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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

国連総会での非難決議、経済制裁、パリ五輪からの締め出し、そしてフィンランドのNATO加盟。ウクライナを侵略したロシアに「お灸」が据えられることで侵略は割に合わないと全世界に知らしめることが大事。

2023年04月06日 | ロシアによるウクライナ侵略

ブリンケン米国務長官(右)と文書を交わす、フィンランドのペッカ・ハーヴィスト外相(左)=ブリュッセルのNATO本部で2023年4月4日

NATOはあくまで軍事同盟ですから、その存在を積極的に肯定する趣旨の記事ではありません。

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 刑事法学の世界では、刑罰の機能として2つの意味があるとされています。

 一つは特別予防。

 これは、犯罪を犯した犯人自身が刑罰を受けて犯罪は割に合わないとわかり、2度と犯罪を犯さないようにしようと決意することで再犯可能性が無くなることを言います。

 もう一つは一般予防。

 こちらは犯人以外のまだ犯罪を犯していない一般市民が、犯人が捕まえられて刑罰を受けている姿を見て、ああやはり犯罪は悪いことで割にも合わないんだ、自分も犯罪なんかしないようにしようと心に決めてくれて今後の犯罪が減る、一般人への効果を指します。

ロシアがウクライナの民間人に数百発のクラスター爆弾を使用。ウクライナ全土のインフラ施設にミサイル攻撃。ザポロジエ原発がロシアのミサイル攻撃で外部電源停止。ウクライナ戦争を泥沼化しているのはロシアだ。

 

 

 ロシアがウクライナを侵略しても全世界が見て見ぬふりをしてスルーしてしまっていたら、「犯人」であるロシアも「なんだあ、侵略したって大した罰もないや、またしよう」っと思いますし(特別予防効果ゼロ)、他の大国も「悪いことをしたロシアもひどい目に逢わないんだったら自分もいつか侵略しちゃえ」と思うわけです(一般予防効果ゼロ)。

 二度と侵略戦争という国連憲章違反の行為が起こらないようにするためには、国際法秩序を守ること、つまりは侵略した国に対して相当なペナルティが課されること、これは大変重要な事なんですね。

国連総会がロシア軍に対して「即時・完全・無条件」の撤退を求める決議を圧倒的多数で可決。ウクライナのインフラ・民間施設への攻撃の停止も求め、ロシアの戦争犯罪に対する調査と訴追の必要性を初めて明記。

 

 

 さて今回のウクライナ侵略について、ロシアは侵略から1年余りで国連で何度も非難決議が上がったように全世界から非難されましたし、かなり厳しい経済制裁も受けています。

 また、パリ五輪へのロシア・ベラルーシ人選手の参加はかなり難しくなっていますが、これも南アにおけるアパルトヘイト廃止に非常に役に立った歴史に鑑みれば必要な事。

 何の罪もない選手たちが可哀そうとも言えますけれども、ある国が侵略をしたらその国の主権者も責任を取るのだということが常識になれば、それぞれの国で市民が自国政府に侵略をするなと求めていく動機付けにもなるのです。

【ロシアによるウクライナ侵略開始から1年(中編)】なぜロシアの侵略を止めなければいけないのか。なぜロシア市民に経済制裁の痛みを負わせ、ロシア選手にパリ五輪出場を禁止しなければいけないのか。

 

 

 また、プーチン大統領などに国際刑事裁判所(ICC)から逮捕状が出たことも絶大な効果がありました。

 実際に逮捕できる可能性は小さくてもいいのです。

「ロシアは安全保障理事会の常任理事国で、安保理決議案への拒否権を持っているだけでなく、核兵器も保有しています。そのため、なんでも思い通りにできるかのようにふるまってきました。国際社会における法の支配というものがあるんだ、ということを示した点で、大きな意義があると思います。」浅田正彦同志社大学教授(国際法)。

 これを不公平だとか実効性がないとかクサす人もいますが、プーチン大統領が南アで開催されるBRICS(ブラジル・ロシア・インド・中国・南ア)の国際会議に行くと逮捕の可能性があって出席しにくくなりましたし、親露国のアルメニアがICCに加盟しようとしていてプーチン大統領が怒るという事態も起きています。

 そしてしかも、こういうさまざまな効果が出ているのを中国の習近平国家主席は目の当たりにすることになったわけです。

国際刑事裁判所が戦争犯罪容疑でプーチン大統領らに逮捕状発令。国連人権理事会が殺害・性的暴行・子どもの連れ去りなどロシア軍の戦争犯罪があったとする調査報告書を公表。橋下徹氏、伊勢崎賢治氏らは沈黙。

