますから・・・」
  エドワード「じゃあ、そうさせてもらうとするかな・・・。少し横にな
         っているから、何かあれば呼んでおくれ。」

         エドワード、下手方の扉より出て行く。
         入れ代わるようにアンドレ入る。ゆっくり
         ミリオッタの側へ。
         ジャクリーヌ、アンドレに気付き、気を利かせて
         何も言わず、扉よりそっと出る。
         アンドレ、ベッドの横へ跪き、ミリオッタの手を
         取る。

  アンドレ「(絞り出すような声で。)・・・ミリオッタ・・・目を開けてく
       れ・・・目を開けてもう一度・・・私に微笑みかけてくれ・・・
       ・・・愛しているんだ・・・心から・・・こんなに誰かを大切に
       思ったのは初めてなんだ・・・。君が助かるのなら・・・私
       は私の命を捧げてもいい・・・。お願いだ・・・目を開けて
       おくれ・・・ミリオッタ・・・(ミリオッタの手にそっと口付ける
       。)」

         途中エリザベス、扉よりそっと入り、そんな
         アンドレの様子を辛そうに見ている。
         エリザベス残してカーテン閉まる。

  エリザベス「・・・お兄さん・・・」

    ――――― 第 9 場 ――――― B

         カーテン後ろより、傷心の面持ちでアンドレ
         出る。

  エリザベス「お兄さん・・・!(アンドレに走り寄る。)ミリオッタは
         !?」
  アンドレ「エリザベス・・・(エリザベスの肩に手をかける。)大丈
       夫さ・・・きっと・・・直ぐによくなるさ・・・きっと・・・(自分に
       言い聞かせるように。)」
  エリザベス「お兄さん・・・私のせいなの!!私が・・・!!」
  アンドレ「(エリザベスの言葉を遮るように。)エリザベス!!・・・
        大丈夫・・・」

         そこへ上手より出、2人の様子を見ていた
         ジョセフ、ゆっくりと2人へ近付く。

  ジョセフ「・・・何が大丈夫なんだ・・・」
  
         アンドレ、エリザベス、ジョセフを認める。

  ジョセフ「大丈夫だと?(笑う。)まだミリオッタは目を覚まさない
       んだぞ!!何が大丈夫なものか!!巫山戯るな!!
       やっぱりあの新聞記事の通りだ・・・おまえは死神じゃな
       いか・・・!!おまえがこの村へ来たばっかりにミリオッ
       タはあんなことに!!」
  エリザベス「違うわ!!お兄さんのせいじゃない!!私が・・・!
         !」
  ジョセフ「この死神め!!」

         ジョセフ、隠し持っていたナイフを取り出し、
         アンドレの方へ駆け寄ろうとした時、
         逸早くナイフに気付いたエリザベス、アンドレ
         の後方より飛び出し、アンドレを庇ってジョセフ
         のナイフに刺される。

  アンドレ「エリザベス!!」

         ジョセフ、驚いて下手へ走り去る。
         エリザベス、アンドレの腕の中で崩れる
         ように倒れる。
         アンドレ、エリザベスを抱き起こす。

  アンドレ「エリザベス!!しっかりしろ!!今直ぐ誰か・・・!!
       (回りを見回す。)」
  エリザベス「・・・お兄さん・・・私・・・お兄さんをミリオッタに取られ
         るようで・・・とても・・・不安だったの・・・だから・・・ほ
         んの少し・・・意地悪したくなって・・・ごめんなさい・・・
         ミリオッタにも・・・(アンドレを見詰め微笑む。亡くなる
         。)」
  アンドレ「・・・エリザベス・・・エリザベス・・・?エリザベス!!」

         アンドレの叫び声で暗転。

    ――――― 第 9 場 ――――― C

         アンドレ、スポットに浮かび上がる。

  アンドレ「・・・父や・・・母・・・そして妹まで・・・神よ・・・何故あな
       たは私の大切な者を全て・・・私から引き離そうとなさる
       のです・・・。何故いっそ・・・私を連れて行っては下さら
       ないのか!!何故私をいつまでも晒し者のように生き
       長らえさせるのです!!何故私をあなたの側へ行かせ
       ては下さらないのです・・・!!その方が何れ程・・・楽か
       知れない・・・(ハッとして。)それだけでない・・・次には、
       ミリオッタまでも連れて行こうとなさる・・・。今度はハッキ
       リと見えるのです・・・(両手を見て。)この指の間から摺
       り抜けてしまおうとする大切な者の影が・・・。私の命な
       ど何の惜しくもない!!私の命と引き換えにしても彼女
       をお助け下さい・・・!!彼女の瞳が再び陽の光を映し
       出すことが出来るならば、私は喜んであなたのお側へ
       参りましょう・・・」

