兵庫県知事のパワハラ疑惑などを指摘した告発文書問題に絡み、政治団体「NHKから国民を守る党」の立花孝志党首が、県議会調査特別委員会(百条委)で委員長を務めていた奥谷謙一県議に名誉を毀損されたとして損害賠償などを求めた訴訟で、立花氏が「請求放棄」の手続きを取っていたことが15日、分かった。この日は東京地裁で第1回口頭弁論が予定されていたが、訴訟は同日付で終結した。

 奥谷氏の弁護士が東京都内で会見を開き、明らかにした。弁護士によると、請求放棄は自らの主張に理由がないと認めることを意味し、「判決での積極的な事実認定を避けたと考える。極めて不誠実な対応」と批判した。

 訴状などによると、立花氏は昨年秋の県知事選期間中、百条委を巡って「(奥谷氏が)都合の悪い情報を隠した」などとする情報を拡散した。これに対し奥谷氏は会見で「明らかなデマ」と述べ、立花氏が奥谷氏の自宅前で行った街頭演説は「脅迫目的だった」とも指摘。立花氏はこれらの発言について、奥谷氏を名誉毀損で訴えたという。

 奥谷氏側の弁護士は会見で「これまで『何かあれば裁判の場で争う』と何度も発言していた。自分から訴訟を起こし、敗訴判決と同じ内容の結果を招く請求放棄をするのはどうなのか」と指摘した。

 立花氏は「奥谷氏と話し合いがしたいと申し出たが、裁判を理由に応じられないと返答があったため、判決を待たずに請求放棄をした」とのコメントを出した。