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水素普及へ工程表策定 日EUが合意、40年見据え

2024-06-04 06:51:17 | 環境・エネルギー、資源

日本と欧州連合(EU)は3日、水素の普及に向けた官民協力に関する共同工程表を策定することで合意した。

2040年ごろまでを見据え、製造装置や輸送技術の安全性を担保する要件作りに必要な情報を共有し、活用に向けた国際規格を主導する。

 

日本の斎藤健経済産業相とEUのシムソン欧州委員(エネルギー政策担当)が都内で会談し、共同声明をまとめた。

水素は燃やしても二酸化炭素を出さないため、製鉄、化学、航空機など温暖化ガスを多く出す産業分野で化石燃料に代わる燃料として有力視されている。

 

再生可能エネルギーによる電力で水素を作る水電解装置や、水素を効率的に運ぶ液化輸送技術などについて情報共有を始める。

同日、両者の官民で覚書も交わした。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)といった日本の機関がEUの政府系機関とそれぞれ覚書を交わした。

 

民間企業では川崎重工業と独ダイムラートラックホールディングが水素分野の協力文書に署名した。

日EUは水素だけでなく、風力や太陽光も含む脱炭素分野で政策協調を進める作業部会を設置する方針でも合意した

 

安価な中国製品を念頭に、製品を調達する際に不当な政府補助金の有無や環境への配慮といった価格以外の要素も判断材料とする方向だ。

斎藤氏はシムソン氏との会談冒頭で「産業、金融、研究開発など幅広く日EU間で対話し、政策協調やビジネス協調をしていきたい」と述べた。

シムソン氏は「水素はまもなく国際的に取引可能な製品になる。日本と協調しながら規制や標準作りをしていきたい」と連携に期待を込めた。

 
 
 
日経記事2024.06.04より引用
 
 
 

原発、揺らぐ「脱炭素電源」 欧米で建設停滞相次ぐ

2024-06-02 09:17:48 | 環境・エネルギー、資源


英南西部で仏電力公社EDFが建設中のヒンクリーポイントC原発=ロイター

 

米欧で原子力発電所の建設の延期や断念が相次いでいる。

安全対策強化によるコストに加え、資材費や人件費上昇がのしかかる。世界の原発建設の中心は中国やロシアに移り、西側の退潮が目立つ。期待された「脱炭素電源」としての役割を果たせるかの岐路にある。

 

仏電力公社EDFが英南西部で建設中のヒンクリーポイントC原発に逆風が強まっている。

「原子力は再生可能エネルギーに費やせるはずの莫大な資金を吸い上げている」。5月に著名な環境活動家が加わった反対派は気勢をあげた。

 

同原発は工事の遅れが顕著だ。EDFは2月に129億ユーロ、日本円で2兆円超の減損損失を計上すると明らかにした。

英国で新たな原発が稼働すれば1995年以来となる。この間に熟練作業員は減った。さらに近年の資材費や人件費の上昇が追い打ちをかけ、巨大構造物である原発の新設は難しくなった。

同原発は2基で計300万キロワットを超え、1号機は2027年6月の運転開始を想定していた。

10年の計画始動後、東日本大震災などの影響で英国でも原発の安全性への要求は高まり工事の難易度も増した。英国の新たな規制上の求めを満たすには7000カ所に及ぶ設計変更が必要で、従来より鋼材を35%、コンクリートを25%増やすことを迫られた。

EDFによると運転開始時期は29年に遅れ、さらに1〜2年ずれ込む可能性がある。建設費も最大260億ポンド(およそ5兆2000億円)から同340億ポンドに膨らむ。

「50年までに世界全体で温暖化ガス排出量の実質ゼロを達成し、産業革命前に比べた気温上昇を1.5度に抑える目標を実現できる範囲にとどめるうえで、原子力は重要な役割を果たす」

アラブ首長国連邦(UAE)で23年11〜12月に開いた第28回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP28)。米英を中心に20カ国以上の有志国が連携し、温暖化ガスをほとんど排出しない原発を世界で現状の3倍にする目標を打ち出し、日本も名を連ねた。

今になって改めて米国などが原子力の重要性を訴えるのは、思うように原発の建設が進まない焦りの裏返しでもある。

「プロジェクト終了が最も賢明な決定だ」。23年11月、米新興ニュースケール・パワーは米西部アイダホ州で進めてきた米国初の「小型モジュール炉(SMR)」の建設を断念すると発表した。

