●2/23毎日新聞より・・・「<日銀試算>家計の利子収入300兆円消える」
日銀の白川方明理事は23日の参院財政金融委員会で、バブル崩壊後の超低金利政策により、家計部門の利子収入が91年から04年までの13年間で304兆円失われたとの試算結果を明らかにした。91年に日銀が金融緩和に転じて以降、金利は極めて低い水準で推移し、預金を持つ家計部門の収入減につながった。
●3/1日経(1面・5面)より・・・日銀は金融の量的緩和策を解除する際に、長短金利の上昇抑制策を打ち出す方向で検討に入った。金融政策の操作目標になる無担保コール翌日物金利に0.1%の上限を設け、事実上ゼロ%近くに抑え込む。
また、日銀が長期国債を月間1兆2000億円ずつ買い切る措置の継続も表明し、長期金利の急上昇などを防ぎたい考えだ。金融市場の動揺を抑え、量的緩和の解除が景気に悪影響を及ぼさないように配慮する。
(中略)小泉政権の5年間で国債の発行残高は1.3倍に拡大したにもかかわらず、元利払い費が12%増に抑えられたのは、量的緩和がもたらした超低金利のおかげといえる。
・・・
いよいよ日銀の量的緩和策の解除が近いと見られます。“異常”と言われ続けた量的緩和とは、金利ゼロで資金供給してもなおオカネが世の中に回らなかったデフレ日本において、オカネを常時大量に積み上げておくという追加の策でした。これが始まった01年当時は、まさか5年間もこの異常政策が続くとは誰も考えなかったと思います。
量的緩和の解除だけで大騒ぎですが、もっと異常なのは超低金利政策がバブル崩壊の91年からじつに15年間続いているということです。歴史的に類を見ない事を今だ経験している最中ということです。(今年中にゼロ金利が解除されるかまだ怪しいところです)
15年間というのは、例えば当時20歳の成人が35歳になっている、35歳だった人が50歳になっているというような実に長い歳月であり、最初は異常と考えていたことが何時の間に普通の=常識的な感覚として世間にすっかり染み着いたものになってしまっているわけです。
銀行へ預けても金利は付かないのは常識であり、逆に住宅ローンの低金利キャンペーンも当たり前のこと、国内優良企業やウォール街の投資家はいつでも有利な条件でふんだんにオカネを借りることができ、政府は天文学的借金をしても雪だるま式に利払いが増えることもない・・・。
といった常識的価値観がついに変化する、その最初の一歩が量的緩和の解除です。この第一歩の影響で、常識トレンドの変化が急にやってくるのか?緩やかなのか? それは世界で始めての経験になるので、まだ誰にもわかりません。
一番上の記事にあるように、この15年の政策によって庶民の家計が得られたかもしれない利子収入が大きく失われました。貯金好きの日本人にとっては取り返しのつかない大きなダメージを受けました。超低金利政策の一番の副作用といえるでしょう。(当ブログファイルNO23参照ください)
オカネが増えない⇒消費できない⇒デフレ不況・・という悪循環が15年続いたということです。一方大きな企業群はいくら金利ゼロで貸しますといわれても、オカネがこんなに沢山ありますよといわれても、肝心の消費者の虎の子が増えなくて消費する余裕がないのですから新規投資する気になりませんでした。
・・というより実情は、欲にかまけたバブル後のヤケドが大きすぎて、大企業は抱えた負債から身をかろうじて守るために借金の棒引きや低金利で引延ししてもらうことに精一杯でした。人件費の大リストラもアメリカ並みに世間で認められるようになりました。法人税も大きな企業だけは政府にだいぶ低くしてもらいました。
これらの助けを15年間もらって、大きな企業体は大部分が立ち直ることができました。それどころか今は、国や銀行に頼ることなく史上最高の利益で得た自己資金や社債で新たな投資ができるようなリッチ状態です。そして内需の見込めない日本を飛び出しグローバルな世界マーケットを相手にガリバー化していってます。
片や大企業の恩恵を受けていない大部分の庶民家計は、昔なら当たり前のようについた利子所得を10年以上得られず、企業からリストラされ、ようやく一息つけるかと思ったのもつかの間、これからは政府側から(国の借金のツケで)増税を求められます。
