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)風と共に去りぬ(映画)と「死の商人」

2023-12-09 19:21:03 | 国際政治・財閥

 

         『  風と共に去りぬ(Gone with the wind)

https://www.youtube.com/watch?v=r4YzkM-s9jI

制作 : 1939年 米 ハリウッド MGM制作
原作 : マーガレット・ミッチェル 女史
主演 : ヴィヴィアン・リー (スカーレット・オハラ 役)
     クラーク・ゲーブル (レット・バトラー   役)

 

 

1864年9月、アメリカ・南北戦争で南軍の要衝ジョージア州アトランタ市が、デュポンの火薬を使った北軍の火炎に包まれて地獄絵図の中で燃え上がったスカーレットとバトラーの灼熱の恋を描いた作品。

アトランタ市・陥落直前の蒸し暑い夏の夜の事です。 アトランタ市では、上流階級の婦人たちの主催で、南軍軍事資金募集を目的とするダンス・パーティが催されました。

黒人奴隷所有者、政治家、軍人などが我も我もと財布のひもを緩めて、美しいパートナーと踊るためにチケットを購入しました。

もっとも美しい「アトランタの女王」スカーレット・オハラと踊る特権は、ついに「競売」にかけられ、せりは30ドル、50ドル、100ドルとどんどん上がっていきました。 

150ドル! スカーレットを落としたのは、およそ「紳士」らしくない下品な船長のレット・バトラーでした。

レットは惜しげもなく150ドルの札束で、この情熱の女性を抱いて夜半まで荒っぽく踊りました。 バトラー船長は「戦争成金」でした。

だから「戦争成金」らしく、たくましい「哲学」と「モラル」をもっていました。 バトラーにとって、ととえスカーレットが「家柄の娘」「上流階級の貴族の娘」であろうと、それは金で買える「夜の女」と変わりはありませんでした。

このバトラーの女性観はそのまま「モラルなき、強欲・資本主義社会」の女性観そのものでした。 バトラーは「金儲け」にかけても、徹底した「哲学」や「モラル」の持ち主で、北軍、南軍関係なく、金をはずむほうに武器と弾薬を売りました。

この「哲学」をたくましく実践することにより、バトラーの懐は戦争と共に肥え太っていきました。 もちろん、スカーレットを含めアトランタ市の貴族的・地主的な条上流社会は、このバトラーの「哲学」や「モラル」を、「不忠誠」、「不徳義」、としていましたが、当時は時代錯誤の考えでありました。

バトラーの「物差し」は、「強欲・資本主義」でしたが、アトランタ市の人々のそれは、「封建主義」でした。

そして、南北戦争を境にしてアメリカでは、時代は「封建主義」の没落、「資本主義」の発展を容赦なく切り拓きつつあったのです。

「死の商人」としてのバトラーの「哲学」は、「資本主義」の物差しにぴったりとかなっていたのです。

ヴェルナー・ゾンバルト教授が、「戦争は近代資本主義の精神を育んだ」(Werner Sombart : "Kriegeund Kapitalismus",Muenchen, 1913)と指摘しています。

 

 

リンカーンを激怒させた JPモルガン


もちろん、バトラーは大衆歴史小説の名の架空の人物ですが、マーガレット・ミッチェル女史が、誰をモデルに使ったかは、知る由もありません。 しかし、アメリカにブルジョア革命をもたらしたこの南北戦争の歴史の中に「生きたバトラー」を見出すことが出来ます。

この「生きたバトラー」がアメリカ最大、世界最大級の「巨大財閥」の一つモルガン財閥の創始者であるJ・P・モルガンです。

ジョン・ピアント・モルガン(Johm Piermont Morgan,1837-1913)は、1861年に南北戦争が始まった時、まだ24歳の青年でした。 モルガン一族はイギリス・ウェールズ出身の敬虔なプロテスタントで、アメリカに移民してきた一族です。 アメリカで農業からのスタートです。

正義に燃える青年たちの多くがリンカーンに従って北軍に投じましたが、モルガンはこの4年間の戦争の間に軍籍に身を置きもしなかったし、鉄砲肩に担いだこともありませんでした。

彼は別のやり方で鉄砲を扱いました。モルガンは軍隊で銃砲が非常に不足していることを聞きつけ、「軍を助けるために」銃砲を供給することを思いつきました。

南北戦争が始まるすこし前、連邦政府は大量の銃を払い下げしたことがあります。 子の銃はホール式カービン銃と言って旧式、しかも取り扱いが危険なものでありました。


そこで連邦政府は一挺1~2ドルで安く払い下げました。 それでも戦争が始まった1861年には未だ5000挺ばかりが兵器庫に残っていました。 開戦後一ケ月たった1861年5月28日、突然アーサー・E・イーストマンと名乗る男が、この5000挺を、一挺3ドルで払い下げてほしいと申し出ます。

本来なら怪しいとお思うべきですが、何故か疑われる事はなく取引が成立しました。この代金を提供したのは、サイモン・スティーブンスと称する男でしたが、この企業の本当の黒幕はモルガンでした。

払い下げが成立するや否や、スティーブンスは、ミズリー州セントルイスに司令部を置いていた北軍の西部軍事司令官フレモント将軍に打電し、飛び切り優秀な新式カービン銃5000挺を買わないかと進めました。

フレモント将軍が飛びついたのはいうまでもありません。 こうしてモルガンは一挺3ドル50セントはずんで500挺のガラクタ銃を買い、これを一挺22ドルで政にに売りました。

11万ドル引くこと1万7500万ドル、差し引き9万2500ドルの大儲けをしました。 ところが、この「新式カービン銃」は、北軍の勇士たちの親指を一つ残らず怪我させてしまいました。

憤慨した政府では、モルガン宛て手形の支払いを停止し、特別調査委員会に調査を命じましたが、奇怪なことにこの委員会はモルガンの請求権を全面的に否定せず、約半額つまり一挺13ドル31セントの割で合計6万6550ドルの代金を支払うことを決定しました。

これでも4万9000ドルの大儲けですが、強欲モルガンは承服せずに控訴しました。 控訴院は「契約は神聖である」という建前から、契約通りの全額支払いの判決を下したのです。

 

これが、南北戦争中に活躍した数百人の「バトラーたち」が大手を振って利益をもさぼる絶好の判例になったことはいうまでもありません。

彼らは「死んだ奴隷」を買いあさろうとして失敗したチチコフ(ゴーゴリ『死せる魂』の主人公)よりもずっと利口で、「死んだ武器」を安く仕入れ、高く売って大儲けしたのでありました。

南北戦争の最中、怪しげな武器を作って売ったり、ヨーロッパ中から中古の武器を輸入し暴利を得た「死の商人」はかなりの数にのぼりました。

これらの「死の商人」が政府の官史軍人を騙したり買収したりして我が物顔に振舞ったことは、モルガンを「裁判」した委員会のいきさつからも分かります。

 

ですから、モルガン事件の判決に腹を立てたリンカーンは叫びました。 

「こういう貪欲なビジネスマンどもは、その悪魔のような頭のど真ん中をブチ抜いてやる必要がある!」

 

しかし、彼らは頭をブチ抜かれるどころか、ますます肥え太り、戦争から抜け出しました。
モルガン財閥、デュポン財閥など、現代アメリカの独占資本はこの戦争の中から芽生えてきたものでありました。

 

 

 

(関連情報)


・デュポン財閥-1  概要 そしてDuPont財閥当主との付き合い
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風と共に去りぬ(映画)と「死の商人」

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