♪りなりり日記♪

莉夏ちん(6歳)と莉々ちゃん(4歳)の成長記録と家族の日記

フォンタン手術説明

2008-11-04 | フォンタン手術
10月31日(金) 循環器科(診察)、心臓血管外科(手術説明)外来。

まずは循環器科の診察から。

身長:72.5cm (前回比+2.3cm)
体重:8175g (前回比+235g)
安静時のサチュレーション:87~88

先日のカテ入院の後すぐ、発熱した莉々ちゃん。
先生は「ちょっと疲れちゃったのかもしれないね。(遠方だし)カテ翌日に退院はきびしかったね。」と。
今後も発熱したらすぐに掛かりつけ医に行き、診てもらうようにとのこと。
手術も控えてるし、体調管理には気をつけないと。

その後、手術説明を聞くため外科に移動。
手術説明に2時間程度掛かるとのことで、莉々ちゃんは看護師さんが預かってくれました。
しばらく待った後、心臓血管外科F医師より手術説明。(以降、記録として残すため記載しますが、長文になるので興味のない方は飛ばして下さい)

F医師開口一番、「まずはじめに、莉々ちゃんの場合、非常に難しい手術になります。」と。
その理由は、解剖学的問題にあると。
解剖学的問題!????

まずは病名の確認から。
・無脾症候群 ASP
・単心房、単心室 SA,SV
・総肺静脈還流異常Ib TAPVC
・下大静脈欠損 AIVC
・肝静脈独立還流

最初の手術:両方向性グレン手術+総肺静脈還流異常症修復術

そして次に行う予定のフォンタン手術。
下半身の静脈血が、心房を通らず直接肺に流れるよう、下大静脈と肺動脈を人工血管で繋ぐ。

<フォンタン手術の条件>
・SVC圧・・・・14以下なら問題なし。莉々は12(OK)
・心房圧・・・・・莉々は6(OK)
・房室弁の逆流・・なし(OK)
・心室の大きさ・・55%(OK)

以上、9月に行ったカテの結果より、フォンタンへ進めることが確定。

....................................................................


◎完全右心バイパス手術(TCPC、またフォンタン手術とも言う)

下半身の静脈血を、どうやって肺に導くか?


図1:通常のフォンタン手術
丸く風船のように描かれているのが心房。
グレン手術にて、すでに上大静脈は肺動脈に吻合済(左上)。
次のフォンタン手術では下大静脈を切除、肺動脈に切り込みを入れ、人工血管で繋ぐ(右上)。
静脈血が心房を経由せずに肺動脈に流れる(下)。


ここで、最初に先生が言っていた解剖学的問題が出現する。

まず、肝静脈についての異常。
正常な人の肝静脈は1本なのに対し、莉々ちゃんは2本あり、肝外に出てすぐに心房に繋がっている。
また、肝臓の裏を通る形で下大静脈が1本。
これもまた独立して心房に繋がっている。
イメージで言うと、平たい肝臓の左側から2本(肝静脈・下大静脈)、右側から1本(肝静脈)出ていて、各々心房へ繋がっているという感じ。

手術をする目的は、チアノーゼを無くすこと。
その為には、動脈血(赤い血)と静脈血(青い血)が心臓内部で混ざらないようにしなければならない。
一般的なフォンタンならば、肝静脈と合流した1本の下大静脈を心房に繋がる手前で切除し、人工血管を用いて肺動脈と繋げばいいのだけれど、3本も心房に還流してる血管があるからといって、3本の人工血管を置くなんてことはもちろんできない。

でも、心房に繋がっている3本の血管全てを肺動脈に繋ぐことができなければ、心房の中で血液は混ざり合い、チアノーゼがなくなることはない。
ではどうやって肺動脈に繋ぐ?

考えられる方法は3つ。

方法①心外導管・・・心臓の外に人工血管を置く方法
1-1.二連銃(図2)
 右側の1本と左側の2本を近づけて、お互いを縫合。3本の血管を1本の血管に形成し直す。その後、人工血管で肺動脈と繋ぐ。


図2:二連銃 下の3本が肝静脈と下大静脈、上の太い管が人工血管

1-2.共通口(図3)
 3本の血管が還流している心房自体を途中で切除。切除面に人工血管を縫い合わせ、繋ぐ。


図3:共通口

<ここで発生する問題>
・人工血管はもともと体内にはないものなので、もちろんその分余計にスペースを取ることになる。
背骨の左右にまたがる静脈を繋ぐ際に、背骨に押され、圧迫の懸念がないか?

