俺の知識では、その術が効けば最後、相手の全身がねじ曲がって
裂けるはずだった。
が、実際には全く違う現象が起こった。
奴の魔力が当たったと感じた瞬間、俺の全身が光を発した。
黒の毛並みが、白へ。
青みがかった炎のような色合いへ変わった。
正確には、色だけじゃない、本当に炎のように全身が揺らめいている。
「馬鹿な! そうか、ペチャクチャ獣の罠を突破したな。
ハニカスめ、まだあの『エルフの粉』を封じていなかったのか」
ザラダンが戸惑っている今がチャンスだ。
俺はキャリイを、つまり宝石製の大槌を構えた。
「銀の門」は「光の槌」で開かれる。
つまり、これで鏡を割れば、決着を付けられるはずだ。
ただ、気になるのは、この槌の耐久性だ。
一度でも固い物にぶつければ間違いなく、こいつの方も砕け散る。
(わたしなら構いません。使って下さい)
(本当にいいのか?)
(言ったでしょう。わたしは最後まで付いていくと。
だから、お願い。わたしを……嘘つきにしないで)