多面体F

集会報告、読書記録、観劇記録などの「ときどき日記」

夕焼小焼の播州 龍野

2012年09月13日 | 日記
夏休みに播州龍野を訪れた。龍野は姫路の西15キロ、姫新線で20分くらいのところにある人口8万人の町である。龍野は、三木露風や三木清の生まれ故郷として有名だ。「赤とんぼ」の歌詞には6歳で実母と別れ、そのあと慕った姐やとも嫁入りで別れた露風の思いがあふれている。
  夕焼小焼の、赤とんぼ 負われて見たのは、いつの日か
  山の畑の、桑の実を 小籠(こかご)に摘んだは、まぼろしか
  十五で姐
(ねえ)やは、嫁に行き お里のたよりも、絶えはてた
  夕焼小焼の、赤とんぼ とまっているよ、竿の先


そして男はつらいよ17作「寅次郎夕焼け小焼け(1976年)の舞台になった町である。太地喜和子が16年後に事故死したこともあり、45作のなかでこの映画が最高作だという人も多い。たしかに芸者ぼたんのような派出でかわいい役柄は、浅岡ルリ子のリリー同様、寅さん映画に合う。ただしわたくしの好みは「子守唄」の十朱幸代の看護婦だ。太地だけでなく宇野重吉と岡田嘉子、そして宇野の長男・寺尾聰も出演している。30年もたつと渥美も宇野も岡田も、おいちゃん、おばちゃん、御前様もみんな亡くなってしまった。宇野は日本画の巨匠・池ノ内青観役、まるで横山大観のような役柄である。岡田は幼なじみで、いまも龍野に住む初恋の女性・志乃の役。青観は上野の居酒屋で偶然寅に出会い、助けられる。青観は龍野市役所から絵を依頼され龍野を訪問する。そしてばったり寅と再会する。なおこの作品ではタコ社長が大活躍する。全作のなかでも娘役の明美(美保純)が出るもの以外では最長の出演時間である。

本竜野の駅から徒歩20分、うすくち龍野醤油資料館に行った。もとはヒガシマル醤油の本社でレンガ造りの建物からして風格がある。登録有形文化財の指定を受けている。播州平野の小麦、山間部の大麦、赤穂の塩、そして揖保川の水を使ってつくる。薄口は絞る前に甘酒を加えるそうだ。
大正昭和の食通・北大路魯山人は「濃口しょうゆはできるだけ使わず薄口しょうゆを使え」と述べたそうだ。
そして300mほど西南にある「梅玉」でそうめんを食べた。ここは脇坂藩筆頭家老屋敷跡の創業100年の老舗旅館の付属施設である。とても暑い日だったのでのどごしのよい揖保そうめんがうまかった。

男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼けの宴会シーンはこの旅館で撮影された。寅さんやぼたんだけでなく観光課長役の桜井センリもどんちゃん騒ぎをしていた。
店の壁には、太地、寺尾、山田監督、渥美、岡田のサイン、ポスター、スナップ写真11点が掲示されていた。

その後、小学校の近くにある武家屋敷資料館に回った。この家は天保期(1830年代)の建物を復元修復したもので、
帰りは旭橋を渡った。映画では龍野橋の上流方向に見える赤い鉄の橋だ。とても幅が狭く、段差があるため歩行者と自転車しか通れない。

路地や洗濯に使った川はよくわからなかったが、揖保川の清流はいまなおきれいだった。30年も前なら側溝のような小さな川でもごく普通に洗濯できたのではないかと思わせる落ち着いた町だった。
銘菓として、しょうゆ饅頭やしょうゆ羊羹というものがあるそうだ。
11月にはオータムフェスティバルin 龍野というイベントが開かれる。
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