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三井記念美術館 東山御物の美

日本橋
010
三井記念美術館
013
特別展 東山御物の美 -足利将軍家の至宝-
期間:10月4日(土)~11月24日
「唐物が崇拝された室町文化、その頂点に君臨したのが足利義満以降の将軍家によって収集されたコレクション「東山御物」でした。それらは当時の中国的な感性を代表したのみならず、その後の日本人にとって美意識の規範となりました。「東山御物」の絵画・工芸から、当時より極めて高い評価を受けてきた唐物の至宝を紹介します。」(公式より)
2度拝見しました。

higashiyama
足利義満像(伝)飛鳥井雅縁賛
足利義教像景南英文賛

東山御物の名からは、室町幕府8代将軍・足利義政が収集したかの印象を受けますが、実際は3代義満と6代義教が中心となって収集が進められたとされます。実務は能阿弥たち同朋衆が担当、収集・評価を行ないました。
唐物大海茶入 銘打曇大海
胴はたっぷり張った堂々とした姿、総体柿色に黒釉が景色を成す。足利義政が打曇紙の模様に釉景が似るところから「打曇」と銘付けた。
婆沙羅大名・佐々木道誉が所持。東山御物となり、豊臣秀吉、紀州徳川家、その後柳営御物となった。
玳被盞 鸞天目
釉の景色が鼈甲に似る玳被盞は、黒釉に黄白釉を斑または霜降り状にかける独特の釉景が特徴。
また具体的な文様も特徴であり、この茶碗には想像上の鳥で鳳凰に似た鸞が2羽あらわれている。
小堀遠州所持。
鴨図 徽宗筆
桃鳩図 徽宗(款)
秋景山水・冬景山水図 徽宗筆
猫図 徽宗筆

徽宗は北宋の第八代皇帝。政治家としては全くの無能であったが、芸術面では自ら書画を良くし高く評価されている。
今回展示の5作品は東山御物の目録「御物御絵目録」に記載されている作品。足利将軍家が所持する唐物の代表がこれら徽宗の絵画と云えるでしょう。
このうち秋景山水・冬景山水図は十代将軍足利義稙より山口の大内政弘に渡り、大内義隆より策彦周良、三章令彰、金地院崇伝と伝わった。また桃鳩図も大内義隆が所持していたとされ大内文化の一端を知ることができます。
紅白芙蓉図 李迪筆 
「紅芙蓉」「白芙蓉」の2幅よりなる、繊細で写実的な表現の作品。
李迪は南宋時代の画院(宮廷)画家で花鳥図を得意とし、描写力は南宋画院画家でも随一とされています。
宮女図 銭選筆
紅衣姿に金色の腕輪、腰に横笛を差す男装の女官を描かれた作品。小指の爪先を見つめる表情等独自の世界を感じさせる。
銭選(字は舜挙)は南宋末から元時代の文人画家。生涯仕官せず在野の士であり続けた。
洞庭秋月図 玉澗筆・自賛
瀟湘八景のひとつ洞庭秋月を描いた水墨画。玉澗は牧谿とならび称される水墨画家で僧であった。
伝来は津田宗及の叔父である天王寺屋道叱から徳川家康、前田利家に渡り以降金沢藩前田家に伝わった。
花鳥図屏風 能阿弥筆
四曲一双の作品で両端に樹木、中央に蓮を配し各所に様々な種類の鳥を描く。
能阿弥は足利将軍家に仕えた同朋衆で、この花鳥図は牧谿の作品から様々な影響を受けている。足利将軍家周辺における牧谿の評価の高さ、能阿弥が牧谿作品を鑑賞し学べる環境にいた事が知れる。

東山御物は足利将軍家の唐物コレクションで、その主体は唐絵と呼ばれる絵画作品でした。
唐絵とは中国の絵画ですが、東山御物では得に宋時代の作品が高く評価されていました。
足利義満・義教や能阿弥・千阿弥ら同朋衆はただ唐物を受容するだけでなく独自の審美眼をもって作品を取捨し、場合によっては瀟湘八景図の切断など改変を行なっています。
今もなお東山御物の評価が高いのは彼等のその姿勢に負うところが大きいのでは無いでしょうか。
 
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