 

 

 例えば中国が台湾に侵攻するかどうか決めるにあたって、中国共産党はロシアがどういう目に逢っているかを注意深く観察しているに決まっています。

 また、ベトナム戦争やイラク戦争を起こしたアメリカはロシアと違って全く制裁を受けていなくて不公平なのですが、今回のウクライナ侵略についてロシアに制裁を加える旗頭になったことで、アメリカがロシアのように他国の領土を侵略することはもちろん、ベトナムやイラクにしたような武力行使も非常にしにくくなったという効果があります。 

 これも一種の一般予防効果と言えるでしょう。

 もし欧米がロシアの侵略をスルーしてしまっていたら、自分たちも同じことをする可能性が残るわけですが、これだけロシアのことを非難して制裁を科したわけですから、アメリカなども二度と同じことはやれないでしょう。

 ロシアに対する制裁は、ロシアの次の侵略を止める特別予防以上に、他の大国の手を縛って将来の侵略を防ぐ一般予防効果が大きいのです。

 それこそが国際法上の法規範が維持され、法秩序が保たれる効果です。

これだけロシアとプーチン大統領のことを非難しておいて同じことは今後はできない。

アメリカの産軍複合体はウクライナという新たな「市場」を見つけた。第二次大戦後、世界中で戦争をしまくり、イスラエルによる武力行使を放置するアメリカに、ロシアによるウクライナ侵略を非難する資格はない。

ジョンソン英首相がロシアの安保理常任理事国からの「解任」を提案。それが可能ならベトナム戦争やイラク戦争を起こした米国も解任せよ。常任理事国制度も彼らの核保有だけを合法化するNPT条約も要らない。

 

 

 さて、そんなロシアなど大国に大きなお灸をすえることになったのが、70年以上中立を保ってきたフィンランドが北大西洋条約機構(NATO)に正式に加盟したことでした。

 NATOは2023年4月4日、ブリュッセルの本部で外相会合を開き、フィンランドを加盟国として正式に迎えました。NATOの拡大は、2020年の北マケドニアの加盟以来のことで31か国目の加盟国になりました。

 フィンランドのニーニスト大統領は加盟式で、

「フィンランドの加盟は、スウェーデンの加盟なしには完結しない。スウェーデンの早期加盟のための作業は休むことなく続いている」

と語ったそうです。

 フィンランドと同じく長く中立を保ってきた強国スウェーデンがNATOに加盟することになったら、ロシアにとってはさらに大きな痛手になります。

「NATOの東方拡大」はプーチン大統領によるウクライナ侵略の「動機」ではあり得ても、ウクライナ戦争の「原因」とは言えない。ウクライナ戦争の原因はロシア軍によるウクライナ侵略以外にあり得ない。

 

 

 NATOのストルテンベルグ事務総長は4月3日の会見で、

「フィンランドはより安全になり、我々の同盟はより強固になる。歴史的な日だ」

「NATOとロシアとの陸上国境は2倍になる」

と述べ、NATO拡大を批判してウクライナ侵攻に踏み切ったロシアのプーチン大統領の判断が誤りだったと強調しました。

 実際、ウクライナがNATOに加盟するのを防ぐためもあってロシアがウクライナに侵略したら、「フィンランド化」という言葉があるくらいロシアと一種の友好関係を保ってきたフィンランドをNATO加盟へと押しやる結果になり、これまで1300キロだったNATO諸国とロシアの国境が2600キロになってロシアは防衛が超大変になったわけです。

 こんな絵にかいたような自業自得、身から出た錆、自爆行為はめったにありません(笑)。

 ロシアの間抜けで悲惨な体験は、中国にとっても良い他山の石になったはずです。

 

なぜウクライナのゼレンスキー大統領は停戦できないのか。それはプーチン大統領が領土の割譲を禁じ刑罰を科する規定を憲法などに設けたため、停戦交渉でロシアが併合した地域を返還することが不可能だからだ。

 

ウクライナ戦争「どっちもどっち」論には道理がないとする日本共産党の立場は至当。侵略しているロシアの行為の違法性こそ著しく重大。そこから議論を始めない橋下氏らがロシア擁護派とされるのは当然だ。

 