・二連銃の場合、ある程度肝外に出ている静脈の長さが必要になる(長さが短いと左の2本と右の1本が近づくことができず、吻合できない)。
検査結果をもとに長さを測ってみると、左と右の血管の間は約11~13mm離れており、極めて遠いとのこと。
ゆえに、この方法では不可能?


方法②心内導管・・・心臓の中に人工血管を通す方法
この方法は、ある程度心内構造を犠牲にすることになる。
人工血管の太さは16mmもしくは18mm。
小さな心房の中を、約2cmもの異物が占領することになれば、房室弁への流入血流の阻害による心不全、また、肺静脈還流阻害による狭窄などの問題を引き起こす可能性がある。
とは言え、人工血管のサイズをダウンし14mmを使用した場合、将来的に再手術は必発。


方法③併用・・・心外、心内の両方の方法を用いる

図4:併用
言わば、前述2つの方法のいいとこどりの手術方法。
心房内に”パッチ”と呼ばれる布製のパーテーションを立て静脈血と動脈血が混ざり合わないようにし、心房に繋いだ人工血管に静脈血が流れるようにする。
心房内に土管のような人工血管を入れるよりも、薄いパッチを使えば心内構造を邪魔することもないし、縫合線も最小限ですむというメリットがある。


ただ、どの方法で行くかの結論としては今すぐには出さず、手術中に胸を開けてから決定するとのこと。
その理由としては、癒着剥離等でイメージが変わることがあるということと、CTでの位置と実際の位置にズレがあるかもしれないからということ。


さらに問題はこれだけではなく、肺動脈側の吻合にも注意が必要らしい。
グレン手術時に上大静脈を切除し肺動脈に繋いでいるが、そのすぐ近くに総肺静脈還流異常(TAPVCIb)の血管がある。
今回のフォンタン手術で人工血管を置くと、肺動脈の辺りでTAPVCIbを圧迫してしまう可能性がある。
だからと言って心臓の右側に人工血管を置くこともできない為、肺動脈を通り越し、高位(頭側、上大静脈)に人工血管を吻合することになるかも?とのこと。

他にも術後の合併症など、心配事は尽きない。
パッチを使用した場合に、縫い目から血液が漏れてチアノーゼになってしまったり(その場合は再手術)、人工血管を体内に入れることによる血栓や塞栓の心配もあったり。。

とにかく、この莉々ちゃんのフォンタン手術は相当難易度が高いことが理解できた。
先生にも「まず東京近郊の病院で、この手術をやってくれる所はないでしょう。」と言われた。
この病院は、”断らない”がモットーだから引き受けてくれるんだよね。
本当、受け入れてくれた先生達に感謝です。。

聞いてみたら、ここ20年で全部で130~140例ほどの無脾症の手術をしているけど、莉々ちゃんと同じケースはわずか2例だけだそう。
うまくいくのだろうか・・。

手術は12月になりました。
詳しい日付は手術日1週間前位に電話で連絡がある為、まだわかりません。
間が悪ければ、今年の年越しは病院で・・なんてこともあるのかも?

話を聞いてきた今は、「莉々を助けて下さい」という気持ちでいっぱいです。

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2 コメント

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Unknown (kazumi)
2008-11-05 01:22:20
こんばんは。まだ、心晴、寝てくれません目がキラキラ元気です
莉夏ちゃん、幼稚園「合格」おめでとう春が、楽しみですね
莉々ちゃんの、手術、もうすぐなんでね。日程が決まるまで、いつだろうかと、緊張しますね。手術の説明、読ませてもらいました。あまりに、難しく辛い内容で…全国的に有名なs病院で、2例だなんて…
本当に、本当に、心配ですね。
莉々ちゃんは、今まで、色々な事を乗り越えてきたんだもの。優秀な先生方が、きっと、きっと、きっと、助けてくれます。
元気に手術の日を迎え、無事に手術を終え、退院できるのを、愛媛から、祈っています。
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kazumiさま (rinaririママ)
2008-11-05 12:19:03
こんにちは!
夜中になってお目目ランランって、うちもよくあります。困りますよね~。
うちは逆に、今朝は莉々がなかなか起床せず、やっと起きたのが11時でした寝過ぎ・・。

フォンタン説明、私のつたない文章でご理解いただけたでしょうか・・?(不安)
ブログっていいですよ。私自身の復習になるので文章にするって大事だなって、しみじみ・・。

説明で驚いたのは、東京近郊の病院では手術を断られる程の難しい症例だということ。よほどの経験と腕がないと無理ってことですよね。
心晴ちゃんのフォンタンは、愛媛で大丈夫そうなんですか?
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