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米国から見るラピダスの姿 日本の半導体戦略は「商機

2024-09-13 15:40:40 | エレクトロニクス・自動車・通信・半導体・電子部品・素材産業


次世代半導体の国産化を目指すラピダスが建設中の工場(5月、北海道千歳市)=共同

 

 

自民党総裁選でポスト岸田を目指した各候補が、相次いで半導体をめぐる経済政策に言及している。

幹事長の茂木敏充氏は、半導体をはじめとする戦略分野の拠点を地方に立地する日本列島の改造論を唱えた。

 

前経済安全保障相の小林鷹之氏も、半導体を念頭に国家プロジェクトを各地につくっていくと述べた。

「日本をもう一度世界のてっぺんに押し上げたい」と意気込む現経済安保相の高市早苗氏は、半導体を含む戦略物資のサプライチェーン(供給網)強化を訴える。

 

 

政府は半導体産業をどこまで支援するか

岸田文雄政権は最先端半導体の国産化を目指す国策会社のラピダスや、台湾積体電路製造(TSMC)などの外国企業に巨額の国費を投じてきた。

半導体をめぐる政策は、明日の日本を左右する重要な課題だ。次のリーダーも姿勢を明確に示さなければならない。財政拡大路線の見直し論が語られる中で、政府がどこまで支援すべきかの判断が政治家に問われている。

 

候補者の発信は国内の有権者に向けられるから、地域振興や産業競争力を強調するのは当然だろう。

だが、こうした日本国内の熱い議論を米国からの視点で眺めるとどうか。米国は1980年代から半導体を戦略物資と位置づけてきた。米国だけが世界で優位に立つための戦略がある。日本と一心同体であるはずはない。

 

 

神業の「GAA」技術

少し技術的に込み入った話になるが、たとえば「GAA」と呼ばれる最先端の加工技術について考えてみよう。

Gate All Around(取り囲み型ゲート)という意味で、半導体の集積回路の最小単位である微小なトランジスタを作る一つの手法だ。

 

信号をオンとオフに切り替えるスイッチの役割を果たすのがゲート(門)と呼ばれる電極の部分。これが電流の通り道を上下左右の4面から取り囲む構造をしている。

これほど複雑な形状を、髪の毛の1万分の1ほどの微小な世界に作り込むのだから、もはや神業に近いと言ってもいい。

 

日本のラピダスが目指しているのが、このGAAの構造を持つ半導体チップの量産だ。米IBMの技術を、北海道・千歳の工場に持ってきて、2027年に生産を始めると宣言している。

 


GAA技術を開発した米IBMの研究所(ニューヨーク州)=IBM提供

 

この図式を日本の側から見ると、まず初めにTSMCや韓国サムスン電子のさらに上の2ナノメートル(ナノは10億分の1)の製造能力を日本国内で確立するという大きな目標があった。

経済安全保障の観点に基づく国家戦略だ。

 

技術的な目標を達成するには最先端のGAAの技術が必要になる。そこで先駆的な研究に取り組んでいるIBMに目をつけ、同社から技術を導入するというシナリオを描いた。

しかし、米国から見ると話は逆になる。まずIBMがGAAの技術を開発し、知的財産権を握った。同社は半導体メーカーではない。自分では生産せず、研究の成果を他社に特許やライセンスなどの形で販売するビジネスモデルである。

 

IBMは〝商品〟であるGAAの売り先を探していた。そこにタイミングよく手を上げたのが、経済安保に沸く日本だった。

日本政府は技術の受け皿としてラピダスを設立。ラピダスはIBMの最初のお客さんとなった。支払ったライセンス料は数百億円にのぼるといわれる。

この代金のほとんどは日本の国費である。つまり日本政府がラピダスを通してIBMに巨費を投じたことになる。

 


ラピダスの工場建設現場を視察する岸田首相(中央、7月、北海道千歳市)=内閣広報室提供・共同

 

この2つの筋書きはコインの裏表であり、どちらかが正しくて、どちらかが間違っているという話ではない。

むしろ日米の呼吸がぴったり合ったと評価すべきだろう。だが、物語の主人公がラピダスだけと考えるのは大きな誤りだ。

 

 

試作と量産の「死の谷」を渡れるか

IBMはGAAの独自技術を築いたが、研究所で作る試作品と工場での商業ベースの量産品は全く別の代物だ。

経営学の用語で言えば、両者の間には、渡らなければならない「死の谷」がある。たとえラピダスが千歳工場への技術移転を果たしたとても、ビジネスとして成功するかどうかは、まだ分からない。

 

しかも、GAAはIBMの専売特許ではないことを忘れてはならない。チップを受託生産する最強ファウンドリーのTSMCはもちろん、サムスン電子、半導体産業の王者である米国のインテルも続けざまに研究成果を発表している。

