ジェレミー・ブレット(Jeremy Brett)とグラナダ・ホームズを語る
グラナダ(NHK)版ホームズの鑑賞日記とホームズ役ジェレミー・ブレットに関する情報を発信していきます
 



今日も、「Bending the Willow」の概略です。
176から177ページ前半ページをご紹介しています。

「インディペンデント」紙に掲載された、ジェレミーの記事の続きです。

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ジェレミーは、幅の広い喜劇的な演技をしていた。彼のホームズは、突然鋭い眼差しになったり、次にはうっとりと夢想をし、かというとハスキーな叫び声を上げたり、心地よいささやき声になったり。他のホームズ俳優が、頭でっかちな天才として演じていたのに、ジェレミーは、クレイジーな審美眼のある人としてホームズを演じた。

コナン・ドイルは、エドガー・アラン・ポーのから、探偵物語の基本設定と、絶望的でヒーローらしくない、主人公のアイディアも借りてきた。シャーロック・ホームズは、ベーカー街の「アッシャー」なのだ。そしてジェレミーは、天才を表現した。

年配の芝居ファンは、若年のファンに「最高のハムレットやリア王の俳優が恋しい」と懐かしむ事が好きだ。それはそれで合っているかもしれないが、でも、少なくとも私たちは、最高の名探偵役が、今まさに生きていると言える。グラナダシリーズが、理想的なホームズだと自信を持って断言できるのだ。」

エドワード・ハードウィックは、ジェレミーがイギリスにおいて、最も芸術的かつ商業的に成功した一人だ、との認識が薄いことに愕然とした。

「はっきり言って、ジェレミーがホームズで何の賞も獲れなかったことを、残念に思っている。特に最初の13作品ではね。僕が思うに、上層部は賞を送るには遅すぎたと感じて、それで結局そのままになったんだろうね。グラナダ・シリーズで衣装部門で働いていたEsther Deanが、BAFTAのメンバーで、ジェレミーの名前を押し続けていたのだが、駄目だったんだ。最後には、彼女も諦めたよ。」

同じように、「独身貴族」で出演したサイモン・ウィリアムズもこう言っている。

「素晴らしい演技で、ジェレミーのホームズは最高なのに、それは表彰といった面では、全然報われていない。グラナダの中で最高の演技だよ。10年も大成功を収めて、決して報われていないなんて。不名誉なことだよ。」

不名誉----ホームズのジェレミーの素晴らしい演技が、あまり認められなかったことに、二人ともこの言葉で表現した。グラナダのチームの人々、そして世界中のこの番組とジェレミーの演技の数多くのファンは、怒りと落胆を感じた。

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文中に出てきた、「BAFTA」とは、イギリスのTV界で重要な表彰式です。
アカデミー賞とか、ゴールデングローブ賞とか、そういうののイギリス版ですね。
ジェレミーも、ホームズ時代にプレゼンターとしては、出た事があるんですが、自身ではとうとうもらえませんでした。
(その時の映像は、Youtubeに上がっています)

あと、「ベーカー街のアッシャー」と表現していますが、ポーの作品で、
「アッシャー家の崩壊」と一連のシリーズがあるので、こちらから来ているみたいです。

ハードウィック氏も、「独身貴族」に出演中の俳優さんも、「ジェレミーが賞をもらえないのは、おかしい」と残念がっていましたね。
そうですよね、誰が考えても変ですよね。
ホームズ放映当時、グラナダシリーズ以上の魅力的な作品がイギリスにあったのでしょうか。
それとも、誰かの陰謀?
前回出ましたが、一部のベイジル・ラスボーンファンが、ジェレミー・ホームズの登場を快く思わず阻止した、とか。
どちらにせよ、ファンにとって残念で仕方ありませんよね。

「インディペンデント」紙の記事の締めくくりは、素敵な文章で嬉しかったです。
ジェレミーが生きていた当時、「最高のホームズ」という伝説が生きていたんですよね。
最高のホームズというジェレミーが、実際にそこにいて。
結局は、賞を獲れたとか、そういう事ではなく、ファンの心にどれだけ長く生き続けられるか、それが重要ですよね。


渡英準備も、ゆるりと始めています。
うちは、駐在ではないので、種々の手続きが全て自分たちでしないと行けないし、調べることも多いので、大変です
仕事で行くんでしたら、会社が航空券の手配、住居、保険、引越等、揃えてくれますものね。
それに現地情報だって、事前に前任者から聞く機会だって、私の友達はありました。
なにやら、「海外赴任の奥様の会」みたいなのがあるところもあるみたいです。

うちは、ただでさえ、夫が仕事でほとんど不在で、母子家庭状態なので、家事も育児も私担当。
すごくやんちゃな息子を抱え、日々の生活でも、やっと暮らしているのに、その上、色々な事を調べたりが、結構大変かも、です。
渡英準備も、生活に関しては、私がすべて進めていますので。
おまけに久々のクイーンズイングリッシュは、聞き取りにくく、焦ります!
うーん、パソコンのソフトみたいに、私もバージョンアップできて、マルチタスクになりたいですー(笑)


次の更新は、来週火曜日になります♪
曜日がずれちゃいますが、よろしくお願いしますね。では。

りえ(rie_002@goo.jp)


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コメント
 
 
 
渡英準備たいへんそうですね (Erika die Schoenate)
2009-04-22 08:57:36
ほかのホームズものの映像作品では、ホームズ像、ワトスン像、ストーリーまでもが変えられてしまってるんだとか。
ところがグラナダシリーズを見たときは、長年のホームズフリークのわたしが、何の違和感もなく入っていけました。
あとから考えると、まるで活字がそのまま映像になったみたいな出来映えだったからでしょう。

