多分駄文のおじさん日記

我輩は駄文を書くおじさんである。旅、音楽、MLB、株式投資、etc., 日々想いつくままに思いを巡らすのである。

Mr.Marshall Carter

2005-04-15 00:48:22 | Weblog
New York Stock Exchange (NYSE), ニューヨーク証券取引所。
早朝や深夜の12チャンネルの経済番組で必ず登場する、おなじみ世界最大の証券取引所が次期チェアマンを選出した。 Marshall Carter氏である。

このCarter氏には、実は幾らかの因縁がある。
我輩が勤務した3つ目の金融機関が米国ボストンに本拠を持つS銀行。
その時のS銀行のチェアマンがこのCarter氏だったのである。
彼は従来はボストンの地方銀行に過ぎぬS銀行を世界最大のカストディ(証券保管)銀行に成長させた。恐らく会社四季報の株主欄を見ると多くの大企業にこの銀行の名前を見ることが出来る。また資産運用のほうでも10年の間に驚異的な成長を果たし、こちらの分野でも世界最大の運用資産を受託する会社に成長させた。

概ね他社との差別化の根源を装置への投資に見出し、金融機関の中でも恐るべきシステム投資額で装置を構築し、低コスト、高効率のサービスを顧客に提供した。当然こうなると、顧客は増加→収益増加→更なるシステム投資→更なる効率的低コストサービスの提供→更なる顧客増加、という好循環の拡大再生産を繰り返して成長させてきたわけだ。

実は、このCarter氏より、当時「会長賞(Chairman's Award)」というのをもらったことがある。
四半期の中で輝かしい営業成績を収めた者を全世界の拠点から選び出し表彰するのであるが、何と我輩が選ばれたのである。確か、或る日本の年金基金より運用の受託に成功したのだが、同時に社内の保管業務担当の営業マンと協同で同じ顧客より、保管関係のビジネスも併せて受託できたことが選出理由だったようだ。アメリカ人の好きな"Cross Sales" を見事にやってのけた、ということなのだろう。
その頃は、そのような賞があること自体夢にも想像していなかったのだが、朝会社に来たら、会長秘書からEメールが来ていて、「どうもあなたがその会長賞に選ばれたので、ボストン本社での受賞式に来て欲しい」、と言う夢のような内容であった。 特に、上司からこのようなメッセージを伝えてもらったわけではなく、直接の連絡でもあり、英文の内容でもあって本当にこういうことなのか、違う意味ではないかとも思ったが、何度読んでもやはり、そういうことだ。ドッキリカメラではないか、と冗談に思ったりもしたが、夢ではなかった。
ということで、晴れてボストン本社に赴き、このCarter氏より直接会長賞の時計と、金一封、確か$1,000を受け取り、苦労話交えて談笑することが出来た。また、我輩が大学出て最初に11年間勤務した米国C銀行に彼もエグゼキュティブとして勤めていたことがあり、これも共通の話題であった。
彼と握手しているところを記念写真として撮ってもらったのは良い思い出であった。
我が人生、賞をもらうなどということはそう多くないが、これは忘れえぬ貴重な体験であった。

Carter氏がS銀行をリタイアしたのはもう4,5年前と記憶しているが、ガバナンスに造詣深く、またWall Streetにも人脈広い、というのが今回の選出理由のようだ。証券取引所なのだが、前ChairmanもCitibankのJohn Reed氏だったという。証券会社ではなく、銀行出身者が続けてChairmanになっているのも面白い。2003年に表面化した統治問題が一段落したと判断されたようだ。今後は株式会社化や、市場間競争での勝ち残りに向けた電子化が課題であるとのこと。

日本では、大証が村上ファンドに買われたり、また東京証券取引所も上場の計画があると言う。良きお手本となるようNYSEの運営にもCarter氏の手腕が期待されるところである。