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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

伊藤詩織さんが監督を務めたドキュメンタリー映画「Black Box Diaries」について、映像の無断使用を認めて謝罪。詩織さんが巨大な敵と戦った功績は忘れないが、許されないことをしたことも確かだ。

2025年02月20日 | ジェンダーフリーと性的マイノリティの人権

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 今日、2025年2月20日に日本外国特派員協会で午前中に伊藤詩織さんの元弁護団、午後に詩織さん自身が記者会見をすることになっていました。

 その両方が終わってから、元弁護団が告発した、伊藤詩織さんが監督を務めたドキュメンタリー映画「Black Box Diaries」での映像や録音の無断使用問題について書こうと思っていたのですが、詩織さんは

「体調不良によるドクターストップで出席できなくなってしまいました。申し訳ございません」

と自ら設定した記者会見を土壇場でキャンセル。

 この事実が、伊藤さんが記者会見から「逃げた」という行動が、今回の騒動のすべてを象徴的に言い表しているというしかありません。

 

 

 この伊藤監督のドキュメンタリー映画は、アベトモだった元TBSの山口敬之氏によって伊藤さん自身が受けた性被害について、自ら調査に乗り出す様子を6年もの長きにわたって記録したものです。

 日本における「me too運動」の先駆けとして伊藤さんは文字通り身を挺して体を張って闘い続けてきました。

 最後には伊藤さんは山口氏との名誉毀損訴訟も完璧に勝利をおさめ、その周辺の杉田水脈元議員など極右人士にもほぼ完勝。

 アメリカのme too運動だってオスカーを何百個も取っているというハリウッドの絶対権力者、ハーヴェイ・ワインスタインの性加害疑惑を女優やモデルたちが告発したもので、それはそれは大変でした。

 しかし、伊藤さんの戦いは日本の政治権力の絶対者だった安倍晋三首相の取り巻きに対する闘い。

 その中で後に警察庁長官になる中村格警視庁刑事部長に逮捕状執行を握りつぶされ、安倍政権の守護神と言われもう少しで検事総長にもなりかけた黒川弘務東京高検検事長が山口氏を不起訴にしてしまうなど、強姦被害者の伊藤さんが安倍政権そのものと戦ったともいえる壮絶なものでした。

 伊藤さんがこの女性差別が著しく、アメリカに比べるとはるかに味方勢力が弱い日本社会で最後まで戦い抜いた意義と功績。

 これはどれだけ強調しても強調しすぎることはありません。

 

 

 だからこそ、その伊藤さんの困難な闘いを支えてきた元弁護団の方々が伊藤さんを告発した意味はあまりにも大きいのです。

 元弁護団は、伊藤さんが監督したドキュメンタリー映画「Black Box Diaries」について、

1 被害現場とされるホテルの防犯カメラ映像を本人やホテルの許諾なしに使用した

2 海外では公益通報者にあたる捜査官やタクシー運転手、裁判で代理人弁護士を務めてきた西廣陽子弁護士に関する無断録音や無断録画などがさらされている映像が、流され続けている

と指摘しています。

 今回、伊藤さん側についた神原さんや師岡先生という弁護士たちも日本のヘイトに対して立ち向かってきた第一人者の方々です。

 しかし、上記の問題に対する伊藤さん側の反論は、例えば裁判限定ということで防犯カメラの映像を出してくれたホテルに対しては、その約束を破っても公開するだけの公益性が伊藤さんら映画製作者側にはあるとか。

 伊藤さんが山口氏に乗せられたタクシーの運転手さんについては、どうしても連絡がつかない、高齢だから亡くなっているのだろうとか

 立場の弱い人間を踏みにじるなら、それは山口氏やアベトモたちと同じではないですか。

 伊藤さん側が言っていることははっきり言って屁理屈としか言いようがない、言語道断の言い分でした。

 

 

