goo blog サービス終了のお知らせ 

Renaissancejapan

哲学と宗教、財閥、国際政治、金融、科学技術、心霊現象など幅広いジャンルについて投稿しています

[社説]米共和党の「内向き志向」を憂慮する

2024-01-24 19:24:05 | トランプ政権


米共和党の大統領候補選びにおけるトランプ前大統領の優勢は有権者の内向き志向を映す=AP

 

米国が世界各地でおきている紛争の解決から手を引けば、国際秩序はますます不安定になってしまう。共和党の大統領候補選びをみると、そんな懸念が強まる展開になっている。

トランプ前大統領が序盤の2州で連勝し、指名獲得に前進した。「米国第一」を掲げる同氏の優位な戦いぶりは、共和党支持者における強い内向き志向を反映する。

 

国際社会への影響が大きい外交政策はウクライナ支援に消極的な姿勢にみられるように、孤立主義的な色彩が濃い。

唯一の対抗馬であるニッキー・ヘイリー元国連大使はウクライナへの支援継続を訴える点でトランプ氏と一線を画す。ウクライナの勝利が「中国の野望を阻止することにつながる」と主張し、国際秩序の維持に米国が責任を果たすべきだと強調する。

 

濃淡はあれ、対外関与を重視するこうした路線はレーガンやブッシュ父子ら近年の大統領にみられるように共和党の主流だった。

ペンス前副大統領やポンペオ前国務長官らトランプ政権で中枢を担った元高官も同じ立場をとる。

 

指名争いでのトランプ氏の圧倒的な優勢は、こうした考え方がもはや共和党支持者の多数派から受け入れられにくくなってきたことを意味する。

ウクライナ支援に使うお金があるのなら、インフレへの対処や移民対策といった国内の課題にもっと力を割いてほしい。彼らはこう考える。

 

南部フロリダ州のデサンティス知事らすでに撤退を表明した他の共和党候補もトランプ氏と類似のスタンスをとり、一定の支持を集めた。

民主党でも左派を中心に対外関与に否定的な意見が根強い。この問題はトランプ氏がいなくなれば解決するわけではない。

 

中国の台頭で米国の相対的な力が落ち、世界の安定に日本や欧州を含む西側諸国がさらに積極的に貢献する必要性があるのは言うまでもない。

ただ、米国で孤立主義的な考え方が広まっているのは私たちにとって由々しき事態だ。

 

トランプ氏は現実の国際政治に影響を及ぼし始めた

。ロシアのプーチン大統領がウクライナとの停戦に前向きな発言を繰り返しているのは、トランプ氏復権を視野に入れた動きだろう。

 

私たちにできるのは日欧やオーストラリアといった同志国の連携をさらに強め、誰が大統領に就いてもいいように備えることである。

 

日経記事224.01.24より引用

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


正論です。

 

 

 
<button class="button_b85blso tabletDesktopOnly_t9fybdz" title="翻訳する/Translate" data-action-type="translate" data-rn-track="translate">翻訳する/Translate</button><button class="button_b85blso tabletDesktopOnly_t9fybdz" title="記事を印刷する" data-action-type="print" data-rn-track="print">記事を印刷する</button><button class="button_b85blso tabletDesktopOnly_t9fybdz" title="メールで共有する" data-action-type="mail" data-rn-track="share_email" data-share-mail-title="[社説]米共和党の「内向き志向」を憂慮する" data-share-mail-publishedtime="2024-01-24T19:05:00+09:00">メールで共有する</button><button class="button_b85blso" title="noteで共有する" data-action-type="note" data-rn-track="share_note">noteで共有する</button><button class="button_b85blso" title="X(旧Twitter)で共有する" data-action-type="twitter" data-rn-track="share_twitter">X(旧Twitter)で共有する</button><button class="button_b85blso" title="Facebookで共有する" data-action-type="facebook" data-rn-track="share_facebook">Facebookで共有する</button><button class="buttonStyle_bnsd047 medium_m10rg1v3 button_b1kfgrvr" title="この記事を共有する" data-share-button="" data-popover-target="share-button">この記事を共有する</button>
 

欧州で高まる夜行列車熱 加速する寝台ルネサンス

2024-01-24 16:32:52 | 観光・旅行・外食・ショッピング


    ウィーン中央駅に入るブリュッセル行きの寝台列車「ナイトジェット」

 

