Doll of Deserting

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He want to deprive.(修→イヅ)

2005-07-26 16:28:06 | 過去作品(BLEACH)
 ただ、絶望へと向かう。進化していくものは何もなく、俺はただ昔の慕情なんてものを追い続け、いつまでたっても消えることはない。あいつが人のものになった今でも、それは変化していない。奪うことも出来ない。
 ただ、絶望へと。

 …情けねえ。

He want to deprive.

 吉良とは、学生時代からの先輩と後輩であって、言ってみればそれだけの仲だ。しかも学生としての付き合いは一年しかねえ。少なくとも、あいつはそう思ってる。ただし俺は、いつまでもあいつのことだけは一人の人間として、恋焦がれている。その答えは、未だもらえてもいないし、ましてや伝える気もねえ。今あいつはもう、たった一人のものになっちまってるから。
「檜佐木先輩、ちょっといいですか?」
 学生時代の吉良は、それが口癖だった。別に同級の奴らといるからって今から何があるわけでもねえし、あったとしてもお前のためなら幾らでも時間なんて割いてやるつもりだった。それなのにお前はいつも決まって律儀に時間があるか聞いてきたんだ。そんなことまで、俺は今でもよく覚えてる。多分お前に話したところで、「そんなこと何で覚えてるんですか」とかって笑われるだけなんだろうけど。
 しかしお前は礼儀正しいくせによく目付けられる奴だったな。まあ成績が良くてわりかし女にもてれば、それくらい当然だったのかもな。その度に俺がお前の顔に傷付けた奴らに仕返ししてやってたなんて、今でもお前は知らねえんだろうけど。
 俺がお前に対してもつ感情が恋愛感情なんて生っちょろいもんだと気付いたのは、もしかしたら卒業した後だったかな。告白してきた女を見る度にお前と比べてたのに気付いたのも多分その時だ。だからこそ卒業してからもお前らとの付き合いはやめなかったのに、吉良が二年に進級したと同時に市丸が隊長になって、お前が実は市丸に憧れてたってことを聞いた時、俺は多分死にたいくらい絶望したと思う。それでもお前への気持ちが変わんなかったなんて、今考えたら奇跡に近い。けど―…

「檜佐木先輩、何やってるんですか?」
 目の前に吉良の顔が見えて、俺は現実を知った。もう学生時代なんてとうに終わってたんだったな、と苦笑する。夢で回想するなんてこれが初めてのことだ。
「いや、ちょっと昼寝をな。」
 言い訳するように言って、俺はまた目を閉じる。今現実にいる吉良の顔が見えないように。あいつのものになった後の、吉良の顔が見えないように。
「…何言ってるんですか。仕事は終わったんですか?」
「俺んとこはお前んとこと違って隊長が真面目だから平気だっつの。」
 皮肉げに返してやると、吉良はふう、と一度ため息をついた。金髪がさらさら揺れて綺麗だ。学生時代憧れてやまなかったお前の繊細な顔が、今目の前にある。
 そっと手を伸ばしかけ、やめた。これは俺のもんじゃねえ。俺が焦がれた吉良は、俺のものになる可能性のある吉良なんだ。勿論、今も焦がれてはいるんだけどな。
「お前も、もう人のもんなんだなー…。」
 あんな泣き虫だったくせに今や俺と同期だってんだから大したもんだ、とつぶやくと、「頑張りましたから」とお前は不服げに答えた。ああ、そうだったな、と思う。卒業してからのこいつの努力といったらなかった。全てがあいつのためだと思うと忌々しいが。
「あー畜生。お前に言いたいことの一つもあったんだけどなー。もう言えねえじゃねえか。」
「え、何ですかそれ。言って下さいよ今。気になるじゃないですか。」
「言えねえっつってんだろ。もう一生言わねえよ。」
 俺の言葉に、吉良が釈然としない面持ちをした。まあでも今となっちゃ今まで言わなくて良かったと思ってる。どうせ俺の柄じゃねえし。ああ、言わなくて良かった。

 愛してるなんて、言わなくて良かった。
 

 ええと初修イヅがこんなんですみません。修イヅは英語タイトルって決めてた。(何で)先輩のかっこよさを引き出そうと努力してみたのですが、ただの恥ずかしい男になりました。(汗)でも修イヅはこういう関係が好きなんです。イヅルも修兵のことは好きなんだけど、そういう対象じゃないんですよ。ていうかイヅル仕事はとか聞いといて、自分は仕事どうしたのよ。あ、わかった隊長探してたんだきっとそうだ。(無茶な後付)

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