計画では1基7万7000キロワットの原子炉を6基設置し、初号機は29年に稼働の予定だった。建設費などの高騰で事業の採算が見込めなくなった。

SMRは小型ゆえに既存の原発より工期が短く、建設費も抑制できるとされてきた。半面、1基100万キロワットを超す大型の原発に比べ経済性は低く、競争力を疑問視する声もあった。

西側諸国の停滞は原発を巡る世界の勢力図を変える。米国は稼働可能な原子炉が90基を超す世界一の原子力大国だが、かつての勢いはない。

世界原子力協会によると建設中の原子炉の数は中国の26基に対し、米国はゼロ。建設計画も中国は40基超だが米国では目立った事業はなく、両国の差は歴然だ。30年代前半までに中国の原発の発電量が米国を逆転するとの見方もある。

米国では炉心溶融を起こした1979年のスリーマイル島原発事故を受け、長く原発新設が途絶えた。2023年に新規でおよそ30年ぶりにボーグル原発3号機が運転を始めたが、4号機と合わせてコストは想定の2倍以上に膨らんだ。

米政府は廃炉の予定だった原発の再稼働を支援する方針を3月に打ち出した。中西部ミシガン州の原発に約15億ドル(約2300億円)を融資する。新設が進まないなかでの苦肉の策だ。

「エネルギー安全保障の強化は英国がプーチン(ロシア大統領)のような暴君にエネルギーを巡る身代金を二度と要求されないことを意味する」

英政府は1月、50年までに原発を現状の4倍に増やす行程表を掲げ、訴えた。とはいえ今の状況では、米欧で新たな原発を続々と建てるには相当なてこ入れが必要になる。 (塙和也、生川暁)

 

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※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

 

 

山本真義のアバター
山本真義
名古屋大学未来材料・システム研究所、名古屋大学大学院工学研究科電気工学専攻 教授

ひとこと解説

この記事の通り、世界は原発の必要性に気が付いたが新規建設、再稼働には大きなコストがかかることで苦しんでいます。

日本も東日本大震災の風評を経て未だ長期停止中の原発が多く存在します。

欧米ではこの苦境を原発稼働の延長という形で対応しています。

北米ではイリノイ州のドレスデン原子力発電所2、3号機の稼働を20年延長申請し、稼働期間は80年となる予定です。

またフィンランドはその電力の1割を賄うロビーサ原発の運転延長を認可し70年の稼働となります。

日本も原発の再稼働、新規建設を進めなければ日経記事(5月31日)にあった再エネ賦課金の値上がり等による電気代の最高値の更新がさらに進んでいくでしょう。

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日経記事2024.06.02より引用
 
 
 

群馬・嬬恋村に小水力発電施設、設備工事のヤマトが建設

2024-05-31 22:41:48 | 環境・エネルギー、資源


小水力発電事業で記者会見を開いたヤマトの町田豊社長㊧と
群馬県嬬恋村の熊川栄村長(31日、嬬恋村)

 

設備工事業のヤマトは31日、群馬県嬬恋村に小水力発電施設を建設すると発表した。

同社の小水力発電は2例目で、売電により収入を得る。再生可能エネルギー関連事業を拡大するとともに、地域の持続可能な開発目標(SDGs)にも貢献する。

 

投資額は非公表。

村西部の「ウダラ沢」で12月に着工し、2026年9月の完成を予定する。年間発電量は約125万7000キロワット時を見込む。年間の売電収入は4200万円程度になるとみられる。

 

「負担付き寄付」の仕組みを活用し、ヤマトが整備する発電施設を村に寄付する代わりに、20年間の運営権と命名権を得る。売電収入で投資額を回収しつつ、村に施設の使用料を支払う。

31日に同村で記者会見したヤマト地域連携推進部の石井清隆部長は「グリーンエネルギーに貢献するだけでなく、地域を盛り上げていく一助になれば」と話した。

熊川栄村長は「官民で持続可能な社会をつくるための重要な事業」と力を込めた。

 
 
 
日経記事2024.05.31より引用
 
 

中国電力の島根原発2号機、再稼働前の全審査完了 中国

2024-05-31 22:36:14 | 環境・エネルギー、資源

中国電力は31日、島根原子力発電所2号機(松江市)の運転管理に関する体制や手順など安全に稼働させるための認可を原子力規制委員会から得たと発表した。

12月の再稼働に向けて必要な3種類の審査は全て完了した。今後は安全対策工事とその確認を進める。10月に核燃料を入れる燃料装荷を予定している。

 