欧州で夜行列車熱が高まっている。主要都市間では今冬から来春にかけ新路線の開設や便数増が決まり、新型の寝台車の導入も相次ぐ。

多量の二酸化炭素(CO2)を排出する飛行機の利用を「飛び恥」とする風潮の広がりに加え、ホテル代の高騰で比較的安価な個室寝台車のビジネス需要が伸びていることもある。ただ、さらなる普及には多くの課題も残っている。

 

昨年12月中旬、夜のウィーン中央駅にブルーの客車が滑り込んだ。欧州大陸の中央部に位置するウィーンとブリュッセルやパリ、ベルリンなど各都市を結ぶオーストリア連邦鉄道(OBB)の主力寝台列車「ナイトジェット」だ。

欧州では同月10日からの新ダイヤで、ブリュッセル―ベルリン間やパリ―ベルリン間などに4本の夜行列車の路線が新設された。ベルリンからウィーンだけでなくブダペストにまで延びるなど4本の既存の夜行路線も延伸された。

 

背景には近年の夜行利用者の増加がある。OBBのナイトジェットの利用者は2022年、5年前の倍の150万人を記録し、23年も増加したとみられている。

 


         ナイトジェットの寝台車のコンパートメント

 

市場の成長の伸びしろはまだ大きい。 同社は30年までに夜行利用者は年300万人に達すると見込んでいる。

スウェーデンの調査会社「リサーチスクエア」によると、中欧地域で飛行機を利用する乗客の20〜30%は将来的に夜行列車に切り替える可能性があるという。

 

利用客の増加は、環境意識の高まりで「飛び恥」の風潮が広がったことが一因になっている。 電車が排出する二酸化炭素は飛行機の10分の1以下とされ、環境に優しいのは明白だ。

経済的にも電車が合理的な選択肢になっていることもある。 例えばナイトジェットは通常の座席に加え、ミニキャビンと個室の2種類の寝台車で構成する。

 

個室は3人まで寝られるコンパートメントで、洗面台やごみ箱、ミニデスクが備え付けられている。 車掌がベッドメーキングに当たり、パンとコーヒー、チーズなどの簡単な朝食も提供される。

路線によってはトイレ、シャワーまで付いたデラックスタイプの個室の客車も導入されている。 ウィーン―ブリュッセル間の運賃は、夜行列車の個室を1人で利用する場合、220ユーロ(約3万5千円)程度だ。

 

ポストコロナの旅行需要の高まりで欧州の主要都市のホテル代は高騰している。 空路でビジネス客が出張した場合のコストは鉄道利用の2倍を超えることが多い。

ウィーンからブリュッセルに向かう寝台車の車内で取材に応じたウィーン在住の自営業のジョンさん(32)は「出張の際はホテル代が1泊分浮くので片道は鉄路にしている」と語った。

 

ベルリンを夜に出発して翌朝パリに着く夜行便も、同様の理由で人気を博している。ネットで売り出されると即日完売となるケースも多い。

こうしたビジネス客の需要を取り込もうと鉄道各社は乗車環境の改善を急いでいる。OBBは12月に導入した新型車両で、カプセルホテルに似た安価な1人用個室寝台を導入した。プライバシーと安全性も大幅に向上させ、すべての個室にシャワーやトイレを備え付けた。

 

二酸化炭素の排出削減を急ぐ欧州連合(EU)の欧州委員会は21年を「欧州鉄道年」と宣言し、30年までに高速旅客輸送を倍増させる目標を打ち出した。ただ、夜行列車のさらなる普及には多くの障壁が残っている。

EU域内でも加盟国間の鉄道分野の規制や技術基準が異なるケースが多く、頻繁なトラブルや遅延の一因になっている。12月のOBBのウィーン―ハンブルク間の新型車両の営業初日でも、ドアの故障などのトラブルが発生して、終点に3時間遅れで到着、多難な初運転となった。

 

欧州域内の鉄道旅行のための包括的な予約サイトや各国間のダイヤの調整も不備が指摘されている。鉄道会社が各国のインフラ管理者に支払う高額な線路使用料にも反発が根強い。