ところで、5月に開かれる先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)に向けて、国際紛争処理の専門家と自称する東京外国語大名誉教授の伊勢崎賢治氏や歴史学者の和田春樹氏らが呼びかけて記者会見し、G7首脳にロシアとウクライナの停戦交渉の仲裁を求める声明を発表しました。

末尾に声明文と署名サイトを載せましたので賛同される方は署名や意見広告用の寄付などをされたらいいと思いますが、社会学者の上野千鶴子さんや思想家の内田樹さんなど錚々たるメンバー30名が賛同しています。

が、たぶん市民の署名は1万人はとてもいかないと思われます。私も署名も寄付もしません。

なにしろ、エセ平和主義者の伊勢崎氏が呼び掛けただけあって、声明文には「ウクライナ戦争では開戦5日目にウクライナ、ロシア二国間の協議がはじめられ、ほぼ一カ月後にウクライナから停戦の条件が提案されると、ロシア軍はキーウ方面から撤退しました。」と、まるでロシアが停戦協議をするためにキーウから撤退したかのようなロシア擁護のトンデモない超大嘘も書いてありますし(-_-;)。

その停戦協議について「しかし、現実的な解決案を含むこの停戦協議は4月はじめに吹き飛ばされてしまい、戦争は本格化しました。」と書いてありますが、本当はロシアによるブチャでの虐殺が明るみに出て停戦協議がダメになったわけで、ロシアが協議を不可能にしたのに、なんだか自然災害で吹き飛んだみたいに書いてあり、まさに即時停戦派・軍事支援否定派の偏頗性=不公平さが露骨に出ていて酷いものです。

記者会見でもウクライナの現地を取材している記者たちからは「現状での停戦はプーチン政権による侵略と占領の固定化につながりかねない」「ロシア寄りの提案ではないか」などと言う当然の批判的な質問も出たそうですが、そりゃそうでしょう。

伊勢崎氏はこれに対して「戦争が長引けば多くの戦争犯罪が引き起こされる。これ以上の人命の損失と破壊をくい止めるため停戦が必要だ」と防戦したそうなんですが、戦争犯罪をしているのはロシア軍ですからね。

人命尊重のために先進国に即時停戦を呼びかけさせよう、というこんな絶対に誰も反対しないはずの提案でも、よって立つ基盤と論理を間違ってしまうと支持してくれる人は限られてしまうんです。

ロシアが侵略したという言葉さえ入っていない、親露派丸出しの声明では世の中が動くわけがありません。

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フィンランド加盟、NATO―ロシアの国境は倍増2600キロに…プーチン氏に大打撃

 【ブリュッセル=酒井圭吾、ロンドン=池田慶太】北欧フィンランドの北大西洋条約機構(NATO)加盟は、集団的自衛権を有するNATOの拡大を阻みたいロシアのプーチン大統領にとって大きな打撃となる。NATO加盟国とロシアの国境は計約2600キロ・メートルに倍増し、双方は安全保障上の戦略再構築を本格化させる構えだ。

軍事的中立国、歴史的な転換

 「プーチン露大統領はNATOを縮小させるため、戦争に踏み切った。だが、我々はフィンランドを得た」。NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は3日の記者会見でこう強調した。

 英国際戦略研究所の「ミリタリー・バランス2023年版」によると、フィンランドの兵力は1万9000人。NATOの総兵数は約331万人で、新規加盟に伴う増員は1%に満たない。ただ、フィンランドの空軍は精鋭部隊として知られ、米製F18など戦闘機を107機保有する。徴兵制も続け、予備役は23万8000人とNATOでも有数の規模だ。

 フィンランドはウクライナ侵略開始前から、NATOと軍事演習や機密情報の共有を進めてきた。正式加盟により、ロシアが戦略的に重視するバルト海や北極圏の制海権をNATOは得やすくなる。現在8か国に展開する多国籍軍「即応部隊」の基地を、フィンランドに新設する議論を始めるとみられる。

 70年以上にわたり軍事的中立を国防政策の柱に据えてきたフィンランドにとって、加盟は歴史的な節目となる。ペッカ・ハービスト外相は3日、「欧州、北大西洋の安定と安全を促進したい」と声明を出した。

フィンランドは第2次世界大戦で、ロシアの前身・ソ連との戦いに敗れた経験から、ロシアとの安定した関係を優先させてきた。NATO非加盟のウクライナで昨年2月、ロシアの侵略が始まり、中立の継続に不安を抱く世論が強まった。侵略前の世論調査では長年、加盟支持が30%以下にとどまっていたが、現在は約80%が賛同する。アンティ・カイッコネン国防相は「どの加盟国よりも国民はNATOを支持している」と強調する。

