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日本勢、半導体「材料大国」に シェア100%市場も 世界シェア調査

2024-09-10 17:51:17 | エレクトロニクス・自動車・通信・半導体・電子部品・素材産業


東京応化工業のフォトレジスト製造風景

 

2023年の「主要商品・サービスシェア調査」で、日本勢の首位は10品目と前回から4品目増えた。

新たに調査した「半導体材料」5品目のうち、3品目で首位だった。「生成AI(人工知能)」では米国勢がほぼ独占。

 

中国は外国勢を排除して開発を進めており、データ収集が困難で集計に入らなかった。生成AI開発を巡り、米中は水面下で火花を散らす。

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日本勢、シェア100%市場も

半導体の土台表面に塗布する「フォトレジスト」では東京応化工業がシェア22.8%で首位だった。

自動車向けの従来製品も堅調だったほか、スマートフォンの最新モデル向け半導体に活用される「極端紫外線(EUV)向けフォトレジスト」などが寄与した。

 

同社は福島や韓国に加え、台湾積体電路製造(TSMC)が拠点を構える熊本や北米でも製造・販売体制を強化。フォトレジストの製造には光の感度や粘度など様々な調整が必要で、「顧客の近くで迅速かつ細やかに要望に応える」(同社の担当者)。

24年2月には、30年12月期の売り上げ目標を従来計画(2000億円)比で1.7倍超の3500億円に引き上げている。

 

4位に米デュポン(13.2%)が食い込んだほかは日本企業が独占し、日本の上位勢の合計シェアは75.9%に上った。

フォトレジストを表面に塗り、半導体の土台となる「シリコンウエハー」の首位は信越化学工業(24.7%)だった。

 

同社は1960年代には製造を開始し、日米欧に生産拠点を持つ。世界各地の半導体メーカーに納品し、顧客の要望に応じて増産する。

特に最先端品は信越と2位のSUMCO(19.9%)の2社のみ製造できるとされる。3位以下は台湾のグローバルウェーハズ(14.2%)や独シルトロニック(10.9%)などが入った。

 

製造工程の上流で用いられ、半導体の回路転写に使う「マスクブランクス」は日本企業3社が世界シェアを独占する品目だ。

特にHOYAはシェア6割超と、2位の信越化学(20.6%)を離して独走。半導体の高性能化に欠かせない「EUVリソグラフィ」に対応した製品で先行する。

 

直近3年ほどは半導体市況の悪化で受注が落ち込んでいたが、HOYAの池田英一郎社長は「顧客の在庫調整が終わり、かなり強い需要がきている」と分析。生成AI向けのほか、先端のEUV露光機向け製品の出荷を計画する。

3位のAGCは16.1%と前年(10.3%)から5.8ポイント上積みし、上位2社を猛追する。2025年までに生産能力を約3割増強するなど、需要増を見据える。

 

 

半導体業界に詳しいインフォーマインテリジェンスの南川明シニアコンサルティングディレクターは「半導体材料は中国・韓国勢の存在感が高まっている」と話す。

「特に中国は国産化を進めており、日本勢はシェアを奪われるだろう。日本勢は国内の大学や海外の企業との連携を強化するほか、生産の自動化を進めるなどしてコスト競争力で勝る必要がある」と分析する。

 

今回調査(全71品目)では前回(全63品目)より調査品目が増え、首位交代も10品目と前回から6品目増えた。

日本勢が首位の品目は「デジタルカメラ」や「CMOS画像センサー」などで例年とほぼ同じ顔ぶれだった。一部を除き成長市場で存在感を示せないという課題は変わらない。

 

中国、水面下で生成AI開発

新たに調査した生成AIでは、3品目の上位企業ほぼ全てを米国企業が占めた。

基本となるAIモデルやサービス提供のためのクラウド基盤などからなる「基盤技術・サービス」「文章生成AI」の2品目で米オープンAIがトップに立った。

 

特に文章生成AIでは「チャットGPT」を開発したオープンAIがシェア7割を握った。「画像生成AI」では英スタビリティーAIが派生モデルも含めて81.4%と首位だった。3品目の中で唯一、米国外の企業だ。

基盤技術・サービスで2位の米マイクロソフト(30%)、文章生成AIで同グーグル(18.9%)などビッグテックも存在感を示した。

 

生成AIに詳しい立教大学ビジネスデザイン研究科の田中道昭教授は「AIの開発競争は資本力や計算資源の確保、クラウドなどのインフラが必要不可欠だ。

これらを持つビッグテック間の競争や、スタートアップとの協業関係の動きが激しくなりそうだ」と話す。

 

一方、生成AI市場は米中の分断が進んでいる。

中国は23年にAIの利用規制を施行しており、利用可能なAIに「社会主義の核心的価値観の堅持」を求めるなど実質的に外国製を排除。データ収集も困難で、今回の調査で中国企業は集計に入らなかった。

 

アリババ集団傘下のアリババクラウドが開発した製品など中国独自の高性能な生成AIも複数出てきている。

田中教授は「軍事転用可能なAIは米中の市場が交わることはないだろうが、技術的な競争は激しくなっていくだろう。中国はデータ活用などで想定以上に進んでいる可能性もある」と分析する。

 

 

 

医療系の品目ではアフターコロナの影響が顕著に出た。米ファイザーは前回調査で「バイオ医薬品」「医療用医薬品」でそれぞれ11.1%、8.2%で首位だったが、今回調査はランク圏外に転落した。

新型コロナウイルス向けのワクチンと治療薬の利益が剝落し、両品目の米国勢上位の合計シェアも減少している。

(猪俣里美、藤生貴子、小河愛実、坂野日向子)

 



 

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日経記事2024.09.10より引用

 

 

 


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