欧州の寝台車の半分以上は新造してから40年超の古い車両とされ、新規路線の開設には多額の投資が必要になる。OBBのような国営企業と異なり民間企業はこうしたビジネスリスクを取りづらく、新規参入に二の足を踏んでいる事情もある。

 

欧州議会の議員や各国の閣僚は昨年11月、欧州委に対し域内の長距離旅行を促進するための青写真を描くことを求める書簡を公表した。線路利用料の引き下げや民間企業への低利融資制度などを求めており、欧州委の対応が注目される。(ウィーン=田中孝幸)

 

 

日経記事 2024.01.24より引用

 

 


Satoshi Nakamoto(サトシ・ナカモト)の正体、ビットコイン、そしてブロックチェーン

2024-01-24 14:51:47 | 世界経済と金融

本記事、結構人気があり、読んでもらっているようです。 『シーシークレット・サービス』にも言及しているせいですかね。 誤字・脱字を修正したver.です。 是非、読んでください。

Satoshi Nakamoto(サトシ・ナカモト)の正体、ビットコイン、そしてブロックチェーン
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/806911b45aa67f53bd5c09b4c1929e72

 

 


月面探査機、データ送信に成功 精密着陸の成否検証へ

2024-01-24 14:12:52 | 宇宙・地球・航空宇宙ビジネス・星座神話・


月面探査機「スリム」の着陸を管制室で見守る関係者(20日未明、相模原市)=JAXA提供

 

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は22日、探査機「SLIM(スリム)」が月面着陸時の画像データなどを地球に送った後、電源を意図的に切ったことを明らかにした。

今後、送信された画像データを分析し、誤差が100メートル以内の「ピンポイント着陸」の成否を検証する。

 

JAXAがスリムのプロジェクトに関するX(旧ツイッター)の公式アカウントで最新の状況を報告した。

スリムは20日午前0時20分に月面に着陸した。着陸後に地球との通信を確立することに成功したが、太陽電池による発電ができなくなった。

 

搭載していたバッテリーで稼働し、公式アカウントによると、「着陸降下中や月面で取得した技術データや画像データの地上への送信を完了できた」としている。

データを送信した後、バッテリーの残量が12%になった同日午前2時57分に電源を切った。

<picture class="picture_p1joxgt6"><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO4351861022012024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=638&h=359&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=5e1687e1d796791ec4e36d0f11ee5cca 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO4351861022012024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=1276&h=718&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=b116cc6052ac4fca2b79e3369138e6c5 2x" media="(min-width: 1232px)" /><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO4351861022012024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=638&h=359&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=5e1687e1d796791ec4e36d0f11ee5cca 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO4351861022012024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=1276&h=718&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=b116cc6052ac4fca2b79e3369138e6c5 2x" media="(min-width: 992px)" /><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO4351861022012024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=600&h=337&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=b6a3fb83275c35480df11eaaf033f9bb 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO4351861022012024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=1200&h=675&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=27f33807beeb81862cee60843f2f7c17 2x" media="(min-width: 752px)" /><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO4351861022012024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=600&h=337&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=b6a3fb83275c35480df11eaaf033f9bb 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO4351861022012024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=1200&h=675&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=27f33807beeb81862cee60843f2f7c17 2x" media="(min-width: 316px)" /><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO4351861022012024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=600&h=337&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=b6a3fb83275c35480df11eaaf033f9bb 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO4351861022012024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=1200&h=675&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=27f33807beeb81862cee60843f2f7c17 2x" media="(min-width: 0px)" /></picture>

 


   月面探査機「SLIM」の月着陸イメージ=JAXA提供

 

着陸後の主要な電源となるはずだった太陽電池は本来、上を向いて日光を受けるはずだったが、西側を向いてしまったという。

日光が当たりにくく、発電できなかったとみられる。

 

探査機が月面で太陽から西日を浴びる位置となり、太陽電池に日光が当たれば、発電できる可能性もある。

JAXAは発電機能の復旧に向けた準備を進めている。JAXAは25日に記者会見を開いて、探査機の状況などについて説明する方針だ。

 

スリムは日本初、世界で5カ国目となる月面着陸を達成した。従来、数キロ〜十数キロメートルだった着陸時の誤差を100メートル以内にするピンポイント着陸に挑んだ。

1カ月後をめどに成否を判断するとしている。ピンポイント着陸の技術を確立できれば、局所的に存在する水資源の探査を有利に進められる。

 

