ORGANIC STONE

私達は地球を構成する生命を持った石に過ぎないのですから。

バレットプルーフ・ポップ:Danger Days: The Fabulous Killjoys(2010)/My Chemical Romance

2010-12-12 01:13:04 | 音楽:誰でも解るマイ・ケミカル・ロマンス
Danger Days: The True Lives Of The Fabulous Killjoys(2010)/My Chemical Romance

童顔ジェラルド率いる悪ガキ4人組、マイ・ケミカル・ロマンス4作目。前作があれだけ売れた後のこのアルバムは、非常に正しい方向で作られていると思う。信念は変えず、しかし前作のメガヒットシングル”Welcome To The Black Parade”と同じ様な曲は無い。前作からのファンにとって悲しいけどそれで正解、潔く前作を引きずらず吹っ切れたR&Rで飛ばす、ポジティブ・パンク。アメリカで一番タフでかっこいいポップ・バンドと言うべきか。撃たれても死なない、防弾ポップ。

買ってから再生回数が500回を超えたこのアルバム、聞けば聞くほど思うのは前作The Black Paradeと彼らの音楽に対する姿勢は何も変わっていないってこと。ひゃああもうパンクじゃねえよパワーポップだよこれ!と最初の一瞬思ったのは事実、そりゃ"The Sharpest Lives"みたいなギザギザの手を切りそうな鋭いハードな曲は無い。その代わりにあるのは"DEAD!"乗りのR&Rやパンクなんて言うカテゴリを超えたファンキーなリズム、コーラスを取り入れた曲。以前よりましてコンセプトアルバムの要素が強く、アルバム全体に統一感がある。でも、真っ向から直球を投げる様な赤面する様な真剣さ、HOPEやSAVEや自殺や吸血鬼と言ったいつものキーワードを散りばめ、上手いとは言えないジェラルドのつば飛んできそうなヴォーカルにレイの華麗なギター、完璧の一歩手前であえて止めてるでしょ?って感じのラフさ、胸が痛くなる様な美しいメロディは健在なのだ。

しかしこの変化はヴィジュアルのカラフルなポップさと相まっていままでのダークなイメージを期待し続けるファンには少々辛かったのか。どんな音楽も人間の作り出す創作物である限り、作り手の精神状態を反映する。以前の彼らには血の出ている傷口を見せられる様な一種の悲壮感があったと思うけど、それが無い。吸血鬼も墓場もなんだか乗りの良い明るいイメージ。あのThe Black Paradeから数年経ちメンバーの人生も変化した。結婚し、子供も出来た。つまり、これが彼らの今の音なんである。明らかに幸せなんである。フランクなんてぽっちゃりしてもう。すべてのベクトルは希望へ、未来へと向かっている。

日本人と違い、アメリカ人には自分たちで国を作り上げたという誇りがある。自分たちの先祖が血を流し建国した民主国家、アメリカ。アメリカ国歌を聴く時、アメリカ人はそれを強く意識する。"Goodnite, Dr. Death"のアメリカ国歌はアメリカ人に向けた明確なメッセージだと思う。決して明るい未来が予測できる様な状況とは言えないアメリカ、そこに「希望を持て」「信じる物の為に戦え」「爆破しちまえ」「自分の居場所が無いのなら居場所を作れ」ただし、他人任せではなく自分でそれを成し遂げろ、俺たちがついている、と。泣けてくるほどマイケミなんである。

アルバム名長過ぎ!

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 殻を破った英国人:MIKAエッ... | トップ | テクノ・マトリックス:TRON:... »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (iphone小僧)
2010-12-21 10:03:21
初めて知りました^^
色々聞いてみます!
返信する
初めて (ptd)
2010-12-21 23:02:01
iPhone小僧さま。
初めて聞きましたか。
いろいろ聞いてみてください!
うん!
返信する

コメントを投稿

音楽:誰でも解るマイ・ケミカル・ロマンス」カテゴリの最新記事