カラヤン/ベルリンフィル「R・シュトラウス 交響詩《ツァラトゥストラ》他」

               

 カラヤンの1977年東京ライブを夢中になって聴いています。ティンパニのテーリヒェンとフォーグラーについてネットで検索すると1970年代の演奏の中でティンパニの凄い音が聴ける2枚を紹介しているページがありました。
 一枚は1971年録音のチャイコフスキー交響曲第5番、もともと行進曲風で盛り上がる曲でカラヤンも得意にしていますが、確かに畳み掛けるようなティンパニの連打がダダダダダダダダダンと鳴り響きます。バンバンドンドン凄いです。

 そして1973年のツァラトゥストラです。2001年宇宙の旅で有名になった冒頭のダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダン、ダン。非常に張りのある固めの音を連打します。素晴らしいティンパニの音響に聴き惚れます。ただ、この演奏の魅力はティンパニだけではありません。
 序奏以降の光り輝くサウンド、溢れ出る、湧き出る、零れ落ちる弦楽の音の洪水です。ベルリンフィルらしい迫力ある強音だけでなく、弱音の絹のような滑らかさもウィーンばり、一点の弛緩もない完璧な演奏で感激しました。カラヤンがR・シュトラウスの管弦楽を得意にしているのは知っていましたが、あまりR・シュトラウスは好みではなくて避けてきましたがこれは驚きました。カラヤンも凄いですがベルリンフィルの表現力も今更ですが桁違いです。



 この推薦盤以外でそうだと思い出したのがブラームスのピアノ協奏曲第1番です。冒頭に劇的なティンパニの連打がありました。そこで持っているCDの中から同曲の演奏を引っ張り出してみました。引越後、バラバラと並べているだけで整理していないので全てかどうか分かりませんが10枚ありました。


・1953年 ベーム/バックハウス/ウィーンフィル (第1楽章の時間 19分)
・1957年 コンヴィチュニー/ケンプ/シュターツカペレ・ドレスデン (21分)
・1962年 バーンスタイン/グールド/ニューヨークフィル (25分)
・1972年 ヨッフム/ギレリス/ベルリンフィル (24分)
・1976年 メータ/ルービンシュタイン/イスラエルフィル (22分)
・1983年 バーンスタイン/ツィマーマン/ウィーンフィル (24分)
・1986年 アバド/ブレンデル/ベルリンフィル (22分)
・1997年 ラトル/アンスネス/バーミンガム市響 (22分)
・1999年 アーノンクール/ブッフビンダー/コンセルトヘボウ (24分)
・2003年 ラトル/ツィマーマン/ベルリンフィル (23分)


 どのディスクも冒頭部分だけを聴くつもりでしたがピアノが始まると止められません。瑞々しくて素晴らしい音楽、どれも名演です。
 我が家のオーディオではティンパニ奏者の技術的な相違を聴き取ることは難しいです。それでもデジタルレコーディングの表示がある1983年のバーンスタイン盤からは立体感が違ってきます。まさに雷音です。音だけでは最新のラトル盤が非常にクリアでとてもよく聞こえます。
 この曲は冒頭のティンパニも迫力ありますが、それ以降も魅惑的なオケとピアノの掛け合いが続きます。とても楽しい聴き比べになったのでもう一度聴いてみました。どれも聴かせますが強いて良いと思えるディスクを選ぶとすれば、ピアノ冒頭のスローな出だしにハッとして、全般的にロマンチックな表情付けのテクニックが一枚上と思わせるルービンシュタイン盤、それとラトルの意向なのか中盤のアタックを激しく鳴らして20代前半の若いブラームスを表現するツィマーマン新盤も録音のよさも相俟ってバランスいいです。どちらかなら新しい録音の方です。

               



               


 その他、印象に残っているのはアバド盤です。オーディオの時代の変わり目にあたりレコードで聴いて、その後、CDを買い直した録音が4~5枚あるのですが、これはそのうちの1枚です。非常に貧弱なレコード再生装置だったのですが、それでもCDで聴き直した時にサウンドの広がりが全然違うことに驚いたことを覚えています。あんなにタテヨコ壮大に聴こえた冒頭の弦がCDでは(まさに)コンパクトに狭くまとまっていました。だからといってレコードに拘ることはありませんでしたが、たまにレコードのことを思い出すときにベーム/ウィーンフィルのブルックナー4番とともに頭に浮かべる1枚です。

               






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