たしかに住宅購入のような大きい額の借金の返済は低金利のおかげで楽になっていましたが、まだ何十年か払いつづけなければならない今後の返済については見込まれる金利上昇で支払い負担増、小さな政府による社会保障の縮小、少子化など不利な条件の数々が予想されます。
大企業がバブルに乗ったツケを減免してもらい、息を吹き返し世界へ進出していったのと対照的に、国民の大部分を占める内需関連で働く経済的弱者=庶民については“小さな政府にするしかないから、これからみんな自助努力で。さらに国の借金を増税で助けてほしい”と突き放されている現実です。
もちろん、この15年間にまとまった資産を手に入れた一部の人間にとっては、金利上昇の恩恵を受ける側に回ります。彼ら勝ち組もグローバル世界をとっくに見据えています。
これらを考えると、一部の上流と大部分の下流に分かれる格差社会の到来は、まさにこれから本番を迎えてしまうのではないかと考えます。
政府は全くあてにできない上に、グローバル大企業も私利私欲の塊であり、これらに恩恵を受けている(周辺にいる)人間たちや、運や実力で大きな富を掴んだ成功者たちを除いた多くの人々が、このままの現状にしがみついていてはいつか立ち行かなくなることは明らかです。
庶民の資産防衛のための意識向上とファイナンシャルの正しい情報教育が、一刻も早く広まっていくことを願うしかありません。
意識や教育が向上すればするほど結果としては、井の中の蛙だった日本人は今よりもっと大胆でグローバルな思考を持って行動する人種にならざるを得ないのでは・・まるで世界中で活躍する華僑のように・・と、そんなふうに飛躍的に考えてしまいます。
アメリカ型市場原理主義が文明圏を征服してしまった以上、15年前までの日本型社会主義の復活は相当難しいと考えざるを得ません。国も自治体も団体も守ってくれない日本。大企業や富裕を得た勝ち組がそれに一早く気づいてそうしたように、庶民も正しい知識を得て、円や国内にこだわらず世界へ何らかの形で(ミクロなレベルでも)立ち向かっていく。それは早いほど、有利になるような気がします。
この手のマクロ思考は、過去ファイルNo14~20に連載しましたが、いくら紙面があっても足りませんので一旦置いて今後改めたいと思います。
日銀の白川方明理事は23日の参院財政金融委員会で、バブル崩壊後の超低金利政策により、家計部門の利子収入が91年から04年までの13年間で304兆円失われたとの試算結果を明らかにした。91年に日銀が金融緩和に転じて以降、金利は極めて低い水準で推移し、預金を持つ家計部門の収入減につながった。
●3/1日経(1面・5面)より・・・日銀は金融の量的緩和策を解除する際に、長短金利の上昇抑制策を打ち出す方向で検討に入った。金融政策の操作目標になる無担保コール翌日物金利に0.1%の上限を設け、事実上ゼロ%近くに抑え込む。
また、日銀が長期国債を月間1兆2000億円ずつ買い切る措置の継続も表明し、長期金利の急上昇などを防ぎたい考えだ。金融市場の動揺を抑え、量的緩和の解除が景気に悪影響を及ぼさないように配慮する。
(中略)小泉政権の5年間で国債の発行残高は1.3倍に拡大したにもかかわらず、元利払い費が12%増に抑えられたのは、量的緩和がもたらした超低金利のおかげといえる。
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いよいよ日銀の量的緩和策の解除が近いと見られます。“異常”と言われ続けた量的緩和とは、金利ゼロで資金供給してもなおオカネが世の中に回らなかったデフレ日本において、オカネを常時大量に積み上げておくという追加の策でした。これが始まった01年当時は、まさか5年間もこの異常政策が続くとは誰も考えなかったと思います。
量的緩和の解除だけで大騒ぎですが、もっと異常なのは超低金利政策がバブル崩壊の91年からじつに15年間続いているということです。歴史的に類を見ない事を今だ経験している最中ということです。(今年中にゼロ金利が解除されるかまだ怪しいところです)