 だから、伊藤さんが今回謝罪文を公表し、その中で「謝罪と、今後の対応」として

『証拠集めの過程のなかでリスクを冒してまで証言してくださった、タクシードライバーさんドアマンさんには心から感謝しています。彼らは私にとってヒーローです。

 映画には当初、ドアマンの証言を直接聞けた直後に連絡した、西廣弁護士との電話の「ホテルが止めに入るかもしれない」というアドバイスの音声が入っていました。ご本人への確認が抜け落ちたまま使用し、傷つけてしまったこと、心からお詫び申し上げます。
 
 また、映像を使うことへの承諾が抜け落ちてしまった方々に、心よりお詫びします。最新バージョンでは、個人が特定できないようにすべて対処します。今後の海外での上映についても、差し替えなどできる限り対応します。』
 
とやっと非を認めたことは、少しホッとしました。
 
 
 
 
 伊藤さんの今の弁護団が説得してくれたのでしょう。
 
 しかし、伊藤さんが自らを告発した元弁護団に対してした批判や仕打ちは酷かったです。
 東京弁護士会の女性の権利擁護の第一人者である角田由紀子先生まで弁護団に参加されていて(駆け出しのころに女性の権利委員会でお世話になりました)、佃弁護士がその元弁護団をさらに弁護することになりました。 
 
 こういうこれまでの経緯からして、正直言って、伊藤さんの良心を信用できないしまだ安心もできません。
 
 オスカーに手が届きそうになって、その名誉心でますます狂ってしまったのだろうかと。。。。
 
 
 
 
 
 
 この映画はもう海外では上映され続け、被害者が加害者を告発して自ら監督した画期的な映画だとして3月のアカデミー賞候補にまでなっています。

 しかし、伊藤さんは早くから弁護団からこの映画の問題点を指摘されていたのに、不十分な対処しかしなかったのです。

 さらに、東京新聞に誤報されたということで、通常裁判にするなら被告にする新聞社ではなく、その記事を書いた望月衣塑子記者個人だけを名誉毀損で訴えるという暴挙にも出ています。

 これに対しては、伊藤氏と同じく安倍政権と戦ってきた望月記者だけを被告に裁判にしたことには、「平和を求め軍拡を許さない女たちの会」(代表・田中優子法政大前総長)が2月16日に訴訟の取り下げを求める要望書を公開しています。

 ジャーナリストとして、被害者として、この映画で思った通りの表現がしたかったその思いは、痛いほどわかる、いやご本人にしかわからない痛切な思いがあったでしょう。

 しかし、協力してくれた人たちの人権を踏みにじり、自分を支えてくれた人々を傷つけた事実は消えません。

 伊藤さんはせっかく裁判で勝利したのに、今回の映像無断使用でネトウヨとアベトモたちが息を吹き返すことを許してしまいました。

 なんと残念でもったいないことを。。。

 伊藤さんを陰ながら応援してきたこのブログとしても痛恨の思いです。

 

 

参考記事

村野瀬玲奈の秘書課広報室さんより

ジャーナリスト伊藤詩織さんの初監督映画「Black Box Diaries」 (メモ) #BlackBoxDiariesの上映を求めます

 「山口敬之氏への大石晃子氏の「クソ野郎」発言は名誉毀損にあたらない」との最高裁の決定。(メモ) (付録:伊藤氏監督の映画「Black Box Diaries」での映像許諾問題続報) #BlackBoxDiariesの上映を求めます

 

kojitakenの日記さんより

伊藤詩織さん、名誉毀損で東京新聞の望月衣塑子記者を提訴 映画を巡る記事は「事実と異なる」 望月記者「誤りはない」(沖縄タイムス)

「望月衣塑子記者は黙れ」と言っている人に伝えたい(菅沼堅吾・東京新聞元編集局長)/黙れとは言わない。分不相応な記者を「四番打者」に据えないでもらいたいだけだ

 

AERA 北原みのり

映画「Black Box Diaries」問題に思う 「大きな正義」で「個人の尊厳」を打ち消すのはジャーナリズムか 北原みのり

 

弁護士JP

伊藤詩織氏のアカデミー賞ノミネート作品“倫理的問題”を元代理人弁護士らが指摘「海外に正しく説明しているのか」 伊藤氏も声明

 

 

伊藤詩織さん関連記事

祝!伊藤詩織さんが「アベ友」山口敬之氏からの性交強制を主張・立証して全面勝訴!

