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国民民主党と玉木雄一郎氏のポピュリズム政策批判をしようと思っている矢先に、あれよあれよという間に立憲民主党の野田佳彦代表が日和って、7月の参院選向けのポピュリズムに走ったので、民民批判がしにくくなってしまいました。
野田代表は2025年4月25日、今夏の参院選の公約に
「食料品の消費税ゼロ%」
を盛り込む方針を明らかにしました。
減税期間は原則として1年間とし、現金給付と税金控除を組み合わせた「給付付き税額控除」を導入するまでの時限的な措置とするが、経済情勢によっては最大で1年間の延長も可能にするというのです。
野田代表はこの日の記者会見で消費減税を公約に盛り込む判断の理由として、物価高対策とトランプ米大統領による関税措置への懸念を挙げ
「民のかまどから煙が消えてしまう可能性もあり得ることなどへの備え」
としての判断したと言いました。
しかし、これは誰が見ても国民目線ではなく参院選での敗北を防ぐため、そしてそのために食料品消費税0%を言い出した江田憲司氏ら減税派と、減税ポピュリズム派は立民から出て行けとまで言った枝野幸男氏がこだわる給付付き税額控除の間を取った折衷案に過ぎません。
そしてこの木に竹を接ぐような公約はツッコミどころ満載です。
そもそも、今8%の軽減税率になっている食料品の消費税を0%にするには、スーパーや小売店などさまざまなところでレジのシステムを変えたり費用がかかるんですよ。
それをたった1年ないし2年で、また元に戻すなんてことが現場でできると思いますか?
それに、いったん0%になった消費税をまた8%に戻すなんていう消費者が反乱を起こすようなことを、参院選怖さに今ポピュリズムに走っているような人たちができるんですか。
できるわけないじゃないですか。
無理と分かっているのに口から出まかせで誤魔化して公約にするのなら、もう国民民主党や日本維新の会と変わりません。
食料品の消費税ゼロが悪いのではなく、その後、給付付き税額控除に変更するというのが、本人たちもできると信じていない嘘だということ。
ちなみに、立憲民主党が提案する「給付付き税額控除」は、主に中低所得者層の消費税負担を軽減するための政策で、消費税は所得が低いほど負担割合が高くなる「逆進性」があるので、その緩和することを目的としています。
具体的な制度の仕組みとしては、中・低所得者世帯が負担した消費税の半額相当を所得税の額から控除します。
払っている所得税が少なすぎて控除しきれない分については、現金で給付することで、実質的に消費税の一部を還付する仕組みです。
つまり、中低所得者層にとっては消費税5%の減税と同じ効果があるのがこの方法です。
もちろん、格差是正が目的なので、この控除額(給付額)は、一定の所得を超えると段階的に減額されるため、主に中低所得者層が対象となります。
この給付付き税額控除は単なる減税ではなく、必要な層に的確に恩恵が届く仕組みですから
「民のかまどから煙が消えてしまう可能性もあり得ることなどへの備え」
としては、ただの消費税減税よりもずっと考え抜かれた優れた案なのです。
だから、野田氏も枝野氏も消費税減税ではなく、給付付き税額控除にこだわって、2024年衆院選の公約にもしたんでしょう。
ところが、野田代表はこの給付付き税額控除派の枝野氏らに花を持たせる形で、食品消費税減税は1~2年で、給付付き税額控除の制度が確立するまでのつなぎだというのですが、あなたたち、すでに去年の衆院選でこの制度の導入を公約にしておきながら、まだ制度としての確立に時間がかかるって、そんなことで良く公約にできましたね。
そんなの嘘に決まってますよ。
消費税減税派が党内でも勢いを持ち、有権者の多くも消費税減税を求める声が大きいから、とりあえず急場しのぎで先に食料品に対する消費税ゼロと言ってみただけなのが見え見えです。
食料品の消費税ゼロだって消費税法の改正が必要ですからどんなに早くても実現は来年以降です。
別に給付付き税額控除よりも対策としての迅速性があるわけではありません。
先に1~2年間は食料品の消費税をゼロにして、あとから給付付き税額控除制度を導入する合理性なんてどこにもないんですよ。
一番呆れたのはこの記者会見で野田氏が食料品の消費税0%の財源について
「赤字国債にも頼らず、地方財政にも未来世代にも負担を及ぼさないように財源確保を指示した」
と表明し、今後、重徳和彦政調会長を中心に財政規律を維持しながら財源を確保する方策を検討すると言ったことです。
いや、あなたたち、財源も考えないで103万円の壁を突破すると言い出した国民民主党のことを無責任だ、自分たちは政権を担当する能力のある責任政党だと散々言っていましたよね?
