ジェレミー・ブレット(Jeremy Brett)とグラナダ・ホームズを語る
グラナダ(NHK)版ホームズの鑑賞日記とホームズ役ジェレミー・ブレットに関する情報を発信していきます
 



今日も、本「Dancing in the Moonlight」のご紹介です。
今回は、28ページを中心にご紹介します♪

---------------------------

ホームズを演じた俳優達は、だいたいがワトスンをどなる傾向があった。1968年BBC制作のピーター・カッシング演じる「四つの署名」のホームズで、初めてこの二人のやり取りを、静かに感情的にならずに演じた。そしてジェレミーも同じように演じた(偉大な俳優は同じ事を考えるのだ)。しかしジェレミーのホームズでは、よりシャープに、悲しそうに、苦痛そうに見える。だから感動的に見えるのだ。

監督のポール・アネットが語ってくれたエピソードにこんなものがある。

「ジェレミーは、スクリーンでの自分にとてもシャイになっていた。僕らは、『ボヘミアの醜聞』のホームズがベーカー街の部屋で、鏡の前で馬ていのメイクを取っているシーンを撮影していた。リテイクすると、もう一度馬ていのメイクを施さなくてはいけないので、二つのカメラを設置して撮影に臨んだ。ジェレミは座り、メイクを落としていた、その時だ、突然彼は無言になった。これは普通のことではない、なぜならジェレミーはいつもプロフェッショナルだからだ。『どうしたんだい、ジェレミ-?』と声をかけたら、『鏡をみていたら、突然ジェレミーに会ってしまった。』僕はこう返した。『でもジェレミーは、シャーロックだ。君は、シャーロックなんだ、誰が見てもね。』ジェレミーは手の込んだ変装を脱いだら、自分が出てきて不安に感じたんだ。」

アイリーン・アドラーの屋敷で、火事を偽装するシーンで、ジェレミーは面白い分析をしていた。

「ホームズは、アイリーン・アドラーから介抱されている。今や、ホームズはかつてないほど、女性の胸に接近している。彼の近くには、甘い香り漂う美しい女性が。この瞬間、彼の頭の中はどうなっているだろう?困惑?半信半疑?この女性らしさの猛攻撃で、ホームズは彼女を「あの女性」と呼ぶのだろうか。ホームズ役を演じる上で、こういったことに疑問に持つようになっていた。」

これを聞いたとき、私は、ジェレミーはホームズの心に迫る為に、真剣に配慮を持って取り組んでいるだけでなく、内面も堀りさげているのだと感じた。確かに、ジェレミーはホームズを虚構の人物としてではなく、現実にいる男性として演じている。

---------------------------

今日は、珍しいジェレミーのリテイク話がありました。
色んな文章を読んでいると、ジェレミーはプロだから、ほとんど撮り直しはない、と書いてあるのですが、たまにはありますよねー。
今回は、台詞が出てこない状態に(;^_^A
鏡を見ながら、馬ていのメイクを落としていたら、「あ、ホームズじゃない、自分が写ってる!」と一瞬役が飛んで、台詞を忘れてしまったジェレミー。
いつもしっかりしているのですが、たまにはこういう、ほやんとしたエピソードも可愛らしいですね♪
その後、また馬ていのメイクをし直して、撮り直したんでしょうね・・・。お疲れ様です。

ジェレミーは、ホームズのことを色々分析していますが(ジェレミーは、役柄の人生も色々考えて、自分なりに設定して演技する方です)、
アイリーンとホームズの考察も興味深いですね!
この話は以前にも出てきてますが、何度聞いても面白い♪

「この時、ホームズはかつてないほど女性の胸に接近している」と考えているということは、この時までホームズは女性を知らない設定なんですよ、ジェレミーの中では!(笑)
ほんとにどうなんでしょうね、女性嫌いのホームズは、過去につきあった女性がいたのだろうか。
BBCの「シャーロック」では、アイリーンと関係があったっぽい設定でしたけど(現代ならその方が無難ですが)。