 冷戦終結後、ソ連の衛星国だった東欧各国や旧ソ連構成国の一部はロシアの下を離れ、NATOは東方へ拡大した。プーチン氏は拡大阻止をウクライナ侵略の理由に掲げるが、欧州で高まった危機感が結果的にフィンランド加盟を誘引した。

 ロイター通信によると、ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相は4日、「NATOの戦闘態勢を強化する動きは紛争のリスクを高めた」とけん制した。ロシア通信も3日、アレクサンドル・グルシコ外務次官が「(ロシア)西部や北西部の軍事的潜在力を強化する」と述べたと報じた。ウクライナに軍事力を集中させるロシアが北西部の軍事態勢を強化できるかは不透明だが、NATOとロシアのにらみ合いは激しさを増しそうだ。

スウェーデン、加盟に壁…トルコやハンガリーが承認せず

 【ロンドン=池田慶太】北大西洋条約機構(NATO)に昨年5月、足並みをそろえて加盟申請した北欧2国はスウェーデンの承認が先送りされ、明暗が分かれる結果となった。

 フィンランドの先行加盟が確定した3月末、スウェーデンのトビアス・ビルストロム外相は、目標とする7月のNATO首脳会議までの加盟実現に「高い期待」を持っていると地元メディアに述べた。以前は「完全に確信している」と述べたが、トーンダウンした。国内では失望が広がり、野党は「先送りを許した」と政府の対応を批判している。

 新規加盟には既存の加盟全30か国の承認が必要となるが、トルコとハンガリーはスウェーデンの加盟を認めていない。トルコはテロ組織とみなすクルド人勢力らの身柄引き渡しに応じるまで承認を保留する構えだ。ハンガリーは、凍結された欧州連合(EU)補助金の解除を駆け引き材料にするフシがある。両国の政治的思惑に巻き込まれたことは、スウェーデンにとって大きな誤算だった。

 先行加盟を果たしたフィンランドは「内側からスウェーデンの加盟を後押しする」と強調し、欧米主要国も4日、スウェーデンの加盟を支援する考えを重ねて示した。最終的な判断は2国の手に委ねられており、早期に加盟が実現するかどうかは不透明だ。

 

 

フィンランド、NATO加盟 ウクライナ侵攻受け米欧同盟に

ブリンケン米国務長官(右)と文書を交わす、フィンランドのペッカ・ハーヴィスト外相(左)=ブリュッセルのNATO本部で2023年4月4日、AP

 北欧フィンランドは4日、北大西洋条約機構(NATO)に正式加盟した。新規加盟は2020年の北マケドニア以来で、31カ国目となった。ロシアによるウクライナ侵攻を受け、これまで「中立政策」を維持してきたフィンランドが、対露防衛を担う米欧同盟に加わった。

 正式加盟直後、ブリュッセルのNATO本部でストルテンベルグNATO事務総長との共同記者会見に臨んだフィンランドのニーニスト大統領は、「フィンランドにとって偉大な日です。安全で安定した環境に暮らすことが、人々の幸福の基礎となる」と語った。ストルテンベルグ氏は「(フィンランドが)31番目の加盟国となる歴史的な日を迎えることができ、誠に光栄です」と加盟を歓迎した。

 NATO本部では4~5日、外相会合が開かれ、ウクライナ支援について協議する。フィンランドからはハービスト外相が出席。日本の林芳正外相らも参加する。

 フィンランドはロシアのウクライナ侵攻後の22年5月、スウェーデンとともにNATOへの加盟を申請。加盟国は同年6月の首脳会議で2カ国のNATO入りを支持することで合意した。しかし、正式加盟には全加盟国の承認が必要で、トルコが難色を示したため加盟手続きが滞っていた。トルコ国会が23年3月30日、フィンランドについて承認したことで全加盟国の承認が得られたことになり、正式加盟が決まった。

 一方、スウェーデンについては、トルコが依然として承認を保留している。トルコはスウェーデンを「テロ対策に非協力的だ」などと非難しており、加盟承認と引き換えに自らの要求を受け入れるよう圧力をかけている。また、東欧ハンガリーも、スウェーデンの加盟に向けた手続きを終えていない。権威主義的なハンガリー政権の「法の支配」のあり方を巡り、スウェーデンが批判的なことが背景にあるとみられる。【ブリュッセル岩佐淳士】

 

 