米国にとって、ラピダスは同盟国の日本に置かれた一つの生産拠点として戦略的な価値がある。

 

しかし、技術力が落ちたと指摘されるインテルが、もし米国内でGAAの生産を軌道に乗せたらどうなるか。その時には、おそらく米政府はインテルを全力で支援するだろう。

極端な言い方をすれば、覇権国である米国にとっては、ラピダスは保険にすぎないのかもしれない。

 

選ばれた次の日本のリーダーは、衰えた電子産業を再興する半導体戦略を語るだろう。その際には、地球の裏側から観察するような冷めた視点が欲しい。

 

 

 

 

 

日経記事2024.09.13より引用

 

 

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IDDK、宇宙でバイオ実験代行、創薬や再生医療

2024-09-13 15:33:00 | 宇宙・地球・航空宇宙ビジネス・星座神話・


宇宙でバイオ実験を自動で手掛ける小型装置

 

東芝からスピンアウトしたスタートアップのIDDK(東京・江東)は、2025年度から宇宙でバイオ実験を代行するサービスを始める。

小型の自動実験装置を人工衛星に載せ、顧客の創薬や再生医療の実験をする。これまで宇宙での実験で活用されてきた国際宇宙ステーション(ISS)が30年に役目を終えることから、需要が高まるとみている。

 

IDDKは顕微観察の特許技術を持つ。検体を指先に乗るほど小さい半導体チップの上に載せるだけで、パソコンの画面上で顕微鏡をのぞくように見られる。この技術を実験装置に活用した。

実験装置は最小で10立方センチメートル以下。装置内では、チップの上に載せた顧客の検体にタンクの溶液をポンプで送って反応させる実験を自動で実施する。データは地上へ送られ、実験後は地上に帰還した装置を回収する。

 

現状、宇宙でのバイオ実験はISSに限られ、年1回程度で数千万円のコストがかかる。新サービスでは毎月、従来価格の10分の1以下で実験ができるようにする。顧客は研究者や製薬会社、政府機関などを想定する。

ドイツの航空宇宙会社の人工衛星に載せて打ち上げ、24年度中に宇宙で実験装置の動作確認をする。

 

IDDKは17年に設立した。顕微観察の技術は上野宗一郎・最高経営責任者(CEO)が東芝で半導体イメージセンサーの開発者として従事する中で発明した。

 

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日経記事2024.09.13より引用

 

 


イグ・ノーベル賞「哺乳類、お尻で呼吸」 日本人18年連続

2024-09-13 15:18:31 | 科学技術・宇宙・量子・物理化学・生命・医学・生物学・脳科学・意識


イグ・ノーベル賞の授賞式で研究内容を紹介する武部貴則さん(左端)ら日本の研究チーム
(12日、米マサチューセッツ工科大)=共同

 

【ケンブリッジ=共同】

人を笑わせ、そして考えさせる研究に贈るイグ・ノーベル賞の今年の受賞者が米マサチューセッツ工科大で12日発表され、東京医科歯科大の武部貴則教授(37)のチームが生理学賞に選ばれた。

哺乳類がお尻からも呼吸できることを発見。肺機能が低下した患者に腸経由で酸素を補い、症状を緩和することを目指した臨床試験が始まっている。

 

 

【関連記事】

再生医療で幸せと健康を 医科学研究者・武部貴則さん


日本人の受賞は18年連続。武部さんは取材に対し「呼吸に苦しむ患者さんの役に立つ日が早く来るよう、心を新たにまい進したい」と語った。

研究は、ドジョウが泥の中など低酸素環境では腸でも呼吸できるようになることから着想した。呼吸不全のブタやマウスに対し、多量の酸素を溶かし込んだ液体をお尻から投与すると血中の酸素が増えることを発見。2021年に発表した。

 

お尻からの呼吸で肺の機能を完全に肩代わりするのは難しい。だが出生時に呼吸が十分にできない赤ちゃんへの一時的な酸素供給手段になる可能性があり、今年6月には人での安全性を調べる試験が始まっている。

イグ・ノーベル賞は米国の科学ユーモア雑誌が主催。1991年に始まり、34回目の今年はハトによるミサイル誘導(平和賞)や、偽薬でも副作用のような刺激があるとやや大きな効果が表れるとの研究(医学賞)など個性派が並んだ。

 

20〜23年の授賞式は新型コロナウイルス流行のためオンラインだったが、今年は5年ぶりに観客を入れて実地開催。

受賞者にも渡航費が出ないため、武部さんのほか、チームの芳川豊史名古屋大教授(52)、築地在宅診療所の岡部亮院長(45)らが自腹で駆けつけた。

 