15年間というのは、例えば当時20歳の成人が35歳になっている、35歳だった人が50歳になっているというような実に長い歳月であり、最初は異常と考えていたことが何時の間に普通の=常識的な感覚として世間にすっかり染み着いたものになってしまっているわけです。
銀行へ預けても金利は付かないのは常識であり、逆に住宅ローンの低金利キャンペーンも当たり前のこと、国内優良企業やウォール街の投資家はいつでも有利な条件でふんだんにオカネを借りることができ、政府は天文学的借金をしても雪だるま式に利払いが増えることもない・・・。
といった常識的価値観がついに変化する、その最初の一歩が量的緩和の解除です。この第一歩の影響で、常識トレンドの変化が急にやってくるのか?緩やかなのか? それは世界で始めての経験になるので、まだ誰にもわかりません。
一番上の記事にあるように、この15年の政策によって庶民の家計が得られたかもしれない利子収入が大きく失われました。貯金好きの日本人にとっては取り返しのつかない大きなダメージを受けました。超低金利政策の一番の副作用といえるでしょう。(当ブログファイルNO23参照ください)
オカネが増えない⇒消費できない⇒デフレ不況・・という悪循環が15年続いたということです。一方大きな企業群はいくら金利ゼロで貸しますといわれても、オカネがこんなに沢山ありますよといわれても、肝心の消費者の虎の子が増えなくて消費する余裕がないのですから新規投資する気になりませんでした。
・・というより実情は、欲にかまけたバブル後のヤケドが大きすぎて、大企業は抱えた負債から身をかろうじて守るために借金の棒引きや低金利で引延ししてもらうことに精一杯でした。人件費の大リストラもアメリカ並みに世間で認められるようになりました。法人税も大きな企業だけは政府にだいぶ低くしてもらいました。
これらの助けを15年間もらって、大きな企業体は大部分が立ち直ることができました。それどころか今は、国や銀行に頼ることなく史上最高の利益で得た自己資金や社債で新たな投資ができるようなリッチ状態です。そして内需の見込めない日本を飛び出しグローバルな世界マーケットを相手にガリバー化していってます。
片や大企業の恩恵を受けていない大部分の庶民家計は、昔なら当たり前のようについた利子所得を10年以上得られず、企業からリストラされ、ようやく一息つけるかと思ったのもつかの間、これからは政府側から(国の借金のツケで)増税を求められます。
たしかに住宅購入のような大きい額の借金の返済は低金利のおかげで楽になっていましたが、まだ何十年か払いつづけなければならない今後の返済については見込まれる金利上昇で支払い負担増、小さな政府による社会保障の縮小、少子化など不利な条件の数々が予想されます。
大企業がバブルに乗ったツケを減免してもらい、息を吹き返し世界へ進出していったのと対照的に、国民の大部分を占める内需関連で働く経済的弱者=庶民については“小さな政府にするしかないから、これからみんな自助努力で。さらに国の借金を増税で助けてほしい”と突き放されている現実です。
もちろん、この15年間にまとまった資産を手に入れた一部の人間にとっては、金利上昇の恩恵を受ける側に回ります。彼ら勝ち組もグローバル世界をとっくに見据えています。
これらを考えると、一部の上流と大部分の下流に分かれる格差社会の到来は、まさにこれから本番を迎えてしまうのではないかと考えます。
政府は全くあてにできない上に、グローバル大企業も私利私欲の塊であり、これらに恩恵を受けている(周辺にいる)人間たちや、運や実力で大きな富を掴んだ成功者たちを除いた多くの人々が、このままの現状にしがみついていてはいつか立ち行かなくなることは明らかです。
庶民の資産防衛のための意識向上とファイナンシャルの正しい情報教育が、一刻も早く広まっていくことを願うしかありません。
意識や教育が向上すればするほど結果としては、井の中の蛙だった日本人は今よりもっと大胆でグローバルな思考を持って行動する人種にならざるを得ないのでは・・まるで世界中で活躍する華僑のように・・と、そんなふうに飛躍的に考えてしまいます。