それなのに、食料品の消費税0%をまず言っちゃって、財源については今から考えるんですか?
そしたら、玉木雄一郎氏や国民民主党と無責任さでは何にも変わらないでしょう。
私も安倍政権が2度にわたって消費税増税をしたことには大反対しました。
それは第一に消費税に逆進性があり、それを増税するということは日本社会の格差をますます拡大するからです。
だから、富裕層や大企業への増税によって財源を作るのなら、格差是正になる消費税減税自体は良いことです。
しかし、安倍政権下の2回の消費税増税が決定的に間違っていた2点目は、デフレを脱却すると言いながら強行した消費税増税は絶対に消費マインドを冷やすということなんです。
案の定、安倍政権ではますます景気が悪くなって終わりました。
逆に今回は物価対策のために、インフレ対策として食料品の消費税を減税するというわけです。
これは消費税を下げる分食料品は安くなりますが、市民全体の可処分所得が上がって購買力も上がる分、国全体のインフレには拍車をかけるという副作用もあるんです(それは給付付き税額控除でも同じです)。
そもそも、今のインフレの原因は円安とウクライナ戦争による原油高などで輸入する原材料の値段が上がったことによるコストブッシュインフレ(コストが製品価格を押し上げてなるインフレ)です。
今回の日本のインフレに対する一番有効なインフレ対策は実は円高なんですよ。
そして為替操作なんてしなくても、円高・ドル安はトランプ大統領が経済政策で自爆してもう実現してくれつつあるじゃないですか。
野田氏まで浮足立って泥縄式で食料品の消費税ゼロと急に言ってみたところで、どれくらい立民の支持率が上がり参院選で議席を取れるのか、お手並み拝見といったところです。
追記
日本共産党の山添政策委員長は
「消費税の減税が政治的な大きな焦点になってきているのは大歓迎だ。
これまで『社会保障の財源であり、手をつけられない』ということが続いてきたので時代はかなり変わったと感じるし、それだけ暮らしが厳しいことを反映している。
政治の舞台で、かなりの声が消費税の減税を要求することになり、政府に対するプレッシャーは大きなものになっていく。
大企業や富裕層にも応分の負担を求めて、消費税の減税を実現していくことがいよいよ必要だ」
とめちゃくちゃはしゃいでるんですが(笑)。
共産党のように「大企業や富裕層にも応分の負担を求め」る財源を立憲民主党が前面に出せるのかが今後問われます。
参考記事
kojitakenの日記さんより
立憲民主党が消費税減税に舵を切るなら、日本の政党は保守党から共産党まで全て小さな政府志向の新自由主義政党になってしまったということになるな。(北守さん=藤崎剛人氏のXより)
自民も立民もついに「減税政党」の仲間入り。「減税ニッポン」万歳!
