~経済ニュースの森の奥~ ・・マクロな視点から。

《いつもお読みいただきありがとうございます。このブログへのコメントは受付けていませんのでご了承ください》

No44 国に救われ・・・なお庶民を愚弄する、ニッポンの金融機関

2006年04月02日 | 金融・経済全般
●4/1NIKKEI-NET・・・「銀行と生保の株式含み益、1年で2倍に」 2006年3月期末の保有株式の含み益は大手6銀行グループと主要生命保険会社9社の合計で約22兆円となり、05年3月期末と比べて倍増した。銀行の含み益の増加は自己資本比率を引き上げ、財務の安定性を高める。融資拡大や事業拡大など前向きな経営を後押しすることにもつながりそうだ。 



●3/29同・・・「金融機関の預金金利、軒並み上昇・5年7カ月ぶり」
 日銀が発表した今月16―22日までの全国金融機関の店頭表示金利によると、期間1年以上の預金金利が軒並み上昇した。日銀がゼロ金利を解除した2000年8月以来、5年7カ月ぶりの一斉上昇。

1000万円以上の定期預金の金利で1年物が前の週の0.031%から0.032%、5年物が0.115%から0.136%と上昇幅はわずかにとどまっている。



●4/1同・・・「メガバンク3行、住宅ローン金利上げ」
 みずほ銀行、三井住友銀行、三菱東京UFJ銀行のメガバンク3行は4月3日から住宅ローンの金利を引き上げる。日銀が量的金融緩和策を解除し、中長期の金利が上昇したことに伴う措置。年0.1―0.2%程度高くなる。メガバンク3行は市場金利が上昇し始めた3月1日に住宅ローンの金利を引き上げており、2カ月連続で金利が上昇する。



・・・・・・


バブル後10年以上に及ぶ超低金利政策、中でも99年から6年以上続くゼロ金利は、銀行や保険などの金融機関の再生に大きく貢献しました。

バブル後不良債権の処理のため莫大な税金の投入、そして無担保のお金が金利ナシでジャブジャブ使えるようにした。政府と日銀の金融機関に対する、特別で長期に渡る温情に対して、預金金利を犠牲にしてきた国民は今後その見返りを当然受ける権利があります。

80年代は金融機関の運用益の90%が、利子として預金者に還元されていたということです。また、銀行が日銀から調達する金利は一時7~8%のときもあったいう今では信じられない世界でした。


超低金利政策によって、お金ジャブジャブ金融機関から「融資」の形で市場へお金が回って景気が回復し、デフレ脱却となるだろうという日銀の目論見にもかかわらず、サラリーマンの70%が所属する中小への「貸し渋り」「貸し剥がし」は止まらず、結果としては金融機関と、膨大な借金を抱えていた大企業を助けたことに終始しました。


結局200~300兆円が、家計が失った利子所得から⇒金融機関・大企業へ“所得移転”したと言うことです。  ・・同様の主旨、ファイルNo23(昨年11月)No33(同12月)ご参照ください。こんな話もわずか数ヶ月前はたいへんマイナー意見でした。

一番上の記事にあるように、国に助けられた大企業の株価は上がり(年46%!)収益は史上最高を更新中、また金融機関は庶民からタダで預かった大金を大企業へ還元するかのように投資して、その含み益は1年で2倍になりました。

現在、各銀行は見せかけの金利キャンペーン(5年もの定期で最初3ヶ月だけ利子4%とか・・)などで預金集めをしていますが、実際のところは上の記事にあるように千分の一パーセント上げただけでニュースになるような笑えない状況です。

個人が借りるほうのローン金利はいともあっさり年0.1―0.2%高くなるのに・・。


多大な血税を献上して、莫大な利子を献上して、それでもなお日本人の多くはまだ、タダ同然で銀行に虎の子資産を預けっ放しです。尚且つ、イザ借りるときには大きな金利上昇を飲まされ無条件に土地等を担保に取られてしまう始末です。

いくらお人好しの日本庶民といえども、ニッポンの金融機関との付き合いを真剣に考え直すべきではないでしょうか。

・・・・・

話は横にそれますが、庶民の虎の子資産といえば郵便局。こちらのほうはもっと必死です。

●3/31同・・・「郵便定期貯金、3年物の金利0.15%に・5年半ぶり引き上げ」
 日本郵政公社は31日、4月3日から定期貯金の金利を引き上げると発表した。3年物の金利は0.15%とし、現行(0.06%)の2.5倍になる。郵貯の金利引き上げは約5年半ぶり。

郵貯残高は金利の魅力が薄れ、残高が200兆円を割った。民間金融機関は日銀の量的金融緩和政策の解除を受けて、3月下旬から定期預金金利を相次いで引き上げた。郵貯も金利を上げることで、魅力を高め、残高の急激な減少を防ぐ。


・・・・・


まやかしキャンペーンや利子0.001%アップの民間金融機関に比べ、現行の2.5倍の利子アップとは、あなどれません。一見こちらのニュースの方が庶民には有益のように思えます。

しかし新郵便会社もまた。
以前No21で指摘したように、庶民から預かった大金の半分は国営時代に国債に回されすでに実質コゲついていて、それを挽回すべく(?)、新しいトップは残金をイチかバチかウォール街あたりのハイリスクな運用に回すことも、やぶさかではない様子です。

こちらは預金残高の減少に歯止めがかからないため、オイシいエサを与えて釣ろうという作戦のような気がします。 別の意味で大手銀行より危なく、気をつけたほうが良さそうです。 



1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ひろ)
2006-04-03 01:03:12
>3年物の金利は0.15%

3年物の国債の金利が0.84%であることを考えるとまだまだだと思います。

現状では預貯金なんて、まともな経済人のすることではないと思っているのですが。。
返信する