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ロスチャイルド財閥ー210 開国PJ反対派を黙らしたロスチャイルド

2023-05-27 05:02:09 | 国際政治・財閥

何もかもアーロン・パーマーの計画通りに進み、日本開国計画が実行されることが世に知られるようになります。 ここでパーマーが予想もしなかった世論の反発がありました。 

もちろん賛成の世論もありましたが、新聞の中に激しく反発するものがりました。反対の急先鋒に立ったのが、ニューヨーク・デイリー・タイムズです。この新聞は、ニューヨーク・タイムズの前身にあたります。

同紙の主張は次のようなものです。 ①ペリー艦隊の派遣は日本に対する宣戦布告であり、憲法違反である。 ②日本に捕われた捕鯨船員の解放の交渉には、外交交渉を優先すべきであり、軍事力に頼る必要がない。

③捕鯨船員が日本に捕らわれている証拠はまだない。 もし、そうだとしても彼らが日本国の法を犯して捕らえられたとしたら仕方がない。 ④日本の「硬い牡蠣の殻」を破るには、物理的な力が必要だとエキスプレス紙は主張しますが、米国大統領も米国世論もこれが望ましいことではなく、艦隊派遣が日本の主張を侵害するという点では一致している。

⑤ペリー艦隊派遣は、イギリスの阿片戦争を想起させる。 米国や世界各国が阿片戦争で、英国が行った植民地主義を非難している今、英国と同じ轍を踏むべきではない。 ⑥「善を成すために悪を成す」という考えは、イエズス会の誤ったキリスト教精神であり、現代の社会にはもう通用しない。日本が海外政策を誤ったのはオランダの責任である。 日本は付き合っていた相手が悪かった。

⑦日本と通商を開くことは賛成する。 しかしペリー艦隊の派遣には反対する。 あくまで平和的手段をとるべきだ。 軍人ではなく、外交能力の長けたシビリアンを派遣して、日本との交渉にあたるべきである。 


タイムズ紙の主張は至極真当でしたから、アーロン・パーマーらの対日強硬派は苦虫を嚙み潰しました。パーマーは極東の事情に詳しいだけでに、これまでの穏やかな手段による開国交渉の試みがすべて失敗したことを知っています。そうした経緯の研究の上に立って、軍事力なくして日本の開国はできないと結論付けていました。これについては背でに紹介しています。


しかし、タイムズ紙の主張する正論は事情をよく知らない世論受けします。 タイムズ紙がこのような論陣を張ったのは1852年2月のことです。 ところが、この年の6月15日、軍事力を使った日本開国計画に単体していた筈のタイムズ紙に不思議な記事が現れます。記事の見出しは「アメリカ船員に向けられた日本人の残虐行為」となってます。 セントゲレナ島発で、日本で虐待を受けたと訴える米捕鯨船員マーフィー・ウェルズの体験証言をもとにした記事でした。

ウェルズは、1846年5月26日に、日本の沖合およそ500kmで遭難した米捕鯨船ローレンス号の乗組員だったと証言しています。証言は次のような内容でした。 

「海岸にたどり着くや土着民に捕まり、ポートや所持品は没収され、動物を見世物にするような籠に押し込まれた」。 「食うや食わずの状態に置かれこと11ケ月の後、オランダ人住居地に移され、そこで2ケ月間拘束された。 厳しい尋問にあい遭難したと訴えても信じてもらえなかった」。


「踏み絵を強制され、従わなければ皆殺しにすると脅かされた」。「脱走を試みたトス・ウィリアムスはその時の傷で激しく血を流し、6時間後に死んだ」。 「アメリカ政府は虐待をそのまま看過することは許されない」。 日本側の記録によれば、、たしかにウェルズが語ったようにな遭難者がいました。 

しかし、この時代には無二念打ち払い令は廃止され、薪水給与令(しんすいきゅうよれい)が発せられいました。 ウェルズはどうも子舟で脱走してきた捕鯨船員の一人のようでした。


薪水給与令
1842年(天保13年)、江戸幕府が来航した外国船には、燃料・食料を与え、速やかに退去させることを命じた法令。 

北海道松前藩は捕鯨船ローレンス号の漂流民には食料を与え、外洋に出るように説得しましたが、捕鯨船員は拒否しました。松前藩は老中・青山忠良(あおやまただなが)に処置伺いを立てた上で、長崎に移送しています。 そして1847年11月12日にはオランダ船で国外退去させています。