編集後記
本当は、玉木雄一郎氏が消費税5%減税の財源は赤字国債だと言ったこと、食料品の消費税減税ではなく消費税全体を下げるのは輸出産業保護のためだといったことなどから、富裕層や大企業優先の国民民主党を批判する記事を用意していたんですが、野田立民がここまで木に竹を接ぐグロテスクなポピュリズム公約を出して来たら、国民民主党批判なんて霞んでしまいますよ。
立民が民民をポピュリズムだと批判する資格を失ったこと。
それが野田代表が今回発表した食料品の消費税ゼロ公約の最大の罪かもしれません。
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消費税の扱いをめぐり、夏の参議院選挙を見据え、与野党双方で議論が活発になっています。
立憲民主党の野田代表は、食料品の消費税率を原則1年間に限ってゼロ%に引き下げ、その後、給付や所得税の控除を行う「給付付き税額控除」に移行するなどとした案を、参議院選挙の公約に盛り込む考えを示しました。

消費税の扱いが論点となっていた立憲民主党は24日、参議院選挙の公約にどのように盛り込むか、野田代表らに対応を一任することを決め、25日の執行役員会で最終的な協議を行いました。
このあと、野田氏は記者会見で、食料品の消費税率を原則1年間に限ってゼロ%に引き下げ、その後、給付や所得税の控除を行う「給付付き税額控除」に移行するなどとした案を、夏の参議院選挙の公約に盛り込む考えを示しました。
引き下げの期間は経済情勢によって1回のみ延長できるようにするほか、短期的な物価高対策をとりまとめる考えを示しました。
一方、財源については、国債に頼ることなく、地方財政や将来世代の負担とならないような形で確保するよう、重徳政務調査会長に検討を指示したことを明らかにしました。
野田氏は「私は社会保障と税の一体改革を推進したザ・当事者だ。財政規律を重視する立場だが、財政規律ばかり考えていたら国民生活にゆがみが出る可能性がある。現実の生活が厳しい時には現実的な対策も取る。結論が出たらまとまろうとすべての議員と共有していたのでまとまって行動できると確信を持っている」と述べました。

消費税の扱いをめぐって野田氏は、民主党政権で総理大臣を務めていた2012年に、社会保障と税の一体改革に伴って自民・公明両党と3党で合意し、税率を8%と10%に段階的に引き上げることを決めた経緯があり、次世代の負担も考慮して税率の引き下げには慎重な姿勢を示してきました。
立民 江田氏 “野田代表らしい決断 多としたい”
食料品にかかる消費税を当分の間なくすべきだとする提言書をまとめた立憲民主党の勉強会で、会長を務める江田元代表代行は「ぜひとも公約にしたいという思いで活動してきたので盛り込むことが正式に決定されてほっとしている。財政規律を尊重し、財源を示しながら、喫緊の課題である物価高に苦しむ国民を少しでも守るために食料品の消費税ゼロ%に踏み込んだのは、野田代表らしい決断で多としたい」と述べました。
消費税の扱いをめぐっては、日本維新の会や国民民主党など、ほかの野党の多くも税率の引き下げを主張しているほか、自民党内でも、参議院側から税率の引き下げを求める意見が出ています。
立憲民主党の野田代表の会見に対する各党の反応をまとめました。
自民 森山幹事長 “最も大事な財源 1年限定なら別の方法ある”

自民党の森山幹事長は「民主党政権で野田総理大臣の時、高齢化がさらに進むと大変なことになるという危機感を持っていたと思う。税率の引き上げによる国民負担や社会保障をどうするか、公明党を含め3党で協議した歴史は非常に大事なことだ」と述べました。
その上で「消費税の税収は社会保障に加え地方交付税にも使われ、最も大事な財源だ。下げるとすれば下げた分の財源をどこに求めるかということが対でないといけない。1年間の限定だったら税率を下げるのではなく、別にやれる方法があるのではないか」と述べました。
