人生の節目と地球侵略のタイミングが重なってしまいました。：ワールズ・エンド (2013)

ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!(2013)
The World's End

ワンパイントの旨いビールを飲む為に命をかけて戦う、これはビールへの執着がいかに世界を救うかという大胆なテーマの映画である。ビールを飲むためにここまでするか？という馬鹿馬鹿しさがこの映画の見どころだろう。彼らに襲いかかる数々の試練は、人類への愛ではなくビールへの愛という隠された（いや隠れてない、まったく）テーマをより強固にし盛り上げるためにある。

5人のアラフォー男が生まれ故郷の小さな町で、12軒のパブを制覇するという若い頃のやり残したクエストを完了すべく集合する。ところが街の様子がなにかおかしい事に気づいた彼らは、人類の危機に関わる陰謀に巻き込まれてしまうのであった・・・というあらすじを聞いてなんだそりゃ、と思う人が大半だろう。その反応は正しい。エドガー・ライトに万人に受けるＳＦ作品を期待してどうする。ＴＥＤやハングオーバーといったわかりやすい下ネタコメディがお好きな人はお気に召さない可能性あり。エドガー・ライトのコメディは見る人を選ぶ・・言い換えれば相当マニアック。あるある小ネタが満載の英国田舎町の日常＆あり得ない映画的シチュエーションのギャップ、サイモン＆ニックの涙なしには見られない鉄板の愛、生死を賭けて目指す最終目的地はパブ、ワールズ・エンド。簡単にいえばショーン・オブ・ザ・デッドをパワーアップしてビールをぶっかけた映画だ。あれはホラー、こちらはＳＦ。
ニック・フロストが後半にもう我慢できねえ！と切れる様はこの映画の見所の一つ。マーティン・フリーマンの炸裂する切れのいい小動物的キャラもかわいいからファンじゃなくても面白いと思う。

見終わると、客でざわつく週末の英国パブでフルーティさが舌に残るような旨いビールが飲みたくなる映画。