         アンドレ、歌う。

         “おおミリオッタ・・・
         命に代えても守りたい他人・・・    ※
         初めて出会った思いの他人・・・
         おおミリオッタ・・・
         その眩いばかりに輝いた
         瞳に映る明日の陽を
         再び目にすることが出来たなら
         甘い蜜の唇に
         息吹を吹き込むことが出来たなら
         その時 私と引き換えに
         暖かい温もりを肌で感じ
         命尽きても構わない・・・
         おおミリオッタ・・・
         今一度私の目の前に・・・
         現してくれ花の女神の如く・・・”

         訴えるような面持ちで、遠くを見遣るアンドレ。
         フェード・アウト。









        ――――― “アンドレ”5へつづく ―――――












      ※ 他人=“ひと”とお読み下さい♥



 
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“J―未来の君へ―” もう一つのラストへ

2012年12月20日 19時00分00秒 | 未発表脚本



   未来から過去へやって来た“J”ですが、ラストでは新しい
   未来の“J”が登場し、最初に登場していた未来に存在
   した“J”が、未来へ戻ってどうなったのでしょうか・・・と
   言った、疑問を残したままの本編エンディングでありました。

   そこで、未来に戻った本来の主人公“J”が、戻った未来
   はどうなったのでしょうか・・・?の疑問にお答えするべく、
   “J―未来の君へ―”もう一つのエンディング・・・書いて
   みましたので、ご覧下さい(^_^)


    


 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪



    ――――― 第 3 場 ――――― B    ※

         J残して、紗幕閉まる。
         音楽流れ、歌う。

         “大切な人 ただ守りたくて
         こんなとこまでやって来た
         たとえこの身が消えようと
         そんなことは構わない・・・
         自分よりも大切な人
         初めて出会った・・・
         思い描いていた通りのパパ・・・”

         そこへ下手より、エンゼル登場。

  J「(エンゼルを認め。)・・・おっちゃん・・・ありがとう・・・オイラの
   我が儘を少しの間、見逃してくれて・・・。もうオイラ、これで思
   い残すことはないや!さ、早いとこ大王のじいちゃんのとこへ
   行こうぜ!随分・・・約束の時間、過ぎちゃっただろ・・・」
  エンゼル「ジェシカ・・・」
  J「・・・え・・・?おっちゃん・・・オイラの名前・・・」
  エンゼル「ジェシカ・・・私はおまえが何故、自分の存在と引き換
        えにしてまで、父親を助けたいと願うのか・・・よく分か
        らなかった・・・」
  J「おっちゃん・・・」
  エンゼル「人間の複雑な心の在り方を、存分に見せてもらうこと
        が出来たぞ・・・。私の方こそ・・・ありがとう・・・。さぁ早
        く、自分の戻るべき場所へと帰るがいい。」
  J「・・・戻る場所・・・?オイラは・・・天界へ帰るんだろ・・・?」
  エンゼル「(首を振る。下方を指差し。)ほら・・・見えるだろう・・・
        あそこでおまえの帰りを待つ者達の姿が・・・」
  J「え・・・?(下を見る。)あれは・・・母ちゃん・・・マイク・・・」
  エンゼル「さぁ、行け!!早く行って、悲しむ者達を安心させて
        おやり・・・」
  J「おっちゃん・・・」
  エンゼル「(頷く。)」
  J「(おっちゃん・・・!!(エンゼルに抱き付く。)」
  エンゼル「ジェシカ・・・(名残惜しそうに、Jの背中を摩る。)さ・・・
        早く行きなさい・・・」
  J「・・・うん・・・うん!!ありがとう、おっちゃん!!じいちゃんに
   もヨロシク!!」

         J、上手へ走り去る。

  エンゼル「(上手方を見詰め。)今度はもっとゆっくり・・・天界へ
        来るんだぞ、J・・・」

         音楽流れ、エンゼル歌う。

         “大切な者の為に自分を捧げる
         そんな思いは理解し難かったが
         ただ一生懸命なあの瞳を見れば
         それが正しいことなのだと
         口に出さずとも誰にも分かる・・・”

