「第3期マイナビ女子オープン 第2局」(倉敷市芸文館)

          

 女流棋士タイトルの一つで優勝賞金では最高額(500万円/因みに男性は竜王戦の3900万円)の「マイナビ女子オープン」5番勝負の第2局が倉敷市の芸文館で開催され、午後からホールで一般公開されるというので出向きました。
 矢内女王対挑戦者甲斐女流二段。甲斐女流二段先勝を受けての第二局です。芸文館では毎年11月に倉敷藤花も公開対局されるのですが、今回は別室で山崎七段と里見女流二冠による大盤解説があるということで一度本物、現場を見てみたくなりました。山崎七段はトークがユニークで現在最も人気のある解説者、里見女流二冠も地元中国地方出の新鋭、今回の見学者の多くは私と同じ目的で来たんだろうと想像します。

 対局は朝9時30分からで午後1時30分からホールに移動しての公開対局になります。
入場無料なのですが入口で賞品付きの勝利者当てクイズを記入、投票することになっていました。矢内女王は30歳近いですが現在の将棋界のアイドル的存在、性格もよく私も応援していますが、先日放映されたNHK杯への女流出場2棋士決定戦での2連敗の内容が良くなくて、甲斐女流二段の棋風は知らなかったのですが、甲斐女流二段に投票しました。
 関係者が列席しての開会式が終わったあと、両者が即席畳会場に座り、照明が落とされます。先手矢内女王の居飛車に対して、後手甲斐女流二段はゴキゲン中飛車です。午前中の棋譜が並べられた後、午後の部の始まりです。写真はフラッシュを焚かなければOKということだったので何枚か撮影しました。

 ゆっくり進むのかなあと思っていたところ、いきなり矢内女王の5三角打(捨て)、同金、同歩ナリがあり、緊迫しました。先手は駒損ですがと金を2枚作り玉に迫る、後手は4九角打ち、3九角打ちと斜めから玉に迫る。想定外の一気の終盤です。



          

 途中でホールからアイシアターという別棟で行われている山崎七段と里見女流二冠の大盤解説会場に移動しました。広いホールにバラバラと40~50名いるのに対して、狭いアイシアターには150名近いファンがいて熱気ムンムンです。やはり皆さん、この二人目当てです。山崎七段はいつもどおりの惚けた雰囲気でかつ的確な解説、笑いを適宜絡ませて盛り上げていました。5三角は驚きましたね・どうでしょうか、5三歩・同金・4二角、てっきり6六角だと思っていましたみたいな解説があり・・・楽しかったです。現況までの解説が進んだところでホールへ戻りました。

 今回の見学は雰囲気を味わうくらいのつもりだったのですが、乱戦で両者の狙いが比較的分かりやすかったこともあり、棋士と一緒になって次手を考えながら見学しました。静かな会場で時間があると頭の中でいろいろと考えたり、両者の手に賛同したり首を傾げたり、結構感情移入して観戦できました。大盤解説を観るつもりがほとんどの時間を静かなホールで一緒に考えていました。
 公開対局ならではのこととして・・・棋士が飴の包みを開ける音までマイクが拾います。老年ファン二人組が互いに解説している声が結構聞こえます。途中爆睡したおじいさんのイビキが断続的に響き渡ります(長くは続かなかったので誰も注意せずに済みましたが)。残り時間が10分近く、緊迫した局面で矢内女王が一手指し、次手までの間に所用のため退席しますが、甲斐女流二段がノータイムで指したので、矢内女王の時間消化となりました、あまり時間はないけど大丈夫だろうか、このまま帰ってこなくて時間切れなんてことは・・・いろいろとあって結構面白かったです。午後1時30分から午後5時近くまであっという間で楽しめました。

 結局、2枚角の甲斐女流二段が押し切りました。最近の矢内女王は若干前のめり気味で最後は息切れしてしまいます。持ち時間3時間のところ両者残り時間10分を切り、時間切れで秒読みの中での早差しを期待していたのですが、秒読みまでいかずに終了したことは少し残念でした。
 最後は負け確定後も公開対局でのお約束なのか、完全に玉が詰みとなるまで10手近く指してから終局となりました(敗戦者の矢内女王は感想戦も含めて大人の対応をしていました)。

 終局後の感想戦は聞かずに退出しようとしたところ、入口脇に棋士のものらしき色紙が10枚近く並べられていて、もしかしてもしかすると当たるかもしれないと思い引き返しました。感想戦、閉会式後にクイズの抽選会です。賞品は棋士の色紙12枚、本8冊にソフトなど2つで22名に当たりますとのこと。
 甲斐女流二段勝利に投票したのは三十数名、矢内女王に投票したのは八十数名、色紙と本は甲斐女流二段に投票した方の中から抽選しますとのアナウンス、これは高確率、期待大です。頼む、当たれ!山崎七段と里見女流二冠が箱から投票券を取り出していきますが・・・残念ながら色紙はスルー。あぁダメかと思っていたところ、「矢内理絵子の振り飛車破り」5名様に当たりました。とりあえず良かった。三十数分の二十だと当たらないほうがショックです。



          

 サインはありませんでした(残念)。本局は振り飛車破りとならなかったのは皮肉ですが、じっくり読んで勉強しようと思います。



          

 その他、将棋関連では4月8日から2日間、名人戦第一局がありました。大接戦、それでも渡辺竜王はじめ錚々たる解説陣が挑戦者の三浦八段優勢と判断していたのに数手で逆転するとは・・・羽生名人は凄い、バケモノです。
 今回分かったのですが、名人戦の佳境、一番面白いところは1日目、2日目午後と放映したあと、2日目の18時以降です。ここを生放送してもらえないのでしょうか。4時間帯に亘る生放送+終局総集編の放送はうれしいのですが、どうせなら一番いいところの生放送もお願いしたいです。

 そして4月9日(金)に待ちに待った「3月のライオン 第4巻」が発売されました。しみじみと堪能できました。3巻までは登場人物や状況の紹介が中心でしたが、第4巻から本格的に将棋のストーリーが始まりました。「あとがき漫画」に将棋連盟での取材の様子が紹介されていますが、将棋の対局、人物描写がリアルで真実味・迫力があります。羽海野チカは(女性作家なのでどちらかというと)人物間・家族間のやり取り、触れ合いのシーンでは若干甘ったるい面もあるのですが、主軸となる将棋関連が本格化してバランスよくなってきました。この漫画は面白くて期待大です。


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