多面体F

集会報告、読書記録、観劇記録などの「ときどき日記」

パイプオルガンとオケが共鳴した馬場管演奏会

2009年01月23日 | 日記
1月18日(日)午後、新宿文化センター高田馬場管絃楽団第73回定期演奏会が開催された。新宿駅から徒歩15分、寒風のなか、こんなに遠かったかと思った。ゴールデン街の脇の四季の路という遊歩道を抜け、明治通りを越え200mも先なので、たしかにそんなものだろう。さらに5分歩けば抜弁天の坂下に到達する。

この日のメインはサンサーンスの交響曲第3番ハ短調「オルガン付き」。2楽章の曲だが、それぞれ2部に分かれ4部構成になっている。暗い旋律で始まる。どちらも第2部でオルガンが登場する。したがってオルガンのないホールでは演奏できない。このホールのオルガンは総パイプ数5061本、70ストップ、1991年に設置された。規模でいうとサントリーホールがパイプ総数5898本、すみだトリフォニーが4735本なのでその間に当たる。低音のパイプは高さ3-4mありそうだった。ときどき舞台上方にあるのを見かけるが、このオルガンは舞台に向かって右袖にあった。譜面台の右にディスプレイがあるようで、そこから指揮者を見ているようだった。オケとの合奏は前日1時間だけだったそうだ。しかしオルガニストは新宿文化専属の方で、この曲もすっかり暗譜しているので、大丈夫だそうである。
オルガンの演奏は、以前、旧奏楽堂で聞いたことがある(パイプ総数1,379本)。

馬場管は、もともと管のレベルが高く、6台のコントラバスや7台のチェロなど中低音が充実しており、盛り上げがうまい。そこにコントラファゴットまで動員し、さらにオケに拮抗するオルガンの大音響がホールに響いて、壮大な雰囲気が生まれた。オルガンの低音は、床が共鳴しているように感じられ、すごい迫力だった。またティンパニーが、じつにカッコよかった。
指揮は川瀬賢太郎さん。プログラムによれば「マエストロは24歳!」1984年生まれ、2年前の東京音大4年のとき、東京国際音楽コンクール(指揮)で最高位に入賞した人である。端正な指揮で統率力は十分だが、時々飛び上がる。かつての森山さんほど高くはない。しかしお年のせいか森山さんが飛び上がらなくなったので、うれしくなった。鳴りやまぬ拍手に応え何回か登場し、最後はサンサーンスのスコアを指さし自分のせいでなく曲がいいからだとアピールしたり、アンコールが終わっても拍手が止まないと、ついに耳に手を当て「スリープ」の仕草をして笑わせてくれた。とても細身の人だった。
1月末に札響、2月名フィル、3月日フィル、4・5月広響、6月慶應ワグネル、7月PMF、8月大阪シンフォニカーと予定が目白押しのスケジュールとのことだ。このオケとは大学2年のとき代役で練習の指揮をした縁があるそうだ。

サンサーンス以外のプログラムは、シャブリエの「狂詩曲スペイン」、モーツァルト「交響曲第39番変ホ長調」、アンコールにステンハンマル「間奏曲」だった。ヴィルヘルム・ステンハンマル(1871-1927)はスウェーデンの後期ロマン派の作曲家で、この曲はスウェーデン王立音楽学校創立150周年に際し1921年に作曲されたそうだ。
1階客席は9割以上埋まっていた。60歳以上の男女が最も多い。次に多いのは30歳前後。かつてロンドンの教会かなにかで音大生のミニコンサートを聞いたことがある。やはり60代以上の市民が多かった。日本でもアマチュアのコンサートに常連客がしっかり根付く時代に入ったように思う。

☆7月5日の第74回定期演奏会(文京シビック)は常任指揮者の森山崇さんによるチャイコフスキーの4番。夏なのにちょっと暑苦しい感じがないではないが、ハンカチを手に聞きにいこう。いまから楽しみである。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 紙上討論「ノ・ムヒョン大統... | トップ | 何が「田母神論文」を生み出... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

日記」カテゴリの最新記事