東京23区の中古マンション価格は過去最高だった
不動産調査会社の東京カンテイ(東京・品川)が23日発表した3月の中古マンションの平均希望売り出し価格は、東京23区で前月比4.0%高の70平方メートル当たり9501万円だった。
調査を始めた2004年1月以降の最高を更新した。
前年同月と比べると3割以上高かった。
都心の物件への投資マネー流入が続き、文京区の平均価格は初めて1億円を超えた。
調査は事務所や店舗用を除いた専有面積が30平方メートル以上のファミリータイプの物件を対象としている。
国内外の富裕層の投資マネーが流入する東京都心6区(千代田・中央・港・新宿・文京・渋谷)が、価格上昇をけん引する。
都心6区は前月比3.3%高の1億5612万円で最高値を更新した。上昇は26カ月連続で、前年同月と比べて35.7%伸びた。文京区が初めて1億円を超えた。
都心6区全域で中古マンションが平均価格で「億ション」となった。
実需層の買いも価格を押し上げている。東京カンテイの高橋雅之上席主任研究員は「高騰している新築の代替として築浅の中古を検討する人が増えており、中古価格が急上昇した」と話す。
首都圏(1都3県)の平均は前月比3.6%高の5408万円だった。東京都は3.7%高の8102万円、神奈川県は1.2%高の3841万円、埼玉県は0.8%高の2956万円、千葉県は0.4%高の2746万円だった。
近畿圏の平均は前月比0.3%高の2979万円となった。再開発が進む大阪が価格を押し上げた。
大阪市中心6区(福島・西・天王寺・浪速・北・中央)の平均は1.6%高の7263万円と前年同月と比べて33.0%伸びた。
中部圏の平均は前月比0.5%高の2306万円だった。名古屋市中心3区(中・東・千種)の平均は0.8%高の3900万円で前年同月と比べて8.4%伸びた。
前年同月からの伸び率は都心6区や大阪市中心6区と比べると小さい。
中古マンション価格は上昇が続いてきたが、トランプ関税によって先行きは不透明だ。
高橋氏は「株価下落で資産が目減りした投資家が現金確保のために保有する物件を手放せば、供給が増えて価格が下がる可能性がある」と話す。
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東京の中古マンションは年収1000万円で買えるエリアが激減していると、先日の日経でも報道している。
昨今の円安の問題などとも関連して、外国人投資マネーの流入が不動産価格の高騰につながっているが、働く世帯が住宅を買えないことは決して望ましいことではない。
ちょうど今月、オーストラリア政府は外国人の中古住宅購入を禁止する政策の導入に踏み込んだ。
禁止措置は2年間の期限付きで、2年後に延長するかどうかを再検討するという。
都内のマンション高騰の問題については、日本政府も他国の経験を踏まえて、政策を検討してもよい時期にきていると思います。