この事件について歴史家のジョージ・ファイファーは、日本開国の詳細を記した書「Breaking open Japan」(2006)の中で次のように書いています。 私は、これらの情報は、東京大学卒業後、近代日米の研究をされている著作家、渡辺惣樹先生が翻訳してくれたものから引用しています。

この一連のペリー来航のシでは必ずしも渡辺先生の情報だけでなく、私が既に知りえた情報も売れているので、渡辺先生にご迷惑が掛からないよう、出所 渡辺先生情報とは書いていませんが、基本の骨格や大半は渡辺先生が欧米の一次資料を翻訳した著書を引用しています。

「オランダ商館の記録を見ても、彼らが主張するような虐待はなかったし、踏み絵は日本では儀式のようなものでありました。漂流民が病気になった場合、漂流民の意思に関わらず、しっかりと薬を与えるように、老中・阿部正弘は当時の老中首座で、幕閣のトップです。 実はこの事実からも明らかなように、注意深く監視はしても、生かしておこうとしていたことは明白です」。

阿部正弘は、当時の老中首座で幕閣のトップです。 実はこの事件についてアーロン・パーマーは早い段階で知っていました。彼はクレイトン国務長官宛てに書いた最初の日本開国計画書の16頁に、ローレンス号の事件を書いています。既知だった事件が、日本開国プロジェクトへの反対意見がやかましくなると、時を図ったかのように報じられました。

それも、大西洋の孤島セントローレンス島発の記事というのでは、新聞記者も確認のしようがありません。 さらに沖合500kmで遭難して、無事に陸地に着いたのもおかしな話でした。 アーロン・パーマーか彼の意を受けた人物が大げさに加工したうえで、タイムズ紙にリークしたものと思われます。

結局、この報道を境に、反対論は急速に下火になっていきました。 こうして英国ロスチャイルド家の代理人・パーマーの企画した日本開国計画、つまり、太平洋ハイウェイ構想は確かな政府事業として動き出し、世論もその計画の成否に関心を高めていきました。

続く

次の投稿は、「シーボルト来日の秘密 日本開国との関係」 を予定しています。

 

 

日本開国 ペリー来航の真実  ここまでのまとめ

 

・ロスチャイルド財閥ー210 ペリー来航の真実 開国PJ反対派を黙らしたロスチャイルド
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/af5aba05f92d2c6b58c26db9b5659d3e
・ロスチャイルド財閥ー209 ペリー来航の真実 何故ペリーが選ばれたのか?
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/f07a809db31c072d5f9d7f3246d1d6fe
・ロスチャイルド財閥-208 ペリー来航の真実 対日戦争を企てていた米国
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/2434fcf644d9ef20c7df04536a0ef594
・ロスチャイルド財閥-207 ペリー来航の真実 太平洋ハイウェイ構想 、大陸横断鉄道と日本開国計画
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/8f8682313e1794bfeb1a9e82f6baf82d
・ロスチャイルド財閥-206 日本開国とロスチャイルド、そして二人のエージェント
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/11bb0b1f6ebbce1c2b64ac3e90cc4906
・ロスチャイルド財閥-205  ペリー来航の真実 米国阿片貿易と清開国
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/903a24d046d7e62ad68a968c58e225a0
・ロスチャイルド財閥-204 ペリー来航の真実 英米・阿片商社と阿片戦争
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/7b5f5c3ac2623db3abe3397b7a7a5694
・ロスチャイルド財閥-203   阿片戦争前夜のナポレオン戦争と英米戦争、そして清市場開拓https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/c0979f6e43f5ca25777680b5c878866c
・ロスチャイルド財閥ー202 英産業革命と清(中国)新市場開拓
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/766b8ee9f020520ee5e7d37f94347673
・ロスチャイルド財閥-201 ワシントン焼き討ち事件
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/b5395b181e96c8d8a5dcbfe4ca44e908
・ロスチャイルド財閥-200 ペリー来航の本当の目的 シリーズスタート
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