  エンゼル「やれ・・・しかし・・・大王様に一体どう説明をすれば・・・
        私としたことが・・・少し早まったことをしてしまったか・・・
        」

         エンゼル、首を傾げながら、下手へ去る。

    ――――― 第 4 場 ――――― 

         カーテン開く。と病室。
         中央ベッドにJ、眠っている。
         横にはマリィ、心配そうにJを見詰めている。
         音楽流れ、マリィ、囁くように歌う。

         “早く目覚めて愛しい子・・・
         あなたの声が聞きたいわ・・・
         私を呼んで 私を見詰めて
         あなたは今どこにいるの・・・
         帰る場所はここよ・・・”

  マリィ「J・・・(手を握る。)」

         そこへマイク、上手より犬を抱いて登場。   ※2
         
  マイク「おばさん・・・Jの具合はどう・・・?」
  マリィ「(マイクを認め。)マイク・・・(首を振る。)毎日会いに来て
      くれてありがとう・・・」
  マイク「ううん・・・(Jに近寄り、犬を差し出すように。)J・・・君が
      助けようとした犬コロは元気だよ・・・こいつも早く、Jと遊
      びたがってるんだ・・・早く目を覚ましてくれよ・・・J・・・」
  犬「クンクン・・・」

         その時、ゆっくりJの手が動く。

  マイク「(Jの手が動いたことに気付いて。)・・・J・・・?J・・・!!
      おばさん!!Jが!!」
  マリィ「え・・・?(ゆっくり宙を何か探すようなJの手を、思わず握
      る。)J!!Jが!!」

         その声に慌てて、エド、ハリー、ガキ大将
         上手より登場。

  エド「どうした、マリィ!!」
  マリィ「あなた!!Jが!!」
  エド「(エドに駆け寄り。)J・・・?J!!」

         その場にいる者、口々に“J!!”

  J「(ゆっくり目覚める。)・・・母ちゃん・・・」
  マリィ「J!!」
  エド「J!!」
  J「(エドを認め。)・・・父ちゃん・・・?」
  エド「心配かけやがって・・・(涙声で。)」
  ハリー「父親譲りの無鉄砲も、程々になJ・・・(微笑む。)」
  J「・・・ハリー・・・」
  ハリー「エドもマリィも、Jの側を片時も離れず、ずっと祈ってたん
      だぞ・・・」
  J「父ちゃん・・・母ちゃん・・・!!(泣く。)」
  マリィ「馬鹿ね・・・この子ったら泣いたりして・・・(泣く。)」
  エド「ジェシカ!!」 

         J、エド、マリィ抱き合う。
  
  ガキ大将「おかえり、J・・・」

         マイク、ガキ大将、ハリー、3人を
         微笑ましく見詰める。

  Jの声「おっちゃん・・・ありがとう・・・」

         音楽盛り上がる。





         ――――― 幕 ―――――










    ※ 元の脚本の2幕3場にAとBを付けて下さい(^^;)


    ※2、 本来ならば、病室に犬など有り得ませんが・・・
       この作品で大事な役どころの“犬コロ”くんです、
       目を瞑って読み流して下さいませ・・・(^_^;)




   
    Jが元いた未来では、ハリーさんはいい人に変わり、
    ガキ大将もJを心配して病室を訪れる、いい子になって
    いた・・・と言うことでした(^_^;)
    あ・・・変わりにJが訪れた過去では、ハリーさんは殺人
    鬼と化し、その存在は消されてしまったのでした(ーー;)

    う~ん・・・複雑に変わってしまいましたが・・・  
    ま、エドさんが生き返ったので、その辺は良しと致し
    ましょう・・・(^^;)