伊藤詩織さん、控訴審でも全面勝訴で山口氏に賠償命令!東京高裁判決「(被告山口氏の主張は)事実経過と明らかに乖離し信用できない」「(伊藤さんが)意識を失っているなかで(山口氏が)同意なく性行為を始めた」

伊藤詩織さんが東京高裁で杉田水脈氏に逆転勝訴!杉田氏に賠償命令。名誉毀損ツイートへの杉田水脈議員の「いいね」は「限度超えた侮辱行為」。#杉田水脈の議員辞職を求めます

伊藤詩織さんが名誉毀損訴訟でまたも勝訴!東京高裁で杉田水脈氏に続いて、はすみとしこ氏にも賠償命令。賠償額も増額。「伊藤さんの名誉感情を著しく侵害し、多大な精神的苦痛を与えた」。

【#伊藤詩織】伊藤詩織さんが自民党安倍派の杉田水脈議員に逆転勝訴した名誉毀損訴訟の判決が最高裁で確定。人権侵犯認定されたレイシストでもある杉田氏は即刻国会議員を辞めるべきだ【#杉田水脈】

杉田水脈氏が衆院選不出馬。少数民族への差別発言は「ジャーナリストのような形で活動していたのでキャッチーな言葉を使った」。伊藤詩織さんへの名誉毀損についてツイッターの「使い方を知らなかった」(呆)。

 

 

編集後記

この問題がなければ3月にはぜひオスカーを獲ってもらいたかったのですが、今はあまりにも複雑な思いで、どっちがいいんだろうと思ってます。

この件でアベトモやネトウヨがそれみたことかと狂喜し、伊藤さんが望月さんを提訴するに至ってはそれ見たことかと舞い上がっているだろうことを想像するだにため息しか出ません。

それどころか、リベラル・左派然とした男性たちがここぞとばかりにミソジニー丸出しで伊藤さんを叩いている姿は私の目にも入ってきており、日本のジェンダーフリーの夜明けは遠いと慨嘆せざるを得ません。

今年早くも一番気が重い記事でした。

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 ジャーナリストの伊藤詩織さん(35)は20日に予定していた日本外国特派員協会(FCJJ、東京都千代田区)での記者会見を中止した。
 その代わりに「伊藤詩織 記者会見 声明」(A4判5枚)を公表した。全文は以下の通り(原文のまま)。
2019年12月、東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見するジャーナリストの伊藤詩織さん(坂本亜由理撮影)

2019年12月、東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見するジャーナリストの伊藤詩織さん(坂本亜由理撮影)