また、公明党や自民党の参議院側から減税を求める声が出ていることについて「政治家なので選挙を迎えるといろいろな思いがあることは理解できるが、長期的に見て本当に国や納税者のためになるのかを選挙の前であろうとなかろうと真剣に考えなければならない」と指摘しました。
公明 斉藤代表 “野田氏はかつて愚策と批判 違和感”

公明党の斉藤代表は「消費税の軽減税率制度は公明党が主張して実現したが、野田代表はその時に『天下の愚策だ』と言っていた。今回、その『愚策』を前提にした政策提言をしたことに少し違和感を持つ。消費税率の引き上げを含む社会保障と税の一体改革は、私も党の税制調査会長として旧民主党と合意した。公明党も今、党内で減税の議論しているが、一体改革の精神を堅持しながら議論しなければならない」と述べました。
国民 榛葉幹事長 “衆院選公約と違う 一貫性見えない”

国民民主党の榛葉幹事長は「少なくとも野田代表が衆議院選挙で掲げた公約とは違うものが出てきたわけで、立憲民主党の判断だと思うが、有権者から見たら一貫性があるように見えないのではないか。党内をまとめなければいけないといういろいろな思いがあるだろうから苦渋の決断は受け止めたいが、一貫性は大事だと思う」と述べました。
共産 山添政策委員長 “消費減税争点は大歓迎 時代変わった”

共産党の山添政策委員長は「消費税の減税が政治的な大きな焦点になってきているのは大歓迎だ。これまで『社会保障の財源であり、手をつけられない』ということが続いてきたので時代はかなり変わったと感じるし、それだけ暮らしが厳しいことを反映している。政治の舞台で、かなりの声が消費税の減税を要求することになり、政府に対するプレッシャーは大きなものになっていく。大企業や富裕層にも応分の負担を求めて、消費税の減税を実現していくことがいよいよ必要だ」と述べました。
21日の円相場は一時、約7カ月ぶりに1ドル=140円台にまで値上がりしました。
街で聞かれたのは喜びの声。
今週末から始まるゴールデンウィークに海外旅行を予定している人は、さらなる円高に期待を寄せていました。
3月後半は1ドル=150円前後で推移していた為替相場。
しかし、トランプ関税による先行き不安の影響で10円近く円高が進行。
これにより、普段の買い物にも変化が表れる可能性があります。
スーパーアキダイ関町本店・秋葉弘道社長:
私たちスーパーにとっても喜ばしいことではあります。どんどん安く出る場面が出てくると思うので。
この円高によって、どのような食料品がお得に買えるようになるのでしょうか。
スーパーアキダイ関町本店・秋葉社長:
例えばこちら、アメリカ産のネーブル(オレンジ)。値段も100円くらい安くなったりする可能性もある。あと他にバナナですね。以前は5本くらいで売ってたのが、いま3本になっちゃってます。これが4本になって、もしかしたら5本になるかもという期待感があります。
この物価高の中、値下がりが期待できるのはフルーツなど、海外から輸入している生鮮食品。
それだけではありません。
スーパーアキダイ関町本店・秋葉社長:
一番影響あるのはこちらですね。ステーキ。2~3カ月後にアメリカンビーフが復活して、バーンと特売される機会は色々なスーパーでもでてくる可能性はある。
今後、円高傾向はどう推移していくのか。
専門家は、140円台からさらに円高が進むとみています。
食材も安くなるんじゃないかということですが、いつごろ安くなるのか。
詳しく見ていきます。
まず円の推移ですが、3月後半150円前後だった円相場が円高になっていまして、21日の東京外国為替市場の円相場、1ドル=140円台ということで、2024年9月以来の水準となりました。
では、この円高がどこまで進むのかに関して、第一生命経済研究所の首席エコノミスト・永濱利廣さんに聞きました。
2パターンありますが、まず1つ目。
アメリカが追加関税をどんどん上乗せして、将来的な金融危機などの可能性が出てきた場合は、120円くらいまで円高になる可能性があると。
ただ、逆に関税などが撤廃となれば、150円くらいまで円安に進む可能性もある。
なかなか読みは難しいと思いますが、円高の影響が価格に反映されるのはいつごろなんでしょうか?