 

機体を再起動すれば、特殊なカメラで月表面を撮影し、岩石の詳細な成分を調べられる可能性もある。

月の起源の解明につながる成果などが期待される。

 

月は水などの資源の存在が期待されており、人類が将来、火星などに進出する際の足場としても注目されている。

米国はアポロ計画以来の有人探査を目指す「アルテミス計画」を打ち出し、日本も協力する。中国も独自に有人探査計画を掲げる。

 

 

【関連記事】

 

 

日経記事 2024.01.22より引用

 

 


習近平体制支える2寵臣の微妙な均衡 秘された政治劇

2024-01-24 12:15:26 | 国際政治・財閥


金融に関する専門研究班の発足式を取り仕切る蔡奇・共産党政治局常務委員
(北京、1月16日)=中国国営中央テレビの映像

 

中国共産党内で過去に例をみない強い権限を持つ総書記(国家主席)の習近平(シー・ジンピン、70)。彼を支える代表的な寵臣(ちょうしん)は、今やふたりだけだ

企業の経営陣に例えるなら、「執行役員」級にみえる習近平以外の最高指導部メンバーらだが、それでも両人が今後、どんなパフォーマンスを見せるかは、習近平政治の将来を大きく左右する。

 

ふたりは、共産党政治局常務委員で序列5位の蔡奇(ツァイ・チー、68)と、同序列2位で首相の李強(リー・チャン、64)だ。なぜ、蔡奇を先に紹介するのか。両人の力関係の実質的な逆転がわかる政治的な出来事が昨夏以降、みられたからである。

 

 

大洪水で透ける権力構造

2023年7月末から8月にかけて、河北省と隣接する首都・北京を襲った悲惨な大洪水。多くの死者が出たことで、中国の人々の記憶に強く残っている。その際、習をトップとする現在の中国政治に特徴的な理由から、ある重大な決断が下されていた。

習の部下らが、救うべき重要拠点として最も重視したのは、習時代を象徴する河北省の新しい開発地域である「雄安新区」だ。それよりも歴史的に有名な河北省の街ではなかったのである。

 


金融に関する専門研究班の発足式に出席した習近平・共産党総書記(北京、1月16日)
=中国国営中央テレビの映像

 

雄安新区は、習がトップに就いた後、「千年の大計」と銘打って大開発を指示した特別な地域だ。付近は習の母親の出身地で、習一族との縁(ゆかり)もある。その開発計画は、新型コロナウイルス禍の影響もあって必ずしも順調に進まなかった。

大号令の下、既に有名大学の一部、国有企業が北京などから移転はした。だが、首都・北京の人口はピークを過ぎ、少しずつ減りつつある。実態的には新たな「副都心」に機能や人口を移す必要性が薄れてきた。

 

それでも習は、威信をかけたプロジェクトを進めるため、再びアクセルを踏もうとしていた。自ら雄安新区を視察し、開発に向けた旗を振ったのだ。大洪水の3カ月前だった23年5月。李強と蔡奇も同行している。

 


蔡奇・共産党政治局常務委員㊨と李強首相㊧、そして、間に立つ丁薛祥・副首相㊥(2023年5月10 日、
河北省雄安新区)=中国国営中央テレビの映像

 


党内序列2位、5位の最高部指導部メンバーが、ともに習に付き従って地方視察するのは異例だ。

この時は、さらに序列6位の筆頭副首相、丁薛祥(ディン・シュエシアン、61)まで雄安にいた。こんな経緯から、もし雄安新区が水没すれば、習のメンツがまる潰れになりかねなかった。

 

それを誰よりもよく知っていたのは、河北省の共産党トップらだ。雄安新区に隣接する湖沼である白洋淀は、中国北部で最大級の淡水湖。

それは付近で最も海抜の低い湿地帯であり、水害の際、北京に濁流が流れ込まないための自然のダムの役割も果たしてきた。

 

昨夏の大洪水で河北省トップらは、このままでは雄安新区ごと水中に沈むと慌てた。そして、まずは、行政ピラミッドの頂点に立つ国務院(政府)総理=首相である李強に、早急に雄安新区を救う手立てを考えてほしいと要請した。

