多分駄文のおじさん日記

我輩は駄文を書くおじさんである。旅、音楽、MLB、株式投資、etc., 日々想いつくままに思いを巡らすのである。

緊急シンポジウムに参加

2005-04-12 00:17:16 | Weblog
夜6時半、大手町の日経ホールにて緊急シンポジウム『敵対的買収の功罪は何か』~ライブドア/ニッポン放送の事例からの教訓~を聴きに行く。
主催はNPO法人・全国社外取締役ネットワーク。日経が共催で会場を貸した形となっている。
緊急シンポジウム、とは言え、先の展開に予断許さぬ状況だった3月上旬の企画時と膠着状態となった現状ではだいぶ様子も変わってきた。
本日のホリエモンはSan Franciscoに赴いており、ドラマの展開としては若干気の抜けたサイダーのような状況ではあるが....。

しかし、このシンポジウムは別に個別企業や特定の個人がどうしたこうした、というワイドショー的な議論ではなく、「日本の企業のガバナンスをどうするか」、という極めてまっとうなテーマを取り上げていた。
聴衆も日本の大企業の総務・法務等の実務担当者、金融機関、など敵対的買収には大きな関心を払うレベルの高い方々ばかりだ。世のHot Issueでもあり、当シンポジウムの参加は抽選であった(我輩は特別枠でご招待)が、600人収容のホールは完全に満杯、関心の高さは凄まじい。聴衆の中には、企業の経営者や、この前ニッポン放送の社外取締役を辞任した久保利弁護士なども顔を見せていた。(我輩、このオッサンには、三洋電機のCEOになった野中ともよ氏ともども、不信感もっておる!)
2時間のパネル・ディスカッションだったが、あっという間に終わったと思われるほど、中身は示唆に富み充実していた。パネラーは以下の方々。

牛島 信(弁護士、「社外取締役」などの企業小説も発表)
大楠泰司(Credit Suisse First Boston法人本部長、国際コーポレートガバナンスネットワークの日本理事)
渡邉正太郎(経済同友会副代表幹事、花王のCFOなどを経て、伊勢丹、りそな銀の社外取締役)
前田昌孝(日経新聞・証券部編集委員)
モデレーター(司会役)はお馴染みの中谷巌氏、ソニーの取締役会議長もやられておる。

今回の買収劇の功罪、会社は誰のものか、などにつき各氏がそれぞれの立場から語られた。
金融マン、経営者、法律家、マスコミ、と皆視点が異なり、コメントも経済的なもの、法務、社会学的なもの、色々ある。
個人的には、M&Aの専門家としての大楠氏のコメント、即ち、ライブドアのニッポン放送買収に当たっての明確なビジョンの欠如、既存株主に対してのアカウンタビリティの欠如、またニッポン放送側にも一方的にフジテレビに与した対応、それぞれに大失敗があった、という分析はなかなか面白かった。

「会社は誰のもの?」.....「他人の会社については、会社は株主のもの。自分の会社については、会社は従業員のもの」という冗談を中谷先生が飛ばされて会場内は爆笑に沸いたが、この辺が今の日本人の 「頭で判っておなかでは判っていない」、という中途半端な意識というべきか。
会社は株主のものだが、従業員、取引先、関係する地域等などの所謂Stakeholderとの協力関係があってこそ企業価値は増大するし、それが因果関係となって株主もハッピーとなる、という非常に良識に溢れた結論でパネルは終了した。

敵対的買収防止には、ポイズンピルは有効であるが、その毒薬を有効せしめるには日頃の企業としての品行方正さが必要、やはり、企業価値を高める株価を上げて、買収をしづらくする、という経営努力および日々の緊張感が必要、とのことで、いまや、「サラリーマンは気楽な稼業ときたもんだ♪~」という悠長な時代ではないようだ。
経営者も社内のことばかりではなく、外にも触覚を働かせて、買収されるよりも買収をしながら自社の企業価値を高めていくような経営をしなければならない。
市場原理が導入され、旧来の日本的な風習だけでは通じない、大変な時代になったことを自覚しなければならない。

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