例を挙げながら見ていきたいと思います。
円高で安くなるもの、例えば、すぐに感じられるのが永濱さんによると「ガソリン」です。
ゴールデンウィークに車でお出かけされる方も多いと思いますが、ゴールデンウィークにかけて値段が下がってくるということです。
4月14日現在のレギュラーガソリンの全国平均小売価格は186円50銭ということですが、2023年9月に記録した最高値に並びました。
これがゴールデンウィークごろになると、永濱さんによると、補助金なしで180円前半くらい、6円ぐらい値下がりになるのではと。
ガソリン以外にも、アメリカから輸入している食料品が安くなるということでした。
生鮮食品は、これから1カ月後くらいに値下げになる見込みです。
例えばアメリカから輸入している牛肉や豚肉、鶏肉、それからトマトやカボチャといった野菜、オレンジ、レモン・バナナといった果物、それから、サケや銀ダラといったお魚も値下がりになる見込みだということです。
ここに加えて、カリフォルニアワインなども値下がりするかもしれません。
そして3カ月後、ガソリンだけでなく他のエネルギー、電気やガスなども値が下がるかもしれない。
そして、アメリカから多く輸入している小麦などを使ったパンやパスタなど、加工食品も半年から1年くらいかけて値下がりする可能性があるということです。
ただ、ここまではいい話にも聞こえますが、円高はいいことばかりではないわけです。
永濱さんに聞くと、、円高によって株価が下がって、短期的に損失が出るかもしれない。
ただ、戻る可能性もありますので慌てなくても大丈夫。
そして、もう1つが賃金です。
基本的に輸出関連企業で働く人は、2026年の春闘が心配です。
賃金に影響が出る可能性があるということで、注意深く見る必要があるということです。
青井実キャスター:
その辺りも含めてですが、、今週25日に加藤さんとベッセントさんの会談があるわけですが、この辺り、為替について話されますかね?
SPキャスター 岩田明子氏:
可能性はあると思いますね。トランプさん、1期目の時に安倍元首相に対して為替に関して言及した時に、『ドナルド、為替についてはリーダーがやり取りしてはだめだ、当局に任せるべきなんだ』と言ったことがあったので、そういう経緯からすると、当局同士に任せようということもあり得るかなと思いますね。
まさに当局同士の話。
為替の話が出てくるのか注目です。

「減税」の可否をめぐる内部対立が激しさを増していた立憲民主党が、4月25日の臨時役員会で次期参議院選挙の公約に「時限的な食料品の消費税率ゼロ%」を盛り込む方針を決めた。
激しい党内論争を踏まえたうえで、野田佳彦代表ら慎重派が多かった党執行部も「物価高の中で選挙戦を有利に戦うためには、減税に踏み込まざるをえない」(有力議員)と判断したとみられる。
石破首相は政権維持へ、なりふり構わず
野党各党の「減税案」が出そろったことで、対応を迫られる自民・公明両党の中でも「何らかの『減税』に踏み込まざるをえない」(閣僚経験者)との声が急拡大。「夏の政治決戦」に向けて、与野党が“減税合戦”を展開する可能性が強まってきた。
もともと、自民・立憲両党は当初、党執行部が「減税」には極めて慎重な姿勢を示していた。「財源なき減税実施は、円の信頼性を損ない、百害あって一利なし」(党税制調査会幹部)との立場から、他党の減税論を「無責任なばらまき」と批判してきたからだ。
しかし、「トランプ関税」の影響が深刻になる中、国民の間で「減税」を求める声が拡大したのに伴い、両党内でも財政再建派と減税派の論争が激化。「このままでは党分裂にもつながりかねない」(立憲民主党幹部)という、抜き差しならない状況に陥っていた。
そもそも、少数与党であり、政策決定でも“迷走”を繰り返してきた石破茂政権にとって、「政権維持には、なりふり構わない参院選対策しかない」(自民党参院幹部)との声が日ごとに拡大し、党執行部への圧力も強まるばかり。そうした中、「石破首相自身も『減税派』」(官邸筋)との見方も出始めたことで、「連休明けにも税収増を財源とする一定額の減税実施に踏み込む方向」(政治ジャーナリスト)との声が広がりつつある。
これまで立憲内部には消費税に関して、①時限的な食料品の消費税率をゼロ%、②消費税率の一律5%引き下げ、③中低所得者の消費税の一部を税額控除し、控除しきれない分を給付する「給付付き税額控除」という3案が検討されてきた。これも踏まえて、「食料品の消費税をゼロ%にした後、給付付き税額控除に移行する」との案を盛り込むことでまとまった。