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“アンドレ” ―全10場― 3

2012年12月14日 20時34分35秒 | 未発表脚本



    ――――― 第 5 場 ―――――

         (カーテン前。)
         下手よりジョセフ出る。続いてその後輩
         クリスト、ジョセフを追うように出る。

  クリスト「待って下さいよ、ジョセフさん!!どうしたんですか!?
       」
  ジョセフ「(立ち止まって振り返る。)何がだ!?」
  クリスト「ジョセフさん、崖崩れでこの村から出られなくなってか
       ら、やけに機嫌が悪いんだから・・・」
  ジョセフ「おまえの思い過ごしだ!」
  クリスト「えー・・・そうですか?僕、不思議に思ってたんですよ。
       ジョセフさん、仕事に行けなくなって、こんなに荒れる程
       仕事好きだったかなって・・・」
  ジョセフ「何だって!?」
  クリスト「あ・・・すみません・・・。けど・・・やっぱりなんかトゲトゲ
       しい・・・」
  ジョセフ「それより復旧作業の進み具合はどうだった?」
  クリスト「それが思った程、捗った様子はなくて・・・」
  ジョセフ「何だと!?」
  クリスト「(ジョセフの声に、思わず身を屈める。)ごめんなさい!
       !」
  ジョセフ「馬鹿、何謝ってるんだ。」
  クリスト「だって・・・」
  ジョセフ「じゃあ開通の見当もつかないのか?」
  クリスト「はぁ・・・」
  ジョセフ「(独り言のように。)畜生・・・あの野郎・・・」
  クリスト「(不思議そうに。)あのやろう・・・?」
  ジョセフ「煩い!!」

         その時、上手よりエドワード出る。ジョセフ
         たちを認め、近寄る。

  エドワード「やぁ、君たち・・・何を揉めているんだい?(楽しそう
         に。)」
  ジョセフ「(振り返り、エドワードを認める。)先生・・・」
  クリスト「こんにちは・・・」
  ジョセフ「中々道路が開通する見込みがなさそうなのでちょっと
       ・・・」
  エドワード「ああ・・・私も仕方がないので、当分、町での仕事は
         諦めたよ。(笑う。)屹度、働き者の多いこの村の人
         間に、神様が暫くの休息を下さったのだろう。」
  クリスト「(思わず嬉しそうに。)僕も、思わぬ休暇が取れて、嬉
       しいんですけどね!!」
  ジョセフ「馬鹿!!」
  クリスト「・・・すみません・・・」
  エドワード「ところで・・・ミリオッタの家の客人なのだが・・・」
  ジョセフ「え・・・?」
  エドワード「いや・・・私の思い違いか・・・どこかで見かけたこと
         があるような気がしてならんのだよ・・・」
  ジョセフ「どこか・・・って・・・?」
  エドワード「さぁ・・・それが・・・年のせいかね、中々思い出すこと
         が出来なくてね。(胸を押さえて。)ここら辺がモヤモ
         ヤと・・・」
  ジョセフ「先生!!どこで見かけたか是非思い出して下さいよ!
       !もし悪い奴なら・・・!!」
  エドワード「(笑って。)余程、君はミリオッタの家に、あの客人が
         滞在していることが、面白くないようだな。」
  ジョセフ「あ・・・いや・・・(思わず口篭る。)」
  クリスト「(不思議そうに。)あれ?どうしてですか?」
  ジョセフ「煩い・・・」
  エドワード「この村では、誰も知らない者がいない程、有名な話
         しだよ、ジョセフのミリオッタ病は。(笑う。)」
  ジョセフ「先生!!」
  エドワード「ん?言っては不味かったかね?」
  クリスト「ミリオッタ病・・・えー!?そうだったんですか!?」
  ジョセフ「ミリオッタに言うなよ!!村人が殆ど皆知ってるような
       話しでも、あいつは気付いていないんだから・・・」
  エドワード「確かに彼女は君のことを兄さんみたいに思っている
         ところもあるようだし・・・」
  クリスト「了解です!だけど・・・へぇ・・・(嬉しそうに。)そうだった
       のか・・・だから機嫌が良くなかったんだ・・・。」
  ジョセフ「いつまでも煩い奴だな!」
  エドワード「まぁ、道が開通すれば、ジョセフの苛々も収まるだろ
         う。(笑う。)」
  ジョセフ「先生!!」
  エドワード「(何か思い出したように。)ああ・・・思い出したぞ・・・
         あれは確か・・・今から丁度2年程前の新聞で・・・」
  ジョセフ「え!?」
  エドワード「2人の写真が載っていた・・・。記事の内容までは読
         まなかったが・・・見出しは・・・“死神・・・来る・・・”」
  ジョセフ「死神・・・?」

         音楽。3人、困惑した面持ちで其々見合わす。
         フェード・アウト。(カーテン開く。)

    ――――― 第 6 場 ―――――        

         明るい音楽でライト・オンする。(村の教会前。)
         中央にピンクの花飾りの付いたドレスに
         身を包み、花カゴを手に持ったミリオッタ、
         ポーズしている。
         ミリオッタ、幸せそうな面持ちで、歌いながら
         花カゴの中から花びらを手に取り撒く。

         “夢・・・夢・・・幸せな時
         今・・・今・・・満ち足りた時
         今日この時より2人は
         永遠の愛により2人は
         決して離れることのない
         強い絆で結ばれた!
         共に手を取り見つめ合い
         労わりあい寄り添ったまま・・・
         大勢の祝福の元
         愛・・・愛・・・幸せな時・・・
         今・・・ここで・・・誓い合う
         あなたと・・・!”

