面白写真：造船タクシー

鹿児島県指宿市山川にある（あった？）タクシーやさん。（有）造船タクシー。山川は小型から中型の造船が盛んであったので、それにあやかって名付けたらしい（とかってな推測）。いまも造船は細々と続けているように見える。それにしても、珍しいネーミングだね。

山川は砂蒸し温泉で有名な指宿温泉の南隣。薩摩半島にあるこの山川港から、錦江湾を挟んで反対側の大隈半島の大根占（おおねじめ）までフェリーが通っている。何度か商売が立ち行かなくなって、無くなっていたじきもあるが、今はまた復活している。

何度か乗ったことがあるが、初めて乗った日は、良く晴れて雲の無い日で、この世のものとも思われない景色を見た。それは、昔、薩英戦争で英国の軍艦が錦江湾に入ってきた時に見たであろう景色と同じだ。

左手に薩摩富士と称えられる、優美な円錐形の開聞岳（かいもんだけ）。船の正面は広々と錦江湾の静かな海原が横たわり、その両側は低山の薩摩半島と高い山の大隈半島が横たわる。錦江湾の奥正面には火を噴き噴煙を上げる桜島。その右後ろの地平線には霧島山が空をバックにくっきりと浮かんでいる。まるで異星に不時着したかのような、不可思議な喪失感を感じたのだった、その時の僕は。観光写真とかで見る単品の山のイメージと違い、そのパースペクティブは、明らかに鹿児島のほとんど誰もが見た事の無いイメージである。