ロシアによるウクライナ侵攻の停戦を訴え、記者会見する伊勢崎賢治さん(右)ら=東京・永田町の衆院第1議員会館で

ロシアによるウクライナ侵攻の停戦を訴え、記者会見する伊勢崎賢治さん(右)ら=東京・永田町の衆院第1議員会館で

 

 ロシアのウクライナ侵攻による戦禍を止めようと、東京外国語大の伊勢崎賢治名誉教授や岩波書店の岡本厚・元社長ら学者、ジャーナリストらのグループが5日、東京・永田町の衆院第1議員会館で記者会見し、日本を含めた先進7カ国(G7)に「今こそ停戦を」と訴える声明を発表した。
 声明は現在の戦闘について「北大西洋条約機構(NATO)諸国が供与した兵器が戦場の趨勢すうせいを左右するにいたり、代理戦争の様相を呈している」と指摘。武器の援助をやめ、ロシアとウクライナの交渉の場をつくるよう、G7に求めている。賛同人にはジャーナリスト田原総一朗さんや東京大の上野千鶴子名誉教授、法政大の田中優子前総長ら30人余が名を連ねた。
 伊勢崎さんは「停戦は悲劇的な終戦を回避するための政治工作、公平な和平のための、現状の一時的な凍結だ。ウクライナの市民、地球市民のために即時停戦が必要」と強調。青山学院大の羽場久美子名誉教授は「停戦はどちらかの敗北や勝利ではない。人の命を救い、平和な世界秩序を構築すること」などと話した。
 グループは、署名サイト「Change.org」に声明全文を掲載して賛同を求めている。賛同署名や声明は、G7首脳会議(広島サミット)前に日本政府や参加各国の大使館に渡す予定。(奥野斐)

 

 

「今こそ停戦を」 呼びかける人たちさんがこのオンライン署名を開始

「Ceasefire  Now!今こそ停戦を」
「No War in Our Region!私たちの地域の平和を」

-----2023年5月広島に集まるG7指導者におくる日本市民の宣言 -----
(この署名のURL:https://chng.it/ZrHvPh8x

 私たちは日本に生きる平和を望む市民です。
 ウクライナ戦争はすでに一年つづいています。この戦争はロシアのウクライナへの侵攻によってはじまりました。ウクライナは国民をあげて抵抗戦を戦ってきましたが、いまやNATO諸国が供与した兵器が戦場の趨勢を左右するにいたり、戦争は代理戦争の様相を呈しています。数知れぬウクライナの町や村は破壊され、おびただしい数のウクライナ人が死んでいます。同時にロシア軍の兵士もますます多く死んでいるのです。これ以上戦争がつづけばその影響は地球の別の地域にも広がります。ロシアを排除することによって、北極圏の国際権益を調整する機関は機能を停止し、北極の氷は解け、全世界の気候変動の引き金となる可能性がうまれています。世界の人々の生活と運命はますますあやうくなるのです。核兵器使用の恐れも原子力発電所を巡る戦闘の恐れもなお現実です。戦争はただちにやめなければなりません。

 朝鮮戦争は、参戦国米国が提案し、交戦支援国ソ連が同意したため、開戦一年と15日後に、正式な停戦会談がはじめられました。ウクライナ戦争では開戦5日目にウクライナ、ロシア二国間の協議がはじめられ、ほぼ一カ月後にウクライナから停戦の条件が提案されると、ロシア軍はキーウ方面から撤退しました。しかし、現実的な解決案を含むこの停戦協議は4月はじめに吹き飛ばされてしまい、戦争は本格化しました。以来残酷な戦争がつづいてきたのです。開戦一年が経過した今こそ、ロシアとウクライナは、朝鮮戦争の前例にしたがって、即時停戦のために協議を再開すべきです。Ceasefire Now!の声はいまや全世界にあふれています。

 幸いなことに、この戦争において、穀物輸出と原発については、国連やトルコなどが仲介した一部停戦がすでに実施されています。人道回廊も機能しています。こうした措置は、全面停戦の道筋となりうるのです。中国が停戦を提案したこともよい兆候です。ヨーロッパ諸国でも停戦を願う市民の運動が活発化しています。G7支援国はこれ以上武器を援助するのではなく、「交渉のテーブル」をつくるべきなのです。グローバル・サウスの中立国は中国、インドを中心に交渉仲裁国の役割を演じなければなりません。