想い描いていたとおりの、いやたぶんそれ以上の魅力的な血の通ったホームズさんです。
最初にわくわくしながら読んだときの印象に強く支配されるものらしく、
子供のわたしにはうまく読み取れずに想像できなかった、「外国の」「昔(子供には19世紀は石器時代と同じ)の」オジサンにも感情の起伏がちゃんとあるんだってことがどの場面にも現れていました。
ほんとに、なんて魅力的でちょっとへんなひとなんでしょう。
ホームズさんに惚れ直してしまいました。
とうとう、動いてしゃべる血肉を具えたわたしのホームズさんを手にいれた瞬間です。

いったいどんな事情があったんでしょうね?
最高のホームズが無冠だなんて。
最近の記事を読んでて、あんまり関係ないいろんなことを思い出しました。

「レ ミゼラブル」が評判になったとき、19世紀フランス文壇の批評家たちは、
あんなものは文学作品じゃない、なにしろ面白すぎる、って言ったんだとか。

それから、どんなに優れたものでも、まず有名になって世間に広く知られなければ後世に残らない、
バッハの音楽を今日楽しむことができるのは、それまで忘れられていたのをメンデルスゾーンが「再発見」したからだ、とか。
(バッハの音楽は牧師の説教の添え物で使い捨ての音楽だったらしいですね)

それまでにはなかった、極端に優れたものに出会うと、ひとはちょっと困惑するんでしょうか。
でも、作られてから20年以上経っても色あせることなく
世界中で「最高のホームズ映像作品」「最高のホームズ俳優」って認められてるんだから、
これからもその評価は揺るがないでしょう。

渡英準備、思ったよりたいへんそうですね。
そのときどきによって事情は違いましたが、うちも留学先や住いなんかは自分で探して手続きもしなきゃなりませんでした。
たしかに旅費、引越し、保険のことは考えなくてすみましたが。

「駐在員奥さんの会」は実は今回初めての経験です。
でもたまーにランチする程度ですんでるので、ほっとしています。
年齢やら夫たちのポジションやらに関係なく対等かつ緩やかなつながりなので負担じゃありません。
(だいいち夫たちのポジションてわたしは知らないってことに今気がつきました。)
まあとくになくてもいいものだとわたしは思うんですが、どうでしょう?
やっぱりすこしでも事情がわかったほうが少しでも安心でしょうか。

Ithaca へ行ったとき、知り合いはひとりもいなかったけど、
家族で来てる日本人の留学生はけっこういて、なんでも親切に教えてくれたし、
ロンドンのような都会なら必ず日本のものを売ってる店があって、そこで情報を仕入れられます。
日本人による日本人のための日本語の情報ってとてもありがたいです。

そうですね、行っちゃえばまわりにきいてなんとかなるんだけど、
それまでの準備、下調べ、手続きがたいへんなんですね、お宅の場合。
でも、まだ子供が学齢じゃないだけ面倒が省けましたよ。

たいへんな思いをしてもやっぱり行きたいでしょ?
ヨーロッパの町で暮らせるって、なんて幸運なんでしょう!
ただ旅行するより絶対面白いって請合います。




 
 
 
>Erikaさんへ (りえ)
2009-04-26 00:37:40
>Erikaさん

連続コメント、嬉しいです♪

私も、他のホームズを見ても、全然良いと思いませんでした。
正直、見ている途中で退屈で寝てました(笑)
ところが、グラナダ・ホームズはどうでしょう、
もう息を殺して、ホームズとワトスンの二人の会話を聞いて、二人の行動を凝視してるんですから。
だからこそ、この最高のホームズに、なんの賞も無かったというのが、残念ですね。

Erikaさんが仰るように、なかなか先進的なものというか、本当に良い物は、認められないんでしょうねー。
後生に素晴らしいとされる芸術家は、当時は認められていないことが多いですし。
ジェレミーも、もうその域なのかな、と思っています。
賞を獲れなかったことは、とても悔しいし、残念ですが、
ジェレミーのホームズは誰がどう見ても、最高だし、これからも全世界のファンの中では、崇拝され続けるでしょうし。


Erikaさんも「駐在奥さま会」に参加されてるんですね!
私は、「駐在子育てママ会」に参加したいのでしょうか、近くにあるのでしょうか、あることを期待します。
日本人街からは、かなり離れているので、そこはちょっと寂しいです。
本当は、ロンドンで日本の幼稚園に入れたいんですが、ちょっと遠いので諦めます。
でも、ちょうど息子が友達を必要としている年齢になってきたので、近くに日本人の子供がいるとほんとに嬉しいです。

そういえば、保険といえば、とある大企業に勤めている友達は、
赴任先の医療費が、全て会社持ちでした!
今は、経費削減で変更になったかもしれませんが、アメリカ赴任についていった友達は、喜んでいました。
ちなみにうちは、1年で60万以上かけて、保険に入ります

イギリス行きは、楽しみですが、でもこれがもし他の国なら絶対ついて行ってないですねー。
イギリスでもロンドン以外だったら、こんな乗り気じゃないですし(笑)
私は、日本が安全、清潔、便利、親切と、世界で一番住みやすいと思っているので、イギリス以外には移住する気はないですねー。
トイレを探さなくて良いし、リーズナブルなお値段でレストランはあるし、チップは渡さなくともサービスは良いですし。
便利と引き替えに、街並みなどは欧州に望むべくもありませんが、でもいつも財布に気を遣わないといけなかったりは疲れますね。(でも欧州中、イギリスは、そこまでは気を遣いませんが)
夜も割と気軽に外出できますし。
でも、Erikaさんは海外生活を楽しまれているようで、素敵です!
私も、住むとなったんだから、ちょっとでも楽しまないと思っています

 
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