         歌の途中、後方に設えられた教会の扉が
         開き、中より幸せそうに寄り添いあった
         ジャクリーヌとアーサー出る。
         続いてグレミン牧師、結婚式に参列して
         いた者、エドワード、ジョセフ、アンドレ、
         エリザベス出る。
         グレミン、エドワード、ジョセフ、2人に
         祝福の拍手を送る。
         アンドレ、中央歌っているミリオッタに、心
         が向くように、つい視線を追わせる。
         それに気付いたエリザベス、ミリオッタを
         見据える。
         同じようにアンドレの視線に気付いた
         ジョセフ、アンドレを睨む。
         (他の者は気付かない様子。)
         ミリオッタ、前方一寸脇へ寄り、幸せそうな
         祝福される者たちを、微笑ましく見詰める。
         結婚式の音楽、段々遠くへ。
         フェード・アウトしながらミリオッタ、スポット
         に浮かび上がり、変わって豪華な音楽、
         鐘の音が遠くから木霊するように段々大きく。
         フェード・インする。と、舞台上にはスモーク
         流れ、中央にアンドレ。(バック・ポーズ。)
         ミリオッタ、アンドレを認め嬉しそうに微笑む。
         アンドレ、振り返りミリオッタを認める。
         ミリオッタ、アンドレに駆け寄り、2人嬉しそうに
         抱き合う。
         (ミリオッタの幻想。)
         幸せそうに寄り添い合う2人。カーテン閉まる。

    ――――― 第 7 場 ―――――

         カーテン前。
         (前場とガラッと変わった音楽。)
         ジョセフ、上手より登場、力強く歌う。
         下手方へ。

         “必ず・・・!!暴いてやる
         おまえの・・・!!正体を
         きっと・・・!!掴んでやる
         隠された・・・!!真実を
         何食わぬ顔をした
         その面の下には
         誰にも見せたことのない
         秘密の鬼面
         あいつは誤魔化せても
         他の誰も見破れなくても
         俺だけは騙せない!!
         偽りに包まれた
         本当の素顔を・・・!!”

         ジョセフ、堅い決心に瞳を輝かせ、
         下手へ去る。
         一時置いて、上手よりクリスト、手に紙を
         持ち、慌てた様子で走り登場。

  クリスト「(誰かを捜すように。)ジョセフさーん!!(辺りを見回
       す。)ジョセフさーん!!一体どこへ行ったんだよ、こん
       な大切な時に!!やっと死神の記事を見つけたって言
       うのに!!ジョセフさーん!!」

         クリスト、ジョセフを捜しながら、下手へ
         走り去る。
         再び、一時置いて、上手よりエリザベス
         登場。続いてミリオッタ登場。