 ウクライナ戦争をヨーロッパの外に拡大することは断固として防がなければなりません。私たちは東北アジア、東アジアの平和をあくまでも維持することを願います。この地域では、まず日本海(東海)を戦争の海にはしない、米朝戦争をおこさせない、さらに台湾をめぐり米中戦争をおこさせない、そう強く決意しています。No War in Our Region!―-私たちはこのことを強く願います。

 日本は1945年8月に連合国(米英、中ソ)に降伏し、50年間つづけてきた戦争国家の歴史をすて、平和国家に生まれ変わりました。1946年に制定した新憲法には、国際紛争の解決に武力による威嚇、武力の行使をもちいることを永久に放棄するとの第9条が含まれました。日本は朝鮮の独立をみとめ、中国から奪った台湾、満州を返したのです。だから、日本は北朝鮮、韓国、中国、台湾と二度と戦わないと誓っています。日本に生きる市民は日本海(東海)における戦争に参加せず、台湾をめぐる戦争にも参加することはなく、戦わないのです。

 私たちは、日本政府がG7の意をうけて、ウクライナ戦争の停戦交渉をよびかけ、中国、インドとともに停戦交渉の仲裁国となることを願っています。
 2023年4月5日
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この思いを声明にして、2023年5月19日から21日まで広島で開催されるG7広島サミットに出席する首脳たちに届けたいと思います。ぜひ、賛同署名をお願いします。
またG7広島サミットに出席する首脳に向けて新聞広告も出したいと思っています。こちらのクラウドファンディングにもぜひご支援、ご協力、周りへご紹介ください。↓
https://greenfunding.jp/sustena/projects/7234


-----------------------   
伊勢崎 賢治(東京外国語大学名誉教授・元アフガン武装解除日本政府特別代表)
市野川 容孝(東京大学教授)
上野 千鶴子(東京大学名誉教授)
内田 樹(神戸女学院大学名誉教授、武道家)
内田 雅敏(弁護士)
内海 愛子(恵泉女学園大学名誉教授、新時代アジアピースアカデミー共同代表)
梅林 宏道(NPOピースデポ特別顧問)
岡本 厚(元『世界』編集長・前岩波書店社長)
金平 茂紀(ジャーナリスト)
姜 尚中(東京大学名誉教授)
古関 彰一(獨協大学名誉教授)
小森 陽一(東京大学名誉教授)
酒井 啓子(千葉大学教授)
桜井 国俊(沖縄大学名誉教授)
鈴木 国夫(「市民と野党をつなぐ会@東京」共同代表)
高橋 さきの(翻訳者)
高村 薫(作家)
田中 宏(一橋大学名誉教授)
田中 優子(前法政大学総長)
田原 総一朗(ジャーナリスト)
千葉 真(国際基督教大学教授)
暉峻 淑子(埼玉大学名誉教授)
西谷 修(東京外国語大学名誉教授)
羽場 久美子(青山学院大学名誉教授)
藤本 和貴夫(大阪経済法科大学元学長)
星野 英一(琉球大学名誉教授)
マエキタ ミヤコ(環境広告サステナ代表)
水島 朝穂(早稲田大学教授)
毛里 和子〈早稲田大学名誉教授〉
吉岡 忍(作家・元日本ペンクラブ代表)
和田 春樹(東京大学名誉教授)

 

 

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3 コメント

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約90%ずれたコメントですが (時々拝見)
2023-04-06 10:42:45
プーチン大統領(容疑者)、核の脅しとともに、通常兵器によって原発が「核」汚染をもたらす「汚い核」としても使えることを実証していまいました。
原発全廃は国防にとっての緊急課題のなんで、自民や維新は大賛成でしょう。
返信する
Unknown (暗黒大将軍)
2023-04-06 22:23:55
宮武さんのご推察のとおり、伊勢崎や田原のこのオンライン署名とやらはつまらなさすぎて認知さえ広がらないでしょうね

ロシアが巧妙なのは、他国の世論やマスコミをよく研究していて西側在住のこういう生ぬるいリベラル層を利用することに長けている点
ロック歌手のロジャー・ウォータース(元ピンク・フロイド)も利用された口でしょう

まぁここに名前の挙がってる人は河瀬直美や本田圭祐みたいに「紛争は強いほうに味方すりゃいい、それが国益」系の御仁よりは幾らかマシだと思いますがね(笑)
返信する
Unknown (raymiyatake)
2023-04-07 00:08:56
橋下徹氏や三浦瑠麗氏など、長いものには巻かれろ系の人が多すぎますよね
返信する

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