重大事故時も含めた原発の要員配置や安全対策設備の運用、所員の教育や訓練などに関する「原子炉施設保安規定」の変更認可を受けた。

「原子炉設置変更許可」と「工事計画認可」と合わせて3種類の許認可を受け、福島第1原発の事故後に設けられた新規制を満たすための審査を終えた。

 

同社は12月の再稼働に向けて安全対策工事を進めている。安全が確保されたことを確認しつつ、10月には燃料装荷を実施する。

島根県の丸山達也知事は同日、「中国電力には保安教育や訓練などを適切に行い、安全な運転に向けた能力の向上に努めてほしい」とのコメントを発表した。

 


福島第1原発のデブリ採取、8月にも着手 廃炉へ成分分析

2024-05-30 23:37:23 | 環境・エネルギー、資源


デブリの試験取り出しに使う釣りざお式装置(代表撮影)

 

東京電力ホールディングス(HD)は30日、福島第1原子力発電所2号機の溶融燃料(デブリ)の試験的取り出しに8月にも着手すると発表した。

堆積物の除去や機材の準備が整ったと説明した。3度延期しており、実施できれば3年遅れとなる。

 

10月までに着手する予定だったが「8月から10月ごろ」に時期を具体化した。早ければ7月にも福島第1原発に装置を設置する。

東電HDで廃炉の責任者を務める小野明執行役副社長は「引き続き周辺環境に影響を与えることのないよう、安全を最優先かつ慎重に作業を進めていく」と述べた。

 

2011年の原発事故で福島第1原発1〜3号機は炉心溶融(メルトダウン)を起こした。核燃料が溶け落ちて炉内の構造物と混ざったのがデブリだ。1〜3号機で約880トンあると推計されている。

当初は2021年に実施する予定だった。折り畳み式の「ロボットアーム」を遠隔操作してデブリを取り出す計画だったが、機材の開発が遅れた。貫通部をふさぐ大量の堆積物も見つかり、延期を余儀なくされた経緯がある。

 

デブリは放射線量が極めて高く人が近づくことができない。原子炉格納容器内の放射線が外部に漏れないようにするため、一度に大量のデブリを採取することも難しい。

今回はアームよりも細い釣りざお式装置で採取する。28日には装置の製作や動作の確認を進めてきた三菱重工業の神戸造船所(神戸市)で、実寸大の原子炉に見立てた模型で実験した様子を公開した。

 

東電によると格納容器の底に向けて釣りざお装置から3〜4メートルほどケーブルを垂らし、先端に取り付けた爪状の器具でデブリをつかむ。採取できるのは3グラム以下という。

1人当たりの作業時間を短縮し、作業員の放射線への影響を抑える必要もある。作業の開始からデブリの試験的取り出しまではおよそ2週間かかる見込みだ。

 

 

採取できればデブリの分析をし、取り出し機械の大型化など廃炉作業に生かす。東電はより広い範囲で採取可能なロボットアームでの試験的取り出しの着手を24年度中に目指す。

岡本孝司・東京大教授(原子力工学)は「試験的取り出しは、廃炉に向けた第一歩だ。デブリの成分やどのように溶けて固まったのかなど全体を推定できる」と話す。

 

 

国などは福島第1原発の廃炉について事故の発生後30〜40年かかるとしている。880トンにも上る高レベルの放射性廃棄物であるデブリをどう除去していくか全体像は見えない。

デブリを取り除かなければ原子炉建屋は解体できない。

 

冷却水や雨水がデブリと接触して放射性物質を含むことで汚染水の発生源ともなっている。

東電は浄化処理して放射性物質を基準以下にした処理水の放出を23年8月に開始したが、デブリが残れば処理水は発生し続ける。

 

国の廃炉計画の実現は難しいとの見方がある。日本原子力学会のなかには100年以上の期間がかかるという意見もある。旧ソ連のチェルノブイリ原発事故では廃炉を断念し、建屋ごとコンクリートで覆う「石棺」方式を採用した。

飛散した放射性物質によって汚染された土壌やがれきの処理の課題も残る。政府は45年までに福島県外に運ぶ約束をしているが、行き先は決まっていない。

 

 

 
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