伊藤詩織 記者会見 声明

 今日お集まりくださった記者のみなさまへ
 本日はお集まりいただき、ありがとうございます。せっかくの機会にもかかわらず、体調不良によるドクターストップで出席できなくなってしまいました。申し訳ございません。
 会場でお話する予定であった、私が映画を制作するに至った経緯を、この機会にご説明させていただきます。加えて、制作の過程でご迷惑をおかけした関係者の方々への謝罪と共に、その後の対応についてご説明させていただきます。
 「Black Box Diaries」を作成した理由
 今回、私が9年かけて制作したドキュメンタリー、「Black Box Diaries」がアメリカのオスカーにノミネートされました。この映画は、私のレイプ被害そのものを描いた作品ではありません。私がこの映画の中で伝えたかったことは、その後の社会の話です。
 被害直後に警察が被害届をなかなか受け取ってくれなかったこと。
 「このようなことはよくあることだから忘れなさい」と捜査員に言われ続けても、「削除される前に防犯カメラを確認したい」と必死に訴え、性被害を受けたホテルに震える足で行ったこと。
 全く記憶のない自分の姿が人形のように防犯カメラ映像として写っていたこと。
 防犯カメラの映像を見て「犯罪性がある」と言われてやっと捜査が動き始めたこと、しかし相手がTBSワシントン支局長だとわかった途端、警察から「君の人生が水の泡になるからやめたほうがいい」と言われたこと。
 等身大の人形と床の上で性被害の再現をさせられ、その姿を、数名の男性捜査員によって写真に収められたこと。
 仕事を休職せざるをえなかったこと。
 やっとの思いで捜査が進展したのにもかかわらず、その後逮捕直前の現場、成田空港で警視庁刑事部長からストップがかかってしまったこと。
 110年もの間変わらなかった刑法への思いを胸に、変化を望んで再捜査をお願いし、被害を公にしたこと。
 家族からは、被害を公表することを猛反対されたため、最初は苗字を伏せて会見を行ったこと。
 しかし、すぐにネットで苗字が特定され、誹謗(ひぼう)中傷や脅迫を受け、日本に住めなくなってしまい、ロンドンに移り住んだこと。
 ロンドンで映画制作の仲間と出会い、日本に帰国して撮影を続けたこと。
 私の人生を大きく変えたあの1日から10年がたち、刑法も変わりました。
 #metoo運動が世界で起き、日本でも性犯罪の報道のされ方が変わってきました。
 もしも最初から被害届が受理され、捜査が真っ当にされていたら。もしも警視庁刑事部長が理由なしに逮捕をストップしていなかったら。
 もしも被害者としてここまで声をあげることの苦しみを知らなかったら。
 私はこの映画を作っていなかったと思います。
 社会や法がどれほど、性被害サバイバーに寄り添うかで、サバイバーのその後の回復のスピードは大きく変わってきます。
 性暴力は「被害者」個人の問題ではなく、「社会」の問題なのだと心から感じました。
 この10年間、私はトラウマと共に生きてきました。そして学んだことはトラウマと誹謗中傷は、最悪の組み合わせだということです。
 どんなに心ない言葉の石を投げられても、私自身が公で泣いたり、苦しい姿を見せたら、他のサバイバーにとって悪影響になってしまうと、自分を奮い立たせていました。
 それでも限界を感じ、自らの命を終わらせようと、行動を起こしました。
 映画には、その全てが描かれています。
 病院で目覚めた時、私はすぐに携帯で病院の天井を探すように撮影を始めていたようです。意識が朦朧(もうろう)としていたので、撮影したこと自体覚えていません。
 この映像は編集が始まって一年後に、編集者によって私の携帯から見つけ出されました。
 これらの映像は、私が映画に本当は入れたくなかったものの一つです。反対しながらも応援してくれた母、そして父には見せたくなかった。サバイバーとしても入れたくなかったのです。
 何よりジャーナリストでもある私は、一方的に私の主観だけで映画を作ることに何度も躊躇(ちゅうちょ)しました。
 しかし、この病院の映像を見た瞬間、私はこの映画の監督として、映画を完成させるまでは生き延びることを、自分自身に約束しました。
 どれだけ苦しくて終わりにしたくても、本当は生きて伝えたかったんだ、と確信できたからです。
 謝罪と、今後の対応
 証拠集めの過程のなかでリスクを冒してまで証言してくださった、タクシードライバーさんドアマンさんには心から感謝しています。彼らは私にとってヒーローです。
 映画には当初、ドアマンの証言を直接聞けた直後に連絡した、西廣弁護士との電話の「ホテルが止めに入るかもしれない」というアドバイスの音声が入っていました。ご本人への確認が抜け落ちたまま使用し、傷つけてしまったこと、心からお詫び申し上げます。
 また、映像を使うことへの承諾が抜け落ちてしまった方々に、心よりお詫びします。最新バージョンでは、個人が特定できないようにすべて対処します。今後の海外での上映についても、差し替えなどできる限り対応します。
 そして多くの助言をいただいた支援者の方に、心より感謝します。「適切な対応をした上で、映画を公開してほしい」という声は、大事な支えになりました。
 監視カメラの映像使用について
 ホテルの防犯カメラは、私の受けた性犯罪を、唯一、視覚的に証明してくれたものです。この映像があったからこそ、警察も動いてくれました。
 映画への使用について、ホテルからの承諾は得られませんでした。そのため映画では、外装、内装、タクシーの形などを変えて使用しています。
 しかし加害者の山口氏と私の動きは一切変えることはできませんでした。それは事実を捻(ね)じ曲げる行為だからです。
 これに対してはさまざまな批判があって当然だと思います。それでも私は、公益性を重視し、この映画で使用することを決めました。
 そこに確かに、性加害の経緯が映った映像がある。それをみずに、性被害を否定する誹謗中傷が、社会に飛び交っている。手元にある映像をどうしたらいいのか、何年も悩みました。でも、ブラックボックスにされた性加害の実態を伝えるためには、この映像がどうしても必要だったのです。
 メッセージ
 この映画を通してさまざまな観客の方々と出会いました。どんなに日本より刑法が進んでいる国でも、ほとんど皆が、社会やコミュニティーの中で同じ苦しみを抱えているのだと実感しました。
 この映画が光を当てているのは、性暴力と権力というテーマです。このテーマは、誰もが目を向けたいものではありません。
 最後に。私が願うのは、みなさんにこの映画を見ていただき、議論してほしいということ。この映画は、私にとって日本へのラブレターなのです。
 ありがとうございました。
 2025年2月20日 伊藤詩織

