QAZのつれづれ日記

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電力の自由化とオール電化

2016年03月26日 | 時事

あまり広く気付かれていないようですが電力の自由化の陰に隠れてひっそり改悪されてしまったものがあります。
オール電化になくてはならない深夜電力割引です。

今の家を建てる前、オール電化の新築マンションに引っ越したときお風呂は電気温水器で沸かしたお湯を使っていました。
今はもっと高効率なエコキュートというものもありますが、どちらも設備に初期投資がかかりますので、安い深夜電力を使用することが前提になります。

ところが東電関電など地域電力会社はこの3月末で従来からあった深夜電力割引を終了し4月からの新規加入を停止、新しい料金体系に改訂する予定です。
従来からの契約はそのまま4月以降も継続できるとしています。

オール電化は急には発電を止められない原発の余剰夜間電力を利用していますから、原発が使えなくては既存の地域電力会社は深夜電力料金を割り引いても損をするだけです。
一方新電力会社は発電を基本的に原発に依存しませんからそもそも安い深夜電力料金を設定するという発想がありません。

従って既存の電力会社は新電力会社との競争上からも強いて深夜電力料金を特段割り引く必要がなくなり、電力の自由化に時期を合わせてこれ幸いとばかり(いわばどさくさに紛れて)相次いで今までのような深夜電力割引を止めてしまいました。

例えば東電の場合夜間電力料金が割安の
・おトクなナイト8
・おトクなナイト10
・夜得プラン
・朝得プラン
・半日お得プラン
・電化上手
・深夜電力B
・深夜電力B(通電制御型機器使用)
・第2深夜電力
などのメニューが3月末で一斉になくなります。

この中で夜間の電気料金が一番安いのは通電制御型機器を使用した深夜電力Bの1[kwh]当たり10.58円で、昼間の電気料金(従量電灯Bの第3段階料金)29.93円の35.3%に設定されています。

これらに代わって4月からの東電の新料金体系で夜間電力料金が設定されているものは
・スマートプラン
・夜トク8プラン
・夜トク12プラン
の3つだけになってしまいます。
この中で夜間の電気料金が一番安いのはスマートプランの17.46円/kWhですが、上記従来の通電制御型機器を使用した深夜電力Bの夜間料金の何と65%増しになっています。

原発が使えなくなって割安な深夜電力料金など本音では一掃してしまいたいところでしょうがそうもゆかずシブシブ形だけ残し、従来よりずっと割高な夜間電力料金を設定した上さらに昼間の電気料金を従来よりぐっと値上げしてバランスを取っています。

従って現在すでにオール電化をしていて割安な深夜電力を使用している場合は新電力に乗り換えないでそのまま現在の契約を継続して様子を見るのがよさそうです。
ただ原発がストップしている現状では今後もじわじわ深夜電力料金の値上げが続く可能性があります。
これからオール電化を前提に家をリフォーム・新築する場合は従来のような電気料金の割安感は残念ながらもう望めずかえって高いものにつくことを覚悟しておく必要があります。

原発が生み出す電力を新電力にも開放するか議論が行われていますが、今のところ地域電力が原発を独占しています。
オール電化の特性を考えますとこうした原発を持つ地域電力がより有利な料金プランを打ち出せますから、今後もし原発の再稼働が進めば新電力との対抗上夜間電力料金を下げるプランを打ち出してくるかも知れません。

最近オール電化、エコキュートなどの宣伝がすっかり影をひそめました。
今後のオール電化の電源事情は原発次第ということになりそうです。
我が家はオール電化ではありませんし、原発には明確に反対の立場です。
先日、東電から原発を使用していない新電力会社ENEOSへ契約を切り替える手続きを済ませたところです。

関連ブログ:
さて、電気をどこから買うか (2016.03.03)
電力の自由化って言うけれど (2016.02.26)



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