アメリカ型市場原理主義が文明圏を征服してしまった以上、15年前までの日本型社会主義の復活は相当難しいと考えざるを得ません。国も自治体も団体も守ってくれない日本。大企業や富裕を得た勝ち組がそれに一早く気づいてそうしたように、庶民も正しい知識を得て、円や国内にこだわらず世界へ何らかの形で(ミクロなレベルでも)立ち向かっていく。それは早いほど、有利になるような気がします。
この手のマクロ思考は、過去ファイルNo14~20に連載しましたが、いくら紙面があっても足りませんので一旦置いて今後改めたいと思います。
実質金利とは、金利から物価上昇率を引いたものです(デフレで物価上昇率がマイナスになると実質金利は上がる)。
一般的に欧米では、実質金利の低下は個人消費を刺激すると言われています(実質金利低下による消費刺激効果の大きさが、利子所得の減少効果を上回る)。実際、米国や英国では実質金利が下がると借入れが増え住宅ブームなどの消費刺激効果があります。
日本では金利をいくら下げても消費や設備投資が増えず景気低迷から脱却できない泥沼状態が長くつづきました。 デフレで実質金利が押し上がっていたことが背景にあります。
デフレ時代は、バブル崩壊後、処置先延ばしによる不良債権問題等で企業収益が悪化⇒給料減少・リストラの波⇒消費減退⇒物価下落⇒企業収益悪化・・という悪循環が続きました。
また、モノの価値が下がるということは、相対的に貨幣価値が上昇するので、現金をしまい込んでおけばその価値が自然と上昇するため、物価下落は長期的には購買意欲の減退を招きました。
日本人はそもそも貯蓄好きで、仮に金利が低下しても、米国人のように貯蓄を減らして借り入れを行ってまでも消費しようとする人が少ない・・という意見もありました。
事実、日米の資産における預貯金の占める割合の差はまだ歴然としており、以前ファイルに書いたように入ってきたオカネを消費する社会に変えていかない限りいつまでたってもアメリカのような内需の高まりは期待できないといえる側面はあるかと思います(価値観の転換は簡単にはいかないですが)。
話を戻すと、貯蓄好きだった庶民にとっては低金利政策で預貯金の利子を大きく奪われたうえに、デフレによる実質金利の高さも重なって、消費の伸び悩みが続いたといえるでしょう。
ここ1~2年ようやく、実質金利がデフレ終息により低下し、企業の設備投資や採用を刺激してきました。若い個人投資家が増え、海外景気の回復も伴って日本の大企業の株価も回復してきました。
しかし大半の家計レベルでは小さな政府による社会保障の縮小、国の借金返済のための増税、少子化の不安など不利な要素の数々が、庶民の先行きを必ずしも明るいものにしていないわけです。
ゆえに、今後もっと実質金利が低下しても、資産を蓄えている高齢者などを中心にまだまだ安全資産(預貯金)重視の世帯が多かったり、先行き不安を考える人が多ければ、日本全体の内需の大きな盛り上がりは中々厳しいと考えます。
ファイルの論旨に戻してまとめると、これまでのゼロ金利政策による消費刺激効果は理屈上考えられ期待されていたが、同時に預貯金からの利子所得の減少効果も大きく、両者が打ち消し合ったうえに、デフレによる実質金利押し上げが更に足を引っ張っていたといえます。
量的緩和政策に至っては結果としてほとんど内需に回らなかっただけでなく、世界中の投資家へ格好の資金調達の場として、過剰流動性を推進した役回りを5年間演じただけで終わったといえるでしょう。
この政策を取った日銀自らが量的緩和政策のことを“異常”と、のたまっているゆえんはここにあると思います。そしてなんとかそこから脱出したいと・・。
皮肉であり自虐的なブラックジョークとしか思えません。
名目金利が高くて、利子であたかも生活できているように見えても、実質的な預金残高が減ることがあるはずです。
デフレ下では、実質金利が高いわけですから、名目残高はともかく、実質残高は増えて行くわけです。
その辺のところが、なんかぼやかされていると僕は思います。
まぁ、名目値が減るという心理的効果はあるんでしょうけど。。もっとわれわれ国民が経済を理解する必要がありそうです。