女性の甘い香りがどうの、というジェレミーの表現の仕方も、詳細でニヤリとさせられます(笑)
こういうジェレミーの細やかな想像の一つ一つが、ホームズを生きている人間、にしていくんですよね。
フィクションではない、ロンドンのベーカー街で実際に生きている人間かのように。
だから、それを演じるジェレミーのことをホームズと同一視して、すごい人気がでた訳です。

これからも、冒険シリーズの裏話続きます♪


先週は更新できず、すいませんでした-。

次の更新情報はこちらで出しますね-。
ではでは。

りえ


コメント ( 4 ) | Trackback ( 0 )
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする


« 「ボヘミアの... 第4章 「シ... »
 
コメント
 
 
 
ペンハリガンの「ブルーベル」の香り (RM)
2016-07-02 17:07:16
りえさん、こんにちは。
前回の記事もみなさんのコメントも、興味深く拝見しました。ホームズが爪をみるシーンがいくつもあること、今まで意識していませんでした。もちろん個々のシーンのことはよく覚えているのですが、共通の仕草だということに気がついていなかったのです。そして爪の形にも。見直したら、小指の爪の先がとがってみえました。イギリスへ行くご予定のかたのお話も、うらやましく拝見しました。

今回の記事にあるのと同じシーンのことをジェレミーが少し違う言葉であらわしていたので、ご存知かもしれませんが、りえさんとそのことをお話したくなりました。最近私がブログでその何か所かを引用している、The Armchair Detective, Vol.18, No. 4, Fall 1985 のインタビューからで、ここはまだブログに書いていないのですが、こんなふうにジェレミーが言っています。

「ホームズが怪我のふりをしたとき、アイリーンはホームズのとても近くまで来ます。演じた女優のゲイル・ハニカットはペンハリガンの『ブルーベル』の香りを身にまとっていて、ホームズの理性にこれが影響します --- ホームズは感覚が鋭いのです --- ホームズの判断は乱れて写真を手に入れ損ねてしまいます。」("When he pretends to be hurt, Irene comes very close. The actress, Gayle Hunnicutt, wears a scent called “Bluebell” by Penhaligon. Holmes is affected by this – his senses are acute – and he becomes disoriented and fails to get [the compromising picture of Irene Adler and the Grand Duke]." )

ジェレミーがAnna Masseyに贈ったバスオイルがPenhaligonでしたね。そしてりえさんとお会いしたときに、ロンドンのお土産として、Penhaligonのバスオイルをくださいました!このインタビューでジェレミーの口からPenhaligonの名前が出てきたのでうれしくなりました。

それから、ホームズは感覚が鋭いと言っているジェレミー自身が、鋭い感覚を持っていたのだろうと思いました。そうでないと、ホームズがその時どんなだったかに、思いをめぐらせることはできませんよね。
 
 
 
>RMさんへ (りえ)
2016-07-04 14:09:18
>RMさんへ

こんにちはー♪

ホームズが爪を見るシーン、言われると、「そうだ、あったわ!」って思い出したんですけど、意識しては見てませんでしたよね!
「なるほどー」と、色んな方が意見を出して下さるので、新たな発見があって、面白いですね♪
爪の形、小指が尖ってましたか!人差し指、中指は丸いかな、と思ってたんですけど、小指は注目してませんでした!何度見返したかな、という作品でも色んな方の色んな視点があって、本当に勉強になります!教えて頂いて、嬉しいですよねo(*^▽^*)o~♪

そして、RMさんが教えて下さったエピソード知りませんでした!!
私が紹介した話って、よく出てくる方のエピソードじゃないですか、RMさんのご紹介下さったのは、初めてお聞きしました、そしてペンハリガンの話!!
「ブルーベル」の香りで、ホームズが写真を入手し損なっただなんて、色っぽいお話しですね!(笑)
ジェレミーも前の奥さんにペンハリガンのバスオイルを贈っていたので、本当にイギリスではよく使用されているのですね!!
私も、このお話しを聞いて、興奮しました!
やっぱりこのブランドを使わないと!という気になりました(笑)