問題はここから始まる。李強は何もできなかった。国務院=政府のトップではあるが、権限は限られる。公安・警察、国家安全省、武装警察から軍につながる国家安全系統の全体を仕切る実質的な権限を持っていない。まさに習政権になってからの特徴だ。

 

企業のガバナンスに例えるなら、李強は共産党ナンバー2なのに、副社長でも専務取締役、常務取締役、ひらの取締役でさえない。「執行役員」級のトップと評されるゆえんである。

では、習の名の下に強権を発揮して雄安新区を救える権限の持ち主は、いったい誰なのか。「それは国家安全系統を差配する蔡奇だった。李強は(序列上、格下の)蔡奇に雄安新区の救済を懇願するしかなかった」。関係者から、後に聞こえてきた驚くべき真相である。

 

いわゆる「浙江閥」である李強は、首相に就く直前まで上海市トップ。北京での本格勤務の経験が皆無だ。そのうえ23年7月末といえば、中央の官僚らを動かす仕事に就いてからまだ4カ月余り。危機に際し、右往左往するのは致し方なかった。

それに比べ、蔡奇には中央での経験がある。李強と同様、福建・浙江両省など地方経験が長い。だが、習時代に入ってから間もなく北京に入る。新設された「国家安全委員会」の事務担当に抜てきされたのだ。それから既に10年。最近まで北京市トップだった経緯もあり、北京周辺の事情に通じている。その違いは大きかった。

 

蔡奇は、雄安新区を大洪水から守るため、より北京に近い街である涿(たく)州の付近を流れる河川の堤防を切って、故意に決壊させる措置をとった。問題は、急な決断・実行だったため、関係部署への事前通告が間に合わなかったことだ。

「(時間的に切迫した危機の中、突然、実行された)人工的な決壊という措置を知らない多くの人の命が失われた。そこには(災害救助に出動しようとしていた中部戦区の)軍関係者まで含まれていた」。時間を経て現場から漏れ伝わってくる真相である。次第に浮き彫りになってきたのは、当局の発表を上回る洪水の深刻さだった。

 

 

23年夏「北戴河」、習外国訪問にも影響

低地、湿地として有名な雄安新区の一帯は、なんとか救われたものの、故意の決壊、放水で別の広範囲の地域が濁流にのみ込まれ、水没したのである。そこには、「三国志」で世界的に知られる「桃園の誓い」にちなむ歴史的な場所、涿州も含まれていた。

この一連の政治劇は、23年夏、同じ河北省の海辺で開かれていた問題の「北戴河会議」とほぼ並行して起きていた。その大混乱は、同8月下旬から続く習の外国訪問にまで影響する。

 

8月下旬、 南アフリカで開かれたのが、新興国によるBRICS首脳会議。空港に到着して専用機のタラップを降りる習の表情はさえず、足元もふらついていた。そして会議中も突如、演説をキャンセルし代読になる。

帰路も、なぜか北京には直帰せず、突如、予定を変更して新疆ウイグル自治区のウルムチに入った。異例の事態だ。ここにも大洪水後の政治的な混乱、人事を含む複雑な処理が関係していた。

 

さらに同9月前半、インドで開かれた20カ国・地域首脳会議(G20サミット)には、自ら出席せず、李強を代理に立てた。中国が最大限、重視してきたG20である。それだけに、リアル開催される会議現場に中国国家主席が不在だったのは、初めてだ。

そして、洪水を巡る複雑な政治劇で、もうひとつ明らかになったのは「ある意味、蔡奇李強よりも強い権限を有している」という政治力学だった。極めて重要な雄安新区を救ったという大きな手柄は、蔡奇のものなのだ。

 

習政権の政治構造が透けて見える一連の動きの結末は同11月、習が再び河北省を訪れ、復興途上の被災地に入ったことで終結した。お供していた政治局常務委員は、蔡奇ひとりだけだった。

 

 

国家安全の蔡奇が李強の金融・経済も

国家安全部門が金融問題にまで――。そして年が明けた1月、国家安全部門が、金融問題にまで幅を利かせているように見えるイベントがあった。習の出席の下、中国の特色ある金融の発展を推進する専門研究班の発足式が1月16日、北京で開かれたのだ。

