多面体F

集会報告、読書記録、観劇記録などの「ときどき日記」

深大寺と植物公園

2014年09月06日 | 都内散策
東京街歩き、2年前は蒲田、昨年は北千住、さて今年は調布の深大寺に行ってみた。
高校生のころクラブの同期たちと一度来たはずだが、何も覚えていなかった。京都の寺にはときどきあるが、バックに山を擁しており緑豊かな寺だ。
深大寺は733(天平5)年創建、変っているのは当初は法相宗だったのに、850年に天台宗に改宗したことだ。こんなこともあるのかと驚いた。したがって大本山は比叡山の延暦寺である。
1865(慶応元)年の大火でほぼすべての建物を焼失したが、山門(1695年建築)は残った。

 1867年に再興された大師堂
寺に縁のある人物に中西悟堂がいる。悟堂は金沢生まれだが、15歳のときに深大寺で得度した。その後1934年に日本野鳥の会を設立した。

帰りに深大寺そばを食べた。天ざるそば(1600円)、とろろそば(1050円)、なめこそば(950円)など、「名物価格」でやはり高めだ。まずいとまではいわないが「名物にうまいものなし」だった。明らかに深大寺の人と思われるお坊さんや尼さんも来店し、そばを食べておられた。
 
 深大寺門前のとろろそば

神代植物公園
深大寺の北のはずれ開山堂の近くに神代植物公園の入り口がある。だれもが不思議に思うのは、なぜお寺は「深大」なのに公園は「神代」なのかという疑問である。
もともと江戸時代から深大寺村だったが、1890年の近隣の村との合併のときに神代村になった。公園が開園した1940年には神代村だったので、地名を取って神代植物公園という名称になった。ところが1955年の調布市との合併時に深大寺町となり、「神代」という名は公園にのみ残った、ということだ。
都立公園は80-90あるが、入園料500円(おとな)というのはかなり高いほうではなかろうか。たとえば浜離宮恩賜庭園は300円、旧岩崎庭園が400円、多摩動物公園600円、もちろん日比谷公園や代々木公園は無料だ。ただ、そのぶん園内の管理はしっかりしている。クヌギ、コナラ、アカマツなど武蔵野の雑木林は美しいし、ばら園では季節外れの時期なのに赤いフィデリオや黄色のゴールデン・メダイヨンが咲いていた。この庭園は2009年に世界バラ会連合優秀庭園賞を受賞したそうだ。受賞理由は、質の高い維持管理をしていること、原種のバラを保存をしていること、国際的規模でバラの新品種コンクールを行っていることだそうだ。そういえば年ごとの国際ばらコンクール花壇というものまであった。ばらというと古河庭園鳩山会館も有名だが、ここも春や秋のシーズンにくればすごい見栄えだろう。

温室はどこの植物園にもあるが、ここは「宗教と関係のある植物」(ボダイジュ、ガジュマル、サラソウジュなど)、「小笠原の絶滅に瀕している植物」(オオバナサルスベリ、シマムロ、キャノンポールスターなど)など特色あるテーマで展示していた。子どもが上に乗れるハスや球根ベゴニアも美しかった。また園庭のむくげ、亜高山に生える黄色いノカンゾウ、南国生まれの赤いサンゴシトウも美しかった。
ハスといえば、深大寺の南東に水生植物園がある。たとえばコウホネやハスもあったが、巨大なヨシ、マコモ、コガマ、ヒメガマをみた。日本は豊葦原瑞穂国の国であることを実感した。またイネは、陸稲もあるものの、立派な水生植物だった。

湯の森深大湯
次に、植物公園から400mほど北にある湯の森深大湯という銭湯に向かった。4階建てのビルの3階がフロになっている。1階の玄関を入ると下駄箱の向こうがいきなりエレベータなので驚いた。3階の脱衣室は狭くみえたがロッカー数を数えると67あったのでそれなりの規模だった。3時オープンなので3時5分くらいに入ったが、15分くらいで客はすぐ15人くらいに増えた。はやっているようだ。
ジェット風呂、リラックス風呂、寝風呂などがあるのは青山の清水湯と同じだが、自分でボタンを押してジャグジーをスタートさせるところが違う。その他、電気風呂、水風呂、サウナがあり、この日の薬湯は玉露カテキン湯だった。
さて3階の浴室から階段を18段上がり外に出ると露天風呂がある。大きさは西新宿の羽衣湯の1.5―2倍はある。気持ちがいい。周りは1m以下の低い植物だ。じつはこの銭湯の売り物は「富士が見える露天風呂」である。この日は天候が悪く、残念ながら何もみえなかった。代わりにロビーに写真が飾ってあった。

 富士の写真(ただし屋上から撮ったもの)
練馬に比べ、富士に近いせいか山容がずいぶん大きくみえる。やはり空気が澄んでいる冬のほうがいいらしい。次回はそういう季節に再訪したい。1週間ごとに男風呂と女風呂を入れ替えているとのことなので、次回行けば違う浴槽に入れるかもしれない。なお富士はどちらからでも見えるということだった。
 条件がよければ露天風呂から富士がみえる。

溝の口駅西口商店街
調布は、あとで考えると競輪の京王閣のある京王多摩川まで1駅だからきっと安くてよい飲み屋はありそうだ。しかしこの日は溝の口へと向かった。稲田堤乗り換えだが、25分程度で到着する。東横線の階段を下りると「溝の口駅西口商店街」というレトロな看板がかかっている。雰囲気は20年くらい前の新宿西口・思い出横丁に似ている。しかし基本的には南武線線路沿いの通りなので、自転車にのった主婦や学生が普通に歩いている。また古書店や洋品店もある。
さてそのなかに有名は「いろは」や「かとりや」がある。まずいろはの店先に立った。レバ、ハツ、タンなど焼ものは基本的には1本90円。味噌とカラシをつけてくれる。鮮度が高くレバもおいしかった。

 いろはの焼きもの
せっかくなのでかとりやにも立ち寄る。店頭はいっぱいで順番待ちだったので、店内に座った。こちらは基本は1本100円、5本縛りとなっている。いろはで焼鳥は食べているので厚揚げ(370円)とお新香(260円)を注文した。客がみな善人にみえる。こんな店にしばしば来られる人は幸せものだ。
店の人も客も上品で人がよさそうな感じがした。環境がよいからか、あるいは店の客筋がよいからか。やはり田園都市線沿線の住宅街だからだろうか(あるいはこちらが酔っていたからかも)。そういえば店の線路側の塀にはクラシック音楽のコンサートのポスターが何枚も貼られていた。東京ではありえない光景だ。

  かとりやの店頭
溝の口に来るのは初めてだった。この2店はモラスキーの「呑めば、都(筑摩書房 2012/10)で知った。「第1章 セーラー服とモツ焼き」に出てくるが、強烈な印象だった。
帰りの電車は渋谷行と大井町行が交互に来るようだ。かつては大井町と渋谷は同格だったのだろうか。もちろん東急の営業戦略でもあるのだろうが・・・。
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