末娘ものが続いたが、これはその夫のおまけ話。
娘の少し年上の夫は、大学は卒業したが、これから法科大学に進むので、あと三年は、働きながら学生もする。そんな彼の交通手段に娘は職場の人から、このバイクを安く買った。普通なら5,6千ドルはする、というのを500ドルで。500ドルでも高いと思うが、私はなにぶんその世界を知らないから、余計なことは言うまいが、自転車通勤・通学はなにか危険そうで、私自身が運動音痴だからか、恐れ多くて自分はできないし、人にも勧めたくない。
ご本人は大喜び。颯爽と街に乗り入れ、学校に仕事に、と走り回っていた。手入れも欠かさず、大事にしていた。ある朝、街なかを走っていたら、傍を通りがかった女性ドライバーの車に接触され、はねられた。彼は投げ出され、大好きなお気に入りの自転車は見事に捻じ曲がった。はねられた彼は、立ち上がり、自分をはねた女性のほうへ歩み寄り、尋ねた。「貴女にお怪我はありませんか?大丈夫ですか?」そしてその女性をハグして、「お怪我がなくて、本当によかったです。」と言ったのである。
その後救急車が来てはねられた彼を病院へ連れていった。本人は、大丈夫,と言ったが、すぐ娘の顔が浮かび、それでは念のために、と病院へ向かったのだった。下の写真は娘が駆けつけた時の彼である。かなり痛々しいが、頚椎、背骨、頭、などなどいろいろ検査された。こんな時でも、携帯電話がまるで手から生えているようなのは、さすが現代っ子である。
検査結果ではどこも異常はなく、打ち身程度で、後日筋肉通があるかもしれない、ということだった。そしてようやく夕方退院した。最初連絡を受けた娘は、どれだけ心配したかわかるから、夕方,大丈夫と連絡が来た時は、受話器のこちらも本当に安堵した。
事故直後の話は、相手の女性ドライバーが話してくれたので分かったことだった。この人は。。。咄嗟に相手に怪我ないかが気がかりだった、なんて。そして相手に怪我はないと分かった時の安堵から、思わずハグしたそうである。夫も私も他の子供達も、彼ならそうするだろう、と妙に納得し、うなづいた。無事でよかった。
今はすっかり元通りの元気な人になって、またマラソンも完走できるだろう。ちなみにその後、娘達は、二台目の車を買った。二輪ではない、四輪を。