 


中国主要幹部の金融に関する専門研究班発足式(北京、1月16日)= 中国国営中央テレビの映像

 

深刻な中国の経済状況下、金融に関わるリスク管理が焦点になる――。その認識は正しい。特に中国の地方政府系投資会社「融資平台」に絡む巨大な債務返済がピークを迎えるのは今年からだ。

だが、スイスでの世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(通称ダボス会議)に出席していた李強は、北京にいない。本来、首相が仕切り役のはずの金融・経済分野を主題にした大々的な会議が、首相不在時にあえて開かれているのは、違和感がある。

 

さらに注目すべきは、金融専門研究班の発足式を取り仕切ったのが、蔡奇だったことだ。習は、蔡奇李強を互いに競わせているという見方もできる。ふたりが今や微妙な関係にあるのは間違いない。

とはいえ、役割が全く違うだけに、ふたりが「犬猿の仲」で、話さえできないわけではない。昨夏に起きた河北省の大洪水対策でも、李強が蔡奇に頼ることで雄安新区を救い、習の威信を守る連携をみせたのだから。ふたりの間には、微妙な均衡が成立している。

 

ただし、国家安全という本来、裏に隠れているべき領域が、中国ほどの大国の金融・経済領域を仕切り、その権限が拡大しつつある現状は異常である。いびつな政治構造の象徴が、時に蔡奇が李強の上位にいるかのような寵臣ふたりの関係だ。


      ダボス会議に出席した李強・中国首相(1月16日) =ロイター

 

これでは、いくら李強が、「中国経済の未来は明るい」「対外開放を進める」と海外に訴えても、国際的な信用は得られない。

それを嫌気してなのか、中国の代表的な株価指数である上海総合指数は、22日の終値が2700台にまで落ち込んでいた。寵臣ふたりの微妙な均衡関係は、今後の習体制を左右する。注目したい。(敬称略)

 

中沢克二(なかざわ・かつじ)
1987年日本経済新聞社入社。98年から3年間、北京駐在。首相官邸キャップ、政治部次長、東日本大震災特別取材班総括デスクなど歴任。2012年から中国総局長として北京へ。現在、編集委員兼論説委員。14年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。

 

 

関連記事】

 

 

 

日経記事 2024.01.24より引用

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

んかなか読みごたえのある秀逸な記事でした。 
現在の中国の権力構造が事実ベースによく理解できました。

 

私の関心は、予測不可能なトランプの行動ですが、演説とは真逆に、親北朝鮮、そのバックにいる親ロシア、親中国になることです。 また米国DSの本丸とも言えるロックフェラー財閥(共和党のバック)に尻尾を振り出すことです。

 

予測不可能なトランプの言動! 北朝鮮、そのバックの中国・ロシア側にならなければ良いがhttps://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/fad5c5b9838ad9a216b6eda2379fbe71

 

既に何がしか水面下では動いているでしょう。 
当然、中国・ロシアもなにがしかの工作はしていることは考えておかねばなりません。

 

 

世界の最貧国の一つであった中国に巨額の資金技術・技術援助、一つの中国を約束したのは、ロックフェラー財閥と米共和党です。

1972年2月、共和党のニクソン大統領が訪中し、北京で毛沢東と首脳会談を行いました。 その出来で上記、巨額の資金援助・技術援助・一つの中国を約束しています。 中国の異常な発展は、これが起点です。

 

また、軍磁力で北ベトナムごときに負ける訳がないアメリカですが、ベトナム戦争中に突然「北ベトナムを攻撃するな」という命令を出し。さらにベトナムから米軍を撤退し、ソ連を喜ばしたのも、ロックフェラーがバックの共和党ニクソン政権です。

政治や歴史をしらない日本の一部のお馬鹿たちは、共和党は愛国保守とうプロパガンダを真に受けているようですが、上記はすべて公式な事実。

 

むしろ、ご存じなようにロシア・中国に厳しいのは米民主党です。 トランプも「ウクライナ支援は辞めてしまえ」と言っていますね。 ロシアと中国に有利なだけです。

 

 

 

君たちはまだ分からないのかな。以下すべて事実、反論してみなさい。

 

【事実】2016年、トランプ・ブームはマケドニアの小さな町ヴェレスの若者たちのデマから始まった。
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/02dc2fa491e85b3d17884ebf16907127