 

ことしのアカデミー賞にノミネートされている、伊藤詩織さんが監督を務めたドキュメンタリー映画をめぐり、許諾が得られていない映像が複数使用されているなどと指摘されていることについて、伊藤さんは、謝罪するとともに、個人が特定できないように差し替えるなどの対応を行う考えを示しました。

映画「Black Box Diaries」は、伊藤詩織さんが性的暴行の被害を訴えたことについて、刑事手続きでは不起訴処分となったものの、その後、民事裁判で「性行為に同意がなかった」と認められるまでの過程を記録した作品で、伊藤さん自身が監督を務めました。

映画をめぐっては、許諾が得られていない映像が複数使用されているなどと指摘されていて、20日午前、都内で伊藤さんの民事裁判の元代理人の弁護士らが会見を開きました。

この中で、元代理人らは、
▽現場となったホテルの防犯カメラの映像が使用されているが、裁判以外では使わないとして提供を受けたもので、今後、性被害にあった人たちの救済に影響を与える可能性があることや
▽許諾のないまま作品に登場する人が複数いて、取材源の秘匿も守られていないことなどをあげ、
「人権・倫理上の問題がある」などと訴えました。

これについて、伊藤さんはコメントを発表し、「映像を使うことへの承諾が抜け落ちてしまった方々に心よりおわびします。最新バージョンでは、個人が特定できないように、すべて対処します」と謝罪し、今後、差し替えなどの対応を行う考えを示しました。

一方、防犯カメラの映像については、ホテルから承諾が得られず加工して使用したと説明したうえで、「公益性を重視しました。性加害の実態を伝えるためには、どうしても必要だった」としています。

この作品は、アメリカのアカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞にノミネートされていて、発表は日本時間の3月3日に行われる予定ですが、日本での公開は現時点で決まっていません。

 

 

伊藤詩織さん「ホテル映像は4000ドルで入手」の主張、元弁護団が完全否定 サイン守らず

ジャーナリストの伊藤詩織さん(35)が、15年4月に元TBS記者の男性から受けた性的暴行被害についての民事裁判で弁護を担当した元弁護団が20日、都内の日本外国特派員協会で会見を開いた。

元弁護団は、伊藤さんが性被害について、自ら調査に乗り出す様子を6年にわたって記録したドキュメンタリー映画「Black Box Diaries」をめぐり、被害現場とされるホテルの防犯カメラ映像を本人やホテルの許諾なしに使用したと指摘。また、海外では公益通報者にあたる捜査官やタクシー運転手、裁判で代理人弁護士を務めてきた西廣陽子弁護士に関する無断録音や無断録画などがさらされている映像が、流され続けていると指摘している。