で、早速、日本のオンラインサイトに見に行ったんですが、なぜか日本では「ブルーベル」の取り扱いが今、なくて!!
でもどうしても、すぐ使ってみたい!
イギリスから取り寄せようかなぁ、またブログでご報告します。

ジェレミーは、鋭かったでしょうねー♪ 日本風にいうと、「聡い」って感じでしょうか。
人の感情に対しても、相手の言いたいことに対しても、理性じゃなくて感覚的にぱっと気づけるというか(^^)
演技も、そんな感じで、「こうしたらいいんじゃないか」って直観的に分かるんだろうなぁと、そういう感じですね♪

ちょっと久しぶりにお話出来て、楽しかったです~ヾ(=^▽^=)ノ
また、RMさんのブログにも遊びに行きますね~♪
 
 
 
喜んでくださってうれしいです!そして爪のこと、もう少し。 (RM)
2016-07-04 23:46:39
りえさん、こんばんは。私もお話できてうれしいです!

>ジェレミーは、鋭かったでしょうねー♪ 日本風にいうと、「聡い」って感じでしょうか。
人の感情に対しても、相手の言いたいことに対しても、理性じゃなくて感覚的にぱっと気づけるというか(^^)

ああ、いい表現ですね!すごくわかります。そしてジェレミーのそういうところ、大好きです。

>爪の形、小指が尖ってましたか!人差し指、中指は丸いかな、と思ってたんですけど、小指は注目してませんでした!何度見返したかな、という作品でも色んな方の色んな視点があって、本当に勉強になります!教えて頂いて、嬉しいですよねo(*^▽^*)o~♪

そうなんですよね!私もぼーっとしていて気がつかないところ、いろいろ教えていただきました。

私、「小指の爪の先がとがってみえました」って書きましたが、なにしろ爪の形も含めておしゃれに疎いもので、「とがってみえた」という言い方が適当だったかわからないので、具体的に書いてみますね。さきさん宛もふくめて。さきさーん、こんばんは!

私が見たのはひとつは「青い紅玉」、ホームズにピントがあった状態から青い紅玉にピントが移行した、そのときの小指です。爪は全体的に丸いけれども、小指の爪がほかの指の爪より少し長くて、小指は中央部の方をより伸ばしているようにみえます。もうひとつは「最後の事件」の教授との対決場面、引き出しの中のピストルに手をやる、その指です。やはり小指の爪が他より長く、丸いけど中央部分が一番長いような切り方にみえます。「青い紅玉」のときよりも、こちらの方が伸ばしています。

以前から思っていましたが、ジェレミーの指はかわいいですね!
 
 
 
>RMさんへ (りえ)
2016-07-07 01:24:19
もうこうして皆さんとジェレミーのお話しを出来るのは、本当に楽しいですよねー♪
ワイワイがやがやしながら、ジェレミー話、最高です!
オフ会出来たらいいのになぁ、って思います。
RMさんも、来阪の折にはぜひぜひお声がけ下さいませー(^^)

「青い紅玉」チェックしてきました!
仰るとおり、小指だけちょっと尖ってます!
他の指よりも爪が長めですし。
「青い紅玉」だけでなく他のエピソードでもそうしている、ということは、通常の習慣なんですかね。
ジェレミーが、なぜか小指の爪だけちょっと伸ばす癖がある。
確かに小指は、あんまり使うことがないので、他の指よりも伸ばしていても家事や楽器などの邪魔になるということがありません。
そして、爪を切るときは、通常、5本きると思いますから、小指の一本だけ故意に伸ばしているということでしょうね。
うーん、お洒落さん、ジェレミー。小指だけ伸ばすなんて♪

ジェレミーの指、可愛いです。
でももう指と言わず、お顔は言うまでも無く、髪から耳から指から足の先まで、全て好き、全て愛おしいですねo(≧∇≦o)
 
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。