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イスラエルによるガザ攻撃に抗議するパレスチナ支持者らのデモ(13日、ニューヨーク市)
イスラム組織ハマスとイスラエルの軍事衝突は、多民族社会の米国にも動揺を広げている。
親パレスチナと親イスラエルの両派が各地でそれぞれ集会や抗議活動を繰り広げ、一部では暴力事件にも発展した。治安の悪化に備え、警察は警備を強化している。
「パレスチナに自由を」「米国はイスラエル支援をやめろ」
ハマスの指導者が「怒りの日」と呼んでイスラム教徒らに行動を呼びかけた13日、ニューヨーク市最大の繁華街タイムズスクエアでパレスチナ支持者が集まり大規模な抗議デモがおこなわれた。
デモに参加したパレスチナ出身のセリーナさんは「イスラエル政府がやっていることはジェノサイド(大量虐殺)だ。さらに被害が広がる前に米国と国際機関が仲介に入るべきだ」と憤りをあらわにした。
道を隔てた反対側にはイスラエル支持者らが集まり、対抗デモを実施。双方に多数の警官が集まり、周囲に目を配っていた。
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パレスチナ支持者の抗議デモに対抗して集まったイスラエル支持者ら(13日、ニューヨーク市)
ニューヨークはユダヤ系とアラブ系の人々が隣り合わせで暮らしている。イスラエルとパレスチナの対立が憎悪をあおり、治安の悪化につながりかねない。
ニューヨーク市警(NYPD)も声明で「特定の信用できる脅威の情報はない」としたうえで、大規模な集会や文化施設周辺で警備を強化しているとした。
市内のイスラエル総領事館の建物は抗議活動を警戒して柵で取り囲まれ、多数の警官が警戒にあたった。鉄道駅ではライフルを持った警官がパトロールする姿もみられた。
既に事件は起きている。米メディアによると11日、ニューヨークのコロンビア大学で集会に参加していたイスラエル人学生が親パレスチナ派の学生に殴打された。
13日には親イスラエル派の市会議員がパレスチナ支持者の集会に銃器を持ち込んだとして逮捕された。
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米コロンビア大学では親パレスチナ派、親イスラエル派双方が抗議活動をした(12日、ニューヨーク市内)
学校やユダヤ教施設などへの脅迫も相次ぐ。
米首都ワシントンに近い東部メリーランド州モンゴメリー郡の高校では13日朝、爆破の脅迫を受けて2時間以上にわたり生徒や職員が退避した。背景は不明。捜査の結果安全が確認されたものの、不安から登校を取りやめた生徒もいた。
モンゴメリー郡警察はX(旧ツイッター)への投稿で「明らかになっている脅威はない」としたうえで、ユダヤ教の施設周辺への警官配備を増やすなどの対応を取っていると説明した。
米メディアによると、同州のユダヤ系学校は安全のため休校を決めた。全米各地の学校やユダヤ教の礼拝施設などで脅迫による退避が報じられている。
米国内ではユダヤ系の人々に加え、アラブ系やイスラム教徒の存在感は大きい。米ピュー・リサーチ・センターによると、米国内のユダヤ系人口は約580万人。社会の要職につく人も多い。
米著名ヘッジファンド投資家ビル・アックマン氏は、ハマスによる攻撃はイスラエルが自ら招いたものだとする米ハーバード大学の一部の学生団体の声明について、声明に賛同して署名した複数の学生の名前を公表すべきだと訴えた。
一方、米国内のイスラム教徒の人口は約350万人で増加傾向にある。イスラエルによる報復の犠牲になるパレスチナの一般市民に同情を寄せる人も多い。
置かれた立場に悩む声もある。イスラエル国籍をもち、同国での従軍経験もあるエラさん(26)は13日のデモ現場で「一概に誰が悪いかを判断できる問題ではない。ハマスはテロ組織なので嫌いだが、パレスチナ人は違う」と話した。
バイデン大統領は12日、国家安全保障チームと会合を開き、米国内の安全対策について協議した。
バイデン氏はXで「大統領として、米国内と世界中の米国民の安全ほど優先度の高いものはない」と強調。「ユダヤ系、アラブ系、イスラム教徒のコミュニティーを含めた米本土を守る継続中の対策について協議した」と説明したが、混乱が収まるメドはまだ見えてこない。
(ニューヨーク=朝田賢治、弓真名、伴百江、ワシントン=芦塚智子)