ホテルの防犯カメラ映像について、元弁護団の西廣陽子弁護士は「18年4月に、裁判手続き以外の場で一切使用しない、報道やインターネット配信しないという書面にサインし、私も彼女が守ると信じてサインした」と説明。伊藤さんも、そのことを把握していながら、24年1月に米サンダンス映画祭の国際長編ドキュメンタリーコンペティション部門で上映された時点で、ホテルの防犯カメラ映像が使用され、その後も作品は世界各国で上映、配信されている。

伊藤さんは、ホテルの防犯カメラ映像を入手し、映画に使用したことについて、海外メディアの取材等で、ホテル側に4000ドル支払って映像を入手し、映っている人の顔をぼかしてもらったなどと説明している。そのことについて、質疑応答で「ホテルから金で映像で買うことはあり得るのか。映像は判決確定後、どこに帰属する? 公共の資料という考え方もあるようだが」と質問が出た。

佃克彦弁護士は「金で買ったという事実はありません」と即答。「ホテル映像を裁判所に出すに当たって、顧客情報があるので画像処理が必要。提供を求める訴訟当事者が負担してくれと言われ、負担した」と説明した。防犯カメラ映像の、権利の判決確定後の帰属については「単に裁判所からの記録をコピーしたものを持っているが、訴訟当事者は権利は何も持っていない。複写する権利はあるが、きちんと管理しないといけない」と答えた。

 

 

「望月記者訴訟取り下げて」女性団体が伊藤詩織さんに、監督映画は協力者追い詰める可能性

映像ジャーナリストの伊藤詩織さん
田中優子前法政大総長

内部通報者の映像が無断で

伊藤さんは過去に元TBS記者から性暴力を受けたとして提訴しており、映画は性暴力を自ら調査した様子が描かれる。米国などで公開され、映画祭に相次いで出品されている。

一方、日本では公開されていない。伊藤さんの元代理人弁護士らは映画について登場人物から事前の許可を得ていなかったり、許可のない防犯カメラの映像や音声を使用したりしているとして、情報源を保護できていないと主張している。望月記者も同様に映画の問題点を指摘する記事を執筆した。

「女たちの会」の要望書も「内部公益通報者である警察官の映像と音声や協力者であったタクシー運転手の映像と音声が許諾なしに使われている。日本においては通報者や協力者を追い詰める可能性がある」と危惧した。

映画は「#MeToo」の契機に

伊藤さんに対しては「情報源となる人々との丹念なコミュニケーションを怠り、結果的に人権侵害を行ってしまった」とし、「ジャーナリストとして批判を率直に受け止め、望月記者への訴訟をただちに取り下げてほしい」と求めた。

ただ、映画の中身については「社会を変える可能性をもつ。その基盤となったのは、伊藤氏が自身の性被害について声を上げたこと」とし、被害を告発する「#MeToo」(「私も」の意)運動の契機となったとする。

 

 

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2 コメント

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Unknown (暗黒大将軍)
2025-02-22 10:46:41
思い出すのは、日系アメリカ人監督ミキ・デザキが「主戦場」を撮った時、藤岡信勝やケント・ギルバートが「インタビュー映像を無断で使われた」と言って上映中止を求めて訴えた件

これは最高裁でも原告敗訴でしたが、日本で公開予定がないので伊藤を告発した3氏はそこまでは求めておられないのですかね

しかし伊藤の言う画像、音声の差し替えで納得されたのでしょうか
返信する
アベなき今こそ、やまぐちのりゆきを糾すべき (津木野宇佐儀)
2025-02-23 02:45:13
誰もがわかっていることだとは思いすが
本当に糾すべきは
山口某
ですよね

ドキュメンタリーの制作が萎んでしまう危惧もあります…

本当に心痛しかない「争い」でした
返信する

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