  ミリオッタ「あの・・・話しって何?」
  エリザベス「(振り返り、ミリオッタを見詰める。)お兄さんのこと、
         どう思ってるの・・・?」
  ミリオッタ「え・・・?」
  エリザベス「好き?」
  ミリオッタ「(少し戸惑ったように。)素敵な方だと思うわ・・・」
  エリザベス「そんなこと聞いてるんじゃないわ。好きかどうか、聞
         いているのよ。(突き放すように。)」
  ミリオッタ「ええ、好きよ。」
  エリザベス「愛しているの・・・?」
  ミリオッタ「・・・ええ・・・」
  エリザベス「お兄さんはあなたのことなんて、なんとも思ってな
         いわ!それでもあなたは愛してるの?」
  ミリオッタ「(微笑む。)・・・ええ。私は何も見返りを求めて、誰か
        を好きになるんじゃないわ・・・。そりゃあ私のことを好
        きになってもらえたら、素晴らしいけれど・・・思いは人
        其々の筈よ。ねぇ、エリザベス・・・恋をしたことがある
        ・・・?恋をしたことのある女の子なら、誰だって分かる
        筈よ・・・。好きな人を見ているだけでときめいたり・・・
        キュンとなったり・・・時には切なかったり・・・。でも、そ
        う感じたり出来ることが幸せなんだもの・・・。私は愛し
        て欲しいと願うことは二の次ね。(クスッと笑う。)色々
        な人がいるんですもの、私なんかと全然違った考えを
        持っている人も、沢山いるんでしょうけど・・・。自分が
        誰かを愛する時に感じる幸せは、誰でも同じだと思う
        わ・・・。」
  エリザベス「(一時、ミリオッタを見据える。)・・・もういいわ・・・。
         ・・・お兄さんから伝言があったの・・・」
  ミリオッタ「伝言?」
  エリザベス「・・ええ・・・。話があるから、一本杉のところで待って
         るって・・・」
  ミリオッタ「・・・一本杉・・・?」
  エリザベス「ええ・・・森の奥の一本杉よ・・・」
  ミリオッタ「でも、あそこへ行くには、切り立った崖っ淵を通らなけ
        ればならないから、村の人たちだって、余程のことが
        ない限り、行ったりしない危険な場所よ・・・?」
  エリザベス「そんなこと知らないわ・・・。私はお兄さんからあな
         たに伝えてくれって、頼まれただけだもの。人に聞か
         れたくないような話しが、あるんじゃなくて・・・?」
  ミリオッタ「・・・そう・・・分かったわ!行ってみる!ありがとう、エ
        リザベス!」
  
         ミリオッタ、手を上げて嬉しそうに上手へ
         走り去る。
         エリザベス、意地悪そうな面持ちで、
         ミリオッタが出て行った方を見詰めている。

  エリザベスの心の声「今まで私達はずっと2人だった・・・。その
               私達の間に割り込むことなんて、絶対にさ
               せないわ・・・!!」

         そこへ下手より、クリストと話しながらジョセフ
         登場。エリザベスを認め、2人顔を見合わせ、
         上手方を見据えたままのエリザベスの側へ。

  ジョセフ「・・・こんにちは、エリザベス・・・」
  エリザベス「(振り返って2人を認める。)さようなら・・・(2人の横
         を通って、下手方へ行こうとする。)」
  ジョセフ「ちょっと待てよ・・・」
  エリザベス「何かしら・・・私、急いでるんだけど・・・」
  ジョセフ「何故、逃げるように旅を続けている・・・?」
  エリザベス「(振り返って、ジョセフを見据える。)そんなこと、あ
         なたに関係なくてよ!」
  ジョセフ「死神だからか・・・?」
  エリザベス「(ジョセフを睨み付け、背を向け下手方へ行きかけ
         る。)」
  ジョセフ「違うんなら釈明してみろよ!」

         エリザベス、歩を止める。

  ジョセフ「おまえ達が立ち寄った町や村では、必ず奇妙な事件
       や事故が起こっているじゃないか!!(手に持っていた
       紙の束を投げ捨てる。)ここにある新聞や雑誌の記事
       には、おまえ達がやって来た時には気をつけろと書か
       れている・・・。・・・一体・・・おまえ達兄妹は・・・おまえの
       兄貴は何者だ・・・!?」
  エリザベス「(振り返ってジョセフを見詰め、意地悪そうに微笑
         む。ゆっくり近寄って。)私に詰め寄る暇があったら・・・
         ミリオッタの心配でもした方がいいんじゃなくて・・・?」
  ジョセフ「ミリオッタの・・・!?(ツカツカとエリザベスに近寄り、
       腕を掴む。)」おい!!あいつがどうしたんだ!?何かし
       たのか!?」
  エリザベス「その汚い手を離して!!(微笑んで。)聞きたい?」
  ジョセフ「ふざけてないで、さっさと言えよ!!」
  エリザベス「一本杉へ行ったわ!!」
  ジョセフ「一本杉・・・」
  エリザベス「死んじゃえばいいのよ、あんな女!!(声を上げて
         笑う。)」
  ジョセフ「ミリオッタ!!」
 
         ジョセフ、慌てて上手へ走り去る。

  クリスト「(エリザベスの方を気にしながら。)ジョセフさん!!」

         クリスト、ジョセフの後を慌てて追う。
         エリザベスの狂ったような笑い声で、
         フェード・アウト。









      ――――― “アンドレ”4へつづく ―――――










  
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