折り畳まれた千円札

母に付き添い、病院へ行ってきた。
12日に退院して以来、初めての検診＆リハビリの日。
母は、2度の手術で両足（股関節他）に人工骨を入れた。
車椅子、もしくは杖、シルバーカーが必要である。
現在、身体障害者（3級）の申請中。
担当医の診断では、
「亀の歩み程にゆ～っくりな回復だが、順調」との事。
また転ばれては困るが、自主的にリハビリしないと！
父に任せっきりの家事、いずれ少しできるようにしないと、ね。

「実は、母さんの偏食には困ってんだよ。
俺とは食べ物のし好が全く違うしなあ。」と父。
アタシが、母の為に、身体に良い物を作っても、
「好きじゃないから」と食べてくれないことが多い。
まるで、偏食の幼稚園児を相手にしてるみたいである。
…ああ～もう！！なんか腹立つわあ！
父の好物は、茹でたジャガ芋とか、焼きサンマ。納豆。蕎麦。
ところが…母は、それらがあまり好きではないのだ。
「じゃあ、何が食べたいの？」と訊くと
「う～ん…」といって黙り込み、ぼ～っとしている。
（やっぱ、ボケ始めてるかなあ～。）

結婚生活50年。
趣味・し好・性格の正反対な両親が、
よくもまあ、ずっと続いていられたな？
たぶん、母が『父に合わせていた』から、かも知れない。
蕎麦の食べ方が気に食わず婚約破棄、なんていう
某監督のお嬢さんなど、チャンチャラ可笑しいのじゃ！

実家で夕飯を食べて、帰り際、母に呼び止められた。
「ハイ！これ。今日一日、世話になったから。」
そう言って、アタシの手のひらに、何かを握らせた。

それは、丁寧に小さく折り畳んだ、千円札3枚だった。