『The Book』(by乙一)、読了。
漫画『ジョジョの奇妙な冒険』第4部の外伝。
因みに、2007年初版の書き下ろし。
いつか文庫落ちしたら読もうと思ってた私をお許し下さい。
この設定なら、このハードカバーの装丁しかないと痛感している。
全380ページという判型も変えられないし、このタイトルにも意味がある。
本当は乙一氏、表紙を無地一色にしたかったんじゃないかな。
物語の視点は、三点。
ある理由から特殊な状況で生きる女性。
謎の少年・琢馬と少女・千帆。
康一たち本編のメインキャラ。
まず、原作要素の多さに驚く。
複雑なスタンドバトルの駆け引きにも圧倒される。
あと、イタリア料理店の下りは貴重な癒やし。
“忘れる”事の出来ない少年の語る、
「読書における追体験とは、過去への時間移動である」(大意)という論は、本好きなら誰しも共感できるだろう。
ただ、作中に没入するには、前提として相当の筆力が必要だ。
情景描写、心理描写に自信がなければ書けないところを、けれど乙一氏は完遂している。
その時その時の一瞬を全力で、懸命に生きて散るキャラ達は、まさに原作通り。
読了してからプロローグを見返すと、全く違う感慨が湧いてくる。
そして、もれなく本を手に載せて振りかざす遊びをしたくなる事請け合いである(私はやりました)。
それでは。また次回。