今回の決定に先立ち、野田代表は24日の党内論議で「消費税負担の軽減策に関しては、熱心な議論をしていただいた。真摯に受け止めて判断をしたい」と、党内多数派の意見を尊重する考えを示唆していた。
対立激化の発端は枝野氏の「分党発言」
今回の激しい党内対立は、減税反対派の旗頭とされる枝野幸男元代表のいわゆる「分党発言」が発端となった。枝野氏は12日に地元・さいたま市内で行った講演で、「減税ポピュリズムに走りたいなら、別の党をつくるべきだ」と発言。これに党内の減税派が猛反発し、「このままでは党分裂もあり得る」(若手議員)という異常事態につながっていた。
そうした中、野田代表は15日、記者団に対し「私は今の党内議論をポピュリズムとは思わない。物価高の問題を踏まえ、真剣な議論をしてもらっている」などと強調。「党分裂は絶対避けなければならないとの立場」(側近)から、事態収拾に腐心してきた。
というのも、同党の源流となる旧民主党も、今回と同様、消費税をめぐる党内抗争の果てに党分裂を余儀なくされ、政権を失った経緯がある。現在の立憲民主党の創設者である枝野氏としては、衆議院選挙で「減税」を掲げて議席を減らしたことへの反省を踏まえた“分党発言”だったが、「党内の反発は枝野氏の想定を超えた」(周辺)のが実情とみられる。
もちろん、民主党政権での首相時代に、当時野党だった自民・公明両党との党首会談で、現在の消費税率10%に道筋をつけたのは野田代表だ。ただ、民主党政権誕生の立役者だった小沢一郎氏との激しい対立が党分裂という最悪の事態につながっただけに、立憲民主党内でも「消費税をめぐって『分党』に言及するのはタブー」(有力ベテラン議員)との共通認識があったことは間違いない。
だからこそ、野田氏は「活発な意見交換をして、一定の時期が来たら集約する。結論が出たら従う政治文化をつくるのが私の役割だ」と繰り返してきた。野田氏を支える小川淳也幹事長も記者会見で「枝野氏は党の創業者だ」としつつ、「異なる意見に耳を傾けられるかが、党の懐の深さを体現することにつながる」などと党分裂の回避に腐心してきた。
その一方、小沢氏は過去の反省も踏まえてか、15日の自身のグループの会合後、枝野氏の発言について記者団に「非常に傲慢な印象を与える。俺は『剛腕』とはいわれたけど『傲慢』というのはあまりいわれたことはない」と皮肉った。そのうえで、「立憲だけが『減税をしない』というようなことで、この党の存立が図れるか」と主張した。
また、江田憲司元代表代行も同日、自身が会長を務める党内グループの会合で、「政策論議、政策提言、言論の自由を封殺しようというのは、看過できない大変遺憾な発言だ」と、強い言葉で枝野氏を非難した。
「増税派イメージ」の払拭はなお予断許さず
こうした経緯も踏まえて決まった今回の「消費税減税案」は、ほかの野党の案と比較しても独自性が目立つ。1年間か2年間の時限的な食料品の消費税ゼロ%を掲げたうえで、制度設計ができ次第、給付付き税額控除への移行を目指しているのが特徴だからだ。同党関係者は「物価高騰に苦しむ中低所得者層への支援強化を狙っている点は、他党と違う」と解説する。
いずれにしても、今後の“減税競争”の焦点は、政権与党である自民・公明両党や、世論調査の党支持率や比例代表投票先で立憲を脅かしている国民民主党などの「減税案」との“違い”を有権者がどう判断するかに絞られる。
これらに対し、野田代表は25日午後の記者会見で「自分は(増税決定の)“ザ・当事者”として今回の判断をした。必ず財源とのセットとして国民の理解を党としてのワンボイスで求めていく」と力説。併せて「政局でなく大局を見ての判断で、決して選挙目当てのばらまきではない」と繰り返した。
今回の立憲の対応によって、これまでの増税派というイメージの払拭につながるかがカギを握りそうだ。
上下ともクリックしてくださると大変うれしいです。
日本の税収増えて、USAへの言い訳も少しできて良いのではないかと。
それでも、アメ車は売れないでしょうが。
ついでに
かつて、(表向き)アメ車が日本で売れるようにってことで、3ナンバーの税金を下げて現在の形になりました。
が、喜んだのは、輸出車用の設備投資がドーンと減った日本の自動車会社、ついでに、輸入車市場からアメ車をほぼ駆逐したドイツの会社。