・トランプとQアノンのデマを信じる阿呆たち-1 ~トランプはDSと戦っている? アホかhttps://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/358b3a0253fd576b529d92a0057dca71

・トランプとQアノンのデマを信じる阿呆たち-2 ~トランプは平和主義者で暗殺も戦争もしない? アホか
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/56dd7b8ead46e7304879c33ee5f4e10b

・【解説】 Qアノン陰謀論とは何か、どこから来たのか 米大統領選への影響は
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-53929442


・アメリカを操るイスラエルロビー・AIPAChttps://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/a2d3149aa6cb24348d3a333e9f2f41d2

・ロスチャイルド財閥ー226 アメリカ新世紀プロジェクト(PNAC)とネオコンhttps://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/1c331c20783eeefd8d826780a5d38106

・ロスチャイルド財閥ー223 ネオコンhttps://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/ec25633641a286c475b6cc36a5033f10

 

・親中の安部晋三・高市早苗、そして統一教会との癒着https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/3014a48c1fe58ceabb6dfef5fa59b0bd

・リンカーン、ケネディ、安倍元首相暗殺の共通点 https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/62b46eec87d1a18e8da9195e4d353d64

・【清話会・安倍派の星】 萩生田光一 の プロフィールhttps://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/25af815698863b42d9b689771595a89e/

・窃盗容疑で書類送検され、東洋大学教授を首になった文化人放送局の高橋洋一https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/66a21eea2e990e048eb939a38ecfe3b4

 

・性犯罪で最高裁・実刑判決を受けた 文化人放送局の山口敬之、お前が言うなLGBThttps://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/e6bea52c026377df218985db111474d0

・篠原涼子に性犯罪級のセクハラ 文化人放送局のホンコン、お前が言うなジャニーズ問題https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/905e30f5a611666d6f512b0cb9c40d33

・LGBT法案に関するデマに注意https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/c9c4a33e697a3488fbbca0184f1458f7

【インボイス制度は増税でない】 ネットのデマに注意!https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/0fc4809962e571b2ad23991ec43c0822

 

・Bloomberg ブラックロックCEO、現代金融理論を支持せず-「くず」と一蹴https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/f8723862229429fc9507648b3cfd56e2

・アホの一つ覚えのMMT信者https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/edfec0faeef39871e87a42779cd369b4

 

<picture class="picture_p1joxgt6"><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO4349584022012024000000-2.png?ixlib=js-3.8.0&w=638&h=399&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=d7f4ccb31ad4584b75d79474925bb1aa 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO4349584022012024000000-2.png?ixlib=js-3.8.0&w=1276&h=798&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=d7f67b444cdfb1a8e3ea3afc019d8c62 2x" media="(min-width: 1232px)" /><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO4349584022012024000000-2.png?ixlib=js-3.8.0&w=638&h=399&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=d7f4ccb31ad4584b75d79474925bb1aa 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO4349584022012024000000-2.png?ixlib=js-3.8.0&w=1276&h=798&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=d7f67b444cdfb1a8e3ea3afc019d8c62 2x" media="(min-width: 992px)" /><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO4349584022012024000000-2.png?ixlib=js-3.8.0&w=600&h=375&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=acaa08f173e7f4aeee2f5bf0e62ec9a8 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO4349584022012024000000-2.png?ixlib=js-3.8.0&w=1200&h=750&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=d98045908eec7632c96fbdff15d0e0c3 2x" media="(min-width: 752px)" /><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO4349584022012024000000-2.png?ixlib=js-3.8.0&w=600&h=375&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=acaa08f173e7f4aeee2f5bf0e62ec9a8 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO4349584022012024000000-2.png?ixlib=js-3.8.0&w=1200&h=750&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=d98045908eec7632c96fbdff15d0e0c3 2x" media="(min-width: 316px)" /><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO4349584022012024000000-2.png?ixlib=js-3.8.0&w=600&h=375&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=acaa08f173e7f4aeee2f5bf0e62ec9a8 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO4349584022012024000000-2.png?ixlib=js-3.8.0&w=1200&h=750&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=d98045908eec7632c96fbdff15d0e0c3 2x" media="(min-width: 0px)" /></picture>