 

【関連記事】

・電気流した箸で味変化 日本人にイグ・ノーベル賞
・イグ・ノーベル賞、日本人16年連続 つまんで回す研究
・「歩きスマホ」研究にイグ・ノーベル賞 日本人15年連続

 

 

 

多様な観点からニュースを考える
※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

 

 

高橋祥子のアバター
高橋祥子
ジーンクエスト 取締役ファウンダー


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別の視点さすが武部さん、面白い発想ですね。優秀な研究者ほどさまざまなテーマのディスカッションに対して「それおもしろいね!」と盛り上がり、おもしろいことが好きという印象があります。

好奇心ドリブンでおもしろいことを突き詰めていくと、結果的に人や社会のためになる発見があるのも科学の歴史上でよくあることです。面白い!と思う気持ちを忘れないようにしたいですね。
2024年9月13日 13:22いいね
26

 


石原純のアバター
石原純
インペリアルカレッジロンドン 講師


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ひとこと解説武部教授は再生医療や幹細胞研究の若手ホープであり、異例にも30代前半で教授になった実力者かつ業界の有名人です。


今回のような一風変わった研究もしていることは知りませんでした。武部先生のことですから、おそらく呼吸器の患者への再生医療という治療応用を考えておられると思います。


それにしても驚きました。
2024年9月13日 11:55 (2024年9月13日 11:56更新)
いいね
56

 

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為末大
元陸上選手/Deportare Partners代表


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別の視点表面は画一的に見えますが、一枚皮を剥くと、日本人ほど標準からはみ出た人たちはいないんじゃないかと思います。
2024年9月13日 11:33いいね
51

 


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対談/ESG投資研究の水口氏×e-dash山崎社長

 

 

日経記事2024.09.13より引用

 

 


フィンランド、ロシア人の不動産購入禁止へ立法 国防相  中国や北朝鮮のロシア支援を注視

2024-09-13 14:58:18 | NATO・ウクライナ・ロシア・中国・中東情勢


フィンランドのハッカネン国防相はロシア人の不動産購入を禁止する立法を提案した


北欧フィンランドのアンティ・ハッカネン国防相は12日、都内で日本経済新聞のインタビューに応じた。

フィンランド国内でロシア人が不動産を購入するのを禁止する立法を提案したことを明らかにした。その理由として「(隣国である)ロシアの違法なスパイ活動や妨害工作から重要インフラを守るため」と説明した。

 

ロシアによるウクライナへの侵略を受け、フィンランドは長年の中立政策を転換、2023年に米欧の軍事同盟である北大西洋条約機構(NATO)に加盟した。

フィンランド国内でロシア人による不動産購入の全面禁止に踏み込むのは、ロシアが軍事力にサイバー攻撃や偽情報を組み合わせた「ハイブリッド戦」に出る事態を警戒しているためだ。「ウクライナからロシアの手口を聞いた」という。

 

 

東アジアの安全保障環境は「欧州と結びついている」



防衛省で会談に臨む木原防衛相㊨とハッカネン氏=共同

 

ハッカネン氏は韓国を訪れた後、11〜13日の日程で来日した。12日は木原稔防衛相と会談し、両国間の防衛装備・技術移転協定や、情報保護協定の締結に向けた協力を確認した。

「両国の防衛産業の協力をさらに緊密にしたい」と述べた。

 

東アジアの安全保障環境についてハッカネン氏は「インド太平洋地域の安全保障は緊迫している。中国はかなりの規模で軍事力を強化している。北朝鮮とロシアは同盟ともいえる新たな関係を構築した」と懸念を示した。

特に中国によるロシアへの支援に関しては「軍民両用技術を提供し、(ロシアが)戦争をするための資金面やその他の支援をしようとしている」と動向を注視する考えを表明。

 

「アジアと欧州の安全保障環境は相互に結びついている」として日韓両国などとの協力の重要性を訴えた。

 

 

ウクライナ支援が「戦争への解決策」と西側の結束呼びかけ

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ハッカネン氏はウクライナへの派兵の可能性は否定した

 

ハッカネン氏はウクライナとロシアの戦況に触れ「西側の民主主義国家は経済、技術力、産業力の優位性を保ち、ウクライナがロシアとの戦闘に勝つのに必要な大半のことを与えることだ。

これこそが戦争への解決策だ」と強調した。「ウクライナを支える政治的な意志があるか。それとも戦闘疲れで政治的な意志が低下するのか。すべての強権国家は注視している」と述べ、ロシアにつけいる隙を与えないように西側諸国の結束が重要だと繰り返した。

 

