22日の東京株式市場で日経平均株価は続落した。
最大の注目イベントのエヌビディアの決算を控えてハイテク株を中心に持ち高調整で下落する中、気になるのが年始から好調だった商社株の下落だ。
日経平均が週初に3万9000円を回復した「戻り相場」の一服につながっている。
日経平均の終値は前日比329円(0.85%)安の3万8617円だった。前日の米株式市場で主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)指数が下落した流れを受け、東京エレクトロンなど半導体関連株が下落した。
市場の焦点は明日(米国時間22日)に控える米半導体大手エヌビディアの決算発表。
「見切り発車して半導体関連株を買っていた向きも、さすがにもう買いにくい。今日はひと休みだ」(フィリップ証券の増沢丈彦株式部トレーディング・ヘッド)との雰囲気が広がる。
そんなハイテク株に注目が集まる裏で、日経平均への寄与度が高い商社株がじわりと下げ続けている。
三菱商事は一時2%、住友商事は3%下落する場面があった。業種別日経平均で「商社」は直近ピークの10日から4%下落し、約1カ月ぶりの安値水準に沈んだ。
市場では大手商社株について、前期決算発表に伴う今期利益予想や資本効率策が市場の期待を超えなかったとの反応が多い。
2日の取引時間中に決算を発表した三菱商事の2025年3月期の純利益見通しは前期比1%減の9500億円で、市場予想を下回った。株価は同日から3営業日連続で下落し、発表前日から足元まで8%下落した。
住友商事は商社で唯一採用していなかった累進配当を導入したが、想定内との受け止めが広がった。発表当日はこそ4%高となったものの、翌営業日から3営業日連続で下落した。
SMBC日興証券の森本晃シニアアナリストは17日付のリポートで商社の「年初来の好調な株価パフォーマンスや現状のバリュエーション(大手5 商社の加重平均PBRは1.56 倍)(中略)を踏まえれば、向こう3 カ月のセクター株価は、一旦は『凪』となる展開」と指摘する。
商社株は米著名投資家ウォーレン・バフェット氏による昨年春の買い増し意欲表明などで盛り上がった経緯がある。
ただ同氏が率いる投資会社バークシャー・ハザウェイの4日の株主総会では、日本の商社株への言及はあったものの「市場の想定内で目立つ発言ではなかった」(フィリップ証券の増沢氏)という。
バークシャーは4月に年限3年から30年までの計7本で合計2633億円の円建て社債を発行した。
円建て債の起債は23年11月以来8回目となった。調達資金で何かに投資するのかとの思惑を呼びそうだが、大和証券の木野内栄治チーフテクニカルアナリストは「バークシャー社の起債後は、材料出尽くし感で商社株は軟調になりやすい」と指摘する。実際、大手商社の値動きはそうなった。
日経平均が春から夏にかけてバブル後高値を回復した昨年の相場ではバリュー(割安)株投資がテーマの柱となった。主役は「バフェット効果」を享受した大手商社株だった。それが一巡した今、日本株には資本効率策の一段の推進といった経営改革が求められていると商社株は教えてくれている。
(越智小夏)
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日経記事2024.05.22より引用