プロストワインハンデル公式ブログ「クライナー・プラッツ Kleiner・Platz」

ドイツのリューデスハイムに所在するドイツワイン専門店です。在住者ならではの新鮮な情報と個性的なワインをご紹介します。

冬だからこそ?!ブドウ畑の大仕事

2019年01月12日 13時49分50秒 | ワイナリー

賑やかだったクリスマスマーケットが終わり、ところ構わずあげられる花火で年越しをしたリューデスハイム。いまはすべてが夢だったかのような静かな時を過ごしています。

どれくらい静かかというと、まるで町全体が冬眠にでも入ったか、もしくは気が付かないうちにゴーストタウンにでもなったんじゃなかろうか?!と思ってしまうほどです。

 この写真、我々のお店を出てから少し道を上ってマーケット広場という町の中心部に降りていく道なのですが、ご覧のとおり人っ子一人いない、シャッター街のような様相です。これでも土曜日の13時頃に撮った写真なので、季節によっては旅行者の方々でごった返しているような場所のはず、、、なんですが。今のリューデスハイムがどれだけ静かで寂しい状況になっているのか、この写真一枚でご理解いただけるのではないでしょうか。

 

さて、そんな寂しいけれど静かで落ち着いた、もう家の中の暖炉の前でゆったりと読書でもして過ごすのが最高なんじゃないかと思えるようなこの季節ですが、心静かに屋内で落ち着いていられない人々がこの町には沢山います。こんな夜明けが8時くらいになって、7時頃になってもまだまだ薄暗く寒い時でも朝早くから外に繰り出して、夜も遅くまでそのまま屋外で過ごす、元気いっぱいな人たちがこの町にはいるのです。

そんな奇特な人はだれかと言えば、、、そう、ワイナリーの人達です!

 

ワイナリーの仕事というとどうしても秋の収穫が思い浮かびますが、実際には当然のことながら一年を通してずっと何かしらの仕事があります。そしてこの年越し前後から始まる、ある意味におけるワイナリー仕事の仕事初めこそが「剪定」という、ブドウの枝を切るお仕事なのです。

ブドウの樹は春の芽吹きから夏にかけて枝をどんどん伸ばしていきます。伸びた枝からは沢山の葉が茂り、夏の太陽の光を受け止めて光合成をし、そうして甘くておいしいブドウの実を結実させます。ブドウの樹の枝は毎年新しく伸びてくるものなので、そのまま放っておいてしまうと次々と新しい枝が伸び、そう時間を置かずにこんもりとした藪のようになってしまいます。

こうなってしまうと今度は枝同士、葉同士がお互いに邪魔になって太陽の光を受け止めることが出来なくなります。それでは美味しいブドウの実が出来なくなってしまいますので、そういう事態を避けるために、枝から葉が落ちきってブドウの樹が休眠期に入ったこのタイミングで古い枝を切っておく必要があるのです。とはいっても、ブドウの樹の休眠期は収穫が終わってから基本的に3月くらいまでの外気温が低く、とても寒い時期。ワイナリーの人々はそんな寒い中、何千本、場合によっては何万本もあるブドウの樹を1本1本丁寧に作業していくのですから、彼らにとって冬のこの時期は我々の想像以上に大変な時期です。

 

上の写真のように、ブドウの樹は夏の間中に枝を方々に伸ばし、冬になるとまるでひどい寝癖のようなぼさぼさの状態になっています。そこから次の年の為に残す必要のある枝だけを残して後は1本、1本ハサミで切っていきます。そうして綺麗に剪定された状態が下の写真です。ちょっと分かりにくいですが、左下に短く切り込まれた枝と右上に1本だけ長いまま残された枝以外のすべての枝が切り払われています。小雪が舞うような寒い気温の中で、1本のブドウの樹から生えている無数の枝をハサミで切り、切った枝を夏の間枝を固定していたワイヤーの間から引き抜く作業を延々と数千回、数万回繰り返すのは、本当に根気のいる作業です。そんな作業を黙々と続けているワイナリーの人達には頭が下がります。

普段なんとなく飲んでいる1本のワインが造られるまでには、とても多くの苦労があるのだな、と改めて感じる光景です。

 

そして、そんな大変な手間がかけられたブドウから造られたワインがまずいはずがありません!

まだリリースまではちょっと時間がありますが、昨年のブドウから造られた2018年ヴィンテージ、そして今まさに枝を切られているブドウの樹からとれるぶどうで造られるであろう2019年ヴィンテージ(リリースは来年ですが。。。)が今からすでに楽しみでならない、那岐がお送りました。

 

とんでもない急斜面に見渡す限りに植えられたブドウの樹。いったい何本あるのか数えるのさえ嫌になる光景です。この畑ですべてのブドウの樹から枝を切る作業に終わりはあるのか、見ている側が心配になってしまいます。


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