フランスのマクロン大統領はウクライナに派兵する可能性に触れたが、ハッカネン氏は「派兵は考えていないし、派兵を実際に検討しているNATO加盟国はない。

いまは軍事支援と資金支援に集中している」と言明した。

 

フィンランドは徴兵制を導入している。人口550万人程度でありながら約90万人の予備役を動員する能力を持つ。

欧州各国で徴兵制を導入する動きは広がっており、「NATO加盟国はフィンランドのモデルから学ぼうとしている。ハイブリッド戦に対抗するための徴兵制について(同盟国と)対話をしていきたい」と語った。

 

 

米大統領選の結果にかかわらず「欧州各国はもっと国防に投資を」

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ハッカネン氏は米大統領選挙の結果にかかわらず、欧州各国の国防費増額が必要との考えを示した=ロイター

 

米国では共和党の大統領・副大統領候補であるトランプ前大統領、バンス上院議員が欧州各国に国防費の増額などを要請している。

ハッカネン氏は「(次期大統領が)民主党であれ共和党であれ、欧州各国はもっと国防に投資をしなければならない。正しい方向に進んでいる」と評価した。

 

米大統領選挙に関連して「もしも米国が欧州で同盟を壊し、アジアで(同盟国の防衛に)ためらえば、米国経済に影響を与えることは2人の大統領候補は知っているはずだ。

欧州やインド太平洋地域から撤退するようなことを考えているとは思わない」と指摘。そのうえで「我々はインド太平洋地域と欧州で国防にもっと投資しなければならない。中国、ロシア、イラン、北朝鮮は投資をしているからだ」と訴えた。

(編集委員 瀬能繁)

 

Antti Hakkanen ヘルシンキ大学法学修士号。弁護士。2015年から国会議員。司法相を経て23年6月から現職。中道右派政党の国民連合所属。39歳。
 
 
 
 
 

 

 

日経記事2024.09.13より引用

 

 

 

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米、ウクライナの長射程兵器使用容認か 米供与以外なら

2024-09-13 14:45:01 | NATO・ウクライナ・ロシア・中国・中東情勢


バイデン氏は13日、英国のスターマー首相と会談し、長射程兵器を使った攻撃を容認するか
話し合う見通しだ=AP

 

【ワシントン=坂口幸裕】

バイデン米大統領はウクライナが西側諸国から供与された長距離射程の兵器でロシア領を攻撃することを容認する検討に入った。

米紙ニューヨーク・タイムズが12日に報じた。米国が提供した武器を使わないことを条件に認めるとしている。

 

ウクライナのゼレンスキー大統領はロシア領への攻撃を巡り、米欧から供与された長距離ミサイルを含む武器の使用制限を全面撤廃すべきだと主張してきた。

ブリンケン米国務長官は12日、長射程兵器の使用を認めるかと問われ「(ウクライナが)前進するために必要に応じて適応していく。

 

ロシアの侵略から効果的に防衛するために利用できる手段も含む」と明言した。訪問先のポーランドでの記者会見で語った。

米欧は5月、ウクライナが西側諸国から供与された武器を使い、ウクライナへの攻撃拠点となる国境付近の軍事施設に限ってロシア領内を攻撃することを容認した。

 

ウクライナの自衛のみに使うよう要求してきた方針を転換したとはいえ、越境攻撃を限定的に承認しただけだった。

ブリンケン氏とラミー英外相は11日、訪問先のウクライナの首都キーウ(キエフ)でゼレンスキー氏らと会談し、ウクライナ側の要望を聞いた。

 

ゼレンスキー氏は「米英の力強く重要な決定に期待している」と述べ、長射程兵器を使った攻撃を認めるよう促した。

バイデン氏は13日、米首都ワシントンのホワイトハウスで英国のスターマー首相と会談し、長射程兵器を使った攻撃を容認するか話し合う見通しだ。

 

ニューヨーク・タイムズはバイデン氏が米国の武器を使ったロシア領内への攻撃許可をためらっていると報じたが、米野党・共和党の上院指導部からも使用制限の緩和を求める声が出ている。

バイデン氏は2022年2月にロシアのウクライナ侵略が始まった当初から、ロシアの反発を招いて事態がエスカレートしないよう供与する武器や使用条件を熟慮してきた。核保有国である米ロが戦火を交えれば第3次世界大戦に発展するおそれがあると懸念するためだ。

 

ロシア領への攻撃をさらに緩和すれば、ロシアは強く反発しかねない。

同国のプーチン大統領は12日、米欧から供与された長射程兵器によるロシア領への攻撃を巡り「容認されれば北大西洋条約機構(NATO)諸国がロシアと戦うことを意味し、紛争の本質を変える」と警告した。

 

 

 
 
 
 
バイデン政権

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日経記事2024.09.13より引用